この章で学ぶこと
月はなぜ形を変えるのでしょうか。 そして、 太陽が月に隠れる 「日食」 と、 月が地球の影に入る 「月食」 はどう起こるのでしょうか。 この章では、 地球・月・太陽の位置関係からこれらの現象を説明します。
- 月の満ち欠け が起こるしくみと、 新月・三日月・半月・満月の位置
- 日食 (皆既・部分・金環) と 月食 の起こり方
- 月がいつも同じ面を地球に向けている理由
- 季節 ができるしくみ (地軸の傾き)
キーワード: 公転・自転・満ち欠け・新月・上弦・満月・下弦・日食・月食・皆既・部分・金環・地軸の傾き
1. 月の動き — 公転と自転
月の基本データ
| 項目 | 値 |
|---|
| 月の直径 | 約 3500 km (地球の約 1/4) |
| 地球からの距離 | 平均約 38 万 km |
| 月の公転周期 | 約 27.3 日 (恒星を基準) |
| 月の満ち欠け周期 | 約 29.5 日 (太陽を基準) |
| 月の自転周期 | 約 27.3 日 |
| 表面の重力 | 地球の約 1/6 |
月が同じ面を向ける理由
月の 公転周期と自転周期がぴったり同じ (約 27.3 日) なので、 月はいつも地球に 同じ面 を向けて回ります。 反対側 ( 「月の裏側」) は地球から永遠に直接見えません。
| 公転と自転が一致していると… | 結果 |
|---|
| 半周公転する間に、 月はちょうど半周自転する | 同じ面が地球に向く |
大事: 月の裏側は、 1959 年にソ連の月探査機ルナ 3 号が初めて撮影しました。 表とはちがう地形 (クレーターが多く、 海がほとんどない) でした。
2. 月の満ち欠けのしくみ
月の満ち欠けの仕組み — 地球の周りを公転する月が太陽の光を受け、 地球から見える形が変わる。 新月 → 三日月 → 上弦 → 満月 → 下弦 → 新月と約 29.5 日周期でくりかえす。
満ち欠けが起こる理由
月は自分で光っていません。 太陽の光を反射して 光っています。 月は地球のまわりを約 1 か月で公転するので、 太陽・月・地球の位置関係が日々変わり、 地球から見える 「光っている部分」 の形が変わって見えるのです。
主な 4 つの形
| 形 | 月の位置 (太陽・地球・月) | 見える時間帯 | 見える方角 |
|---|
| 新月 | 地球から見て太陽と同じ方向 | (見えない) | — |
| 上弦の月 | 太陽の 90° 東 (地球から見て) | 夕方 〜 真夜中 | 南 → 西 |
| 満月 | 地球から見て太陽の反対側 | 一晩中 | 東 → 南 → 西 |
| 下弦の月 | 太陽の 90° 西 (地球から見て) | 真夜中 〜 朝 | 東 → 南 |
月の形と名前
| 月齢 | 形 | 名前 |
|---|
| 0 | ○ (見えない) | 新月 |
| 3 | ) (細い) | 三日月 |
| 7-8 | D 形 | 上弦 (じょうげん) |
| 13-14 | ○ (満ちる直前) | 十三夜 |
| 15 | ● (まんまる) | 満月 |
| 22-23 | ( | 下弦 (かげん) |
| 26-27 | ( (細い) | 有明 (ありあけ) の月 |
| 29.5 | ○ (見えない) | 次の新月 |
上弦と下弦の覚え方
「弦 (げん)」 とは、 弓の弦 = 直線部分のこと。
| 月 | 月が沈むときの形 |
|---|
| 上弦 | 直線部分 (弦) が 上を向いて 沈む (右が光っている D 形) |
| 下弦 | 直線部分 (弦) が 下を向いて 沈む (左が光っている ⊃ 形) |
日ごとの月の移動
月は地球のまわりを約 27 日で一周するので、 1 日で 約 13° 東へ移動します。 このため、 月が同じ場所に見える時刻は 1 日約 50 分ずつ遅くなっていきます。
| 月の形 | 日没時の月の位置 |
