この章で学ぶこと
第 7 章は、 自動車以外 の工業を学びます。 鉄鋼・機械・化学 など、 大きな工場で作られる物と、 日本の工業を下で支える 中小工場 の役割 がテーマです。
- 工業を 4 つの分野 (機械・金属・化学・繊維食品) に分けて知る
- 重工業 と 軽工業 のちがいを知る
- 工業地帯と工業地域が 太平洋ベルト に集まっている理由 を知る
- 製鉄所 や 石油化学コンビナート がどんなしくみかを知る
- 中小工場 の 高い技術 と 伝統工芸 の良さを知る
- 日本の工業がこれからどう変わっていくかを考える
ポイント: 自動車工業だけが工業ではありません。 鉄鋼・化学・電子・食品・伝統工芸 など、 さまざまな工業が つながり合って 日本の産業 を支えています。
1. 工業の 4 つの分野
工業は、 作る物の種類 で大きく 4 つ に分けられます。
工業の 4 分野
| 分野 | 作る物のれい | 特ちょう |
|---|
| 機械工業 | 自動車・電子機器・パソコン | 日本の工業出荷額の 約半分 |
| 金属工業 | 鉄・アルミニウム・銅 | 機械 や建物 の材料 |
| 化学工業 | プラスチック・薬・肥料 | 石油 や天然 ガスを原料 にする |
| 繊維工業 と 食品工業 | 服の布・パン・しょう油 | 生活 に身近な物を作る |
重工業 と 軽工業
工業は、 重さ でも 2 つに分けられます。
| 種類 | ふくまれる工業 | れい |
|---|
| 重工業 | 機械・金属・化学 | 自動車・鉄・プラスチック |
| 軽工業 | 繊維・食品 | 服・パン・おかし |
大事: 昔 (明治時代) の日本は 軽工業 (糸や布) が中心 でした。 戦後 (1950 年ごろから) は 重工業 (鉄や機械) が中心 になり、 今は 機械工業 (自動車・電子) が一番大きい分野 です。
2. 工業地帯と工業地域 — 太平洋ベルト
日本の工業がさかんな場所 を地図 で見ると、 太平洋側 に帯 (おび) のようにつながっていることがわかります。 これを 太平洋ベルト と言います。
太平洋ベルトの場所
太平洋ベルトは、 関東地方 の南から九州北部 まで、 太平洋側 と瀬戸内海に沿って続いています。
| 地方 | 工業地帯・地域 |
|---|
| 関東 | 京浜工業地帯・京葉工業地域・北関東工業地域 |
| 東海 | 中京工業地帯・東海工業地域 |
| 近畿 | 阪神工業地帯 |
| 瀬戸内 | 瀬戸内工業地域 |
| 九州 | 北九州工業地帯 |
なぜ太平洋側 に集まるのか
| 理由 | くわしく |
|---|
| 港がある | 原料 や製品 を船で運びやすい |
| 平野 が広い | 大きな工場を建てる場所 がとれる |
| 大都市が近い | はたらく人が多く、 できた物をすぐ売れる |
| 電気 や水がそろう | ダム・発電所から安定 して届く |
| 道路・新幹線 が通っている | 部品 や完成品を早く運べる |
ポイント: 工業地帯とは 「昔から工業がさかんな場所」、 工業地域とは 「戦後 に新しく発展 した場所」 と覚えるとわかりやすいです。
写真は 君津製鉄所 (千葉県)。 製鉄所 は、 原料 や製品 を船で運べる 海ぞいの港のそば につくられ、 溶鉱炉 や工場がならぶ。
内陸 へ広がる工業
最近 は、 太平洋ベルト以外 の 内陸部 にも工業が広がっています。
| 場所 | 中心 となる工業 |
|---|
| 北関東工業地域 (群馬・栃木・茨城) | 自動車・電子機器 |
| 東北自動車道沿い | 半導体・電子 |
大事: 内陸 に工業が広がった理由 は、 高速道路 が整備 され、 トラックで部品 や完成品を運びやすくなったためです。
3. 鉄鋼工業と化学工業
製鉄所 のしくみ
鉄鋼 は、 自動車・船・建物・線路 などあらゆる物の材料 となる、 工業の 基本 です。 鉄を作る工場を 製鉄所 と言います。
| 工程 | すること |
|---|
| ① 原料 を入れる | 鉄鉱石 と 石炭 を高い炉 (ろ) に入れる |
| ② 高炉 でとかす | 1500 ℃ 以上 の熱で鉄をとかす |
| ③ 不純物を取り除く | 別の炉でよごれを取る |
| ④ 形を整える | 板・棒・パイプなどに成形 する |
大事: 日本の製鉄所は 海岸沿い にあります。 理由 は、 鉄鉱石 と 石炭 を オーストラリアやブラジル から船で運ぶためです。 千葉県や兵庫県に大きな製鉄所があります。
石油化学コンビナート とは
化学工業 では、 石油 を原料 としてプラスチック・薬・肥料・合成繊維 などを作ります。 化学工場が 集まっている場所 を 石油化学コンビナート と言います。
| 場所 | 県 |
|---|
| 京葉 | 千葉県 |
| 四日市 | 三重県 |
| 水島 | 岡山県 |
| 周南 | 山口県 |
| 大分 | 大分県 |
なぜ 「コンビナート」 と言うのか
「コンビナート」 は、 「結び合わせる」 という意味 のロシア語です。 化学の工場では、 1 つの工場で作られる物が別の工場の 原料 になる ことが多いため、 工場が パイプでつながって います。 だから 1 か所に集まっている方が むだがない のです。
ポイント: 石油化学コンビナート は 海岸沿い にあります。 これも製鉄所と同じで、 原料 の石油 を 中東 から船で運んでくるためです。
