この章で学ぶこと
第 2 章では、 身のまわりの 「光」 を物理の目で見直します。 鏡・水・凸レンズで光がどうふるまうかを学びます。
- 光の 直進 と 「光源」 の種類を知る
- 反射 のきまり (入射角 = 反射角) を言える
- 屈折 のきまりと 全反射 のしくみを知る
- 白色光 が 7 色に分かれる (分散) ことを知る
- 凸レンズ でできる 実像 と 虚像 を区別できる
- 強い光 (太陽・レーザー) を直視しない安全を守る
ポイント: 光は 見えるもの ではありません。 光が物に当たって、 そこから反射した光が目に入るから 「物が見える」 のです。 暗闇で何も見えないのは、 反射する光がないからです。
1. 光源と光の直進
自分で光を出すものを 光源 と言います。
光源の種類
| 光源の例 | くわしく |
|---|
| 太陽、 星 | 自然の光源 |
| ろうそくの火、 ランプ | ものが燃えて出す光 |
| 電球、 LED、 蛍光灯 | 電気で光を出す |
| ホタル、 一部の深海魚 | 生物が出す光 |
月や鏡は 光源ではない ことに注意。 月は太陽の光を反射して光って見えるだけです。
光の直進
何もさえぎる物がなければ、 光は まっすぐ進みます。 これを 光の直進 と言います。
| 例 | 観察されること |
|---|
| 雲のすきまから出る光 (薄明光線) | 太陽からまっすぐ線が見える |
| 暗い部屋で懐中電灯を横に持つ | ほこりが光の道を示す |
| 影ができる | 物が光をさえぎるため |
雲のすきまから差しこむ 薄明光線 (はくめいこうせん)。 光が何もさえぎられずに 直進 する様子が大気中のチリで見える例。
大事: 光が直進するからこそ、 物の後ろに 影 ができます。 太陽が 1 つでも、 影の形がはっきりするのは光が直進する証拠です。
2. 反射 — 鏡で光がはね返る
光が物の表面に当たってはね返ることを 反射 と言います。
入射角と反射角
鏡に光を当てると、 来た光と出ていく光の間にきまりがあります。
| 用語 | 意味 |
|---|
| 入射光 | 鏡に当たる前の光 |
| 反射光 | 鏡から出ていく光 |
| 法線 | 鏡の面に垂直な線 |
| 入射角 | 入射光と法線が作る角 |
| 反射角 | 反射光と法線が作る角 |
反射のきまり
入射角 = 反射角
入射する角と反射する角は 必ず等しい です。 これを 反射の法則 と言います。 鏡だけでなく、 水面・ガラス・金属の表面など、 すべての反射で成り立ちます。
鏡に映る像 (虚像)
鏡にうつる自分の姿は、 鏡の 後ろ にあるように見えます。 でも実際には鏡の後ろに自分はいません。 これを 虚像 と言い、 「光が集まって実際にできた像」 ではないのが特徴。
| 像の性質 | 鏡の場合 |
|---|
| 大きさ | 自分と同じ |
| 向き | 左右が反対 |
| 鏡からの距離 | 自分と同じ距離、 後ろがわ |
| 種類 | 虚像 |
乱反射
ざらざらした紙や砂に光を当てると、 反射光が いろいろな方向 に散らばります。 これを 乱反射 と言います。 紙や黒板が どこからでも見える のは乱反射のおかげです。
ポイント: 1 本ずつの光を見ると、 全部が 「入射角 = 反射角」 のきまりを守っています。 でも表面の凸凹がばらばらなので、 全体としてはばらつくのが乱反射です。
3. 屈折 — 水やガラスで光が曲がる
光が 空気から水・ガラスへ入る と、 さかい目で 進む向きが変わります。 これを 屈折 と言います。
屈折のしくみ
| 光の進む道 | 屈折の向き |
|---|
| 空気 → 水・ガラス | 法線に 近づく ように曲がる |
| 水・ガラス → 空気 | 法線から 遠ざかる ように曲がる |
入射角と区別して、 屈折したあとの角を 屈折角 と言います。
屈折で起こる不思議
- プールの水の中に入れた棒が 折れて見える (屈折で棒の先から来る光が曲がる)
- コップに水を入れると、 底のコインが 浮き上がって見える
- 魚を上からねらうと、 見える位置より少し下 に本物がいる
全反射
水から空気へ出ていく光で、 入射角がある角度 (臨界角) をこえると、 光は空気へ出られず、 全部が反射 して戻ります。 これを 全反射 と言います。
| 例 | 役割 |
|---|
| 光ファイバー (インターネットのケーブル) | 全反射で光を遠くまで伝える |
| ダイヤモンドのかがやき | 中で何度も全反射する |
| 水の中から上を見ると、 上の一部が鏡のように見える | 全反射 |
大事: 屈折と反射のちがい — 反射は 「同じ物質の中に戻る」、 屈折は 「ちがう物質に入る」。 ガラスの表面では 両方が同時に起こって いることも多い。
