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私たちのくらしは、 科学技術に支えられています。 電気・化学物質・新素材 — どれも暮らしを便利にした一方で、 環境問題や安全の課題を生んでもいるのは前章で学んだとおりです。 この最終章では、 科学技術をどう使っていくかを考えます。
キーワード: エネルギー・化石燃料・原子力・再生可能エネルギー・プラスチック・新素材・SDGs・持続可能性
エネルギー は 「物を動かしたり、 温めたり、 光らせたりする能力」 です。 形はさまざまで、 互いに移り変わります。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 力学的エネルギー | 動いている物、 高い位置にある物 |
| 熱エネルギー | お湯、 太陽光 |
| 光エネルギー | 電球の光、 太陽光 |
| 電気エネルギー | コンセントの電気、 雷 |
| 化学エネルギー | 食べ物、 ガソリン、 電池 |
| 核エネルギー | 原子炉、 太陽内部 |
| 音エネルギー | スピーカー、 楽器の音 |
| 例 | 流れ |
|---|---|
| 電球 | 電気 → 光 + 熱 |
| 自動車 | 化学 (ガソリン) → 熱 → 力学 |
| 太陽光発電 | 光 → 電気 |
| 風力発電 | 力学 (風) → 電気 |
| 水力発電 | 力学 (水) → 電気 |
| 火力発電 | 化学 (燃料) → 熱 → 力学 → 電気 |
| 体を動かす | 化学 (食べ物) → 力学 + 熱 |
エネルギーは 形を変えるだけで、 全体としては増えたり減ったりしない — これを エネルギーの保存 といいます。 中 1・中 2 で学んだ 「エネルギーの移り変わり」 の復習です。
ポイント: 「保存される」 とは言っても、 私たちが 使える エネルギーはどんどん減っていきます。 たとえば、 動いている車がブレーキで止まると、 力学エネルギーは熱に変わって大気に散らばり、 もう取り戻せません。 これを 「エネルギーの質が落ちる」 と言います。
| 方式 | 原料 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 火力発電 | 石炭・石油・天然ガス | 出力を調節できる、 設置場所が自由 | CO₂ 排出大、 燃料が輸入中心、 価格不安定 |
| 水力発電 | 水 (位置エネルギー) | CO₂ 出さない、 燃料不要、 出力調節できる (揚水式) | ダム建設で環境破壊、 適地が限られる |
| 原子力発電 | ウラン | 大量の電気を安定供給、 CO₂ 出さない | 重大事故のリスク、 放射性廃棄物の処理 |
| 太陽光発電 | 太陽光 | CO₂ 出さない、 個人でも設置可能 | 夜・曇りは発電しない、 設置面積が大きい |
| 風力発電 | 風 | CO₂ 出さない、 燃料不要 | 風がないと動かない、 騒音、 鳥の衝突 |
| 地熱発電 | 地下の熱 | 安定供給、 CO₂ ほぼゼロ | 適地が火山帯に限られる、 開発費高い |
| バイオマス発電 | 木材・廃棄物 | 燃やしても CO₂ 増加ゼロ (カーボンニュートラル) | 燃料集めが大変、 出力小さい |
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① | 燃料 (石炭・石油・LNG) を燃やす |
| ② | 出た熱で水を沸騰させる |
| ③ | 高圧蒸気でタービンを回す |
| ④ | タービンとつながった発電機が電気をつくる |
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① | ダムに水をためる (位置エネルギー) |
| ② | 水を高いところから低いところへ落とす |
| ③ | 落ちる水が水車 (タービン) を回す |
| ④ | 発電機が電気をつくる |
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① | ウラン 235 が核分裂を起こすと大きな熱が出る |
| ② | 出た熱で水を沸騰させる |
| ③ | 蒸気でタービンを回す |
| ④ | 発電機が電気をつくる |
大事: 火力も原子力も、 「熱で水を沸かして蒸気でタービンを回す」 という流れは同じです。 ちがいは 「熱源が何か」 だけ。
