この章で学ぶこと
日本は世界でも有数の火山と地震の国です。富士山・浅間山・桜島など、約 110 もの活火山があり、阪神・淡路・東日本・能登など、大きな地震も繰り返してきました。
- マグマ・溶岩・火山ガス など火山活動の仕組みを知る
- 火成岩 = 火山岩 + 深成岩 の分類を覚える
- 主要な岩石 (流紋岩・安山岩・玄武岩・花こう岩・閃緑岩・斑れい岩) を区別できる
- P 波とS 波・初期微動・主要動 の地震波の性質を理解する
- 震度 と マグニチュード の違いをきちんと使い分ける
- 地震・火山災害から身を守る方法を身につける
ポイント: 火山も地震も、地球内部のプレートが動くことで起こります。日本列島の下では 4 枚のプレートが押し合っており、これが日本に火山と地震が多い根本の理由です。
1. 火山とマグマ
地下深くには、岩石がどろどろにとけたマグマがあります。マグマがたまる場所をマグマだまりといいます。マグマの圧力が高まり地表に噴き出すと、噴火が起こります。
火山の構造
| 部分 | 説明 |
|---|
| マグマだまり | 地下数 km - 数十 km にあるマグマの貯蔵庫 |
| 火道 | マグマだまりから地表まで通じる管 |
| 火口 | マグマが地表に出る穴 |
| 火山体 | 噴き出した物が積み重なった山の本体 |
噴火で出るもの
| 噴出物 | 説明 |
|---|
| 溶岩 | 地表に流れ出たマグマ (1000 ℃ ほど) |
| 火山弾 | 飛び散った大きなマグマのかたまり |
| 火山れき | 2 - 64 mm の小さな噴出物 |
| 火山灰 | 2 mm 以下の粉のような噴出物 |
| 火山ガス | 大半は水蒸気・二酸化炭素・二酸化硫黄 |
大事: 火山ガスの大半は水蒸気 (約 90 %) です。「火山は二酸化炭素を出す」というイメージがありますが、量としては水蒸気のほうがずっと多く出ています。火山ガスには有毒な二酸化硫黄や硫化水素も含まれ、火口付近では命に関わります。
2. 火山の形とマグマのねばりけ
火山の形は、マグマのねばりけ (粘性) によって変わります。
火山の 3 つの形
| 形 | マグマのねばりけ | 噴火の様子 | 例 |
|---|
| 盾状火山 (たてじょう) | 弱い (さらさら) | おだやか、溶岩が広く流れる | キラウエア (ハワイ)・マウナロア |
| 成層火山 | 中間 | やや激しい | 富士山・桜島・浅間山 |
| 溶岩ドーム | 強い (ねばねば) | 激しい爆発 | 昭和新山・雲仙普賢岳の平成新山 |
富士山 (ふじさん) — 日本を代表 する 成層火山。 マグマのねばりけが中ぐらいで、 噴火と溶岩流出をくり返して何度も積み重なった円すい形が特徴。
マグマのねばりけと色
| ねばりけ | 色 | 含まれる成分 |
|---|
| 弱い | 黒っぽい | 二酸化ケイ素 (SiO₂) が少ない |
| 強い | 白っぽい | 二酸化ケイ素 (SiO₂) が多い |
ポイント: マグマがさらさらだと、ガスが抜けやすく、おだやかな噴火になります。ねばねばだとガスが抜けにくく、たまった圧力が一気に解放されて激しい爆発になります。雲仙普賢岳の火砕流 (1991 年) はねばりけの強いマグマによる被害でした。
3. 火成岩
マグマが冷えて固まった岩石を火成岩といいます。冷え方によって 2 つに分かれます。
火山岩と深成岩
| 種類 | 冷え方 | 場所 | つくり |
|---|
| 火山岩 | 急冷 (短時間) | 地表近く | 斑状組織 (はんじょう) |
| 深成岩 | ゆっくり冷却 (長時間) | 地下深く | 等粒状組織 (とうりゅうじょう) |
斑状組織と等粒状組織
| 組織 | 特徴 |
|---|
| 斑状組織 | 大きな結晶 (斑晶) が、小さな粒や結晶 (石基) の中にちらばっている |
| 等粒状組織 | 同じくらいの大きさの結晶がきっちり詰まっている |