4. 中小工場と伝統工芸
大工場 と 中小工場 のちがい
工場は、 はたらく人の数で 「大工場」 と 「中小工場」 に分けられます。
| 種類 | はたらく人数 | わり合い (工場の数) | わり合い (出荷額) |
|---|
| 大工場 | 300 人以上 | 約 1 % | 約 50 % |
| 中小工場 | 300 人未満 | 約 99 % | 約 50 % |
大事: 工場の数では 99 % が 中小工場 なのです。 大きな工場は目立ちますが、 日本の工業を支えているのは 数の多い中小工場 なのです。
中小工場の役割
| 役割 | くわしく |
|---|
| 大きな工場の部品 を作る | 自動車・電子機器 のねじや部品 |
| 高い技術 を持つ | 大きな工場では作れない細かい物を作る |
| 伝統工芸 を守る | 漆器・焼き物・染め物・刃物 |
| 新しい産業 を生み出す | 小さい会社が大きな発明 をする |
高い技術 を持つ中小工場のれい
| 技術 | くわしく |
|---|
| 0.001 mm の精度 | 髪の毛の 100 分の 1 まで正確 に作るねじ |
| 薄い金属 の板 | 缶ジュースの缶ほど薄い板を折る |
| 光を通すガラス | 望遠鏡や顕微鏡のレンズ |
伝統工芸
日本各地には、 何百年も続く 伝統工芸 があります。 多くは 小さい工房 で、 親から子へ技術 が受け継が れてきました。
| 地方 | 伝統工芸 | 特ちょう |
|---|
| 石川県 | 輪島塗 | 漆 (うるし) をぬった食器 |
| 岩手県 | 南部鉄器 | 鉄で作った鉄瓶 |
| 京都府 | 西陣織 | 美しい模様 の絹の布 |
| 岐阜県 | 美濃焼 (みのやき) | うつわ・茶わん |
| 新潟県 | 燕三条の金物 | はさみ・包丁・スプーン |
大事: 伝統工芸は、 ① 後継者 (あとつぎ) 不足、 ② 値段 が高い、 ③ 海外 の安い物との競争 などの課題 があります。 伝統を守るため、 国や県が 伝統的工芸品 に指定 して守っています。
5. 日本の工業のこれから
日本の工業は、 戦後 に大きく発展 しましたが、 いまいくつかの課題 があります。
工業の課題
| 課題 | くわしく |
|---|
| 産業の空洞化 (くうどうか) | 工場が海外 に移り、 国内の工場が減る |
| 後継者不足 | 中小工場・伝統工芸で若い人が集まらない |
| エネルギー不足 | 石油 や天然 ガスはほとんど 輸入 に頼る |
| 環境問題 | 二酸化炭素 や公害 への心配 |
| 自動化 と雇用 | ロボットが増えて、 人のしごとが減る |
工業の新しい動き
| 動き | くわしく |
|---|
| ロボット の利用 | 危険 なしごとや重い物の持ち上げ |
| 3D プリンター | 設計図から直接立体 を作る |
| 環境 にやさしい工程 | 二酸化炭素 を出さない鉄作り |
| 再生可能エネルギー の利用 | 太陽光・風力で工場を動かす |
| 半導体 の国内生産** | パソコンやスマホの心臓部を日本で作る |
ポイント: 工業は 時代 とともに形を変え てきました。 これからの工業は、 環境 にやさしく、 高い技術 を生かし、 海外 と協力 する 方向 へ進んでいきます。
6. ふりかえり
- [ ]工業が 機械・金属・化学・繊維食品 の 4 分野 に分けられることを言える
- [ ]重工業 と 軽工業 のちがいを言える
- [ ]太平洋ベルト に工業が集まる理由 を 2 つ以上言える
- [ ]製鉄所 と 石油化学コンビナート が海岸沿いにある理由 を言える
- [ ]中小工場 が工場数の 99 % を占めることを言える
- [ ]伝統工芸 のれいを 1 つ以上言える
- [ ]産業の空洞化 が何かを言える
この章の安全配慮 (大工場での安全)
製鉄所や石油化学コンビナートなど大きな工場を見学 するときは、 自動車工場以上 に注意 が必要 です。
- 重量物 (おもさのある物) に近づかない — 鉄の板やパイプは 1 t 以上。 落ちてきたら大けが
- 高温 の場所 に入らない — 高炉 (こうろ) は 1500 ℃。 近くに行くだけでやけどの危険
- 危険物の表示 を必ず守る — ガス・薬品・電流 のマークに従う
- ヘルメットと安全靴を必ずはく — 上からの落下物・ 下でのつまずきから守る
- 走らない・歩きスマホしない — 大きな機械 が動いている
- 黄色 や赤の線を越えない — 危険区域のしるし
- 耳栓 をしてと言われたら必ずする — 機械音で耳をいためる
- 化学物質 に触れない・においを嗅がない — 体に害がある物が多い
- 緊急時は案内 の人の指示 に従う — 自分 で判断 せずすぐ従う
次の章: 第 8 章では、 工業から少し視点 を変えて、 情報 が私たちの暮らしと産業 をどう支えているかを学びます。 マスメディア・物流・SNS がテーマです。
まとめ — 鉄鋼・機械・化学と 中小工場 を 3 行で
- 工業は機械・金属・化学・繊維・食品の分野に分かれ、重工業 と 軽工業 がある。
- 海ぞいに 製鉄所 や 石油化学コンビナート が並ぶ 太平洋ベルト に大工場が集まる。
- 数では 中小工場 が工場の 99% を占め、高い技術や 伝統工芸 で日本の工業を支えている。