メインコンテンツへスキップ
‹ 教材一覧に戻る
物理

物理ぶつり|仕事しごととエネルギー

最終確認日:

この章しょうで学まなぶこと

第だい 4 章しょうは、 力ちからを 「エネルギーえねるぎー」 という別べつの視し点てん であつかう章しょうです。 第だい 3 章しょうの F = ma は 「瞬しゅん間かん」 の関かん係けいでしたが、 エネルギー保存則えねるぎーほぞんそくは 「最初さいしょと最後さいご」 だけをつなぐ 強力きょうりょくな武ぶ器き です。

  • 仕事しごと の定てい義ぎ W = F d cos θ を理り解かいする
  • 仕事率しごとりつ P (= 1 秒びょうあたりの仕事しごと) を計けい算さんする
  • 運動エネルギーうんどうえねるぎー K = (1/2) m v² を立たつ式しきする
  • 位置エネルギーいちえねるぎー (重力じゅうりょく mgh、 弾性だんせい (1/2) k x²) を区く別べつする
  • 力学的エネルギー保存則りきがくてきえねるぎーほぞんそく で問もん題だいを解とく
  • 摩擦まさつ など非保存力ひほぞんりょくがある場合ばあいをあつかう
  • 重量じゅうりょう物ぶつを扱あつかう実験じっけんの安全あんぜんを守まもる

ポイント: エネルギーえねるぎーの強つよさは、 「途と中ちゅうの過か程ていを知しらなくても、 始点してんと終点しゅうてんだけで答えこたえが出でる」 ことです。 ジェットコースター・ボールの跳はね返かえり・振り子ふりこなど、 一見いっけん複ふく雑ざつな運うん動どうも一瞬いっしゅんで解とけます。

1. 仕事しごとの定義ていぎ

仕事しごととは

物理ぶつりでの 仕事しごと とは、 「力りょく が その向むきに動うごかした距きょ離り」 です。 単たん位いは J (ジュール) = N・m。

公こう式しき意い味み
W = F d力ちからと移い動どうが同おなじ向むき
W = F d cos θ力ちからと移い動どうの角かく度どが θ

cos θ の意味いみ

力ちから F と移い動どう方ほう向こうのなす角かく度どが θ のとき、 移い動どう方ほう向こうへの力ちからの成せい分ぶんは F cos θ です。 仕事しごとは 「移い動どう方ほう向こう成分せいぶん × 距きょ離り」 とも言いえます。

角度かくど別べつの仕事しごと

θcos θW意い味み
0°1F d同おなじ向むき、 最大さいだいの仕事しごと
60°1/2F d / 2半分はんぶんの仕事しごと
90°00垂直すいちょくなら仕事しごとゼロ
180°−1−F d反はん対たい向むき、 負ふの仕事しごと

注意ちゅういポイント

場ば面めん仕事しごと
重おもい荷物にもつを持もって 水平すいへいに歩あるく0 J (重力じゅうりょくは鉛直えんちょく、 移い動どうは水平すいへい)
重おもい荷物にもつを 持もち上あげるmg h (重力じゅうりょくに逆さからう)
重おもい荷物にもつを 持もって静止せいし0 J (動うごいていない)
動うごいている物体ぶったいに 垂直すいちょくな力りょく0 J (例れい: 円えん運うん動どうの向心力こうしんりょく)

大事だいじ: 日常にちじょう的てきな 「努力どりょく」 と物理ぶつりの 「仕事しごと」 は違ちがいます。 重おもい物ものを持もって立たち続つづけても、 物理ぶつりでは W = 0 です (動うごいていないから)。

2. 仕事しごと率りつ (パワー)

仕事しごと率りつとは

仕事率しごとりつ P は 「1 秒びょうあたりの仕事しごと」 で、 単たん位いは W (ワット)。

公こう式しき意い味み
P = W / t仕事しごと ÷ 時じ間かん
P = F v力ちから × 速度そくど (一定いっていの力ちからで等ひとし速そくに動うごかしているとき)

単位たんいの関係かんけい

単たん位い換算かんさん
1 W1 J / s
1 kW10³ W
1 馬力ばりき (HP)約やく 746 W

例れい

場ば面めん計けい算さん仕事しごと率りつ
50 kg の人ひとが 5 m の階段かいだんを 10 秒びょうで上あがる(50 × 9.8 × 5) / 10約やく 245 W
自じ動どう車しゃのエンジン (100 kW)公称こうしょう値ち100 kW = 100 000 W
LED 電でん球きゅうカタログ値ち約やく 7 W
エアコン (家庭かてい用よう)カタログ値ち約やく 600 W