大事: 結晶はゆっくり冷えるほど大きく育ちます。地下深くで何万年もかけて冷えた深成岩は粒が大きく整い、地表で急に冷えた火山岩は粒が小さくバラバラになります。
主な火成岩 6 種類
| 色 | 火山岩 (急冷) | 深成岩 (徐冷) | マグマのねばりけ |
|---|
| 白っぽい | 流紋岩 | 花こう岩 | 強い |
| 中間 | 安山岩 | 閃緑岩 (せんりょくがん) | 中間 |
| 黒っぽい | 玄武岩 | 斑れい岩 (はんれいがん) | 弱い |
覚え方
「しんかんせんはかりあげ」と覚えると便利です。
- しん = 深成岩 (花こう岩・閃緑岩・斑れい岩)
- か = 花こう岩
- ん =
- せん = 閃緑岩
- は = 斑れい岩
- か = 火山岩
- り = 流紋岩
- あ = 安山岩
- げ = 玄武岩
ポイント: 流紋岩と花こう岩は同じ成分ですが、固まり方の違いで見た目がまったく異なります。流紋岩は粒が見えないほど細かく、花こう岩は大きな白・黒の粒がごつごつとしています。墓石や建物の石材によく使われるのは花こう岩です。
花こう岩 (かこうがん) — マグマが地下で ゆっくり 冷え固まった 深成岩 の代表。 大きな白 (石英・長石) と黒 (黒雲母) の結晶がぎっしり並ぶ 等粒状組織。 墓石や建物 の石材に使われる。
鉱物
火成岩は、いくつかの鉱物が組み合わさってできています。
| 鉱物 | 色 | 特徴 |
|---|
| 石英 (せきえい) | 無色透明 | 不規則に割れる |
| 長石 (ちょうせき) | 白~ピンク | 直角に割れる |
| 黒雲母 (くろうんも) | 黒 | 薄くはがれる |
| 角閃石 (かくせんせき) | 黒 | 細長い柱状 |
| 輝石 (きせき) | 黒 | 短い柱状 |
| カンラン石 | 黄緑 | 不規則な粒 |
色の白い鉱物 (石英・長石) を無色鉱物、色の黒い鉱物を有色鉱物といいます。
4. 地震
地球の表面を覆うプレートが動くとき、岩石にひずみがたまり、限界を超えると一気に破壊が起こります。これが地震です。
地震の用語
| 用語 | 説明 |
|---|
| 震源 | 地下で地震が発生した場所 (点) |
| 震央 | 震源の真上の地表の地点 |
| 震源の深さ | 震央から震源までの距離 |
| 断層 | 岩石が破壊されてずれた面 |
震源の深さによる分類
| 深さ | 種類 | 場所の例 |
|---|
| 0 - 70 km | 浅発地震 | プレート内・直下型地震 |
| 70 - 300 km | 中発地震 | プレート境界 |
| 300 - 700 km | 深発地震 | 沈み込んだプレートの内部 |
大事: 同じマグニチュードでも、震源が浅いほうが被害は大きくなります。震源が深いほど、エネルギーが地表に届くまでに弱まるからです。
5. 地震波
地震が発生すると、震源から地震波が同心円状に広がっていきます。地震波にはP 波とS 波の 2 種類があります。
P 波と S 波
| 波 | 名前の由来 | 速さ | 揺れ方 |
|---|
| P 波 | Primary (はじめ) | 速い (約 5 - 7 km/秒) | 進行方向と同じ向きに小刻みに揺れる (たて波) |
| S 波 | Secondary (あと) | 遅い (約 3 - 4 km/秒) | 進行方向と直角に大きく揺れる (横波) |
初期微動と主要動
| 動き | 引き起こす波 | 様子 |
|---|
| 初期微動 | P 波 | 小刻みなカタカタとした揺れ |
| 主要動 | S 波 | 大きなグラグラとした揺れ |
初期微動継続時間
P 波が到着してから S 波が到着するまでの時間を初期微動継続時間といいます。
- 震源から遠いほど、初期微動継続時間は長くなる
- 初期微動継続時間 (秒) ≒ 震源距離 (km) ÷ 8
- (大森公式) 震源距離 (km) ≒ 初期微動継続時間 (秒) × 約 8
例題
ある地点で初期微動継続時間が 5 秒だった。震源距離は約何 km か?
