この章で学ぶこと
第 3 章で学んだ 米作り につづいて、 第 4 章では 野菜・果実・畜産 がさかんな地域 を学びます。 米とちがって、 野菜や果物 や肉・牛乳 は、 「作る場所」 と 「食べる場所」 がはなれていることが多く、 とどけるしくみや、 早出し・遅出しのくふうが大切になります。
- 近郊農業 = 大都市の近くで野菜を作る農業
- 促成栽培 = あたたかい地方 で、 ふつうより 早く 出荷
- 抑制栽培 = すずしい地方 で、 ふつうより 遅く 出荷
- 果実 は気候 で産地 が大きくちがう (りんご = 寒い地、 みかん = あたたかい地)
- 畜産 は 北海道 と 九州 が中心
- 日本の 食料自給率 は 4 割ほどと低く、 多くを外国 から輸入 している
- 産地 の名前と特産品 をセットでおぼえる
ポイント: 「米は北、 野菜は都市 のそば、 果物 と畜産は気候 に合わせた地方」 — この 適地適作 の考え方を知ることが、 この章の一番のねらいです。
1. 近郊農業 — 大都市のそばで作る
野菜は 新鮮度 がいのち。 とれたてが一番おいしく、 しおれやすい葉物 (ほうれん草・小松菜・キャベツなど) はとくに 早く食卓にとどける ことが大切です。 そのため、 大都市の すぐそば で作られることが多く、 これを 近郊農業 と呼びます。
近郊農業 がさかんな地方
| 大都市圏 | 主な産地 (県) | よく作られる野菜 |
|---|
| 東京周辺 (関東) | 千葉・茨城・埼玉・群馬 | キャベツ・ほうれん草・ねぎ |
| 大阪周辺 (近畿) | 兵庫・和歌山・滋賀 | 玉ねぎ・しょうが・キャベツ |
| 名古屋周辺 (中部) | 愛知・岐阜 | キャベツ・トマト・いちご |
近郊農業 の良い点
- 大都市との きょりが近い ので、 トラックで 数時間 でとどく
- 新鮮 なまま売れる → 値段 が安定 しやすい
- 輸送費 が安くすみ、 二酸化炭素 の出る量も少ない
- つぶれやすい野菜 (トマト・いちご) も出荷 しやすい
課題
- 大都市が広がるにつれて、 農地 が減って いる
- 後継者不足 (農家 の子どもが後をつがない)
- 都市 と農地 がとなりあうため、 害虫対策 や 農薬 の使い方に気を配る必要 がある
2. 促成栽培 と 抑制栽培 — 「ずらす」 くふう
野菜はふつう、 それぞれの季節 に多くとれます。 でも、 「ほかの産地 が少ない時期」 に出荷 できれば、 高値 で売れます。 この時期 を ずらす くふうが、 促成栽培 と 抑制栽培 です。
促成栽培 — 早く出荷
- あたたかい地方 で、 ビニールハウスを使い、 ふつうより 早く そだてて出荷 する
- 代表的な産地:
- 高知平野 (四国南部) — なす・ピーマン・トマト・きゅうり
- 宮崎平野 (九州南東) — きゅうり・ピーマン
- ふつうの産地 が 冬には出荷 できない 時期 に、 あたたかい地方 から送る → 高値 で売れる
抑制栽培 — 遅く出荷
- すずしい地方 (山の上や北国) で、 ふつうより 遅く そだてて出荷 する
- 代表的な産地:
- 長野県 (高原) — レタス・キャベツ・はくさい
- 群馬県嬬恋村 — キャベツ
- 平地の産地 が 夏の暑さで出荷 できない 時期 に、 すずしい高原 から送る
写真は 群馬県嬬恋村 のキャベツ畑 (奥は 浅間山)。 すずしい高原 で夏に 抑制栽培 をし、 平地の産地 が少ない時期 に出荷 する。
表で見るちがい
| くふう | 場所 | 時期 | 主な野菜 |
|---|