ポイント: 仕事しごと (J) は 「どれだけ動うごいたか」、 仕事率しごとりつ (W) は 「どれだけ速はやくやったか」 を表あらわします。 階段かいだんを走はしって上あがる人ひととゆっくり上あがる人ひとで、 仕事しごとは同おなじでも仕事率しごとりつは違ちがいます。

3. 運動うんどうエネルギー

運動うんどうエネルギーの定義ていぎ

動うごいている物体ぶったいがもつエネルギーえねるぎーを 運動エネルギーうんどうえねるぎー K と言いいます。

公こう式しき単たん位い
K = (1/2) m v²J (ジュール)

例れい

物体ぶったい質しつ量りょう m速度そくど vK
ボール0.2 kg10 m/s10 J
自じ転てん車しゃ100 kg (人込ひとごみ)5 m/s1250 J
自じ動どう車しゃ1500 kg20 m/s300 000 J = 300 kJ
ライフル弾だん0.01 kg800 m/s3200 J

運動うんどうエネルギーと仕事しごとの関係かんけい

物体ぶったいに加くわえた合力ごうりょくの仕事しごとは、 運動エネルギーうんどうえねるぎーの変へん化か に等ひとしい (エネルギーえねるぎーと仕事しごとの関かん係けい)。

公こう式しき意い味み
W = ΔK = (1/2) m v² − (1/2) m v₀²合力ごうりょくの仕事しごと = 運動エネルギーうんどうえねるぎー変へん化か

例れい

質しつ量りょう 2 kg の物体ぶったいに力ちからを加くわえて 0 → 6 m/s に加速かそくした:

量りょう計けい算さん答えこたえ
ΔK(1/2) × 2 × 6² − 036 J
加くわえた仕事しごと= 36 J36 J

4. 位置いちエネルギー

重力じゅうりょくによる位置いちエネルギー

地面じめんを基き準じゅんとして、 高たかさ h にある質しつ量りょう m の物体ぶったいがもつ位置エネルギーいちえねるぎー U:

公こう式しき単たん位い
U = m g hJ

弾性だんせい力りょくによる位置いちエネルギー

ばね定数ばねていすう k のバネを自し然ぜん長ながから x だけ伸のばした (or 縮ちぢめた) ときの弾性エネルギーだんせいえねるぎー:

公こう式しき単たん位い
U = (1/2) k x²J

例れい

物体ぶったいU の計けい算さん答えこたえ
1 kg を 10 m の高たかさ (g = 9.8)1 × 9.8 × 1098 J
バネ k = 100 N/m を 0.2 m 伸のばす(1/2) × 100 × 0.2²2 J
1 t (1000 kg) の車くるまを 5 m1000 × 9.8 × 549 000 J = 49 kJ

基準きじゅん点てんの取とり方

位置エネルギーいちえねるぎーは 基き準じゅん点てんからの高たかさ で決きまります。 地面じめんでも、 机つくえの上うえでも、 基き準じゅんを自じ由ゆうに選えらべます。 大事だいじなのは 「最初さいしょと最後さいごで同おなじ基き準じゅん」 で計けい算さんすることです。

5. 力学りきがく的てきエネルギー保存ほぞん則そく

支点からひもでつるされたおもりが左右に振れる振り子
単振り子たんふりこ では、 最高さいこう点てんで 位置エネルギーいちえねるぎー が最大さいだい (運動うんどうエネルギーえねるぎーゼロ)、 最下さいか点てんで 運動エネルギーうんどうえねるぎー が最大さいだい (位置いちエネルギーえねるぎーゼロ)。 両りょう者しゃの和わは一定いってい = 力学的エネルギー保存則りきがくてきえねるぎーほぞんそく。

保存ほぞん則そくの主張しゅちょう

摩擦まさつや空くう気き抵てい抗こうが 無む視しできる とき、 運動エネルギーうんどうえねるぎー K と位置エネルギーいちえねるぎー U の和わ (力学的エネルギーりきがくてきえねるぎー) は 常つねに一定いってい に保たもたれます。

公こう式しき意い味み
K + U = 一定いってい力学的エネルギー保存則りきがくてきえねるぎーほぞんそく
(1/2) m v₁² + m g h₁ = (1/2) m v₂² + m g h₂状じょう態たい 1 と状じょう態たい 2

保存ほぞん則そくの強つよみ

F = ma で解とくエネルギーえねるぎー保ほ存ぞんで解とく
途と中ちゅうの力ちからを全部ぜんぶ知しる必ひつ要よう始点してんと終点しゅうてんだけわかれば OK
計けい算さんが複ふく雑ざつ計けい算さんがシンプル
時じ間かん経けい過かが必ひつ要ような問もん題だい向むき速度そくどと高たかさだけの問もん題だい向むき

例れい 1: 自由じゆう落下らっか

高たかさ 20 m から落下らっかする時ときの着地ちゃくち速度そくど (g = 9.8):

