メインコンテンツへスキップ
‹ 教材一覧に戻る
物理

力ちからと運動うんどうの法則ほうそく

最終確認日:

この章しょうで学まなぶこと

第だい 3 章しょうは高校こうこう物ぶつ理り力学りきがくの心しん臓ぞう部 「ニュートンの運うん動どう 3 法則ほうそく」 です。 第だい 2 章しょうで学まなんだ 「加速度かそくど」 を 「なぜそう動うごくのか」 = 力ちからで説せつ明めい できるようになります。

  • 力ちからを ベクトルべくとる としてあつかう
  • 慣性かんせいの法則ほうそく (第だい 1 法則ほうそく) を知しる
  • 運動方程式うんどうほうていしき F = ma (第だい 2 法則ほうそく) を立たてて解とく
  • 作用反作用さようはんさようの法則ほうそく (第だい 3 法則ほうそく) を区く別べつする
  • 重力じゅうりょく・垂直抗力すいちょくこうりょく・摩擦力まさつりょく・張力ちょうりょく・弾性力だんせいりょく の 5 種たねを整せい理りする
  • 斜面しゃめん や 滑車かっしゃ の問もん題だいで力ちからを分解ぶんかいする
  • 力学りきがく実験じっけんの安全あんぜんを守まもる

ポイント: F = ma は たった 1 つの式しき ですが、 この章しょうの 9 割わりがこの式しきの使つかいこなし です。 「どの物体ぶったいに」 「どの向むきに」 「何なに N の力ちからが 」 を図ずで整せい理りする力ちからを育そだてましょう。

1. 力ちからをベクトルで表あらわす

力ちからとは

物理ぶつりでの 力りょく とは、 「物体ぶったいの 速度そくどを変かえる もと」 です。 形かたちを変かえる・止とめる・動うごかすすべてがこれに含ふくまれます。

量りょう単たん位い大おおきさの目安めやす
力ちから FN (ニュートン)1 N ≈ 100 g の物ものを持もち上あげる力ちから

力ちからの 3 要素ようそ

力ちからはベクトルべくとるなので、 「大おおきさ・向むき・作用点さようてん」 の 3 つで完全かんぜんに決きまります。 図ずに描えがくときはこの 3 つを矢や印じるしで表あらわします。

要よう素そ図ずでの表ひょう現げん
大おおきさ矢や印じるしの長ながさ
向むき矢や印じるしの向むき
作用点さようてん矢や印じるしの始点してん

力ちからのつりあい

物体ぶったいにはたらく力ちからをすべて足たして (= 合力ごうりょく) ゼロなら、 物体ぶったいは 力のつりあいちからのつりあい の状じょう態たいで、 等速直線運動とうそくちょくせんうんどうを続つづけるか、 静止せいしします。

例れいつりあいの式しき
机つくえの上うえの本ほん重力じゅうりょく mg = 垂直抗力すいちょくこうりょく N
天井てんじょうからつるしたおもり重力じゅうりょく mg = 張力ちょうりょく T
バネにつるしたおもり重力じゅうりょく mg = 弾性力だんせいりょく kx

2. 5 種類しゅるいの力ちからを整理せいりする

高校こうこう力学りきがくで出でてくる主おもな力ちから

力ちから性せい質しつ向むき大おおきさ
重力じゅうりょく地球ちきゅうが引ひく力ちから真下ました (鉛直えんちょく)mg
垂直抗力すいちょくこうりょく面めんが押おし返かえす力ちから面めんに垂直すいちょく場合ばあいによる
張力ちょうりょく糸いと・ロープが引ひく力ちから糸いとに沿そって場合ばあいによる
弾性力だんせいりょくバネが元もとに戻もどろうとする力ちから変位へんいと反はん対たい向むきF = kx (フックの法則ふっくのほうそく)
摩擦力まさつりょく接せっ触しょく面ですべりを妨さまたげる動うごこうとする向むきと反はん対たいμN

重力じゅうりょく

地表ちひょうでの重力じゅうりょくは、 質しつ量りょう m の物体ぶったいに F = m g の力ちからとしてはたらきます (g ≈ 9.8 m/s²)。 「重さおもさ = 重力じゅうりょく」 であり、 質しつ量りょうとは区く別べつします。

用よう語ご意い味み単たん位い
質量しつりょう物体ぶったいそのものの量りょうkg
重おもさ (重力じゅうりょく)その物体ぶったいに働はたらく重力じゅうりょくの大おおきさN

