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物理

円運動えんうんどうと単たん振動しんどう

最終確認日:

この章しょうで学まなぶこと

第だい 5 章しょうは、 高校こうこう力学りきがくの仕上しあげ 「円運動えんうんどうと単振動たんしんどう」 です。 ここまで学まなんだ直ちょく線せん運うん動どうとは違ちがい、 回転かいてんし続つづける・くり返かえす 運うん動どうを数すう式しきであつかいます。

  • 等速円運動とうそくえんうんどう の角速度かくそくど ω と周期しゅうき T を理り解かいする
  • 向心加速度こうしんかそくど v²/r と 向心力こうしんりょく m v²/r を立たつ式しきする
  • 単振動たんしんどう の周期しゅうきと振動数しんどうすうを区く別べつする
  • バネ振り子バネふりこ の周期しゅうき T = 2π√(m/k) を知しる
  • 単振り子たんふりこ の周期しゅうき T = 2π√(L/g) を知しる
  • 円運動えんうんどうと単振動たんしんどう の美うつくしい関かん係けいを知しる
  • 振り子ふりこ周辺しゅうへんの実験じっけんの安全あんぜんを守まもる

ポイント: 円運動えんうんどうや単振動たんしんどうは一見いっけん 「特とく殊しゅ」 に見みえますが、 ボールを振ふり回まわす・振り子時計ふりことけい・バネ・惑星わくせいの公こう転てん・音波おんぱ・光ひかり・交流電流こうりゅうでんりゅう・原子げんしの振動しんどうまで、 自し然ぜん界の多おおくを説せつ明めいできる 基き本ほん道どう具ぐ です。

1. 等速円運動とうそくえんうんどう

円軌道上を一定の速さで動く物体と、 中心向きの加速度ベクトルを示した図
等速円運動とうそくえんうんどう では、 速度そくどの大おおきさは一定いっていだが、 向きむきが絶たえず変化へんかする。 そのため中心ちゅうしん向むきの 向心加速度こうしんかそくど a = v²/r が生しょうじ、 中心ちゅうしん向むきの 向心力こうしんりょく が必要ひつようとなる。

等速円運動とうそくえんうんどうとは

等速円運動とうそくえんうんどう は、 「半はん径けい r の円周えんしゅう上じょうを、 一定いっていの速さはやさ v で回まわる 運うん動どう」 です。 速さはやさは一定いっていでも、 向むきが常つねに変かわる ため、 速度そくど (ベクトルべくとる) は変へん化かしています。

周期しゅうきと振動しんどう数すう

量りょう記号きごう定てい義ぎ単たん位い
周期しゅうきT1 周しゅうにかかる時じ間かんs
振動数しんどうすうf1 秒びょうあたりの周回しゅうかい数すうHz
関かん係けいT = 1/f互たがいに逆数ぎゃくすう─

角速度かくそくど

角速度かくそくど ω は、 「1 秒びょうあたりに中心ちゅうしんで進すすんだ角かく度ど」 で、 ラジアンらじあん (rad) で表あらわします。

公こう式しき意い味み
ω = 2π / T = 2π f1 周しゅう = 2π ラジアン
v = r ω円周えんしゅう上じょうの速度そくどと角速度かくそくどの関かん係けい

例れい

半はん径けい 0.5 m の円周えんしゅうを 2 秒びょうで 1 周しゅうする:

量りょう計けい算さん答えこたえ
周期しゅうき T─2 s
振動数しんどうすう f1/20.5 Hz
角速度かくそくど ω2π / 2π rad/s
速度そくど v0.5 × π約やく 1.57 m/s

2. 向こう心こころ加速度かそくどと向こう心力しんりょく

向こう心こころ加速度かそくど

等速円運動とうそくえんうんどうでは速さはやさは一定いっていですが、 速度そくど (ベクトルべくとる) の 向むきが変かわり続つづけ ます。 その変へん化かが 向心加速度こうしんかそくど で、 常つねに中心ちゅうしんを向むき ます。

公こう式しき意い味み
a = v² / r = r ω²半はん径けい r、 速さはやさ v の向心加速度こうしんかそくど

向こう心力しんりょく

向心加速度こうしんかそくどを生うみ出だす力ちからを 向心力こうしんりょく と言いいます。 物体ぶったいを円えん軌き道どうに縛しばり続つづける力ちからで、 常つねに中心ちゅうしん向むき です。