| 種類 | 割合 (2020 年代前半) |
|---|---|
| 火力 (LNG・石炭・石油) | 約 75 % |
| 再生可能エネルギー (水力含む) | 約 22 % |
| 原子力 | 約 6 % |
時代の変化: 2011 年の東日本大震災と福島第一原発事故をきっかけに、 原子力発電のあり方と再生可能エネルギーへの転換が大きく議論されています。
再生可能エネルギー とは、 太陽や風、 地熱、 水、 バイオマスのように 使ってもなくならない (短期で再生する) エネルギーのことです。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 太陽光 | 屋根にパネル、 個人の家でも導入可 |
| 風力 | 海上が有望 (洋上風力)、 山岳部 |
| 水力 | 大規模ダムのほか、 小水力 (用水路を利用) |
| 地熱 | 火山国 ・ 日本は潜在量大 (世界 3 位) |
| バイオマス | 木材廃材、 家畜ふん、 食品残さ |
| 海洋 (波・潮汐) | 開発中 |
| 比較項目 | 化石燃料 | 再生可能エネルギー |
|---|---|---|
| なくなるか | 数百年で枯渇 | (太陽があるかぎり) なくならない |
| CO₂ | 大量に出す | ほぼ出さない |
| 安定性 | 安定 (24 時間発電可能) | 天候・季節に左右される |
| 価格 | 国際情勢で変動 | 太陽光は大幅に安くなってきた |
再生可能エネルギーの弱点は 「天気で発電量が変わる」 こと。 これを補う技術が開発されています。
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| スマートグリッド | IT で電気の需要と供給を細かく調整 |
| 大型蓄電池 | 余った電気をためておき、 不足時に使う |
| 水素エネルギー | 余剩電気で水を分解して水素をつくり、 燃料電池で使う |
| 揚水発電 | 余った電気で上のダムに水をくみあげる |
| EV (電気自動車) の蓄電池利用 | 走らない時間に家の電池として使う |
私たちの暮らしは、 たくさんの化学物質で成り立っています。
| 場所 | 化学物質の例 |
|---|---|
| 台所 | 食塩、 砂糖、 酢、 重曹、 洗剤 |
| 洗面所 | 石けん、 シャンプー、 漂白剤、 歯みがき |
| 薬箱 | 解熱剤、 消毒剤、 ばんそうこう |
| 文具 | プラスチック、 ノリ、 インク |
| 家電 | リチウムイオン電池、 半導体 |
| 衣服 | 綿、 ポリエステル、 ナイロン、 染料 |
プラスチック は軽くて加工しやすく、 私たちの暮らしを便利にしました。 主な種類を整理します。
| 略号 | 名前 | 用途 |
|---|---|---|
| PET | ポリエチレンテレフタラート | ペットボトル、 衣服 |
| PE | ポリエチレン | レジ袋、 ラップ |
| PP | ポリプロピレン | 食品容器、 自動車部品 |
| PS | ポリスチレン | 発泡スチロール、 CD ケース |
| PVC | ポリ塩化ビニル | パイプ、 ホース |
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 燃やすと CO₂ | 化石燃料由来なので温暖化を加速 |
| 自然で分解しない | 海でマイクロプラスチックになり、 魚・人の体に入る |
| ゴミ問題 | 埋立地が不足 |
| 取り組み | 内容 |
|---|---|
| 生分解性プラスチック | 微生物が分解するプラスチック (トウモロコシデンプンからなど) |
| バイオプラスチック | 植物由来でカーボンニュートラル |
| ペットボトルのリサイクル | 服や新しいボトルに |
| マイバッグ・マイボトル | 使い捨てを減らす |
| 素材 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 炭素繊維 | 軽くて強い (鉄の 1/4 の重さで同等の強さ) | 飛行機、 ロケット、 釣り竿 |
| 形状記憶合金 | 変形しても温度で元にもどる | メガネフレーム、 医療 |
| 光ファイバー | ガラスで光を伝える | 高速通信、 内視鏡 |
| 高吸水性ポリマー | 自分の重さの 100 〜 1000 倍の水を吸う | 紙おむつ、 保水剤 |
