この章で学ぶこと
中学 1 年の理科では、 「身のまわりの物質」 「光・音・力」 「植物と大地」 という 3 つの大きなテーマを学びました。
中学 2 年では、 そこから一段深く、 「物質が別 の物質に変わるしくみ」 (化学変化) と、 「電気が流れるしくみ」 (電流)、 そして 「動物の体・天気・地球の大気」 を学んでいきます。
- 中 1 で学んだ内容を 3 分野 (物理・化学・生物・地学) で整理しなおす
- 化学変化 と 物理変化 のちがいを正確に区別 できる
- 探究 の流れ (課題 → 仮説 → 実験計画 → 観察・測定 → 考察 → 結論) を自分の言葉で言える
- 中 2 で出てくる 新しい危険 (硫化水素・電流・加熱) と安全のきまりを知る
- 1 年間 の学習の流れをつかむ
ポイント: 中学 1 年では 「何があるか (物質の観察)」、 中学 2 年では 「何が起こるか (変化のしくみ)」、 中学 3 年では 「なぜそうなるか (エネルギーと遺伝・宇宙)」 を学びます。
1. 中 1 理科のふり返り
中 2 の学習をスムーズに進めるために、 中 1 で学んだことを 3 分野 に分けて整理しましょう。
物理分野 (光・音・力)
| 中 1 で学んだこと | 中 2 でどうつながるか |
|---|
| 光の反射・屈折・凸レンズ | 中 3 でエネルギーのしくみへ |
| 音の高さ・大きさ・振動数 | 波としての性質 |
| 力の大きさとばねの伸び (フックの法則) | 中 3 で仕事・エネルギーへ |
化学分野 (身のまわりの物質)
| 中 1 で学んだこと | 中 2 でどうつながるか |
|---|
| 物質の密度・沸点・融点 | 化学変化 の入口 (Ch2 〜 Ch4) |
| 気体 の性質 (酸素・二酸化炭素・水素・アンモニア) | 化学変化で発生する気体の確認 |
| 水溶液の濃度・再結晶 | 中 3 で電離・酸・アルカリへ |
生物分野 (植物のつくり)
| 中 1 で学んだこと | 中 2 でどうつながるか |
|---|
| 花 のつくり (おしべ・めしべ・胚珠) | 中 3 で生殖・遺伝 へ |
| 種子植物・シダ・コケの分類 | 中 2 で 動物 の分類 (Ch9) |
| 植物の体のつくり (葉・茎・根) | 中 2 で動物の体のつくりへ |
地学分野 (大地の変化)
| 中 1 で学んだこと | 中 2 でどうつながるか |
|---|
| 火山・地震・地層 | 中 3 で宇宙・地球の動きへ |
| 鉱物・火成岩・堆積岩 | 化学変化としての岩石 の成り立ち |
大事: 中 1 であつかった「物質の種類」「気体の性質」「水溶液」 は、 中 2 で 化学変化 を学ぶ土台になります。 自信 が無いところは教科書の中 1 部分で復習 しましょう。
2. 化学変化と物理変化を区別する
中 2 化学分野の出発点は、 「化学変化 と 物理変化 の区別」 です。 この区別 があいまいだと、 化学反応式や質量保存 の学習 でつまずきます。
物理変化とは
「物質そのものは変わらず、 姿 や形・状態 だけが変わる変化」 を 物理変化 といいます。 元 の物質に戻せば、 同じ性質 が復活 します。
| れい | 何が起こっているか | 元 に戻せるか |
|---|
| 氷が水になる | 固体 → 液体 (状態変化) | できる (再び凍らせる) |
| 水が水蒸気 になる | 液体 → 気体 | できる (冷やせば戻る) |
| 砂糖 が水に溶ける | 固体が水に均一に広がる | できる (水を蒸発 させる) |
| 鉄棒 を折る | 形が変わる | 部品としては同じ |
化学変化とは
「元の物質とは別 の物質に変わる変化」 を 化学変化 といいます。 できた物質は元の物質とは 性質 がちがい、 ふつう簡単には戻せません。
| れい | 元 の物質 → 新しい物質 | 元に戻せるか |
|---|