公こう式しき意い味み
F = m v² / r = m r ω²質しつ量りょう m の物体ぶったいの向心力こうしんりょく

向こう心力しんりょくの例れい

場ば面めん向こう心力しんりょくの正体しょうたい
糸いとで振ふり回まわすボール糸いとの 張力ちょうりょく
自じ動どう車しゃがカーブを曲まがるタイヤと路面ろめんの 摩擦力まさつりょく
人工衛星じんこうえいせいが地球ちきゅうを回まわる地球ちきゅうの 重力じゅうりょく (万有引力ばんゆういんりょく)
電でん子しが原子核げんしかくの周まわりを回まわる静せい電でん気き力りょく (古こ典てん模も型けい)

例れい

質量しつりょう 0.5 kg のボールを長ながさ 1 m の糸いとでつなぎ、 1 秒びょうに 1 回かい (T = 1 s) 回まわす:

量りょう計けい算さん答えこたえ
角速度かくそくど ω2π / 12π rad/s
速度そくど v1 × 2π約やく 6.28 m/s
向心加速度こうしんかそくど(6.28)² / 1約やく 39.5 m/s²
向心力こうしんりょく (糸いとの張力ちょうりょく)0.5 × 39.5約やく 19.7 N

大事だいじ: 「外そと向むきの 遠心力えんしんりょく」 は、 厳密みつには 回転かいてんする観察かんさつ者から見みた見みかけの力ちから (慣性力かんせいりょく) です。 静止せいしした観察かんさつ者から見みれば、 物体ぶったいに働はたらくのは向心力こうしんりょくだけです。

3. 単たん振動しんどう

ばねにつながれたおもりが左右に振動する様子。 円運動を 1 軸に投影した動き
単振動たんしんどう は 等速円運動とうそくえんうんどう を 1 軸じくに射影しゃえいした動うごきと等価とうか。 ばねの復元ふくげん力りょく F = -kx が変位へんいに比例ひれいして中心ちゅうしん向むきにはたらき、 周期しゅうき T = 2π√(m/k) で振動しんどうする。

単たん振動しんどうとは

単振動たんしんどう は、 「つりあい位い置ちからの **変位へんいに比例ひれい し、 逆ぎゃく向むきの復元ふくげん力りょく がはたらく振動しんどう」 です。

公こう式しき意い味み
F = − k xバネ型がたの復元ふくげん力りょく
加速度かそくど a = − ω² xx が大おおきいほど強つよく引ひき戻もどす

単たん振動しんどうの周期しゅうきと振動しんどう数すう

量りょう記号きごう定てい義ぎ単たん位い
周期しゅうきT1 回かい振動しんどうにかかる時じ間かんs
振動数しんどうすうf1 秒びょうあたりの振動しんどう回数かいすうHz
振幅しんぷくAつりあいからの最大さいだい変位へんいm
角振動数かくしんどうすうω2π / Trad/s

単たん振動しんどうの位置いち・速度そくど・加速度かそくど

時刻じこく t における位い置ち・速度そくど・加速度かそくど:

量りょう式しき
位い置ちx = A sin (ω t)
速度そくどv = A ω cos (ω t)
加速度かそくどa = − A ω² sin (ω t) = − ω² x

単たん振動しんどうのエネルギー

エネルギー式しき
運動エネルギーうんどうえねるぎー(1/2) m v²
弾性エネルギーだんせいえねるぎー(1/2) k x²
全エネルギーえねるぎー(1/2) k A² (一定いってい)

ポイント: 単振動たんしんどうは エネルギー保存ほぞん の美うつくしい例れいです。 つりあい位い置ちでは K が最大さいだい、 端はじでは U が最大さいだい、 全体ぜんたいは一定いっていです。

4. バネ振り子ふりこ

バネ振り子ふりこの周期しゅうき

ばね定数ばねていすう k のバネに質量しつりょう m のおもりをつけたバネ振り子バネふりこの周期しゅうき:

公こう式しき意い味み
T = 2π √(m / k)質量しつりょうが大おおきいほどゆっくり

例れい

m = 0.1 kg、 k = 10 N/m のバネ振り子バネふりこ:

量りょう計けい算さん答えこたえ
T2π × √(0.1 / 10) = 2π × 0.1約やく 0.63 s
f1/T約やく 1.6 Hz

周期しゅうきの性質せいしつ

条じょう件けん変更へんこうT の変へん化か
質量しつりょう m を 4 倍ばいT は 2 倍ばい
バネ定数ていすう k を 4 倍ばいT は 1/2 倍ばい
振幅しんぷく A を大おおきくT は変かわらない (等時じ性)

