この章で学ぶこと
動物は地球上に約 150 万種が知られています。 これらを整理して仲間分けすることを 分類 といいます。 分類のしくみを知ると、 ばらばらに見えた動物が 共通の祖先から枝分かれして変わってきた ことが見えてきます。 これが 進化 の考え方です。
- 動物を 脊椎動物 と 無脊椎動物 に大きく分けることを知る
- 脊椎動物 の 5 つのグループ (魚類・両生類・は虫類・鳥類・ほ乳類) のとくちょうを整理する
- 無脊椎動物 の主なグループ (節足動物・軟体動物) を知る
- 進化 とは何か、 どのような 証拠 があるかを学ぶ
- 相同器官 と 化石 が進化のしょうこになることを理解する
- シソチョウなど中間的な化石の意味を説明できる
1. 動物の大きな分け方
背骨があるかないか
動物はまず 背骨 (せきつい) のあり・なし で大きく 2 つに分けられます。
| 分類 | 背骨 | 種数 (約) |
|---|
| 脊椎動物 | あり | 7 万種 |
| 無脊椎動物 | なし | 140 万種以上 |
種の数では 無脊椎動物 のほうがずっと多いことがわかります。 こん虫だけでも約 100 万種います。
分類に使う観点
動物を分類するときは、 つぎのような観点で比べます。
| 観点 | 例 |
|---|
| 体のつくり | 背骨、 ひれ、 あし、 つばさ |
| 体表 (体の表面) | うろこ、 しっとり肌、 羽毛、 毛 |
| 子の生まれ方 | 卵生 (卵を産む)、 胎生 (子を産む) |
| 呼吸 のしかた | えら、 肺、 皮ふ |
| 生活場所 | 水中、 陸上 |
| 体温の保ち方 | 変温 (環境で変わる)、 恒温 (一定) |
2. 脊椎動物 の 5 グループ
脊椎動物 は 魚類・両生類・は虫類・鳥類・ほ乳類 の 5 グループに分けられます。
一覧表
| 観点 | 魚類 | 両生類 | は虫類 | 鳥類 | ほ乳類 |
|---|
| 例 | フナ、 サメ | カエル、 イモリ | トカゲ、 ヘビ、 カメ、 ワニ | スズメ、 ペンギン | ヒト、 イヌ、 クジラ |
| 体表 | うろこ | しっとり肌 | うろこ | 羽毛 | 毛 |
| 呼吸 | えら | 子: えら + 皮ふ / 親: 肺 + 皮ふ | 肺 | 肺 | 肺 |
| 生まれ方 | 卵生 (殻なし) | 卵生 (殻なし) | 卵生 (殻あり) | 卵生 (殻あり) | 胎生 |
| 卵の場所 | 水中 | 水中 | 陸上 | 陸上 | — |
| 体温 | 変温 | 変温 | 変温 | 恒温 | 恒温 |
| 心臓 | 1 心房 1 心室 | 2 心房 1 心室 | 2 心房不完全 2 心室 | 2 心房 2 心室 | 2 心房 2 心室 |
各グループの特徴
魚類
- 一生を水中ですごす
- ひれで泳ぐ
- えらで水にとけた酸素を取り込む
- 卵に殻がなく、 水中に産む
- 体温がまわりの水温で変わる 変温動物
両生類
- 子 (オタマジャクシ) は水中、 親 (カエル) は陸に上がる
- 子はえら、 親は肺 + しめった皮ふで呼吸
- 皮ふがしめっているため、 乾燥に弱く水辺で生活
- 卵に殻がなく水中に産む
は虫類
- 体表が うろこ で乾燥に強い → 陸上で生活できる
- 卵に 殻があり、 陸上に産む
- 肺で呼吸
- 変温動物
鳥類
- 体表が 羽毛 でおおわれ、 体温を保つ
- 前あしが つばさ に変化している
- 多くは飛べる (ペンギンやダチョウは飛べない)
- 卵に殻があり、 親があたためてかえす
- 恒温動物 (体温がほぼ一定)
ほ乳類
- 体表が 毛 でおおわれる
- 胎生 で、 子が母親の体内で育ってから生まれる
- 生まれた子を 乳で育てる
- 肺で呼吸
- 恒温動物
- 例外的にカモノハシは卵を産むが乳で育てるためほ乳類
食べものによる分け方 (ほ乳類)
ほ乳類はさらに 草食動物 と 肉食動物 に分けられます。 両者は体のつくりにもちがいがあります。
| 観点 | 草食動物 (ウマ、 ウシ、 ウサギ) | 肉食動物 (ライオン、 トラ、 オオカミ) |