立たつ式しき計けい算さん
m g h = (1/2) m v²g h = (1/2) v²
v = √(2 g h) = √(2 × 9.8 × 20)v ≈ 19.8 m/s

例れい 2: 振り子ふりこ

長ながさ L の糸いとでつるした振り子ふりこを高たかさ h まで引ひき上あげ、 静しずかに離はなすと、 最下さいか点てんでの速度そくどは:

立たつ式しき結けっ果か
m g h = (1/2) m v²v = √(2 g h)

自由落下じゆうらっかと同おなじ式しきが出でます。 振り子ふりこが描えがく経路けいろは関かん係けいなく、 高たかさだけで決きまります。

例れい 3: 斜面しゃめんを滑すべる (摩擦まさつなし)

高たかさ h の斜しゃ面めんから滑すべり落おちたとき、 斜しゃ面めんの角かく度どや形かたちに関かん係けいなく、 最下さいか点てんの速度そくどは v = √(2 g h) です。

大事だいじ: 力学的エネルギー保存則りきがくてきえねるぎーほぞんそくは 「経路けいろに関かん係けいない」 という美うつくしい性せい質しつを持もちます。 ジェットコースターが同おなじ高たかさまで上あがらないのは、 摩擦まさつと空くう気き抵てい抗こうのせいです。

6. 摩擦まさつがある場合ばあい

非ひ保存ほぞん力りょくとは

摩擦力まさつりょくや空くう気き抵てい抗こうのように、 力学的エネルギーりきがくてきえねるぎーを 「熱ねつ」 や 「音おん」 に変かえてしまう力ちからを 非保存力ひほぞんりょく と言いいます。

力ちからの種類しゅるい例れい性せい質しつ
保存力ほぞんりょく重力じゅうりょく・弾性力だんせいりょく位置エネルギーいちえねるぎーが定てい義ぎできる
非保存力ひほぞんりょく摩擦まさつ・空くう気き抵てい抗こうエネルギーえねるぎーを熱ねつ等とうに変換へんかん

エネルギー収支しゅうし

摩擦まさつがある場合ばあい、 失うしなわれた力学的エネルギーりきがくてきえねるぎーは 熱ねつ になっています。

公こう式しき意い味み
(始点してんの K + U) − (終点しゅうてんの K + U) = 摩擦まさつの仕事しごと失うしなわれた量りょう = 熱ねつ
摩擦まさつの仕事しごと = μ N dμ (動摩擦係数どうまさつけいすう) × 垂直抗力すいちょくこうりょく × 距きょ離り

例れい

質しつ量りょう 2 kg の物体ぶったいが摩擦まさつのある水平面すいへいめん (μ = 0.3) を 5 m/s で滑すべり出だして止とまるまでの距きょ離り (g = 10):

立たつ式しき計けい算さん
(1/2) m v² = μ m g d(1/2) × 2 × 5² = 0.3 × 2 × 10 × d
d = 25 / 6約やく 4.2 m

7. エネルギーの多様たような形かたちと保存ほぞん

エネルギーの種類しゅるい

種しゅ類るい例れい
力学的エネルギーりきがくてきえねるぎー動うごく物もの・高たかい場所ばしょの物もの
熱エネルギーねつえねるぎーお湯ゆ・温あたたかい物体ぶったい
電気エネルギーでんきえねるぎー電池でんち・コンセント
化学エネルギーかがくえねるぎー食物しょくもつ・燃料ねんりょう
光エネルギーひかりえねるぎー太陽光たいようこう・LED
音エネルギーおとえねるぎー楽がっ器き・スピーカー
原子核エネルギーげんしかくエネルギー核かく反応はんのう

エネルギー保存ほぞん則そく (一般いっぱん)

「エネルギーえねるぎーの形かたちは変かわっても、 全体ぜんたいの量りょうは変かわらない」 という法ほう則そくを エネルギー保存則えねるぎーほぞんそく と言いいます。 物理ぶつり学がくで最もっとも重じゅう要ような原理げんりの 1 つです。

場ば面めんエネルギー変換へんかん
水力すいりょく発はつ電でん位置エネルギーいちえねるぎー → 運動エネルギーうんどうえねるぎー → 電気エネルギーでんきえねるぎー
光合成こうごうせい光エネルギーひかりえねるぎー → 化学エネルギーかがくえねるぎー
ガソリンエンジン化学エネルギーかがくえねるぎー → 熱ねつ → 運動エネルギーうんどうえねるぎー (一部いちぶは廃はい熱ねつ)
火力かりょく発はつ電でん化学エネルギーかがくえねるぎー → 熱ねつ → 蒸気じょうき → 運動エネルギーうんどうえねるぎー → 電気エネルギーでんきえねるぎー