| 鉄がさびる | 鉄 → さび (酸化鉄) | 戻しにくい |
| 紙が燃える | 紙 → 灰 + 二酸化炭素 + 水 | 戻せない |
| 水素 + 酸素 = 水 | 気体 2 種 → 液体 (水) | 戻すには電気分解 が必要 |
| 卵を焼く | 生 の卵 → ゆで卵 (タンパク質変性) | 戻せない |
区別の見極め方
| チェック項目 | 物理変化 | 化学変化 |
|---|
| 新しい物質ができたか | いいえ | はい |
| 熱 や光・気体 が出たか | あまり出ない | よく出る |
| 元に戻せるか | 多くは戻せる | 戻しにくい |
| 質量 (重さ) | 変わらない | 全体 では変わらない (法則) |
ポイント: 「新しい物質ができたか」 が最大の判断 基 準 です。 ろうそくが溶けるのは 物理変化 (ろうが液体になるだけ)、 ろうそくが燃えるのは 化学変化 (ろうが二酸化炭素と水に変わる) です。
3. 中 2 で学ぶことの全体像
中 2 理科は、 中 1 と同じく 3 〜 4 つの大きな単元 で構成 されます。
中 2 理科の全章 (本書の構成)
| 章 | テーマ | 分野 | キーワード |
|---|
| Ch1 | 中 2 理科の入門 | — | 化学変化と物理変化、 探究 |
| Ch2 | 物質の成り立ち | 化学 | 原子・分子・元素記号・化学式 |
| Ch3 | 化学変化 | 化学 | 酸化・還元・分解・化合・質量保存 |
| Ch4 | 化学変化と熱 | 化学 | 発熱反応・吸熱反応・硫化鉄 |
| Ch5 | 電流と電圧 | 物理 | オームの法則・直列回路・並列回路・電力 |
| Ch6 | 電流と磁界 | 物理 | 電磁誘導・モーター・フレミングの左手の法則 |
| Ch7 | 動物の体 とはたらき | 生物 | 消化・呼吸・血液循環・神経 |
| Ch8 | 動物の分類 と進化 | 生物 | セキツイ動物・無セキツイ動物・進化 |
| Ch9 | 天気の変化 | 地学 | 気圧・前線・湿度・飽和水蒸気量 |
| Ch10 | 日本の天気 | 地学 | 季節風・偏西風・台風 |
化学 (Ch2 〜 Ch4) の流れ
中 2 化学は、 「物質の中身 (原子) を知る → 変化を式で書く → 熱と質量で計算する」 という 3 ステップで進みます。
| ステップ | 章 | やること |
|---|
| ① | Ch2 | 物質を 原子・分子 で表す。 元素記号・化学式を覚える |
| ② | Ch3 | 化学変化を 化学反応式 で表す。 質量保存 の法則 を使う |
| ③ | Ch4 | 化学変化で出入りする 熱 を観察 する。 発熱・吸熱 を区別 |
物理 (Ch5 〜 Ch6) の流れ
| ステップ | 章 | やること |
|---|
| ① | Ch5 | 電流 と電圧 を区別 し、 オームの法則 で計算 |
| ② | Ch6 | 電流 と磁界 の関係 を学び、 モーター・電磁誘導 へ |
大事: 「電流 は 水の流れ に似 ている」 「電圧 は 水圧 (高さ) に似 ている」 という アナロジー (例え) を早めにつかむと Ch5 がぐっと楽になります。
4. 探究の流れ (課題 → 仮説 → 実験 → 考察 → 結論)
中 2 の理科では、 「探究」 と呼ばれる 科学的 な考え方 で学習を進めます。 中 1 までに何度かやったはずの流れを、 7 ステップで整理しましょう。
探究の 7 ステップ
| ステップ | やること | れい (鉄と硫黄 の反応) |
|---|
| ① 課題 | 「なぜ ?」 を言葉にする | 鉄粉 と硫黄 を加熱 すると何 ができるか |
| ② 仮説 | 自分 なりの予想 を立てる | 鉄と硫黄 が結 びついて別 の物質 ができる |
| ③ 実験計画 | 何を変え、 何をそろえるかを決める | 加熱前と後で磁石 への反応 を比較 |
