物質の状態
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この章で学ぶこと
第 5 章では、 中 1 ではじめて 「化学」 の領域に入ります。 身のまわりの 物質 を 「つぶ (粒子)」 の目で見直します。
- 物質 と 物体 のちがいを言える
- 物質の 3 つの状態 (固体・液体・気体) を区別できる
- 粒子モデル で状態と状態変化を説明できる
- 融点・沸点 を知り、 加熱のグラフを読める
- 蒸発・凝縮・凝固・融解・昇華 の 5 つの用語を言える
- 密度 (g/cm³) を計算でき、 浮き沈みを予想できる
- メスシリンダー で体積をはかれる
ポイント: 「物質がちがう」 と 「物 (=物体) がちがう」 は別のこと。 「ガラスのコップ」 と 「ガラスのびん」 は 物体 はちがうが 物質 (= ガラス) は同じです。
1. 物質と物体のちがい
| 物質 | 物体 | |
|---|---|---|
| 何か | 何でできているか (材料) | 形や用途 (もの自体) |
| れい | 鉄、 木、 ガラス、 プラスチック、 水 | くぎ、 つくえ、 コップ、 びん、 川 |
大事: 中学理科では 「鉄のくぎ」 「銅のはりがね」 のように、 「物質の名前 + 物体の名前」 で言う練習をします。
2. 物質の 3 つの状態
身のまわりの物質は、 温度や圧力によって 3 つの状態 をとります。
3 つの状態と性質
| 状態 | 形 | 体積 | 動きやすさ | れい |
|---|---|---|---|---|
| 固体 | 決まっている | 決まっている | 動かない | 氷、 鉄、 木、 食塩 |
| 液体 | 入れ物に合わせて変わる | 決まっている | 流れる | 水、 ジュース、 油、 アルコール |
| 気体 | ない (どこまでも広がる) | ない (容器に合わせる) | よく動く | 空気、 水蒸気、 二酸化炭素、 酸素 |
粒子モデルで説明
物質はどれも 小さな粒子 でできています。 状態のちがいは 粒子の集まり方 のちがいとして説明できます。
| 状態 | 粒子の様子 |
|---|---|
| 固体 | 粒子が 規則正しく 並び、 動かずふるえるだけ |
| 液体 | 粒子がくっついたまま 並び方を変える (流れる) |
| 気体 | 粒子が ばらばら に飛び回る (すきまが大きい) |
ポイント: 気体の状態では 粒子と粒子の間がすかすか。 だから気体はつよく押すと体積を減らせる (注射器やタイヤの空気)。 液体や固体はほとんど押しちぢめられない。
3. 状態変化 — 5 つの名前
温度を変えると、 同じ物質が状態を変えます。 これを 状態変化 と言います。 状態が変わっても 物質そのものは変わらず、 粒子の集まり方だけが変わります。
5 つの状態変化
| 名前 | どう変わるか | れい |
|---|---|---|
| 融解 | 固体 → 液体 | 氷がとける |
| 凝固 | 液体 → 固体 | 水がこおる |
| 蒸発 | 液体 → 気体 | 水が水蒸気になる |
| 凝縮 | 気体 → 液体 | 水蒸気がくもりになる、 結露 |
| 昇華 | 固体 ↔ 気体 | ドライアイスが直接気体に |
質量と体積の変化
状態変化で 「質量は変わらない」 が、 「体積は変わる」 ことがふつうです。
| 物質 | 状態変化 | 体積の変化 |
|---|---|---|
| 多くの物質 | 固体 → 液体 | わずかに ふえる |
| 水 (例外) | 固体 → 液体 | 減る (氷が水になると体積が約 11 分の 1 減る) |
| 多くの物質 | 液体 → 気体 | 約 1700 倍 にふえる |
大事: 水が氷になると 体積がふえる のはとても珍しい性質で、 このせいで冬に水道管が破裂します。 またこの性質があるからこそ、 池がこおっても 氷は上に浮き、 下の水中で魚が生きていられます。
4. 融点と沸点
固体がとけ始める温度を 融点、 液体がふっとうしはじめる温度を 沸点 と言います。
主な物質の融点と沸点
| 物質 | 融点 | 沸点 |
|---|---|---|
| 水 | 0 ℃ | 100 ℃ |
| 食塩 | 801 ℃ | 1485 ℃ |
| 鉄 | 1538 ℃ | 2862 ℃ |
| アルコール (エタノール) | -114 ℃ | 78 ℃ |
| 酸素 | -218 ℃ | -183 ℃ |
| ちっそ | -210 ℃ | -196 ℃ |
加熱中の温度グラフ
氷をガラスのビーカーに入れて、 ガスバーナーでゆっくり加熱していくと、 温度はつぎのように変わります。
| 時間 | 状態 | 温度 |
|---|---|---|
| 0 〜 数分 | 氷 (固体) | -10 ℃ → 0 ℃ まで 上がる |
| 数分間 | 氷と水 (融解中) | 0 ℃ で止まる |
| その後 | 水 (液体) | 0 ℃ → 100 ℃ まで 上がる |
| 数分間 | 水と水蒸気 (沸騰中) | 100 ℃ で止まる |
| その後 | 水蒸気 (気体) | 100 ℃ → さらに上がる |
