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物理

物理ぶつりを学まなぶ

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この章しょうで学まなぶこと

高校こうこう物ぶつ理りの入いり口くちとなる章しょうです。 中学ちゅうがくで学まなんだ 「速さはやさ」 「力ちから」 「エネルギーえねるぎー」 を、 高校こうこうでは 数すう式しきとベクトルべくとる を使つかってより厳密みつに表あらわすようになります。 まずはその道みち具ぐと考かんがえ方かたをそろえましょう。

  • 物ぶつ理りとはどんな学がく問もんかを知しる
  • 探究たんきゅうの流ながれを高校こうこうレベルで整せい理りする
  • 有効数字ゆうこうすうじ の扱あつかい方かたを身みにつける
  • SI単位系えすあいたんいけい (国際こくさい単たん位い系) を理り解かいする
  • スカラーすからー と ベクトルべくとる を区く別べつする
  • 物ぶつ理り実験じっけんの安全あんぜんの基き本ほんを確かく認にんする

ポイント: 中学ちゅうがく物ぶつ理りと高校こうこう物ぶつ理りの大おおきな違いちがは、 「向きむきをきちんと考かんがえること」 と 「誤差ごさや精度せいどを意い識しきすること」 です。 この章しょうで道どう具ぐをそろえ、 第だい 2 章しょうからの力学りきがくへつなげましょう。

1. 物理ぶつりとはどんな学問がくもんか

物理ぶつりの役割やくわり

物ぶつ理りとは、 自し然ぜんのしくみを数すう式しきで表あらわす学がく問もん です。 物体ぶったいがどう動うごくか、 エネルギーえねるぎーがどう移うつり変かわるか、 電気でんきや光ひかりがどうふるまうかなどを、 できるだけ少すくない法ほう則そくで 統とう一いつ的に説せつ明めい しようとします。

物理ぶつり学がくの 4 大だい分野ぶんや

分ぶん野や主おもに扱あつかうもの高校こうこうでの学まなぶ章しょう
力学りきがく物体ぶったいの運うん動どう・力ちから・エネルギーえねるぎーCh2-Ch5 (本ほん教科書きょうかしょ)
熱力学りきがく熱ねつ・温度おんど・気体きたい物ぶつ理り基き礎そ後半こうはん
波は動どう音おと・光ひかり・波なみ物ぶつ理り
電磁気学でんじきがく電気でんき・磁じ気き・電磁波でんじは物ぶつ理り

中学ちゅうがく物理ぶつりと高校こうこう物理ぶつりのつながり

中学ちゅうがくで学まなんだこと高校こうこうで発はっ展てんする形かたち章しょう
力ちから (N) と重おもさベクトルべくとるとしての力ちから、 作用線さようせんCh3
速さはやさ速度そくど (向むき付つき)・加速度かそくどCh2
力ちからと運うん動どう (F = ma の直ちょっ感かん)運動方程式うんどうほうていしき F = ma の数すう式しき化かCh3
仕し事ごととエネルギーえねるぎー力学りきがく的てきエネルギー保存則えねるぎーほぞんそく (式しきで表あらわす)Ch4
円えん運うん動どう (定てい性せい的てき)向心力こうしんりょく・周期しゅうき・角速度かくそくど (数すう式しきで)Ch5

大事だいじ: 高校こうこう物ぶつ理りでは、 中学ちゅうがくで 「だいたいこうなる」 と学まなんだことを、 「なぜそうなるか」 を数すう式しきで説せつ明めい できるようになります。

2. 探究たんきゅうの流ながれを整理せいりする

探究たんきゅうの 7 ステップ (高校こうこう版ばん)

中学ちゅうがくの 「探究たんきゅう」 をベースに、 高校こうこうでは 誤差ごさ と 再現性さいげんせい を強つよく意い識しきします。

ステップやること高校こうこう物ぶつ理りでの例れい
① ぎ問もん観察かんさつから問いといを立たてる重おもい物ものほど速はやく落おちるか
② 仮説かせつ予よ想そうと根こん拠きょ空くう気きの抵てい抗こうがなければ同おなじ
③ 計けい画かく条件制御じょうけんせいぎょと道どう具ぐ真しん空くう容よう器きで落らっ下か比くらべ
④ 実験じっけん再現性さいげんせいの確かく保ほ5 回かい以上いじょう測定そくてい
⑤ 分析ぶんせきグラフぐらふ・式しき化か時じ間かん-速度そくどグラフぐらふ
⑥ 考察こうさつ誤差ごさを含ふくめ議ぎ論ろん有効数字ゆうこうすうじで結けっ果かを書かく
⑦ 結論けつろん1 文ぶんでまとめる真しん空くうでは同おなじ速はやさで落おちる