| ④ 観察・測定 | 五感 と器具 で記録 する | 加熱前 = 磁石 につく、 加熱後 = つかない |
| ⑤ 記録 | 表やグラフで整理 | 上記を表にまとめる |
| ⑥ 考察 | 仮説 と結果 を比較、 なぜそうなるかを考える | 性質 が変わった = 別 の物質ができた = 硫化鉄 |
| ⑦ 結論 | 1 文でまとめる | 鉄 + 硫黄 → 硫化鉄 (化学変化) |
探究のポイント
- 仮説 が外れれても失敗 ではない — 「なぜ外れれたか」 を考えることが次の学びになる
- 条件 をそろえる — 比較 する 2 つの実験 では、 変える条件 は 1 つだけ。 ほかは全部 そろえる
- 数値 とグラフで表す — 「なんとなく多い」 ではなく、 「30 mL」 「2.5 g」 と具体的 な数字 で
結果と考察を区別する
| 区分 | 内容 | れい |
|---|
| 結果 (事実) | 観察・測定 で得られた数値 や現象 | 加熱後、 磁石 につかなくなった |
| 考察 (考え) | 結果 から何が言えるか | 別の物質ができたと考えられる |
大事: 「結果」 と 「考察」 を混同 しない。 結果 は 観察 そのもの、 考察 は そこから言えること。 中 2 からはノートでも必ず分けて書きましょう。
5. 実験で使う器具の復習
中 2 では中 1 までに出てきた器具 に加えて、 新しい器具 がいくつか登場 します。
中 1 で学んだ器具
| 器具 | 主な用途 |
|---|
| メスシリンダー | 液体 の体積 をはかる |
| 電子てんびん | 質量 (g) をはかる |
| ガスバーナー | 加熱 (空気調節 ねじで炎 の色を青に) |
| ろうと・ろ紙 | 固液 を分ける (ろ過) |
| ガラス棒 | 液体 を混ぜぜる・移す |
| 試験管 | 少量 の液体 を加熱 |
中 2 で新しく出る器具
| 器具 | 主な用途 | 章 |
|---|
| 集気 びん | 気体 を集める (上方置換・下方置換) | Ch3 |
| 電源装置 | 一定の電圧 (V) をかける | Ch5 |
| 電流計 | 回路 を流れる電流 (A) をはかる | Ch5 |
| 電圧計 | 部品 にかかる電圧 (V) をはかる | Ch5 |
| 湿度計 | 湿度 (%) をはかる | Ch9 |
| 気圧計 | 気圧 (hPa) をはかる | Ch9 |
電流計・電圧計のつなぎ方 (要点)
| 器具 | つなぎ方 | 理由 |
|---|
| 電流計 | 部品 と 直列 に | 流れる量をそのままはかる |
| 電圧計 | 部品 と 並列 に | 部品 の両端 の差 をはかる |
ポイント: 電流計 を 並列 につなぐと、 大電流 が一気に流れて こわれます。 必ず 直列 で。 Ch5 でくわしく学びます。
6. 中 2 で出てくる計算の心え
中 2 理科では、 中 1 よりも計算が増えます。 とくに 「密度・質量・体積」 「オームの法則 (V = I × R)」 「湿度」 の 3 つは必ず公式 で解きます。
単位 の整理
| 量 | 単位 | 略号 | 章 |
|---|
| 質量 | グラム | g | Ch3 |
| 体積 | ミリリットル・立方 センチメートル | mL = cm³ | Ch3 |
| 密度 | グラム / 立方 センチメートル | g/cm³ | (中 1) |
| 電流 | アンペア | A | Ch5 |
| 電圧 | ボルト | V | Ch5 |
| 抵抗 | オーム | Ω | Ch5 |
| 電力 | ワット | W | Ch5 |
| 気圧 | ヘクトパスカル | hPa | Ch9 |
計算の心え 3 か条
- 公式 を書いてから数字 を入れる — 暗算 せずに「V = I × R」 と必ず紙に書く
- 単位 をそろえる — mA を A に直す (1 A = 1000 mA)、 mL を cm³ に