|---|
| 三日月 | 西の低い空 |
| 上弦 | 南の空 |
| 満月 | 東の空 |
| 下弦 | (見えない、 真夜中に東から出る) |
ポイント: 月が 「東の空で満月」 = 太陽が西にしずんだ直後。 「南の空で満月」 = 真夜中 (夜 12 時)。 「西の空で満月」 = 朝が近い。
3. 日食 — 太陽が月に隠れる
皆既日食 (2017 年 8 月 21 日、 アメリカサウスカロライナ州で撮影) — 月が太陽を完全に隠し、 普段は見えないコロナ (太陽の大気) が周りに広がる。 直視は厳禁、 日食グラスを必ず使う。
日食とは
太陽・月・地球が この順番で一直線 に並んだとき、 月が太陽を隠す現象を 日食 といいます。 必ず 新月のとき に起こります。
日食の種類
月と地球の距離や並び方によって、 3 つの種類があります。
| 種類 | 起こり方 | 見え方 |
|---|
| 皆既日食 | 月が太陽を完全に隠す | 太陽が真っ黒に見え、 まわりにコロナ |
| 部分日食 | 月が太陽の一部だけを隠す | 太陽が欠けて見える |
| 金環日食 | 月が遠くにあり、 太陽を完全に隠せない | 太陽の周りが環 (リング) に見える |
金環が起こる理由: 月の公転軌道は楕円なので、 地球からの距離が変わります。 月が遠い位置にいる時に日食が起こると、 月の見かけの大きさが太陽より小さく、 完全に隠せないのです。
日食が毎月起こらない理由
新月は毎月あるのに、 日食は数年に 1 回しか起こりません。 これは、 月の公転軌道 が 地球の公転軌道 に対して 約 5° 傾いている からです。 だからほとんどの新月では、 月は太陽の少し上や下を通ってしまいます。
日食の時の位置関係
| 並び順 | 太陽 — 月 — 地球 |
|---|
| 月の種類 | 新月 |
| 影が落ちる場所 | 地球 |
| 必要な条件 | 月と太陽がほぼ同じ高さの軌道上にある |
4. 月食 — 月が地球の影に入る
月食とは
太陽・地球・月が この順番で一直線 に並んだとき、 月が地球の影に入る現象を 月食 といいます。 必ず 満月のとき に起こります。
月食の種類
| 種類 | 起こり方 |
|---|
| 皆既月食 | 月全体が地球の影に入る (赤銅色に見える) |
| 部分月食 | 月の一部が地球の影に入る |
皆既月食が赤く見える理由
皆既日食とちがって、 皆既月食では月が真っ黒にはならず、 赤銅色 (くらい赤色) に見えます。 これは、 地球の大気を通った太陽光の中で、 赤い光だけが屈折して月に届く からです (青い光は散乱されてしまうため)。 朝焼け・夕焼けが赤い理由と同じです。
日食と月食の比較
| 項目 | 日食 | 月食 |
|---|
| 起こる月 | 新月 | 満月 |
| 並び順 | 太陽 — 月 — 地球 | 太陽 — 地球 — 月 |
| 隠す物 | 月が太陽を隠す | 地球の影が月を隠す |
| 見える範囲 | 地球上の一部 (細長い帯) | 月が見える地域全部 |
| 持続時間 | 数分 (皆既) | 1 〜 数時間 |
| 観察の安全性 | 危険 (日食グラス必須) | 安全 (肉眼で OK) |
大事: 日食と月食を取り違えやすいので、 「日食 = 太陽 (日) が食べられる、 月食 = 月が食べられる」 と名前から覚えましょう。 そして 「太陽・月・地球」 と 「太陽・地球・月」 の並び順で区別します。
5. 季節と太陽 — 地軸の傾き
季節ができる理由
地球が 1 年で太陽のまわりを公転する間に、 私たちは春・夏・秋・冬を経験します。 季節が起こる主な原因は、 地球の地軸が公転面に対して約 23.4° 傾いている ことです。
× よくある誤解: 「夏は地球が太陽に近いから、 冬は遠いから」 ← これは間違い。 北半球が夏のとき、 地球は太陽からむしろ少し遠い位置にあります。