仮説かせつと法則ほうそくのちがい

用よう語ご意い味み例れい
仮説かせつ検けん証しょう前の予よ想そう「重おもい物ものほど速はやく落おちる」
法則ほうそく多数たすうの実験じっけんで確かく認にんされた規き則そく性せい万有引力ばんゆういんりょくの法則ほうそく
原理げんりより根本こんぽん的てきな出しゅっ発ぱつ点相対性そうたいせい原理げんり
モデル現げん象しょうを単たん純じゅん化かした表ひょう現げん質点してん (大おおきさゼロの物体ぶったい)

ポイント: 物ぶつ理りでは 「正ただしい答えこたえ」 がひとつと決きまっているわけではなく、 「現げん時じ点てんで最もっとも多おおくの現げん象しょうを説せつ明めいできる仮か説せつ」 が 法則ほうそく と呼よばれます。 法ほう則そくも将しょう来らい書かき換かわる可か能のう性せいがあります。

3. 有効ゆうこう数字すうじと誤差ごさ

有効ゆうこう数字すうじとは

実験じっけんで得えた数すう値ちは、 必かならず 誤差ごさ を含ふくみます。 その数すう値ちが どのくらい信しん頼らいできるか を表あらわすのが 有効数字ゆうこうすうじ です。

数すう値ち有効数字ゆうこうすうじ意い味み
1.233 桁けた1.235 〜 1.224 までのはば
1.2304 桁けた「最後さいごの 0 も有ゆう意い」 とわかる
0.001233 桁けた先せん頭とうの 0 はカウントしない
1.23 × 10³3 桁けた1230 とは区く別べつ (1230 は 3 〜 4 桁けたあいまい)

有効ゆうこう数字すうじの計算けいさんルール

計けい算さんルール例れい
かけ算ざん・わり算ざん小ちいさい方ほうの桁けた数すうにそろえる1.2 × 3.45 = 4.14 → 4.1 (2 桁けた)
足たし算ざん・引ひき算ざん小数点しょうすうてん以い下かの桁けたが少すくない方ほうにそろえる1.23 + 4.5 = 5.73 → 5.7

誤差ごさの種類しゅるい

種しゅ類るい原げん因いん対たい策さく
偶然誤差ぐうぜんごさ測そく定ていのバラつき何なん度ども測はかり平均へいきんをとる
系統誤差けいとうごさ道どう具ぐのくせ・ゼロ点てんずれ道どう具ぐの校正こうせい・補ほ正せい
個人誤差こじんごさ読よみ取とりのくせ複ふく数すう人にんで確かく認にん

大事だいじ: 物ぶつ理りの答えこたえは 数すう値ち + 単たん位い + 有効数字ゆうこうすうじ で書かきます。 「3.14 m/s」 と 「3.142 m/s」 は別べつの答えこたえとみなします。

4. SI 単位たんい系けい

SI 基本単位 7 つの関係を円形に配置した図
SI単位系えすあいたんいけい の基本きほん単位たんい 7 つ。 m (長ながさ)・kg (質量しつりょう)・s (時間じかん)・A (電流でんりゅう)・K (温度おんど)・mol (物質ぶっしつ量りょう)・cd (光度こうど) を、 国際こくさい的てきに統一とういつされた物理ぶつり定数ていすうから定義ていぎする。

基本きほん単位たんい 7 つ

世せ界かい共きょう通つうの単たん位い系を SI単位系えすあいたんいけい (国際こくさい単たん位い系、 Système International d'Unités) と言いいます。 7 つの 基本単位きほんたんい が土ど台だいです。

量りょう単たん位い記号きごう
長ながさメートルm
質しつ量りょうキログラムkg
時じ間かん秒びょうs
電流でんりゅうアンペアA
温度おんどケルビンK
物質量ぶっしつりょうモルmol
光度こうどカンデラcd

よく使つかう組立くみたて単位たんい

基本単位きほんたんいを組み合わせくみあわせて作つくる単たん位いを 組立単位くみたてたんい と言いいます。

量りょう単たん位い組み合わせくみあわせ
速度そくどm/s長ながさ ÷ 時じ間かん
加速度かそくどm/s²速度そくど ÷ 時じ間かん
力ちからN (ニュートン)kg・m/s²
仕し事ごと・エネルギーえねるぎーJ (ジュール)N・m
仕事率しごとりつW (ワット)J/s
圧力あつりょくPa (パスカル)N/m²
周波数しゅうはすうHz (ヘルツ)1/s