- 答えに必ず単位 を書く — 「2」 ではなく 「2 A」 と書く
大事: 数学 とちがい、 理科 の答えは 数字 + 単位 でセット。 単位 なしは 0 点 になることも。 ノートでもテストでも必ず単位 を書きましょう。
7. 安全な実験の心得
中 2 からは 加熱・電流・薬品 を同時に使う場面 が増えます。 ケガや事故 を防ぐために、 5 つの基本ルールを必ず守ります。
実験室の 5 つの基本
| ① | 保護メガネ を必ずかける — 飛び散る液体・割れたガラスから目を守る |
| ② | 長い髪 は結ぶ・袖 をまく — 炎 や器具 に引っかかるのを防ぐ |
| ③ | 飲食しない・口で吸わない — 薬品 が体内に入るのを防ぐ |
| ④ | 換気 をする — 気体 が発生 する実験 は必ず窓 を開ける |
| ⑤ | 先生 の許可 なしに勝手 に実験 しない — 1 人での判断 が事故 につながる |
中 2 で新しく注意 すること
| 場面 | 危険 なこと | 防ぐルール |
|---|
| 鉄 + 硫黄 (Ch4) | 硫化水素ガス (有毒) | 換気 する・匂いを直接かがない (手 で扇ぐ) |
| 電源装置 (Ch5) | 感電・回路 がショートして発火 | 電源 を切ってからつなぎ換える、 ぬれた手 で触らない |
| 加熱実験 | やけど・試験管の破裂 | 試験管の口 を人 に向けない、 加熱後は十分 に冷ます |
| ガラス器具 | 割れてケガ | 割れたら先生 に報告、 素手 で拾わない |
事故 が起きたときの行動
| 場面 | やること |
|---|
| やけど | すぐに冷水 で 10 分以上冷ややす → 先生 に報告 |
| 薬品 が目に入った | 大量 の水で洗う → 先生 に報告 |
| ガラスが割れてケガ | 出血 を抑えて先生 に報告 |
| 気体 を吸いこんだ | すぐに窓 を開け、 新鮮 な空気を吸う |
| 火がついた | 大声で周りに知らせ、 濡れた布 や消火器で消す |
大事: 「自分 1 人で何とかしよう」 としないこと。 どんな小さな異常 でも、 必ず 先生 に報告 します。 早期 の報告 が大きな事故 を防ぎます。
ガスバーナー — 中 2 理科の加熱実験で使う基本器具。 空気調節ねじで完全燃焼 (青い炎) に調整する。
メスシリンダー — 液体 の 体積 を 正確 にはかる 器具。 目盛 は 液面 の 下端 (凹んだ所) を 真横 から読む。 中 2 化学 (Ch3 質量保存) の 計算 で必須。
まとめ
- 中 2 理科 は 「変化 のしくみ」 を学ぶ学年。 化学 (Ch2 〜 Ch4)・電流 (Ch5 〜 Ch6)・動物 (Ch7 〜 Ch8)・天気 (Ch9 〜 Ch10) の 4 つが柱
- 化学変化 は 「元 と別 の物質 ができる変化」、 物理変化 は 「物質 そのものは変わらず形・状態 だけ変わる」
- 探究 の 7 ステップは課題 → 仮説 → 実験計画 → 観察・測定 → 記録 → 考察 → 結論
- 「結果 (事実)」 と 「考察 (考え)」 を必ず区別 する
- 計算は 公式 を書く → 単位 をそろえる → 単位 をつけて答える の 3 か条
- 安全は 保護 メガネ・換気・先生 への報告 が 3 大ルール
次の章から、 いよいよ 「物質 の中身」 (原子・分子) を学んでいきます。
まとめ — 中 2 理科入門を 3 行で
- 中 2 理科では 化学変化 (元と別の物質ができる) と 物理変化 (物質そのものは変わらず形・状態だけ変わる) を区別するのが基本姿勢である
- 探究 の 7 ステップは「課題 → 仮説 → 実験計画 → 観察・測定 → 記録 → 考察 → 結論」 で、 結果 (事実) と考察 (考え) を必ず区別する
- 計算は「公式を書く → 単位をそろえる → 単位をつけて答える」 の 3 か条、 安全は保護メガネ・換気・先生への報告の 3 大ルールが鉄則である