| ステップ | 計算 |
|---|
| 大森公式 | 5 × 8 = 40 km |
ポイント: P 波は速いので先に到着します。「P 波がきた!」と分かれば、S 波が来るまでの数秒~数十秒のあいだに身を守る準備ができます。これを利用したのが緊急地震速報です。
6. 震度とマグニチュード
地震の大きさを表す指標には 2 つあります。混同しないように注意しましょう。
震度とマグニチュードの違い
| 指標 | 何を表す | 単位 | 場所による違い |
|---|
| 震度 | その地点での揺れの大きさ | 0 - 7 (10 段階) | 場所ごとに違う |
| マグニチュード | 地震そのもの (震源) のエネルギーの大きさ | M (数字、上限なし) | 1 つの地震に 1 つの値 |
震度の 10 段階
| 震度 | 揺れ方の例 |
|---|
| 0 | 人は感じない |
| 1 | 屋内の一部の人が感じる |
| 2 | 多くの人が感じる |
| 3 | 屋内のほとんどの人が感じる |
| 4 | 眠っている人のほとんどが起きる |
| 5 弱 | 多くの人が恐怖を感じる、家具が倒れることも |
| 5 強 | 物につかまらないと歩けない |
| 6 弱 | 立っていることが困難 |
| 6 強 | 立っていられず、はわないと動けない |
| 7 | ほとんどの建物が破壊されることも |
マグニチュードのスケール
マグニチュードは 1 大きくなるごとに、エネルギーは約 32 倍 になります。2 大きくなれば約 1000 倍です。
| マグニチュード差 | エネルギー比 |
|---|
| +1 | 約 32 倍 |
| +2 | 約 1000 倍 |
| +3 | 約 32000 倍 |
大事: 「震度 7 の地震が起きた」という言い方は厳密には正しくありません。「マグニチュード 7 の地震が起きた」または「この地点で震度 7 を観測した」が正しい表現です。震度は地点ごとに違うため、「地震そのもの」を表すならマグニチュードを使います。
7. 災害への備え
日本に住む以上、地震・火山災害は避けられない現実です。「自分は大丈夫」ではなく、「いつ来るか分からないから備える」が基本です。
地震に備える
| 備え | 内容 |
|---|
| 家具の固定 | 突っ張り棒・L 字金具で倒れ防止 |
| 避難経路の確認 | 出入口・避難場所を家族で共有 |
| 非常持ち出し袋 | 水・食料・懐中電灯・薬・現金 |
| ハザードマップ確認 | 自宅周辺の危険度を把握 |
| 避難訓練に参加 | 体で覚える |
| 緊急地震速報設定 | スマホで受け取れるように |
地震が起きたら
| 場所 | 行動 |
|---|
| 室内 | 机の下にもぐる・頭を保護 |
| 屋外 | ブロック塀・自販機から離れる |
| 海岸 | 高台へ避難 (津波の危険) |
| 山 | 落石・がけ崩れに注意 |
| 学校 | 教師の指示に従う・上履きで外に出ない (ガラス) |
火山災害に備える
| 備え | 内容 |
|---|
| 噴火警戒レベルを確認 | 1 (活火山) ~ 5 (避難) |
| 火山ハザードマップ | 火砕流・溶岩流の予想範囲 |
| 防塵マスク・ゴーグル | 火山灰から目・気管支を守る |
| 上空風の方向 | 火山灰がどちらに流れるか |
大事: 火砕流 (高温の火山灰・ガス・岩のなだれ) は時速 100 km を超え、人間の足では絶対に逃げきれません。噴火警戒レベルが上がったら、早めに避難することが命を守る唯一の方法です。
緊急地震速報
気象庁は、震源近くの地震計で P 波を検知した瞬間に、各地に S 波到達までの時間と予想震度を自動で通知します。これが緊急地震速報です。
- スマホ・テレビ・防災ラジオで受信
- 発表から S 波到達まで数秒~数十秒
- 短い時間でも机の下にもぐる・火を消す対応が可能
8. 日本の火山と地震の特徴
日本に火山と地震が多い理由
日本列島の下では、4 枚のプレートが押し合っています。
| プレート | 場所 |
|---|
| 北アメリカプレート | 東日本 (陸側) |
| ユーラシアプレート | 西日本 (陸側) |
| 太平洋プレート | 太平洋側 (海側) |
| フィリピン海プレート | 南西側 (海側) |
海側のプレートが陸側のプレートの下に沈みこむ境界では、ひずみがたまり巨大地震が起こります (海溝型地震)。沈みこんだプレートが地下深くでとけてマグマができ、これが噴き出して火山ができます。
過去の主要な地震
| 年 | 地震名 | マグニチュード |
|---|
| 1923 | 関東大震災 | 7.9 |
| 1995 | 阪神・淡路大震災 | 7.3 |
| 2011 | 東日本大震災 | 9.0 |
| 2016 | 熊本地震 | 7.3 |
| 2024 | 能登半島地震 | 7.6 |
日本の主要な活火山
| 火山 | 場所 |
|---|
| 富士山 | 山梨・静岡 |
| 浅間山 | 群馬・長野 |
| 御嶽山 | 長野・岐阜 |
| 阿蘇山 | 熊本 |
| 桜島 | 鹿児島 |
9. ふりかえり
この章で学んだことを確かめましょう。
この章の安全配慮
- 地震が起きたらまず身の安全 (机の下・頭を保護)
- 海岸付近では地震後すぐ高台に避難 (津波の危険)
- 火山に登るときは噴火警戒レベルを確認、レベル 2 以上では入山禁止区域に入らない
- 火山ガス (二酸化硫黄・硫化水素) のにおいがしたらすぐにその場を離れる
- 非常持ち出し袋を準備し、家族で避難場所を共有しておく
- スマホで緊急地震速報を受信できるよう設定
- 校外学習で岩石を観察するときは、がけ・落石に注意し、ヘルメットを着用
次の章: 第 10 章では、火山の岩石の話をさらに広げて、地層と化石 から地球の長い歴史を読み解きます。