この章で学ぶこと
毎日の天気 — 晴れ・くもり・雨・雪 — は、 私たちの生活に大きな影響を与えます。 この章では、 気象を 数値 でとらえ、 その しくみ を考える力をつけます。
- 気温・湿度・気圧 のはかり方を知る
- 風向・風速 の表し方を知る
- 天気図記号 の読み方をおぼえる
- 大気圧 が生まれる理由を説明できる
- 飽和水蒸気量 と 露点 の関係を理解する
- 雲 ができるしくみ を説明できる
- 雨・雪・霧・露ができる違いを知る
多面的に見る: 天気は 「気温 + 湿度 + 気圧 + 風」 の組み合わせで決まります。 1 つの数値だけでは天気を理解できません。
1. 気象観測とは
気象とは
大気の状態 (気温・湿度・気圧・風・雲・降水) とその変化を 気象 といいます。 気象をはかり、 記録し、 変化を調べることを 気象観測 といいます。
観測の場所
| 場所 | とくちょう |
|---|
| 百葉箱 | 学校の校庭などに置かれた観測用の白い箱。 直射日光を防ぐ |
| 気象台 | 各地にあり、 専門の機械と人が 24 時間観測 |
| アメダス | 日本全国約 1300 か所の自動観測装置 |
| 気象衛星 (ひまわり) | 上空から雲のようすを撮影 |
百葉箱のつくりと工夫
| 工夫 | 理由 |
|---|
| 白く塗る | 太陽の熱を 反射 |
| よろい戸 (すき間のある板) | 風が通るが直射日光が入らない |
| 二重屋根 | 屋根の熱が中に伝わらない |
| 地面から高さ 1.2 〜 1.5 m | 地表の熱の影響を避ける |
| まわりは芝生 | 反射熱を防ぐ |
| とびらは北向き | 開けたときに直射日光が入らない |
2. 気温と湿度のはかり方
気温
- 単位: ℃ (セルシウス度、 セ氏温度)
- 温度計 で測る (アルコール温度計または水銀温度計)
- 直射日光を当てない、 地面から 1.5 m の高さ
- 1 日の最高気温は通常 14 時ごろ、 最低気温は日の出ごろ
湿度とは
空気中にふくまれる水蒸気の量を表すもの。 単位は %。
湿度 (%) = (空気 1 m³ 中の水蒸気量) ÷ (その気温での 飽和水蒸気量) × 100
湿度をはかる道具
| 道具 | しくみ |
|---|
| 乾湿計 (乾湿球温度計) | 2 本の温度計を組み合わせて使う。 湿度表と合わせて読む |
| 通風型乾湿計 | 風を送ってより正確にはかる |
| 電気式湿度計 | 電気抵抗 や静電容量の変化で 測定 |
乾湿計の使い方
| 部分 | 内容 |
|---|
| 乾球 | ふつうの温度計 (気温を示す) |
| 湿球 | 球の部分をぬれたガーゼで包んだ温度計 |
ぬれたガーゼから水が蒸発するとき熱がうばわれ、 湿球のほうが低い温度を示します。 その差が大きいほど空気は乾いています。
| 乾球 [°C] | 乾球と湿球の差 [°C] | 湿度 [%] |
|---|
| 20 | 0 | 100 |
| 20 | 2 | 81 |
| 20 | 4 | 64 |
| 20 | 6 | 48 |
| 20 | 8 | 32 |
(数値は例。 実際は湿度表を使う)
3. 気圧とは
大気が押す力
地球を包む 大気 には重さがあります。 その重さが地表を押す力を 気圧 (大気圧) といいます。
- 単位: ヘクトパスカル (hPa)
- 海面上でふつう約 1013 hPa
- 1 hPa = 100 Pa = 100 N/m²
大気圧の大きさ
地表では 1 m² あたり約 10 トン の力が大気からかかっています。 私たちの体がつぶれないのは、 体の中からも同じ強さで押し返しているからです。
高さと気圧の関係
| 高さ | 気圧 (約) |
|---|
| 海面 | 1013 hPa |
| 富士山山頂 (3776 m) | 約 640 hPa |
| エベレスト (8848 m) | 約 320 hPa |
| 高度 10 km | 約 260 hPa |
| 高度 100 km (宇宙の入口) | ほぼ 0 hPa |
高い場所ほど気圧が低い のは、 その上にある空気の量 (重さ) が少なくなるからです。
気圧をはかる道具
| 道具 | しくみ |
|---|
| 水銀気圧計 | 水銀の高さではかる (760 mm = 1013 hPa) |