| 半導体 | 電気を一定方向にだけ通す | コンピューター、 スマホ、 LED |
| 超伝導物質 | 低温で電気抵抗ゼロ | リニア中央新幹線、 MRI |
| 燃料電池 | 水素と酸素から電気をつくる | 燃料電池自動車、 家庭用発電 |
| LED | 寿命が長く省エネ | 照明、 信号機 |
| ペロブスカイト太陽電池 | 軽くて薄く曲がる | 窓や衣服に貼れる |
| 分野 | 例 |
|---|---|
| 通信 | スマホ、 インターネット、 5G |
| 自動運転 | 車が自分で判断して走る |
| AI | 翻訳、 画像認識、 音声アシスタント |
| 医療 | 画像診断、 ロボット手術、 創薬 |
| 農業 | ドローンで農薬散布、 センサーで収穫時期判定 |
| 防災 | 地震早期警報、 河川水位監視 |
大事: 科学技術は 「使う人がどう使うか」 で良くも悪くもなります。 AI で偽情報が広がったり、 SNS で人をきずつけたりする危険 もあります。 「使いこなす力」 と 「立ち止まって考える力」 が同時に必要です。
SDGs は 2015 年に国連が採択した 17 の目標。 2030 年が目標年で、 残り時間は 5 年を切っています。
| 場面 | 自分ができる行動 |
|---|---|
| 電気 | 使わない部屋の電気を消す、 LED に換える |
| 水 | 出しっぱなしにしない、 節水シャワー |
| 食 | 食べ残しゼロ、 旬のもの、 地元産 |
| 物 | 必要なものだけ買う、 修理して使う |
| 移動 | 歩く・自転車・公共交通 |
| ゴミ | 分別、 マイバッグ、 過剰包装を断る |
| 学び | 環境・社会ニュースを読む、 友と話す |
| 投票 (将来) | 環境政策を大事にする政党・人を選ぶ |
| 仕事 (将来) | 環境や社会課題を仕事につなげる |
考えてみよう: 「自分 1 人が何をしても変わらない」 と思ってしまいがちです。 でも、 「自分ごと」 として考え続ける人が増えれば、 必ず社会は変わります。 周りに流されず、 「なぜそうするのか」 を考え続けることが科学を学ぶ意味です。
大切な視点:
- 完璧を目指さない (続けることが大事)
- 1 人で抱え込まない (家族や友と共有)
- 楽しみながらやる (我慢だけでは続かない)
- 知識をアップデートする (科学は進化する)
中学 3 年間で学んだ理科を、 大きな流れで振り返ってみましょう。
| 学年 | 大きなテーマ |
|---|---|
| 中 1 | 身近な物質、 植物と動物のつくり、 大地の変化 |
| 中 2 | 化学変化、 動物の体のはたらき、 電気・天気 |
| 中 3 | 力と運動、 化学とイオン、 生命の連続性、 地球と宇宙、 自然と人間、 科学技術 |
大事: 中学理科で学んだことはすべて、 高校理科 (物理・化学・生物・地学) でさらに深く学びます。 「中学理科で不思議に思ったこと」 が、 高校理科で 「なるほど !」 に変わっていきます。
| 場面 | 注意 |
|---|---|
| 家の洗剤 | 「混ぜるな危険」 (酸性とアルカリ性を混ぜると有毒ガス) |
| 薬 | 用法・用量を守る、 他人の薬を飲まない |
| 防災用品 | 消火器の場所、 使い方を確かめる |
| 電化製品 | コンセントの異常 (こげた匂い、 発熱) はすぐ抜く |
| 太陽光 | 直接見ない、 反射板の反射光も注意 |
科学技術は、 使い方次第で戦争の道具にも、 平和の道具にもなります。 だから科学を学ぶ人には 倫理 が求められます。
| 大事なこと | 内容 |
|---|---|
| 真実を大切にする | データを改ざんしない、 結果をねじ曲げない |
| 弱い立場の人を守る | 実験や研究で人を傷つけない |
| 未来の世代を考える | 自分たちが使い切らない、 環境を残す |
| 公開と説明 | 科学を一部の人だけのものにしない |
問い: あなたが大人になる 2030 年、 世界はどうなっていてほしいですか。 そのために今日のあなたができることは何ですか。
この答えを 1 つでも持っていることが、 中学理科を卒業する時の 「合格ライン」 です。 教科書のテストでは測れない、 一番大切なことです。
おわりに: 中学理科を修了したあなたは、 もう 「自分で考える科学の力」 をもっています。 高校理科、 そして大人になってからも、 「なぜ ?」 と立ち止まる心を大切にしてください。 科学は、 私たちの未来をつくる力になります。