大事だいじ: 単振動たんしんどうの 周期しゅうきは振幅しんぷくに関かん係けいなく一定いってい です。 これを 等時性とうじせい と言いい、 ガリレオがピサの大だい聖堂せいどうでシャンデリアを観察かんさつして発はっ見けんしたと伝つたえられます。

5. 単たん振り子ふりこ

単たん振り子ふりことは

単振り子たんふりこ は、 「軽かるい糸いとにおもりをつけ、 真下ましたから小ちいさく揺ゆらした振り子ふりこ」 です。 振幅しんぷくが小ちいさいとき、 単振動たんしんどうとみなせます。

周期しゅうき

公こう式しき意い味み
T = 2π √(L / g)糸いとの長ながさ L、 重力加速度じゅうりょくかそくど g

例れい

L = 1.0 m、 g = 9.8 m/s²:

量りょう計けい算さん答えこたえ
T2π × √(1.0 / 9.8) ≈ 2π × 0.32約やく 2.0 s

周期しゅうきの性質せいしつ

条じょう件けん変更へんこうT の変へん化か
糸いとの長ながさ L を 4 倍ばいT は 2 倍ばい
重力じゅうりょく加速度かそくど g を 1/4 (月面げつめん)T は 2 倍ばい
おもりの質量しつりょうを変かえるT は変かわらない
振幅しんぷくを変かえるT は変かわらない (等時性とうじせい)

ポイント: 単振り子たんふりこの周期しゅうきは 質量しつりょうによらず糸いとの長ながさと g だけで決きまります。 この性せい質しつが、 振り子時計ふりことけいの精度せいどを支ささえています。 1 m の振り子ふりこはちょうど約やく 2 秒びょう (1 往おう復ふく) です。

6. 円運動えんうんどうと単たん振動しんどうの関係かんけい

円運動えんうんどうを横よこから見みると単たん振動しんどう

等速円運動とうそくえんうんどうを 横よこから見みる (= 円周えんしゅう上じょうの点てんをまっすぐな直線ちょくせんに投とう影えいする) と、 その影かげは 単振動たんしんどう になります。

等速円運動とうそくえんうんどう投とう影えい = 単振動たんしんどう
半はん径けい r、 角速度かくそくど ω振幅しんぷく A = r、 角振動数かくしんどうすう ω
円周えんしゅう上じょうの位い置ち (x, y)1 軸じく上じょうの x = r cos (ω t)
周期しゅうき T = 2π / ω周期しゅうき T = 2π / ω

周期しゅうき運動うんどうの共通きょうつう構造こうぞう

運うん動どう周期しゅうき T
バネ振り子バネふりこ2π √(m / k)
単振り子たんふりこ2π √(L / g)
等速円運動とうそくえんうんどう2π / ω = 2π r / v
音波おんぱ (基き本ほん振動数しんどうすう f)1/f
交流電流こうりゅうでんりゅう (50 Hz)1/50 = 0.02 s

大事だいじ: 自し然ぜん界には 「周期しゅうき運うん動どう」 があふれています。 心拍しんぱく・呼吸こきゅう・潮の満ち引きしおのみちびき・惑星わくせい公こう転てん・音波おんぱ・光ひかり・電波でんぱ・原子げんしの振動しんどう。 高校こうこう物ぶつ理りの単振動たんしんどうが、 これらすべてを統とう一いつ的に説せつ明めいする出しゅっ発ぱつ点になります。

7. 鉛直えんちょく円運動えんうんどうと重力じゅうりょく

鉛直えんちょく円運動えんうんどう

物体ぶったいを鉛直えんちょくな円周えんしゅう上じょうで回まわすと (例れい: バケツに水みずを入いれて振ふり回まわす)、 場所ばしょによって向心力こうしんりょくの立たて方かたが変かわります。

位い置ち向こう心力しんりょくを作つくるもの
最下さいか点てん張力ちょうりょく − 重力じゅうりょく = m v² / r ⇒ T = m v² / r + m g
最上さいじょう点てん張力ちょうりょく + 重力じゅうりょく = m v² / r ⇒ T = m v² / r − m g
横よこ (水平すいへい)張力ちょうりょく = m v² / r

最上さいじょう点てんで落おちない条件じょうけん

最上さいじょう点てんで糸いとがゆるまない条じょう件けんは、 張力ちょうりょく T ≥ 0:

立たつ式しき条件じょうけん
m v² / r − m g ≥ 0v² ≥ g r
最上さいじょう点てんの最小さいしょう速度そくどv_min = √(g r)