接頭せっとう辞じ (10 の何なん乗じょうか)

記号きごう名な前まえ大おおきさ例れい
Tテラ10¹²1 TB = 10¹² B
Gギガ10⁹GHz
Mメガ10⁶MW
kキロ10³km、 kg
(なし)─1m、 s
mミリ10⁻³mm、 mA
μマイクロ10⁻⁶μm
nナノ10⁻⁹nm
pピコ10⁻¹²ps

ポイント: 単たん位いが違ちがうまま計けい算さんすると、 答えこたえは 絶ぜっ対たいに合あいません。 計けい算さん前まえに必かならず m と s にそろえましょう (例れい: km/h → m/s は ÷ 3.6)。

5. スカラーとベクトル

始点 A から終点 B へ向かう矢印で表されるベクトル
ベクトルべくとる は向きむきと大おおきさをもつ量りょう。 矢印やじるしの長ながさが大おおきさ、 矢印やじるしの向むきが向きむきを表あらわす。 これに対たいし スカラーすからー は大おおきさだけの量りょう (質量しつりょう・時間じかん・温度おんどなど)。

物理ぶつり量りょうの 2 種類しゅるい

種しゅ類るい性せい質しつ例れい
スカラーすからー大おおきさだけ質しつ量りょう・時間じかん・温度おんど・エネルギーえねるぎー・速さはやさ
ベクトルべくとる大おおきさ + 向むき速度そくど・加速度かそくど・力ちから・運動量うんどうりょう

ベクトルの表あらわし方

ベクトルべくとるは矢や印じるしで表あらわします。 矢や印じるしの 長ながさが大おおきさ、 向むきが方ほう向こう を表あらわします。 文字もじで書かくときは、 太字ふとじ (例れい: F) や上うえに矢印やじるし (例れい: F →) で区く別べつします。

ポイント: 教科書きょうかしょに載のる 「力ちからの矢印やじるし図」 は、 始点してん (力りょくのはたらく点てん) と 長ながさ (大おおきさ) と 向むき がすべて意い味みをもちます。 ノートに描えがくときは、 この 3 つをしっかり描えがきましょう。

ベクトルの合成ごうせいと分解ぶんかい

操そう作さ意い味み例れい
合成ごうせい2 つのベクトルべくとるを 1 つにまとめる東ひがしへ 3 N + 北きたへ 4 N → 北東ほくとう寄よりに 5 N
分解ぶんかい1 つのベクトルべくとるを 2 方ほう向こうに分わける斜しゃ面めん上じょうの重力じゅうりょくを斜しゃ面めん方向ほうこうと垂直すいちょく方向ほうこうに

ベクトルの合成ごうせい (直角ちょっかくの場合ばあい)

直ちょっ角かくに交まじわる 2 つのベクトルべくとるの合ごう成せいは、 三平へい方ほうの定てい理り で求もとめます。

成せい分ぶん大おおきさ
x 方ほう向こう: 3─
y 方ほう向こう: 4─
合ごう成せいの大おおきさ√(3² + 4²) = √25 = 5

スカラーとベクトルの計算けいさんのちがい

計けい算さんスカラーすからーベクトルべくとる
5 + 38 (常つねに)向むきが同おなじなら 8、 反はん対たいなら 2、 直ちょっ角かくなら √34
5 × 210同おなじ向むきで大おおきさ 2 倍ばい (10)

大事だいじ: 「速さはやさ 5 m/s」 と 「速度そくど東へ 5 m/s」 は別べつの量りょうです。 高校こうこう物ぶつ理りでは 必かならず向むきを意い識しき しましょう。

6. 物理ぶつりを学まなぶための数学すうがく道具どうぐ

高校こうこう 1 年ねんまでに使つかう数学すうがく

物ぶつ理り基き礎そで必要ひつような数学すうがくは、 ほぼ 中ちゅう 3 〜 高こう 1 範はん囲い で足たります。

数学すうがく物ぶつ理りでの用よう途と
1 次つぎ式しき・グラフぐらふ等速直線運動とうそくちょくせんうんどう・等加速度運動とうかそくどうんどう
2 次つぎ式しき (x = v₀t + ½at²)落下運動らっかうんどう
平方根へいほうこんベクトルべくとる合ごう成せい
三角比さんかくひ (sin・cos・tan)力ちからの分解ぶんかい・斜面しゃめん
ピタゴラスの定理ぴたごらすのていりベクトルべくとる合ごう成せい
比例ひれい・反比例はんぴれいフックの法則ふっくのほうそく・ボイルの法則ボイルのほうそく

