この章で学ぶこと
数学 B の出発点となる章です。 「数列」 とは、 1, 3, 5, 7, … のように規則 にしたがって並べた数の列のこと。 高校ではその並びを 一般項 という 1 つの式で表し、 等差数列・等比数列 の公式を自在 に使えるようになるのがゴールです。
- 数列 と 一般項 の表し方を知る
- 等差数列 の一般項 と和の公式を使えるようになる
- 等比数列 の一般項と和の公式を使えるようになる
- 初項・公差・公比 という 3 つのキーワードを区別 する
- 文章題を等差・等比の形に翻訳 する力をつける
ポイント: 数列は 「ひとつの数」 ではなく 「数のならび全体」 を 1 つの対象 として扱う学問。 第n項を an と書く約束 に 慣れましょう。
1. 数列とは何か
数列の定義
数列 とは、 順番付きで並べられた数の列。 1 番目を 初項 a1、 2 番目を a2、 … と呼び、 n番目を 第n項 an と書きます。
例: 数列 1, 3, 5, 7, 9, … では
- a1=1、 a2=3、 a3=5、 a4=7、 a5=9
- 一般項は an=2n−1 と表せる
一般項 (general term)
一般項 とは、 n番目の項を n の式で表したもの。 一般項がわかれば、 n=100番目でも n=10000番目でも即座 に求められます。
| 数列 | 一般項an | 第 10 項a10 |
|---|
| 1, 3, 5, 7, … | 2n−1 | 19 |
| 2, 4, 8, 16, … | 2n | 1024 |
| 1, 4, 9, 16, … | n2 | 100 |
| 11,21,31,… | n1 | 101 |
有限数列と無限数列
| 種類 | 意味 | 例 |
|---|
| 有限数列 | 項の個数 が有限 | サイコロの出目 1, 2, 3, 4, 5, 6 |
| 無限数列 | 項が無限 に続く | 自然数 1, 2, 3, … |
大事: 数学 B で主に扱うのは 無限数列 ですが、 「初項 から第n項までの和」 を求める場面 が多く、 結果 として有限個を 扱うことになります。
2. 等差数列
等差数列の定義
等差数列 とは、 となり合う項の差が一定 な数列。 その一定 の差を 公差 と呼び d で表します。
例: 3, 7, 11, 15, 19, … は公差d=4 の等差数列。
an+1−an=d(すべての n で)
等差数列の一般項
初項a1=a、 公差d の等差数列では、
an=a+(n−1)d
考え方: 第 1 項から第n項まで進むには、 d を n−1回足す。
| n | 1 | 2 | 3 | 4 | ⋯ | n |
|---|
| an | a | a+d | a+2d | a+3d | ⋯ | a+(n−1)d |
例題 1
初項 5、 公差 3 の等差数列の第 20 項を求めよ。
解: a20=5+(20−1)×3=5+57=62
等差数列の和
初項a、 末項 ℓ (= an)、 項数n の等差数列の和Sn は、
Sn=2n(a+ℓ)=2n{2a+(n−1)d}
なぜ: 数列を 逆順 に書いて縦に足すと、 どの列も a+ℓ になるので、 「2 倍して 2 で割る」 の発想 で出てきます (ガウス の計算 と呼ばれる)。
| 1, 3, 5, 7, 9 | (順) |
| 9, 7, 5, 3, 1 | (逆順) |
| 10, 10, 10, 10, 10 | (合計 = 5 列 × 10 = 50) |
→ 元の和は 50÷2=25。
例題 2
1 + 3 + 5 + … + 99 の和を求めよ。
解: 初項 1、 公差 2、 末項 99 の等差数列。 項数n は 99=1+(n−1)×2 より n=50。
S50=250×(1+99)=25000=2500
3. 等比数列
等比数列の定義
等比数列 とは、 となり合う項の比が一定 な数列。 その一定 の比を 公比 と呼び r で表します (r=0)。
例: 3, 6, 12, 24, 48, … は公比r=2 の等比数列。
anan+1=r(すべての n で)
等比数列の一般項
初項a、 公比r の等比数列では、
an=a⋅rn−1
考え方: 第 1 項から第n項まで進むには、 r を n−1回かける。
| n | 1 | 2 | 3 | 4 | ⋯ | n |
|---|
| an | a | ar | ar2 | ar3 | ⋯ | arn−1 |
例題 3
初項 2、 公比 3 の等比数列の第 6 項を求めよ。
解: a6=2⋅36−1=2⋅243=486
等比数列の和
初項a、 公比r、 項数n の等比数列の和Sn は、
Sn=⎩⎨⎧1−ra(1−rn)=r−1a(rn−1)na(r=1)(r=1)
なぜ: Sn=a+ar+ar2+⋯+arn−1 の両辺 に r をかけて引くと、 中間項がすべて消えて Sn−rSn=a−arn となるから。
例題 4
1 + 2 + 4 + 8 + … + 29 の和を求めよ。
解: 初項 1、 公比 2、 項数 10 の等比数列。
S10=2−11⋅(210−1)=1024−1=1023
4. 等差・等比の文章題
借入と利息 (等差 vs 等比)
| シナリオ | 数列の型 | 一般項 |
|---|
| 毎月 1 万円 ずつ貯金 (利息 なし) | 等差 | an=10000n |
| 元金 100 万円、 年利 3 % で複利 | 等比 | an=100×1.03n (万円) |
例題 5
ある木が毎年前年の 1.1 倍に成長 する。 1 年目の 高さが 100 cm のとき、 5 年目の 高さを求めよ。
解: 等比数列で初項 100、 公比 1.1。
a5=100×1.15−1=100×1.4641=146.41 cm
大事: 「増え方が一定 (足し算)」 → 等差、 「増え方が倍率一定 (かけ算)」 → 等比、 と見抜く力が試験 で問われます。
5. まとめと次の章へ
| 数列 | 一般項 | 和 |
|---|
| 等差 (公差d) | an=a+(n−1)d | Sn=2n{2a+(n−1)d} |
| 等比 (公比r, r=1) | an=arn−1 | Sn=r−1a(rn−1) |
次の章: 第 2 章では シグマ記号∑ を導入 し、 ∑k=1nk、 ∑k=1nk2 などの公式を学び、 一般の数列の和を計算 できるようになります。