|---|
| 歯 | 平らな 臼歯 が発達、 草をすりつぶす | するどい 犬歯 と 裂肉歯 が発達、 肉を切りさく |
| 目の位置 | 顔の 横 につき、 視野が広い (約 350°) | 顔の 前 につき、 立体的に見える |
| 消化管 | 長い (草は 消化 が難しい) | 短い (肉は消化しやすい) |
| 走る速さ | 速い (にげるため) | 速い (おそうため) |
| つめ | ひづめ、 平ら | するどく引っこめられる |
多面的に見る: 体のつくりは 生活のしかた とセットで進化してきました。 「歯 → 食べもの → 体の大きさ → 群れの作り方」 と多くのことがつながっています。
3. 無脊椎動物
主なグループ
| グループ | 例 | とくちょう |
|---|
| 節足動物 | こん虫、 クモ、 エビ、 カニ | 体が 節 (ふし) に分かれ、 かたい 外骨格 でおおわれる |
| 軟体動物 | イカ、 タコ、 マイマイ、 アサリ | 体がやわらかく、 外とう膜 で内臓をつつむ。 多くは貝殻をもつ |
| 棘皮動物 | ヒトデ、 ウニ、 ナマコ | 体が 5 本のうで など 5 の倍数 |
| 環形動物 | ミミズ、 ゴカイ | 体が細長く、 多数の節 |
| 刺胞動物 | クラゲ、 イソギンチャク | 刺す細胞をもつ |
節足動物のさらな分け方
| 細分類 | あしの数 | 例 |
|---|
| こん虫類 | 6 本 | チョウ、 バッタ、 セミ |
| クモ類 | 8 本 | クモ、 サソリ |
| 甲かく類 | 10 本以上 | エビ、 カニ |
| 多足類 | 多数 | ムカデ、 ヤスデ |
軟体動物のとくちょう
- 体に 外とう膜 という膜があり、 内臓を包む
- 貝殻をもつもの (アサリ、 マイマイ) ともたないもの (イカ、 タコ) がある
- 水中にすむものが多い
- イカやタコは進化した目や神経をもつ
外骨格と内骨格
| 種類 | 場所 | 例 |
|---|
| 内骨格 | 体の内側 | 脊椎動物 |
| 外骨格 | 体の外側 | 節足動物 |
外骨格をもつ動物は、 大きくなるために 脱皮 をして古い皮をぬぎます。
4. 進化 とは
進化 の考え方
長い時間 (何万年・何億年) をかけて、 生物の体のつくりや性質が 少しずつ変わっていくこと を 進化 といいます。 イギリスの ダーウィン が 1859 年に 「種の起源」 で進化論を発表し、 その後多くの証拠が見つかってきました。
大切: 「進化」 は 「進歩」 ではありません。 「優れた方向に進む」 ではなく、 「環境に合わせて変わる」 ことを意味します。
進化がわかる 5 つの証拠
| 証拠 | 内容 |
|---|
| 1. 化石 | 古い地層の動物が今とちがうこと |
| 2. 中間的な化石 | シソチョウなど、 2 つのグループの中間 |
| 3. 相同器官 | はたらきはちがうが、 つくりが似ている器官 |
| 4. 痕跡器官 | 役に立たないが残っている器官 |
| 5. 発生の似ていること | 受精卵が育つ途中が似ている |
5. 相同器官 と痕跡器官
相同器官 とは
はたらきや形はちがっても、 もとは同じつくりから変化してきた器官を 相同器官 といいます。
| 動物 | 前あしに当たる器官 | はたらき |
|---|
| ヒト | うで | ものをつかむ |
| イヌ | 前あし | 走る |
| クジラ | むなひれ | 泳ぐ |
| コウモリ | つばさ | 飛ぶ |
| トリ | つばさ | 飛ぶ |
骨のつくりを比べると、 上腕骨・前腕の 2 本の骨・指の骨と、 同じ順になっています。 これは 共通の祖先 から枝分かれして、 それぞれの環境に合わせて形が変わってきたことを示しています。
痕跡器官の例
- ヒトの 虫垂 (むちゅう) — 草食だった時代の大腸の一部のなごり
- ヒトの 耳を動かす筋肉 — 動かせないが残っている
- クジラの 後ろあしの骨のなごり — 体内に小さく残っている (もとは陸上動物)
- ヘビの 後ろあしの名残 — 一部の種では体内に残っている