大事: 融点や沸点では 状態変化が終わるまで温度が上がりません。 加えた熱が 状態を変えるために使われる からです。 これを 「融解熱・気化熱」 と言います (高校でくわしく)。
純物質と混合物
| 種類 | 性質 | れい |
|---|---|---|
| 純物質 | 融点・沸点が 1 つに決まる | 水、 食塩、 鉄 |
| 混合物 | 融点・沸点が 幅 (はば) をもつ | 食塩水、 空気、 ジュース、 みそ汁 |
融点や沸点を調べると、 「この物質は何か」 がわかります。 また混合物を沸点のちがいで分けることもできます (これを 蒸留 と言う、 第 6 章で学ぶ)。
5. 密度 — 物質を見分けるものさし
同じ体積の鉄とアルミニウムを持ちくらべると、 鉄の方がずっと重い。 この 「同じ体積あたりの質量」 を 密度 と言います。
密度の計算式
密度 (g/cm³) = 質量 (g) ÷ 体積 (cm³)
| 物質 | 密度 (g/cm³) |
|---|---|
| アルミニウム | 2.7 |
| 鉄 | 7.9 |
| 銅 | 9.0 |
| 金 | 19.3 |
| 木 (ヒノキ) | 約 0.4 |
| 水 | 1.0 (温度で多少変わる) |
| 油 | 約 0.9 |
| ガソリン | 約 0.7 |
浮くか沈むか
物が水に 浮くか沈むか は、 密度で決まります。
| 比較 | 結果 |
|---|---|
| 物質の密度 < 水の密度 (1.0) | 浮く |
| 物質の密度 > 水の密度 (1.0) | 沈む |
| 例 | 密度 | 結果 |
|---|---|---|
| 氷 | 0.92 | 浮く |
| 木 (ヒノキ) | 0.4 | 浮く |
| 油 | 0.9 | 浮く |
| プラスチック (PET) | 1.4 | 沈む |
| 鉄 | 7.9 | 沈む |
ポイント: 形がどうでも、 体積あたりの重さで浮き沈みが決まるのがふしぎ。 でも、 鉄の船が浮くのは 「中に空気を入れて全体の密度を 1.0 以下にしている」 から。
6. メスシリンダーで体積をはかる
液体や不規則な形の固体の体積をはかるには、 メスシリンダー を使います。
使い方の順番
| 番号 | やること |
|---|---|
| ① | 平らな場所に置く |
| ② | 水 (またははかる液体) を半分ぐらい入れる |
| ③ | 目を 目盛と同じ高さ にして読む |
| ④ | 水面がへこんで見える (= メニスカス) の 底 を読む |
不規則な固体の体積をはかる
| 番号 | やること |
|---|---|
| ① | メスシリンダーに水をある量 (例: 50 cm³) 入れておく |
| ② | はかりたい固体をそっと入れる (こぼさない) |
| ③ | 上がった水の量 (例: 56 cm³) を読む |
| ④ | 56 - 50 = 6 cm³ がその固体の体積 |
そのあと質量を電子てんびんではかり、 「質量 ÷ 体積」 で 密度 が出ます。 密度が 7.9 g/cm³ なら鉄、 2.7 ならアルミニウム、 と物質を 見分け ることができます。
7. 私たちの生活と状態変化
| 場面 | はたらく状態変化 |
|---|---|
| お風呂のフタにつく水滴 | 凝縮 (水蒸気 → 水) |
| 冬に窓がくもる | 凝縮 |
| 洗たく物がかわく | 蒸発 |
| 夏に打ち水をすると涼しい | 蒸発 (熱を奪う) |
| 冷凍庫で氷をつくる | 凝固 |
| ドライアイス (固体二酸化炭素) | 昇華 |
| 防虫剤 (ナフタレン・しょうのう) | 昇華 |
8. ふりかえり
この章で学んだことをふりかえりましょう。
- 物質 (材料) と 物体 (もの自体) を区別できる
- 固体・液体・気体 の性質と粒子の様子を言える
- 融解・凝固・蒸発・凝縮・昇華 の 5 つを区別できる
- 融点・沸点 で温度が止まる理由を説明できる
- 水の例外 (固体が液体より軽い) を言える
- 純物質 と 混合物 を区別できる
- 密度 = 質量 ÷ 体積 (g/cm³) を計算できる
- [ ]密度と水 (1.0 g/cm³) をくらべて浮き沈みを予想できる
- メスシリンダー で メニスカスの底 を目盛と同じ高さで読む
この章の安全配慮
- ガスバーナー の使い方を必ず先生から習う — ガス元栓 → マッチ → 空気調節ねじ → ガス調節ねじの順
- 換気 を必ずする — 加熱や蒸発で出る気体をこもらせない
- 引火注意 — エタノール (アルコール) は引火しやすい、 火の近くでフタを開けない
- 加熱した物にさわらない — ガラス・金属は火を止めてもしばらく熱い
- 沸騰石 を入れる — 突然ふっとうして飛び散る (= 突沸) を防ぐ
- ドライアイス・液体ちっそ に素手でさわらない — 凍傷 (とうしょう) の危険
- 保護メガネ をつける、 そでが広い服や長い髪はまとめる
次の章: 第 6 章からは 気体の性質 (酸素・二酸化炭素・水素・アンモニア) と 水溶液 (溶け方・飽和・再結晶) に進みます。 第 5 章で学んだ 粒子モデル を思い出しながら進めましょう。