| アネロイド気圧計 | 金属 の缶が気圧でつぶれる動きではかる |
| デジタル気圧計 | 半導体センサーで測定。 スマホにも内蔵 |
大気圧がわかる実験
- 吸盤がガラスにはりつく — 中の空気がないので外の大気圧が押している
- 牛乳パックを火であためてふたをして冷やすとつぶれる — 中の空気が冷えて体積が減り、 外の大気圧に負ける
- ストローでジュースを飲める — 口で吸うとストロー内が低気圧になり、 外の気圧がジュースを押し上げる
4. 風向・風速と風力
風とは
空気が動くことを 風 といいます。 主に 気圧の差 で起こり、 気圧の高いところから低いところへ 流れます。
風の表し方
| 要素 | 内容 | 単位・道具 |
|---|
| 風向 | 風が吹いてくる向き (16 方位) | 風向計 |
| 風速 | 1 秒間に動く距離 | m/秒 (風速計) |
| 風力 | 風の強さを 0 〜 12 の階級で表す | 風力階級 |
大切: 「北風」 とは 北から吹いてくる風 です。 「南へ吹く風」 ではありません。
風力階級 (一部)
| 風力 | 風速 (m/秒) | 様子 |
|---|
| 0 | 0.0 〜 0.2 | 静か。 けむりがまっすぐ上がる |
| 3 | 3.4 〜 5.4 | 木の葉が動く |
| 5 | 8.0 〜 10.7 | 小さな木がゆれる |
| 7 | 13.9 〜 17.1 | 歩きにくい |
| 10 | 24.5 〜 28.4 | 木がねこそぎたおれる |
| 12 | 32.7 以上 | 大災害 (台風) |
天気図記号
天気図では各地の天気を 1 つの記号で表します。
| 天気 | 記号 |
|---|
| 快晴 | ○ (中が白) |
| 晴れ | ○ の中に縦線 1 本 |
| くもり | ◎ (二重の円) |
| 雨 | ● (黒ぬり) |
| 雪 | ✻ |
風向は中心から線を伸ばして表し、 風力はその線に付ける矢羽の数で表します。 例: 北西の風力 3 → 中心から北西へ線、 矢羽 3 本
5. 空気中の水蒸気
水の 3 つのすがた
水は温度で状態を変えます。
| すがた | 状態 |
|---|
| 氷 | 固体 |
| 水 | 液体 |
| 水蒸気 | 気体 (目に見えない) |
大切: 「湯気」 や 「雲」 は水蒸気ではありません。 ごく小さな水の粒 (液体) です。 水蒸気は透明で見えません。
飽和水蒸気量
ある温度の空気がふくむことができる水蒸気の限界量を 飽和水蒸気量 といいます。 単位は g/m³。
| 気温 [°C] | 飽和水蒸気量 [g/m³] |
|---|
| -10 | 2.1 |
| 0 | 4.8 |
| 5 | 6.8 |
| 10 | 9.4 |
| 15 | 12.8 |
| 20 | 17.3 |
| 25 | 23.1 |
| 30 | 30.4 |
| 35 | 39.6 |
重要: 温度が高いほど多くの水蒸気をふくめる のが大きなポイント。 約 5 °C ごとに倍増するイメージです。
露点 とは
空気を冷やしていくと、 やがて 飽和水蒸気量 = 含まれている水蒸気量となる温度があります。 その温度を 露点 といいます。 露点 より下がると、 入りきらなくなった水蒸気が 水の粒 に変わり (これを 凝結 といいます)、 結露が起こります。
湿度の計算例
例: 気温 25 °C で空気 1 m³ 中に 11.55 g の水蒸気がふくまれているとき、
- 飽和水蒸気量 = 23.1 g/m³
- 湿度 = 11.55 ÷ 23.1 × 100 = 50 %
またこの空気を冷やしていくと約 13 °C で 飽和水蒸気量 が 11.55 g/m³ になります。 つまり 露点 は約 13 °C。
6. 雲ができるしくみ
雲ができる条件
雲はつぎの順序でできます。
| 段階 | 内容 |
|---|
| 1 | 空気が上へあがる (上昇気流) |
| 2 | 高いところほど気圧が低い → 空気は 膨張 (ぼうちょう) する |
| 3 | 膨張すると温度が 下がる (断熱膨張 という) |
| 4 | 温度が 露点以下 になると、 水蒸気が水の粒や氷の粒になる |
| 5 | これらの粒の集まりが 雲 |
上昇気流が起こる 4 つの場面