三角さんかく比ひの使つかいどころ

斜しゃ面めんやベクトルべくとる分ぶん解かいで sin・cos をよく使つかいます。 角かく度ど θ の直角ちょっかく三角形さんかくけいで:

関かん係けい式しき
sin θ対たい辺へん ÷ 斜しゃ辺へん
cos θ隣辺へん ÷ 斜しゃ辺へん
tan θ対たい辺へん ÷ 隣辺へん
θsin θcos θtan θ
0°010
30°1/2√3/21/√3
45°√2/2√2/21
60°√3/21/2√3
90°10─

ポイント: 「斜しゃ面めんの角かく度ど θ」 が出でてきたら、 重力じゅうりょくの斜しゃ面めん方向ほうこう成せい分ぶん = mg sin θ、 垂直すいちょく方向ほうこう成せい分ぶん = mg cos θ が定てい番ばんです。 Ch3 でくわしく学まなびます。

7. ふりかえりと安全あんぜん配慮はいりょ

この章しょうのチェックリスト

  • [ ]物ぶつ理りの 4 大分おおいた野や (力学りきがく・熱ねつ・波なみ・電磁気学でんじきがく) が言いえる
  • [ ]探究たんきゅうの 7 ステップを説せつ明めいできる
  • 有効数字ゆうこうすうじ の数かぞえ方かた・計けい算さんルールがわかる
  • [ ]SI単位系えすあいたんいけいの基き本ほん 7 単たん位いを言いえる
  • [ ]組立単位くみたてたんい (N・J・W・Pa) を基本単位きほんたんいで表あらわせる
  • スカラーすからー と ベクトルべくとる の違ちがいを説せつ明めいできる
  • [ ]ベクトルべくとるを矢や印じるしで描えがける、 合成ごうせい・分解ぶんかいができる
  • [ ]三角比さんかくひ (sin・cos・tan) の値あたい (30°・45°・60°) を言いえる

この章しょうの安全あんぜん配慮はいりょ ── 単位たんい換算かんさんと計算けいさんの安全あんぜん

物ぶつ理りの 「事じ故こ」 の多おおくは、 単たん位いの取とり違ちがえ から起おきます。 1999 年ねん NASA の 火か星せい気き候こう探査たんさ機き は、 ヤード・ポンドと SI 単たん位いを取とり違ちがえて失敗しっぱいしました。

場ば面めん危き険けん対たい策さく
計けい算さん前まえ単たん位いが km/h と m/s が混まざる必かならず m と s にそろえる (km/h ÷ 3.6)
実験じっけん中物差さしとデジタル機器きの精度せいどが違ちがう有効数字ゆうこうすうじをそろえる
結けっ果か報告ほうこく有効数字ゆうこうすうじが多おおすぎる入力にゅうりょくの一番いちばんアバウトな桁けたにそろえる
大おおきな数かず0 が多おおくてまちがえる10 のべきで表あらわす (1.23 × 10⁸)
小ちいさな数かず小数点しょうすうてんを取とり違ちがえる接せっ頭とう辞 (μ・n・p) を使つかう

物理ぶつり実験じっけんの共通きょうつう安全あんぜんルール

ルールくわしく
① 保護メガネほごめがね力学りきがく実験じっけんでも跳はね返かえりに備そなえる
② 進行しんこう方向ほうこうに立たたない台だい車しゃや振り子ふりこの軌き道どう上を避さける
③ 電でん気き実験じっけん短絡たんらく (ショート) を作つくらない
④ 光ひかり・レーザーレーザー光こうは 絶ぜっ対たいに目めをのぞき込こまない
⑤ 終しゅう了りょう後ごの整せい理り電でん源げん OFF・薬やく品ひん分ふん別べつ・記き録ろく保ほ存ぞん

大事だいじ: 計けい算さんミスは単たんなる 「点てんを失うしなう」 ですが、 実じっ験けん中ちゅうのミスはケガや火か災さい につながります。 数字すうじと同おなじように、 安全あんぜんも 「誤差ごさゼロ」 をめざしましょう。

次じの章しょう: 第だい 2 章しょうではいよいよ 等加速度運動とうかそくどうんどうと落下運動らっかうんどう に入はいります。 ガリレオが 400 年ねん前まえに発見はっけんした 「落下らっかの法ほう則そく」 を、 この章しょうで学まなんだベクトルべくとると有効数字ゆうこうすうじの道どう具ぐであつかいます。

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