ポイント: 月つきに行いくと 「質量しつりょう」 は変かわらないが 「重おもさ」 は約やく 1/6 になります (月つきでは g ≈ 1.6 m/s²)。

フックの法則ほうそく

バネには F = k x の力ちから (元もとに戻もどろうとする向むき) がはたらきます。 k は ばね定数ばねていすう (N/m)、 x は自し然ぜん長ながからの伸のび (or 縮ちぢみ) です。

摩擦まさつ力りょく

摩擦力まさつりょくには 2 種類しゅるいあります。

種しゅ類るいいつはたらく大おおきさ
静止摩擦力せいしまさつりょく動うごいていない物体ぶったいを押おすとき加くわえた力ちからと同おなじ (最大値さいだいちまで)
最大静止摩擦力さいだいせいしまさつりょく動うごき出だす直前ちょくぜんμ₀ N (μ₀ は静止摩擦係数せいしまさつけいすう)
動摩擦力どうまさつりょく動うごいている間まμ N (μ は動摩擦係数どうまさつけいすう)

ポイント: ふつう μ₀ > μ です。 「動うごき出だす瞬しゅん間かん」 が一番いちばん力りょくが必ひつ要よう、 「動うごき始はじめると軽かるくなる」 という体たい験けんの通とおりです。

3. 第だい 1 法則ほうそく ── 慣性かんせいの法則ほうそく

1689 年に描かれたアイザック・ニュートンの肖像画
ニュートンにゅーとん (Isaac Newton, 1643-1727) は 運動の 3 法則うんどうの 3 ほうそく (慣性の法則かんせいのほうそく・運動方程式うんどうほうていしき F=ma・作用反作用の法則さようはんさようのほうそく) を確立かくりつし、 古典こてん力学りきがくの基礎きそを築きずいた。

慣性かんせいの法則ほうそく

ニュートンの第1法則ニュートンのだい1ほうそく = 慣性の法則かんせいのほうそく: 「力りょくが加くわわらなければ、 物体ぶったいは等速直線運動とうそくちょくせんうんどうを続つづけるか、 静止せいしを続つづける」。

慣性かんせいとは

慣性かんせいとは、 物体ぶったいが 「今いまの運うん動どう状じょう態たいを保たもとうとする性せい質しつ」 です。 質量しつりょうが大おおきいほど慣性かんせいも大おおきく、 動うごかしにくく、 止とめにくくなります。

身近みぢかな例れい

場ば面めん慣性かんせいのはたらき
急きゅうブレーキで体からだが前まえに倒たおれる体からだは 「動うごき続つづけよう」 とする
急きゅう発はっ進しんで体からだが後うしろに倒たおれる体からだは 「止とまっていよう」 とする
ハンマーの柄えを叩たたくと頭あたまが締しまる頭あたまが動うごき続つづけようとして柄えに入はいり込こむ
毛布もうふの上うえの食器しょっきをすばやく引ひく食器しょっきは静止せいしを続つづけようとして残のこる

4. 第だい 2 法則ほうそく ── 運動うんどう方程式ほうていしき F = ma

運動うんどう方程式ほうていしき

ニュートンの第2法則ニュートンのだい2ほうそく = 運動方程式うんどうほうていしき: 「物体ぶったいの加速度かそくどは、 受うける合力ごうりょくに比例ひれいし、 質しつ量りょうに反比例はんぴれいする」。

公こう式しき意い味み
F = m a力ちから = 質量しつりょう × 加速度かそくど
a = F / m同おなじ力ちからでも重おもいものほど加か速そくしにくい

単位たんいの確認かくにん

量りょう単たん位い
FN (ニュートン)
mkg
am/s²
⇒ 1 N = 1 kg・m/s²定てい義ぎ

例れい 1: 一定いっていの力ちからで押おす

質しつ量りょう 5 kg の物体ぶったいを 10 N の力ちからで押おすと:

量りょう計けい算さん答えこたえ
加速度かそくどa = F/m = 10/52.0 m/s²
3 秒びょう後ごの速度そくど (初速しょそく 0)v = at = 2.0 × 36.0 m/s

例れい 2: 摩擦まさつがある場合ばあい

質しつ量りょう 2 kg の物体ぶったいを水平すいへいに 8 N で引ひき、 動どう摩擦まさつ力りょくが 4 N のとき:

量りょう計けい算さん答えこたえ
合力ごうりょく8 − 44 N
加速度かそくどa = 4/22.0 m/s²

大事だいじ: F は 合力ごうりょく (すべての力ちからのベクトル和わ) です。 1 つの力ちからだけではなく、 「物体ぶったいに働はたらくすべての力ちからを図ずに描えがき、 向むき付つきで足たす」 がスタートです。