| 場面 | 例 |
|---|
| 太陽で地表があたためられる | 夏の入道雲 (積乱雲) |
| 山に風がぶつかる | 山の風上側に雲 |
| 暖かい空気と冷たい空気がぶつかる | 前線 (第 10 章) |
| 低気圧の中心 | 雲が集まる、 天気が悪い |
雲を作る実験
ペットボトルに少量の水と線香の煙を入れ、 ふたをしてピストンを引くと (空気を膨張させると)、 中が 白くくもる ことが観察できます。 これは上昇気流で雲ができるしくみと同じです。 線香の煙は水蒸気が水の粒になるときの 核 になります。
大切: ピストンを押して空気を圧縮すると温度が上がり、 くもりは消えます。 「膨張 → 温度下がる → 雲」 の関係を体感できる実験です。
雲の種類
| 形 | 高さ | 名前 (代表) |
|---|
| 上層 | 5 〜 13 km | 巻雲 (すじ雲)、 巻積雲 (うろこ雲) |
| 中層 | 2 〜 7 km | 高層雲、 高積雲 (ひつじ雲) |
| 下層 | 〜 2 km | 層雲、 層積雲、 乱層雲 (雨雲) |
| 縦に発達 | 0.5 〜 13 km | 積雲 (わた雲)、 積乱雲 (入道雲、 雷雲) |
7. 雨・雪・霧・露 — 水の大循環
雲から雨・雪へ
雲の中の水や氷の粒が 大きくなる と、 重さで空気に支えられず落ちてきます。 これが雨や雪です。
| 種類 | でき方 |
|---|
| 雨 | 水の粒がくっついて大きくなり落ちる |
| 雪 | 雲の中で氷の結晶が成長して落ちる |
| ひょう | 積乱雲の中で氷の粒が上下をくりかえして大きく育つ |
| 霧 | 地表近くで水の粒ができ、 浮いている |
| 露 | 地表が冷え、 露点以下で葉や物に水がつく |
| 霜 | 露が 0 °C 以下でできる → 氷 |
水の大循環
| 段階 | 場所 | 内容 |
|---|
| 1 | 海・川・湖 | 太陽であたためられ蒸発 → 水蒸気 |
| 2 | 上空 | 上昇して冷え雲ができる |
| 3 | 雲 | 雨や雪として落ちる |
| 4 | 地表 | 川を流れ、 海へもどる |
多面的に見る: 天気は 「水が海と空をめぐる流れ」 の一部と考えると、 自分の暮らす街の 1 日の雨が 地球全体の水の循環 の一コマであることが見えてきます。
積乱雲 — 垂直 に大きく発達 した 雲。 強い 上昇気流 ででき、 雷雨・激しい 雨・ひょう をもたらす。
安全のきまり (この章でとくに大切)
気象観測と関連する道具はこわれやすいもの、 体に害を与えるものがあります。
温度計・気圧計の取りあつかい
- ガラス製で割れやすい — 落とさない、 強くふらない
- 水銀温度計が割れた場合は 絶対に素手で触らない。 教師を呼び、 換気して、 専門の処理にまかせる (水銀は有害)
- アルコール温度計は壊れても比較的安全だが、 中の着色液をなめない
- 気圧計は強く振らない (内部の機構がこわれる)
百葉箱での観測
- 百葉箱のとびらはそっと開け、 すぐ閉じる (中の温度が変わる)
- 観測中に体や息を近づけない (体温で数値が変わる)
- 雨の日でも観測するが、 かさをさして、 かぜをひかないよう注意
屋外での観測
- かみなりが鳴ったらすぐ屋内へ
- 強い雨や風の日は大人と一緒に行う
- 熱中症に注意 — 帽子・水分を必ず持つ
- 紫外線が強い日は日やけ止めや長そでを
気象情報の使い方
- 災害警報が出たらすぐに安全な場所へ
- ハザードマップで自分の街の危険区域を知っておく
- スマホの警報通知をオンにしておく
天気を知ることは 自分と家族の命を守ること につながります。
百葉箱 — 気温・湿度を直射日光や雨から守って観測するための白い通気箱。 中身に温度計や湿度計を入れ、 地上 1.2-1.5 m に設置する。
まとめ — 気象観測と大気を 3 行で
- 気象観測の基本量は気温・湿度・気圧・風向風速で、 百葉箱 で直射日光や雨を避けて正確に測定するのが原則である
- 気圧は空気の重みによる圧力で 1 気圧 = 1013 hPa、 高度が上がると気圧は下がり、 気圧差が風 (高 → 低) を生む原動力となる
- 空気中の水蒸気は飽和を超えると凝結して雲や霧・露となり、 蒸発 → 上昇 → 凝結 → 降水 → 流下の水循環が地球の気候を駆動する