この章で学ぶこと
第 6 章は、 日本の 工業 の中でとくにさかんな 自動車工業 を学びます。 第 5 章までの 「食料 を作るしごと」 (農業・水産業) から、 「工業 = 物を作るしごと」 へと学習 がひろがります。
- 自動車 ができるまでの 5 つの流れ (プレス → 溶接 → 塗装 → 組み立て → 検査) を知る
- 自動車工業がさかんな 中京工業地帯 の場所 と強み を知る
- 組立工場 と 関連工場 がどのように協力 しているかを知る
- ジャストインタイム方式 の良い点と弱い点を考える
- ハイブリッド車・電気自動車 など環境 にやさしい車へのくふうを知る
- 自動車会社の 海外進出 と 貿易 のつながりを知る
- 工場を見学 する時の 安全 のきまりを身につける
ポイント: 自動車 1 台には 約 3 万個 の 部品 が使われています。 これらをすべて 1 つの工場で作ることはできません。 たくさんの工場が つらなって 1 台の車を作る — このしくみこそが、 日本の工業のとくちょうです。
1. 自動車ができるまでの 5 つの工程
自動車は、 組立工場 とよばれる大きな工場で、 つぎの 5 つの工程 を通って作られます。
5 つの工程 のながれ
| 順番 | 工程 | すること | 使う機械 |
|---|
| ① | プレス | 鉄板を機械 でおして、 ドアや屋根 の形にする | プレス機 |
| ② | 溶接 | 部品 と部品 を強い熱でくっつける | 溶接ロボット |
| ③ | 塗装 | ボディに色をぬる。 何層 もかさねる | 塗装ロボット |
| ④ | 組み立て | エンジン・座席・タイヤ・電子部品 を取り付ける | 人とロボットの共同 |
| ⑤ | 検査 | 走行・ブレーキ・水漏れなどを 1 台 1 台確かめる | 検査機・人の目 |
工程 の中で 「人」 と 「ロボット」 の役割
大事: ① プレス・② 溶接・③ 塗装 は 重い物・高温・有害 な物 が出るため、 ロボット が中心 になって行います。 ④ 組み立て・⑤ 検査 は 細かい注意 と判断 が必要 なため、 人 が中心 となります。
「ライン生産」 とは
組立工場では、 車がベルトコンベアに乗って、 流れるように進んでいきます。 各各々 の場所 で、 担当 の人とロボットが自分 のしごとを 1 つずつこなしていきます。 これを ライン生産 と言います。
自動車の ライン生産。 車がベルトコンベアに乗って流れ、 各所 で人とロボットが 1 つずつしごとをして組み立てていく (海外 の組立工場の例)。
| ライン生産 の良い点 | ライン生産 の注意点 |
|---|
| 同じ型の車を 早くたくさん 作れる | 1 か所が止まると 全体 が止まる |
| 担当 が決まっていて 品質 がそろう | 同じしごとのくりかえしで 疲れ がたまる |
2. 自動車工業がさかんな地域
日本で自動車を一番多く作っているのは、 中京工業地帯 です。
中京工業地帯とは
| 項目 | くわしく |
|---|
| 場所 | 愛知県・岐阜県・三重県 (東海地方) |
| 中心都市 | 名古屋市・豊田市 (愛知県) |
| 特ちょう | 自動車工業 が中心。 出荷額 は日本で 第 1 位 |
| 理由 | ① 平野 が広く工場を建てやすい ② 港が近く部品 と完成車を運びやすい ③ 関連工場が集まっている |
主な工業地帯・工業地域のイメージ
太平洋側 には、 工業地帯と工業地域が おびのように つながっています。 これを 太平洋ベルト と言います (くわしくは第 7 章で学びます)。
| 北から南 | 名前 | 中心 となる工業 |
|---|
| 関東 | 京浜工業地帯 | 機械・出版・印刷 |
| 関東 | 京葉工業地域 | 化学・石油 |
| 東海 | 中京工業地帯 | 自動車 |
| 近畿 | 阪神工業地帯 | 金属・機械 |
| 瀬戸内 | 瀬戸内工業地域 | 化学・造船 |
| 九州 | 北九州工業地帯 | 鉄鋼 (昔が中心) |
大事: 自動車工業は 中京工業地帯 が中心 ですが、 関東 (神奈川県・群馬県) や九州 (福岡県) でも自動車工場がひろがっています。
3. 組立工場と関連工場のつながり
自動車 1 台に使われる 部品 は 約 3 万個。 このすべてを 組立工場 が 1 つで作るのは不可能 (ふかのう) です。 そこで、 関連工場 が部品 を作って、 組立工場に運びます。
関連工場のしくみ
組立工場を中心 に、 関連工場が ピラミッド のようにつながっています。
| 段階 | よびかた | 作るもののれい |
|---|
| 1 | 組立工場 | 自動車そのもの |
| 2 | 第 1 次関連工場 | エンジン、 ブレーキ、 シートなど大きな部品 |
| 3 | 第 2 次関連工場 | エンジンの中の細かい部品、 ボルト、 ねじ |
| 4 | 第 3 次関連工場 | さらに小さい部品 や材料 |
ポイント: 1 台の自動車を作るために、 何千もの関連工場 が関わっています。 自動車工業は 多く の人のしごとを支える 大きな産業 です。
ジャストインタイム方式 とは
関連工場が部品 を組立工場に運ぶとき、 「必要 なものを、 必要 な時に、 必要 な数だけ」 運ぶしくみを ジャストインタイム方式 と言います。
| 良い点 | 弱い点 |
|---|
| 工場に 在庫 をたくさん置かなくてよい | 関連工場で 事故 や災害 が起きると、 組立工場も止まる |