ポイント: 力学的エネルギー保存則りきがくてきえねるぎーほぞんそくは 「摩擦まさつなし」 の条じょう件けんが必ひつ要ようですが、 エネルギー保存則えねるぎーほぞんそく (一般いっぱん) は 常つねに成なり立たちます。 失うしなったように見みえたエネルギーえねるぎーは、 必かならず熱ねつや音おとなど別べつの形かたちになっています。

8. ふりかえりと安全あんぜん配慮はいりょ

この章しょうのチェックリスト

  • [ ]仕事しごとの公式こうしき W = F d cos θ を言いえる
  • [ ]仕事率しごとりつ P = W/t = F v を言いえる
  • [ ]運動エネルギーうんどうえねるぎー K = (1/2) m v² を言いえる
  • [ ]位置エネルギーいちえねるぎー (重力じゅうりょく m g h、 弾性だんせい (1/2) k x²) を区く別べつできる
  • 力学的エネルギー保存則りきがくてきえねるぎーほぞんそく K + U = 一定いっていを立たつ式しきできる
  • [ ]非保存力ひほぞんりょく (摩擦まさつ) がある時ときのエネルギーえねるぎー収支しゅうしが書かける
  • [ ]エネルギー保存則えねるぎーほぞんそく (一般いっぱん) と力学的エネルギー保存則りきがくてきえねるぎーほぞんそくの違ちがいが言いえる
  • [ ]振り子ふりこや斜面しゃめんの最下さいか点てん速度そくど v = √(2 g h) を出だせる

この章しょうの安全あんぜん配慮はいりょ ── 重量じゅうりょう物ぶつと落下らっかの安全あんぜん

エネルギーえねるぎーの章しょうでは、 重おもい物体ぶったいを持もち上あげたり落おとしたりする実験じっけんが増ふえます。 エネルギーえねるぎーが大おおきいほど、 事じ故この衝しょう撃げきも大おおきくなります。

場ば面めん危き険けん対たい策さく
重量じゅうりょう物ぶつの持もち上あげ腰こしを痛いためる、 落下らっかでケガ腰こしではなく膝ひざで持もち上あげる、 2 人ひと以上いじょう
滑車かっしゃとおもりおもりの落下らっか、 指ゆびを挟はさむ直下ちょっかに立たたない、 動作どうさ中ちゅう触さわらない
バネ・ゴム跳はね返かえりの直ちょく撃げき保護メガネほごめがね、 顔かおの高たかさに置おかない
振り子ふりこ周囲しゅういに当あたる振り子ふりこの軌き道どう上に立たたない
ジェットコースター風実験じっけんレールから物体ぶったいが飛とぶレール周まわりに受うけ皿ざら
エネルギーえねるぎー計けい算さんの例れい1 kg・1 m 落下らっかで約やく 10 Jハンマーで軽かるく叩たたかれる衝しょう撃げき

重量じゅうりょう物ぶつを扱あつかう時ときの共通きょうつうルール

ルールくわしく
① 重量じゅうりょうを事前じぜんに確かく認にん5 kg 以上いじょうは 1 人ひとで持もたない
② 持もち方かた膝ひざを曲まげ、 背中せなかを真まっすぐ に
③ 通路つうろを空あける運はこぶ際さいは視し界かいと経路けいろを確かく保ほ
④ 落下らっかゾーンに立たたない重おもい物ものの真下ましたを通とおらない
⑤ 保護具ほごぐ必要ひつように応おうじて安全あんぜん靴くつ・手袋てぶくろ・ヘルメット
⑥ 緊きん急きゅう時ときすぐ先生せんせいに報告ほうこく

大事だいじ: エネルギーえねるぎー = (1/2) m v² は v の 2 乗じょう に比例ひれいします。 速度そくどが 2 倍ばいになればエネルギーえねるぎーは 4 倍ばい です。 自じ動どう車しゃの制動せいどう距きょ離りが速度そくどの 2 乗じょうに比例ひれいするのも、 この法ほう則そくが理由りゆうです。

次じの章しょう: 第だい 5 章しょうでは 円運動えんうんどうと単振動たんしんどう に進すすみます。 ここまでの直ちょく線せん運うん動どうとは違ちがい、 「回転かいてんする運うん動どう」 と 「くり返かえす運うん動どう」 の数すう式しきを学まなびます。 周期しゅうきや振動数しんどうすうという新あたらしい道どう具ぐが登場とうじょうします。

5 つの金属球が連続的に衝突するアニメーション
ニュートンのゆりかご — 完全かんぜん弾性だんせい衝突しょうとつと運動量保存うんどうりょうほぞん・エネルギー保存エネルギーほぞんを示しめす古典こてん的てき装置そうち。 端はじの球きゅうがぶつかると反対はんたい側がわの球きゅうが同おなじ速はやさで飛とび出だす。
この教材きょうざいは役やくに立たちましたか?