5. 第だい 3 法則ほうそく ── 作用さよう反作用はんさよう

作用さよう反作用はんさようの法則ほうそく

ニュートンの第3法則ニュートンのだい3ほうそく = 作用反作用さようはんさよう: 「物体ぶったい A が B に力ちからを加くわえると、 B も A に同おなじ大おおきさ・反対はんたい向むきの力ちからを加くわえる」。

例れい

場ば面めんA → BB → A
歩あるく足あしが地面じめんを後うしろに押おす地面じめんが足あしを前まえに押おす
ロケット燃焼ねんしょうガスを後方こうほうへ噴射ふんしゃガスがロケットを前まえへ押おす
泳およぐ手てが水みずを後うしろに押おす水みずが手てを前まえに押おす
ぶつかるA が B に力ちからを加くわえるB も A に同おなじ力ちから

つりあいと作用さよう反作用はんさようのちがい (重要じゅうよう)

区く別べつ力のつりあいちからのつりあい作用反作用さようはんさよう
どこにはたらく力ちからか同おなじ物体ぶったい に 2 つの力ちから異ことなる 2 物体ぶったい が互たがいに
大おおきさ同おなじ同おなじ
向むき反対はんたい反対はんたい
例れい机つくえの本ほん: 重力じゅうりょく vs 垂直抗力すいちょくこうりょく本ほんが机つくえを押おす vs 机つくえが本ほんを押おす

大事だいじ: 「机つくえの上うえの本ほんの重力じゅうりょくと、 机つくえから受うける垂直抗力すいちょくこうりょく」 は つりあい であり、 作用反作用さようはんさようではありません。 入試にゅうしでよく出でるひっかけです。

6. 斜面しゃめん上じょうの物体ぶったい

斜面上の物体にかかる重力・垂直抗力・摩擦力を矢印で示した図
斜面しゃめん 上うえの物体ぶったいには 重力じゅうりょく mg、 斜面しゃめんからの 垂直抗力すいちょくこうりょく N、 摩擦力まさつりょく f がはたらく。 これらを ベクトル分解ベクトルぶんかい し、 斜面しゃめん方向ほうこうと垂直すいちょく方向ほうこうで 運動方程式うんどうほうていしき を立たてる。

斜面しゃめんでの力ちからの分解ぶんかい

斜面しゃめん上の物体ぶったい (角かく度ど θ、 質量しつりょう m) にはたらく重力じゅうりょくを、 斜しゃ面めん方ほう向こう と 斜しゃ面めんに垂直すいちょくな方向ほうこう に分わけます。

方向ほうこう重力じゅうりょくの成分せいぶん意い味み
斜しゃ面めんに沿そって (下向したむき)mg sin θ滑すべり落おとそうとする力ちから
斜しゃ面めんに垂直すいちょくmg cos θ面めんを押おす力ちから

摩擦まさつがない斜面しゃめん (なめらかな斜面しゃめん)

量りょう値あたい
加速度かそくどa = g sin θ
角かく度ど θ = 30°a = g/2 ≈ 4.9 m/s²
角かく度ど θ = 60°a = (√3/2) g ≈ 8.5 m/s²
角かく度ど θ = 90° (垂直すいちょく)a = g (= 自由落下じゆうらっか)

摩擦まさつがある斜面しゃめん

動摩擦係数どうまさつけいすう μ のとき、 斜しゃ面めん下向したむきを正せいとすると:

力ちから値あたい
斜しゃ面めん方ほう向こうの重力じゅうりょくmg sin θ
垂直抗力すいちょくこうりょくN = mg cos θ
摩擦まさつ力りょくμ N = μ mg cos θ
合力ごうりょくmg sin θ − μ mg cos θ
加速度かそくどa = g (sin θ − μ cos θ)

例れい

θ = 30°、 μ = 0.2、 g = 10 m/s² の斜しゃ面めん:

計けい算さん答えこたえ
sin 30° = 1/2、 cos 30° = √3/2 ≈ 0.87─
a = 10 × (0.5 − 0.2 × 0.87)約やく 3.3 m/s²

7. 連結れんけつ物体ぶったいと滑車かっしゃ

連結れんけつ物体ぶったいの解とき方かた

複ふく数すうの物体ぶったいが糸いとやバネでつながっているとき、 それぞれの物体ぶったいごとに F = ma を立たて ます。 糸いとが伸のび縮ちぢみしないなら、 つながった物体ぶったいの 加速度かそくどは同おなじ です。

例れい: 水平すいへいに並ならんだ 2 物体ぶったい

質しつ量りょう m₁ = 2 kg、 m₂ = 3 kg を糸いとでつなぎ、 m₂ を 10 N で引ひく (摩擦まさつなし):