| むだなお金 が出ない | 道路の 渋滞 で部品 が届かないことがある |
| 新しい部品 にすぐ切りかえられる | 大き な災害 で 広い範囲 に影響 が出る |
大事: 2011 年の東日本大震災で、 多く の関連工場がこわれました。 そのため、 全国 の組立工場が 数か月 止まってしまいました。 ジャストインタイム方式 はべんりですが、 災害 に弱い ことも知っておきましょう。
4. 安全 と環境 へのくふう
自動車はべんりな一方 で、 事故 や 空気 のよごれ などの問題 も起こします。 自動車会社は、 これらを解決 するためにいろいろなくふうをしています。
安全 へのくふう
| くふう | はたらき |
|---|
| エアバッグ | ぶつかったときふくらんで体を守る |
| シートベルト | 体を座席 に固定 する |
| 衝突被害軽減ブレーキ | 前の車や人をセンサーが見つけ、 自動 でブレーキ |
| ABS | 強くブレーキをふんでもタイヤがロックしない |
| チャイルドシート | 小さい子を大人用シートベルトの代わりに守る |
環境 へのくふう
ふつうの自動車は、 ガソリン を燃料 として走り、 排気ガス (はいきがす) を出します。 排気ガスには 二酸化炭素 など環境 に良くない気体 がふくまれています。
| 種類 | 燃料 | 特ちょう |
|---|
| ガソリン車 | ガソリン | 昔からの車。 排気ガスが出る |
| ハイブリッド車 | ガソリン + 電気 | エンジンとモーターの両方 を使う。 燃費 が良い |
| 電気自動車 | 電気だけ | 排気ガスを出さない。 充電 が必要 |
| 燃料電池車 | 水素 | 出るのは 水 だけ。 ガスステーションがまだ少ない |
大事: 自動車会社は、 二酸化炭素 を出さない車を増やすことで、 地球温暖化 を防ごうとしています。 これは第 9 章で学ぶ 「SDGs」 (持続可能 な社会) につながる取り組みです。
5. 海外進出 と貿易
日本で作られた自動車の多く は、 輸出 されて、 世界中で走っています。 また、 日本の自動車会社は、 海外 にも工場 を持ち、 げん地で車を作っています。 これを 現地生産 と言います。
輸出 と現地生産
| 方法 | くわしく | 良い点 |
|---|
| 輸出 | 日本で作った車を船で海外 に送る | 日本で多くの人がはたらける |
| 現地生産 | 海外 の工場で車を作る | げん地の人がはたらけ、 関税 がかからない |
なぜ海外工場が必要 か
| 理由 | くわしく |
|---|
| 関税 を防ぐ | 国によっては、 海外 から入ってくる車に高い税をかける |
| 貿易摩擦 を減らす | 1980 年ごろ、 日本車が売れすぎてアメリカで問題 になった |
| げん地の人を雇う | げん地の経済 に役立つ |
| げん地の好み に合わせる | 国によって道路・気候 がちがう |
ポイント: 日本の自動車会社は、 アメリカ・中国・タイ・インド・ヨーロッパなど世界中に工場を持っています。 国と国のつながりの中で、 自動車工業は大きな役割 を果たしています。
自動車工業のこれから
| 課題 | くふう |
|---|
| 二酸化炭素 を減らしたい | 電気自動車・燃料電池車 を増やす |
| 事故 を減らしたい | 自動運転 の開発 |
| 高齢者が安全 に運転 したい | 衝突防止 や駐車 の補助 |
| 部品 が不足 しても作りたい | 在庫 の持ち方を見直 す |
6. ふりかえり
- [ ]自動車 がプレス・溶接・塗装・組み立て・検査 の 5 つの工程 で作られることを言える
- [ ]組立工場 と 関連工場 がピラミッド状につながっていることを言える
- [ ]ジャストインタイム方式 の良い点と弱い点を 1 つずつ言える
- [ ]中京工業地帯 が自動車工業の中心 であることを言える
- [ ]ハイブリッド車 と 電気自動車 のちがいを説明 できる
- [ ]現地生産 の理由 を 2 つ以上言える
- [ ]自動運転 など未来 の車へのくふうを 1 つ言える
この章の安全配慮 (工場見学 のマナー)
自動車工場を見学 する機会 があるかもしれません。 つぎのきまりを必ず守りましょう。
- 機械 やロボットに絶対 に触らない (動いている機械 は大けがのもと)
- 指定 の通路 から出ない (フォークリフトや部品運搬車が通る)
- 写真 や動画 は許可 された場所 だけ (営業上の秘密 がある)
- 走らない・大きな声を出さない (作業 のじゃまになる、 危険物にぶつかる)
- 黄色 の線の内側 にいる (案内 の人の指示 に必ず従う)
- ヘルメット をかぶるよう言われたら必ずかぶる
- 熱い部品 や工具 には触らない (溶接 や塗装 で温度 が高い)
- 質問 は 見学 の終わり にまとめてする (作業中の人を止めない)
次の章: 第 7 章では、 自動車以外 の 鉄鋼・機械・化学 などの工業と、 日本の工業を支える 中小工場 の役割 を学びます。 太平洋ベルト に工業が集まる理由 も見ていきましょう。
まとめ — 自動車工業のさかんな地域を 3 行で
- 自動車 は プレス → 溶接 → 塗装 → 組み立て → 検査 の 5 つの工程で作られる。
- 組立工場 を中心に 関連工場 がピラミッド状につながり、必要な部品を必要なときに届ける ジャストインタイム方式 で作る。
- 中心地は 中京工業地帯。地球環境を考えて ハイブリッド車 や 電気自動車、自動運転 の開発が進んでいる。