ポイント: バケツを振ふり回まわして水みずがこぼれないのは、 この条じょう件けんを満みたしているからです。 速はやさを落おとしすぎると、 最上さいじょう点てんで水みずが落おちてきます。

8. ふりかえりと安全あんぜん配慮はいりょ

この章しょうのチェックリスト

  • [ ]等速円運動とうそくえんうんどうの周期しゅうき T、 振動数しんどうすう f、 角速度かくそくど ω = 2π/T = 2πf を言いえる
  • [ ]向心加速度こうしんかそくど a = v²/r = rω²、 向心力こうしんりょく F = mv²/r を言いえる
  • [ ]単振動たんしんどうの復元ふくげん力りょく F = − k x を知しっている
  • [ ]単振動たんしんどうのエネルギーえねるぎー (1/2) k A² (一定いってい) を言いえる
  • バネ振り子バネふりこ T = 2π √(m/k) を言いえる
  • 単振り子たんふりこ T = 2π √(L/g) を言いえる
  • [ ]単振り子たんふりこの周期しゅうきが 質量しつりょう・振幅しんぷくによらない (等時性とうじせい) を知しっている
  • [ ]等速円運動とうそくえんうんどうと単振動たんしんどうの関かん係けい (投とう影えい) を説せつ明めいできる
  • [ ]鉛えん直ちょく円運動どうの最上さいじょう点てん条じょう件けん v ≥ √(g r) を知しっている

この章しょうの安全あんぜん配慮はいりょ ── 振り子ふりこと円運動えんうんどう周辺しゅうへん

振り子ふりこや円運動えんうんどうの実験じっけんは、 物体ぶったいが周囲しゅういの人ひとや機器きに当あたる 危き険けんがあります。

場ば面めん危き険けん対たい策さく
大おおきな振り子ふりこおもりが顔かお・頭とうに当あたる振り子ふりこの軌き道どう上に立たたない、 距きょ離りを取とる
ボールを振ふり回まわす糸いとが切きれて飛とび散ちる糸いとの強きょう度どを事前じぜんに確かく認にん、 周囲しゅういを空あける
バネ振り子ふりこバネが跳はね返かえる保護メガネほごめがね、 顔かおの高たかさに置おかない
鉛えん直ちょく円運動どう物体ぶったいが落下らっか床ゆかにマット、 真下ましたに立たたない
高速こうそく回転かいてん物ものが飛とび出だす安全あんぜんカバー、 距きょ離り確かく保ほ
ストロボ・動画どうが撮さつ影えい機材きざいの転てん倒とう三さん脚きゃくとクランプで固こ定てい

振り子ふりこ・円運動えんうんどう実験じっけんの共通きょうつうルール

ルールくわしく
① 保護メガネほごめがね跳はね返かえり・破は片へん防ぼう止し
② 軌き道どう上に立たたないおもりの通とおり道みちから 1.5 m 以上いじょう離はなれる
③ 糸いと・チェーンの強度きょうど想そう定てい重量じゅうりょうの 3 倍ばい以上いじょう の強きょう度ど
④ 結むすび目めの確認かくにん実験じっけん前に必かならず引ひっ張ぱって確かく認にん
⑤ 加速度かそくどの計けい算さんa = v²/r = (2π/T)² r ⇒ 想そう定ていより大おおきい力ちから
⑥ 高速こうそく回転かいてんは短たん時じ間かん摩擦まさつや疲労ひろうで破損はそんしやすい
⑦ 終了しゅうりょう後ごの確認かくにん糸いとやバネの損傷そんしょうを点てん検けん

大事だいじ: 1 m の振り子ふりこで質量しつりょう 1 kg を振幅しんぷく 0.5 m で振ふると、 最下さいか点てんの速度そくどは約やく 1.6 m/s ( 力学的エネルギー保存則りきがくてきえねるぎーほぞんそくより)。 ハンマーが振ふりかぶられる程てい度どの衝しょう撃げきがあります。 軽かるそうに見みえても油断ゆだんしないでください。

次じの章しょう: ここまでが高校こうこう力学りきがくの基き礎そ 「直線運動ちょくせんうんどう・円運動えんうんどう・単振動たんしんどう」 の 1 周しゅう目めです。 次つぎの章しょうからは 熱力学ねつりきがく・波動はどう・電磁気学でんじきがく へ進すすみ、 物ぶつ理りの全体ぜんたい像ぞうを広ひろげていきます。 力学りきがくで鍛きたえた 「ベクトルべくとる」 「エネルギーえねるぎー保存ほぞん」 「周期しゅうき運うん動どう」 の視し点てんが、 すべてに生いきます。

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