物体ぶったい立たつ式しき結けっ果か
全体ぜんたい10 = (2 + 3) aa = 2.0 m/s²
m₁ だけT = 2 × 2.0T = 4.0 N

アトウッドの装置そうち (滑車かっしゃの両側りょうがわにおもり)

質量しつりょう m₁、 m₂ (m₁ > m₂) の物体ぶったいを軽かるい糸いと・滑車かっしゃでつなぐ:

物体ぶったい立たつ式しき
m₁ (落おちる側がわ)m₁ g − T = m₁ a
m₂ (上あがる側がわ)T − m₂ g = m₂ a
解かいa = (m₁ − m₂) g / (m₁ + m₂)

例れい

m₁ = 3 kg、 m₂ = 1 kg、 g = 10 m/s²:

計けい算さん答えこたえ
a = (3 − 1) × 10 / (3 + 1)5.0 m/s²
T = m₂ (g + a) = 1 × (10 + 5)15 N

8. ふりかえりと安全あんぜん配慮はいりょ

この章しょうのチェックリスト

  • [ ]力りょくの 3 要素ようそ (大おおきさ・向むき・作用点さようてん) を言いえる
  • [ ]重力じゅうりょく・垂直抗力すいちょくこうりょく・張力ちょうりょく・弾性力だんせいりょく・摩擦力まさつりょくの 5 種たねを知しっている
  • フックの法則ふっくのほうそく F = kx を言いえる
  • [ ]第だい 1 法則ほうそく (慣性かんせい) を説せつ明めいできる
  • 運動方程式うんどうほうていしき F = ma を立たてて解とける
  • [ ]作用反作用さようはんさようとつりあいの区く別べつができる
  • 斜面しゃめんの加速度かそくど a = g (sin θ − μ cos θ) を出だせる
  • [ ]アトウッドの装置あとうっどのそうちの解かい a = (m₁ − m₂) g / (m₁ + m₂) を知しっている

この章しょうの安全あんぜん配慮はいりょ ── 力学りきがく台車だいしゃと連結れんけつ実験じっけん

力学りきがく台車だいしゃ・滑車かっしゃ・おもりを使つかう実験じっけんは、 物体ぶったいが 飛とび出だす、 落下らっかする、 指ゆびを挟はさむ などの危き険けんがあります。

場ば面めん危き険けん対たい策さく
力学りきがく台だい車しゃ台だい車しゃが机つくえから落下らっか机つくえの端はじに ストッパー、 床ゆかにマット
おもりの落下らっか足あしや機器きを直ちょく撃げき真下ましたに立たたない、 重おもいおもりは使つかわない
滑車かっしゃ指ゆびを挟はさむ動うごいている間まは触さわらない
バネの跳はね返かえり顔かおへの直ちょく撃げき保護メガネほごめがね 必ひっ須す
糸いとの切断せつだん重おもいおもりの落下らっか糸いとの強きょう度どを事前じぜんに確かく認にん
斜面しゃめんからの飛とび出だし物体ぶったいが加速かそくして飛とび散ちる斜しゃ面めんの下したに受うけ皿ざら

力学りきがく実験じっけん共通きょうつうの安全あんぜんルール

ルールくわしく
① 重おもい物ものの真下ましたに立たたない落下らっかの直ちょく撃げきを避さける
② 保護メガネほごめがね跳はね返かえり・破片はへん防ぼう止し
③ 進行しんこう方向ほうこうを空あける台だい車しゃ・振り子ふりこの軌き道どうから離はなれる
④ 機器きの固定こてい滑車かっしゃ・センサーをクランプで
⑤ ロープ・糸いとの強きょう度ど想そう定てい重量じゅうりょうの 2 倍ばい以上いじょうを
⑥ データ取得しゅとく中ちゅうは触さわらない信しん頼らい性と安全あんぜんの両面りょうめん

大事だいじ: 1 kg のおもりが 1 m から落下らっかすると、 着地ちゃくち時じのエネルギーえねるぎーは約やく 10 J です。 ハンマーで軽かるく叩たたかれた程てい度どの衝しょう撃げきがあります。 油断ゆだんしないでください。

次じの章しょう: 第だい 4 章しょうでは、 力ちからのはたらきを 「仕事しごととエネルギーえねるぎー」 という別べつの視し点てんから整せい理りし、 力学的エネルギー保存則りきがくてきえねるぎーほぞんそく を学まなびます。 F = ma が 「瞬しゅん間かんの関かん係けい」 なら、 エネルギー保存則えねるぎーほぞんそくは 「全ぜん過か程ていの関かん係けい」 です。

この教材きょうざいは役やくに立たちましたか?