北半球の季節の起こり方
| 季節 | 地球の位置 | 北半球の受け方 |
|---|
| 夏至 (6月 22 日ごろ) | 北極が太陽側に傾く | 太陽が高く上がる、 昼が長い、 強い日差し |
| 秋分 (9月 23 日ごろ) | 中間 | 昼と夜がほぼ同じ |
| 冬至 (12月 22 日ごろ) | 南極が太陽側に傾く | 太陽が低い、 昼が短い、 弱い日差し |
| 春分 (3月 21 日ごろ) | 中間 | 昼と夜がほぼ同じ |
太陽の高度の変化 (日本の場合)
| 季節 | 真昼の太陽の高さ (東京) |
|---|
| 夏至 | 約 78° |
| 春分・秋分 | 約 55° |
| 冬至 | 約 31° |
夏が暑く冬が寒い理由は、 大きく 2 つあります。
| 理由 | 説明 |
|---|
| ① 太陽の高さ | 太陽が高い → 同じ面積に当たる光が強い |
| ② 昼の長さ | 昼が長い → 1 日に受ける光の量が多い |
南中高度の計算 (発展)
ある緯度の場所の真昼の太陽の高さ (= 南中高度) は、 次の式で求められます (北半球)。
| 季節 | 南中高度 |
|---|
| 春分・秋分 | 90° − 緯度 |
| 夏至 | 90° − 緯度 + 23.4° |
| 冬至 | 90° − 緯度 − 23.4° |
例: 東京 (北緯約 35.7°) の春分の南中高度 = 90° − 35.7° = 約 54.3°
ポイント: 同じ日でも、 緯度が変われば南中高度は変わります。 だから沖縄は夏が強烈に暑く、 北海道は比較的涼しいのです。
6. 安全に観察するために
日食観察で絶対守ること
日食は 太陽を直接見る ことになります。 一瞬でも肉眼で見ると 失明する危険 があります。
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|
| 肉眼で太陽を見る | 数秒で網膜が焼ける |
| サングラスで見る | 太陽光を十分にカットできない |
| 黒い下じきで見る | 紫外線を通してしまう |
| 色セロハンを重ねる | 同上、 危険 |
| すすをつけたガラス | 危険 (むかしの方法、 現在は推奨されない) |
| 望遠鏡・双眼鏡で直接見る | 一瞬で失明 |
| 安全な方法 | 説明 |
|---|
| JIS 規格の日食グラス | 太陽光を 99.999 % 以上カットする専用品 |
| 太陽投影板 | 望遠鏡で紙に投影 |
| ピンホール投影 | 厚紙に小穴 → 別の紙に像を投影 |
| 木の葉の影を観察 | 木漏れ日が三日月形になるのを楽しむ (安全) |
月食の観察
月食は月を見るだけなので、 肉眼で安全 に観察できます。 ただし夜の観察なので、 次のことに注意しましょう。
- 1 人で出かけない (大人と一緒)
- 暗い道での転倒に注意
- 季節に合った服装 (冬は防寒)
望遠鏡を月に向けるとき
満月は思った以上にまぶしく、 望遠鏡で見ると目が慣れるのに時間がかかります。 ムーンフィルター (望遠鏡用の減光フィルター) を使うか、 ぼうしのつばで周囲の光を遮 (さえぎ) ると楽です。
7. ふりかえり
- [ ]月の満ち欠けが起こる理由を説明できる
- [ ]新月・上弦・満月・下弦の位置関係を図で描ける
- [ ]上弦と下弦の形を区別できる
- [ ]日食と月食の並び順 (太陽・月・地球 / 太陽・地球・月) を言える
- [ ]皆既日食・部分日食・金環日食のちがいがわかる
- [ ]皆既月食が赤く見える理由を説明できる
- [ ]季節が起こる主な原因が 「地軸の傾き」 であると言える
- [ ]日食を安全に観察する方法を 1 つ以上あげられる
次の章へ: ここまでで宇宙と地球の動きを学びました。 次は視点を地球にもどして、 私たちを取り巻く 「自然」 とそこに暮らす生き物たちのつながりを学びます。