| ふつう栽培 | 全国 | その季節 | 季節 の野菜 |
| 促成栽培 | あたたかい地方 | 早く (冬 〜 春) | なす・ピーマン・きゅうり |
| 抑制栽培 | すずしい地方 | 遅く (夏 〜 秋) | レタス・キャベツ |
覚え方: 「早く出す = 促 (すすめる)」 「遅く出す = 抑 (おさえる)」 と漢字 の意味 から思い出せます。
3. 果実 (くだもの) の産地
果物 は 気候 によって育つ種類 が大きく変わります。 寒い地方 で育つもの、 あたたかい地方 で育つもの、 ちょうどまん中ぐらいで育つもの、 と大きく 3 つに分かれます。
主な果実 と産地
| 果物 | 主な産地 | 気候 |
|---|
| りんご | 青森・長野 | 寒冷 な地方 |
| みかん | 和歌山・愛媛・静岡 | あたたかい地方 |
| ぶどう | 山梨・長野・岡山 | 雨が少なく、 日射しが強い地方 |
| もも | 山梨・福島 | 夏の気温差が大きい地方 |
| なし | 千葉・鳥取 | 関東 や山陰 の平地 |
| さくらんぼ | 山形 | 春がおそく、 夏が短い地方 |
| パイン (パイナップル) | 沖縄 | 熱帯 に近い気候 |
産地 のくふう
- 袋かけ = 1 つ 1 つの果実 に紙のふくろをかけ、 虫や雨から守る (りんご・もも)
- 摘果 = よくない実をとって、 残した実に栄養 を集める
- ブランド化 = 「ふじ (りんご)」 「ピオーネ (ぶどう)」 「紅まどんな (みかん)」 など、 産地 と品種 を結びつけて高級品 として売る
ポイント: りんごとみかんの産地 が 「日本の北と南」 ではっきり分かれていることを必ずおぼえましょう。
4. 畜産 — 動物 を育てるしごと
畜産 は、 牛・ぶた・にわとりを育てて、 肉・牛乳・たまごを食卓 にとどけるしごとです。 大きな土地と、 えさ (しりょう) がたくさん必要 なので、 広い牧場 が作れる地方 がさかんです。
畜産 の 4 つの種類
| 種類 | 育てる動物 | 取れるもの | 主な産地 |
|---|
| 酪農 | 乳牛 | 牛乳・チーズ・バター | 北海道 (とくに根釧台地)・岩手 |
| 肉牛 飼育 | 肉牛 | 牛肉 | 北海道・鹿児島・宮崎 |
| 養豚 | ぶた | ぶた肉 | 鹿児島・宮崎・千葉 |
| 養鶏 | にわとり | たまご・とり肉 | 茨城・千葉・鹿児島 |
北海道が 酪農 の中心であるわけ
- 広い平地 (根釧台地・十勝平野) があり、 牧草 がたくさん育つ
- すずしい気候 が、 乳牛 (おもにホルスタイン種) に合う
- 都市 から遠いので、 大きな牧場 が作りやすい
- 冷蔵輸送 の発達 で、 全国 へ牛乳 を送れるようになった
九州南部 (鹿児島・宮崎) で畜産がさかんなわけ
- シラス台地とよばれる 火山灰の土地 で、 米や野菜が育ちにくい → 牧場 に向いている
- あたたかくて、 1 年を通じて動物 が元気
- 全国 1・2 位の肉牛・ぶた・にわとりの産地 となっている
ブランド牛と 飼料
- ブランド牛 = 「黒毛和牛」 「松阪牛」 「神戸牛」 など、 育て方と産地 をきめて高級品 として売る
- 飼料 (しりょう = えさ) は、 大部分 が 外国 からの輸入 (とうもろこし・大豆) → 円安や戦そうで値段 が上がると、 肉や 牛乳 の値段 も上がる
5. 産地 のくふうと 食料自給率
食料自給率 とは
「日本の食べ物のうち、 国内で作られた物が占める割合」 をいいます。 2020 年ごろのカロリー計算では 約 38 % と低く、 6 割以上を外国 から輸入 していることになります。