4. 光の色 — 白色光の分散
太陽光や電球の光は、 ふだん白く見えます。 これを 白色光 と言います。 でも、 プリズム (三角柱のガラス) を通すと、 白い光が 7 色に分かれます。 これを 分散 と言います。
白色光の 7 色
| 順番 | 色 | 屈折の度合い |
|---|
| 外がわ | 赤 | 小さい (あまり曲がらない) |
| ↓ | だいだい | |
| ↓ | 黄 | |
| ↓ | 緑 | |
| ↓ | 青 | |
| ↓ | あい | |
| 反対側 | 紫 (むらさき) | 大きい (よく曲がる) |
雨の後の にじ は、 空気中の水つぶがプリズムのはたらきをして、 白色光が分散されたものです。
プリズム で 白色光 を分散させたもの。 光が波長 (色) ごとに屈折の度合がちがうため、 7 色の スペクトル に分かれる (分散)。 雨上がりの にじ も同じしくみ。
物の色の見え方
リンゴが赤く見えるのはなぜでしょうか。
| 物の色 | しくみ |
|---|
| 赤いリンゴ | 赤だけを反射し、 ほかの色は吸収 |
| 緑のは | 緑だけを反射し、 ほかの色は吸収 |
| 白い紙 | すべての色を反射 |
| 黒い服 | すべての色を吸収 |
ポイント: 「赤いリンゴ」 は 「赤い光を出している」 のではありません。 「白い光が当たって、 赤だけが反射して目に届く」 から赤く見えるだけです。 暗闇ではどんなリンゴも黒く見えます。
5. 凸レンズでできる像
ルーペや眼鏡 (老眼鏡)、 カメラのレンズは、 中央がふくらんだ 凸レンズ でできています。
凸レンズの基本用語
| 用語 | 意味 |
|---|
| 光軸 | レンズの中心を通る真っすぐな線 |
| 焦点 | 光軸に平行な光が集まる点 (両がわに 1 つずつ) |
| 焦点距離 | レンズの中心から焦点までの距離 |
3 本の大事な光線
凸レンズで像を作図するとき、 つぎの 3 本を引けば必ず像が決まります。
| 光線 | 性質 |
|---|
| ① 光軸に平行な光 | レンズを出て 焦点 を通る |
| ② レンズの中心を通る光 | そのまま直進 |
| ③ 手前の焦点を通る光 | レンズを出て 光軸に平行 になる |
物の位置とできる像
物を焦点より遠くに置くか、 近くに置くかでできる像がちがいます。
| 物の位置 | できる像 | 大きさ | 向き | レンズのどちらがわ |
|---|
| 焦点距離の 2 倍より遠く | 実像 | 小さい | 上下・左右反対 | 反対がわ |
| 焦点距離の 2 倍の位置 | 実像 | 同じ | 上下・左右反対 | 反対がわ |
| 焦点と 2 倍の間 | 実像 | 大きい | 上下・左右反対 | 反対がわ |
| 焦点の上 | 像ができない (光が平行) | — | — | — |
| 焦点より近く | 虚像 | 大きい | 物と同じ向き | 物と同じがわ |
実像と虚像のちがい
| 実像 | 虚像 |
|---|
| 光が集まってできているか | はい (実際に光が集まる) | いいえ (光が集まるように見えるだけ) |
| スクリーンにうつるか | うつる | うつらない |
| 向き | 上下・左右反対 | 物と同じ向き |
| 例 | カメラ、 映写機 | ルーペ、 鏡 |
大事: ルーペで物が大きく見えるとき、 物を焦点より 近く に置いています。 できているのは 虚像。 だからルーペでうつした紙を 「スクリーン」 で受け取ることはできません。
6. 光と私たちのくらし
| 場面 | 使われている光の性質 |
|---|
| カーブミラー | 反射 |
| 自転車のリフレクター | 反射 (再帰反射) |
| 老眼眼鏡 | 凸レンズで虚像を作る |
| 近視眼鏡 | 凹レンズ (中心がへこんだレンズ) |
| カメラ | 凸レンズで小さな実像を作る |
| 顕微鏡・天体望遠鏡 | レンズを 2 つ組み合わせて大きく見せる |
| プリズム・にじ | 分散 |
| 光ファイバー | 全反射 |
7. ふりかえり
この章で学んだことをふりかえりましょう。
この章の安全配慮
- 太陽を絶対に直視しない (双眼鏡・望遠鏡で見るのも厳禁、 失明の危険)
- レーザーポインター を人や動物の目に向けない、 鏡で反射させない
- 鏡で太陽光を反射 させて人に向けない
- 凸レンズで太陽光を集めると 発火 する (虫めがねで紙をこがすあそびは火事の原因)。 実験が終わったら 必ずふたをする
- 暗い部屋で光の実験をするときは、 通り道に物を置かず、 つまずかないように
次の章: 第 3 章では 「音」 を学びます。 光と同じように 「波」 で伝わるが、 ちがいも多い。 大音量で耳を守ることを心得て始めましょう。