6. 化石が語る進化
シソチョウ (始祖鳥)
ドイツの 1 億 5 千万年前の地層から見つかった化石で、 は虫類と鳥類の中間的なとくちょう を持ちます。
| 鳥類と同じとくちょう | は虫類と同じとくちょう |
|---|
| 全身に羽毛 | くちばしに歯 |
| つばさ | つばさにつめ |
| — | 長い尾に多数の骨 |
シソチョウは、 は虫類から鳥類が進化してきた という強い証拠とされています。
進化の道すじ (大まかな流れ)
| 時期 | できごと |
|---|
| 約 38 億年前 | 最初の生命が海に生まれる |
| 約 5 億年前 | 魚類が登場 |
| 約 4 億年前 | 植物が陸に上がる |
| 約 3 億 6 千万年前 | 両生類が陸に上がる |
| 約 3 億年前 | は虫類が登場 |
| 約 2 億年前 | ほ乳類と鳥類の祖先が登場 |
| 約 700 万年前 | ヒトの祖先が登場 |
| 約 20 万年前 | 現在のヒト (ホモサピエンス) |
なぜ陸上へ上がれたか
水中から陸上へ上がるために、 つぎのような体の変化が必要でした。
| 課題 | 解決した進化 |
|---|
| 重力をささえる | じょうぶなあしと骨格 |
| 乾燥をふせぐ | うろこや殻のある卵 |
| 呼吸 | えらから肺へ |
| 子育て | 殻つき卵、 そして胎生へ |
7. まとめと多面的な見方
分類と進化のつながり
分類の表を見直すと、 「魚類 → 両生類 → は虫類 → 鳥類・ほ乳類」 という並びは、 そのまま 陸への進出と環境への適応 の道すじと一致します。
| 進化の段階 | 解決した課題 |
|---|
| 魚類 | 水中での生活 |
| 両生類 | 親だけ陸に上がる (子はまだ水) |
| は虫類 | 卵から完全に陸上 |
| 鳥類 | 体温を保ち、 空を飛ぶ |
| ほ乳類 | 胎生 + 乳で子を安全に育てる |
重要: 動物の体のつくりには必ず 理由 があります。 「なぜこの形か」 「なぜこのくらしか」 を環境とセットで考えると、 動物の世界がぐっと立体的に見えてきます。
始祖鳥 — 爬虫類 と 鳥類 の中間 の特徴 を持つ 化石。 進化 の 証拠 として有名。 約 1.5 億年前 (ジュラ紀)。
相同器官 — ヒトの 腕・鳥 の 翼・クジラ のひれ・コウモリ の 翼。 形や働きは違うが骨 の基本構造 が同じ。 進化 の証拠。
安全のきまり (この章でとくに大切)
動物を 観察 する学習では、 動物と自分自身の安全を大切にします。
動物を観察するマナー
- 野生の動物をつかまえすぎない。 観察後はとった場所に必ず返す
- 巣や卵をこわさない、 持ち帰らない
- 観察ノートに記録し、 動物自体にはなるべくふれない (ふれる場合は短時間)
- フラッシュ撮影は動物をおどろかせる — オフにする
動物から自分を守る
- 知らない動物にはさわらない (ハチ・ヘビ・クモ・ムカデなど)
- 死んだ動物・ふんに素手でさわらない (細菌・寄生虫のおそれ) — 観察後は必ず手を洗う
- 解剖や標本をあつかうときはピンセット・手袋をつかう
- 海や池での観察は 必ず大人と一緒 に行く
動物園・水族館での観察
- 動物をおどかさない (大声・たたく行為禁止)
- 食べ物をあたえない (ルールを守る)
- 写真撮影のルールを守る
学校で飼う動物
- えさや水を切らさない
- 病気やケガに気づいたらすぐ教師に伝える
- 飼育の後は必ず手を洗う
生き物には一つひとつの命があります。 学習を通じて 「いのちのつながり」 を感じることが、 この章の大切なねらいです。
まとめ — 動物の分類と 進化 を 3 行で
- 動物は背骨の有無で 脊椎動物 と 無脊椎動物 に大別され、 脊椎動物はさらに魚類・両生類・は虫類・鳥類・哺乳類の 5 グループに分類される
- 進化 とは生物が長い時間をかけて少しずつ変化してきた現象で、 共通祖先から枝分かれして多様な種が生じたと考えられている
- 相同器官 (起源は同じだが働きが異なる器官) や痕跡器官、 化石記録が進化の証拠となり、 生物の多面的な見方を支える