品目別自給率 (おおよそ)
| 品目 | 自給率 (約) | コメント |
|---|
| 米 | 100 % | ほぼ国内でまかなえる |
| 野菜 | 80 % | 多くは国内産だが、 玉ねぎやにんじんは輸入 も多い |
| 果実 | 40 % | バナナ・パイン・キウイなど輸入 が多い |
| 肉類 | 50 % | ぶた肉・とり肉は国内多、 牛肉は輸入 も多い |
| 小麦 | 15 % | ほとんどが外国 からの輸入 |
| 大豆 | 7 % | 9 割以上が輸入 |
なぜ 食料自給率 は低いのか
- 田畑 が減っている (都市化、 後継者不足)
- 食生活 が 西洋化 し、 小麦 や肉、 油を多く食べるようになった
- 外国産の方が 値段 が安い
産地 と消費者 をつなぐくふう
- 産直 = 産地 から消費者 へ直接 とどけるしくみ (ネット通販・ふるさと納税・道の駅)
- 地産地消 = その地方 で作った物を、 その地方 で食べる取り組み
- 食育 = 学校給食 で地元産の食材を使う、 食べ物の大切さを学ぶ
- 農業体験 = 田植えやいもほりを実際 にやって、 産地 への関心 を育てる
ポイント: 地産地消 は、 輸送距離 が短く二酸化炭素 が出にくいので、 SDGs の 「12 つくる責任 つかう責任」 「13 気候変動に具体的 な対策 を」 にもつながります。
まとめ
- 第 4 章では、 野菜・果実・畜産 がさかんな地域 とくふうを学びました
- 近郊農業 = 大都市のそば、 促成栽培 = あたたかい地方 で早出し、 抑制栽培 = すずしい地方 で遅出し
- 果実 は 気候 で産地 が決まる (りんご = 寒、 みかん = 暖)
- 畜産 は 北海道 (酪農) と 九州南部 (肉牛・ぶた・とり) が中心
- 日本の 食料自給率 は 約 4 割 と低く、 多くを輸入 にたよっている
- 地産地消 や 産直 は産地 と消費者 をつなぐ大切なしくみ
次の章では: 第 5 章で 水産業 を学び、 食料生産 の学習を完結 させます。 そして第 6 章からは 工業 へと学びを広げていきます。
安全 と マナー の約束
野菜や果物 の産地、 牧場 を見学 させてもらう時は、 つぎのことを必ず守りましょう。
- 勝手に畑や牧場 に入らない — 育てている農家 さんの大切な場所
- 動物 に急に近づかない — 牛・ぶた・にわとりはおどろくとあばれたり、 病気をうつし合ってしまう心配があります
- 手消毒 を必ずする — 牧場 に入る前と出る前。 家畜 の病気 (鳥インフルエンザ・口蹄疫 など) を広げないため
- 農薬 の看板 がある畑 には入らない、 さわらない
- ハウスのビニールや機械 を さわらない — 中はとても暑かったり、 機械 が急に動いたりする
- たべもののごみを残さない — 野生動物 が寄ってきて、 病気を広げる原因 になる
- 写真 をとる時は一言 — 農家 さんや動物 をとる時は必ず許可 をもらう
産地 を見学することは、 食べ物の大切さを知るいちばんの学びです。 マナーを守って、 農家 さんのくらしを体験 させてもらいましょう。
まとめ — 野菜・果実・畜産 のさかんな地域を 3 行で
- 大都市のそばで野菜を作る 近郊農業、あたたかい地方で早出しする 促成栽培、すずしい地方で遅出しする 抑制栽培 がある。
- 果実は気候で産地が大きく変わる。りんごは寒い地、みかんはあたたかい地で作られる。
- 畜産 は 北海道(酪農)と 九州南部が中心。日本の 食料自給率 は約 4 割と低く、地産地消 が大切。