この章で学ぶこと
この章では、角柱と円柱の体積の求め方を学びます。5年生では、直方体と立方体の体積を たて × よこ × 高さ で求められるようになりました。6年生では、この考え方を 三角柱・五角柱・円柱 など、もっといろいろな柱の形に広げていきます。
この章が終わるころには、つぎのことができるようになっています。
- 直方体の「たて × よこ」を 底面積 としてとらえ直せる
- 角柱・円柱の体積 = 底面積 × 高さ の公式を使える
- 三角柱・四角柱・五角柱 など、さまざまな角柱の体積を計算できる
- 円柱の体積を、円の面積の公式と組み合わせて計算できる
- 複合立体(組み合わさった立体)の体積を、足し算・引き算で求められる
ポイント: この章のキーワードは「底面積 × 高さ」のひとこと。どんな柱の立体も、底面の形がちがうだけで、計算のしくみは全部同じです。5 年生で学んだ直方体の体積を、見方を変えて広げていきます。
1. 直方体の体積を、見方を変えてみよう
まずは 5 年生の復習からです。
たて 3cm、よこ 4cm、高さ 5cm の直方体の体積は、
直方体の体積 = たて × よこ × 高さ
= 3 × 4 × 5
= 60cm³
これが 5 年生までの見方です。
同じ式を、こう読み直してみる
ここで、式を 2 つに分けて考えてみましょう。
3 × 4 × 5 = (3 × 4)× 5
この「3 × 4」の部分は、じつは 底面(下の面)の面積 ですね。たて 3cm、よこ 4cm の長方形の面積なので、12cm²。
そしてこの 12cm² が、高さ 5cm ぶん 上にかさなっている イメージでとらえると、
直方体の体積 = 底面の面積 × 高さ
= 12 × 5
= 60cm³
結果は同じですが、見方 が変わりました。「たて × よこ × 高さ」を「底面積 × 高さ」と読み直しただけです。
なぜ この見方が大切か?
この「底面積 × 高さ」という見方のすごいところは、底面の形が長方形じゃなくても使える ことです。
直方体なら底面は長方形でしたが、底面が三角形でも、五角形でも、円でも、「底面の面積が同じ形のままぴったり積み重なっている」立体なら、同じ考え方が通用するのです。
ポイント: 5 年生の「たて × よこ × 高さ」は、底面が長方形のときだけの見方。6 年生では、これを「底面積 × 高さ」に広げます。考え方の土台は変わらず、使える場面が広がる のが 6 年生の学びのおもしろさです。
2. 底面積ということば
柱の形をした立体の、底にある面(底面)の面積を 底面積 といいます。
- 底面が長方形 → 底面積 = たて × よこ
- 底面が三角形 → 底面積 = 底辺 × 高さ ÷ 2
- 底面が台形 → 底面積 = (上底 + 下底)× 高さ ÷ 2
- 底面が円 → 底面積 = 半径 × 半径 × 3.14
つまり、底面積を求めるには、5 年生までに学んだ 平面図形の面積の公式 がフル活用されるわけです。
注意:三角柱などの底面積を求めるときに使う「三角形の高さ」と、柱全体の「高さ」はべつものです。名前が同じ「高さ」でも意味がちがうので、問題文や図をよく見て区別しましょう。
3. 角柱・円柱の体積の公式
いよいよメインの公式です。
角柱・円柱の体積の公式
体積 = 底面積 × 高さ
この 1 つの式で、どんな柱の立体でも体積が求められます。
どうしてこの公式でよいの?
底面の上に、同じ形の面が 高さぶんぴったり積み重なっている のが「柱」の立体です。
たとえば、高さ 1cm ぶんの薄いスライス 1 まいの体積は、底面積 × 1 = 底面積 cm³ ですね。それが高さの数だけ重なっているので、全体は 底面積 × 高さ になるわけです。
これは、はがきのたばを想像するとわかりやすいです。はがき 1 まいの面積(底面積)に、はがきの数(高さ)をかければ、たば全体のかさ(体積)になりますね。
4. 三角柱の体積
底面が三角形の柱を 三角柱 といいます。
例題 1:底辺 6cm・高さ 4cm の直角三角形を底面とする、高さ 10cm の三角柱
まず底面積を求めます。
底面積 = 6 × 4 ÷ 2 = 12cm²
つぎに公式にあてはめます。
体積 = 底面積 × 高さ = 12 × 10 = 120cm³
例題 2:底辺 5cm・高さ 8cm の三角形を底面とする、高さ 15cm の三角柱
底面積 = 5 × 8 ÷ 2 = 20cm²
体積 = 20 × 15 = 300cm³
ポイント:三角柱は、同じ三角柱を 2 つ合わせるとぴったり 四角柱 になる、という関係でも体積がわかります。でも、底面積 × 高さ の公式で一発なので、公式を使うのがいちばん速いですね。
5. 四角柱・五角柱の体積
底面が四角形(長方形・台形・ひし形・一般の四角形)なら四角柱、五角形なら五角柱です。
例題 3:底面が 上底 4cm・下底 6cm・高さ 3cm の台形、高さ 8cm の四角柱
底面積 = (上底 + 下底)× 高さ ÷ 2
= (4 + 6)× 3 ÷ 2
= 10 × 3 ÷ 2
= 15cm²
体積 = 15 × 8 = 120cm³
例題 4:底面積 32cm²、高さ 10cm の五角柱
底面が五角形であっても、底面積さえ与えられていれば計算はかんたんです。
体積 = 32 × 10 = 320cm³
ポイント:底面が何角形でも、公式は同じ。底面積をどう出すかだけが変わります。問題文を見て、「まず底面積をどう求めるか」に頭を使うのがコツです。
6. 円柱の体積
底面が円の柱を 円柱 といいます。円柱の体積は、円の面積の公式 と 角柱の公式 を組み合わせて求めます。
体積 = 底面積 × 高さ
= (半径 × 半径 × 3.14)× 高さ
例題 5:半径 3cm、高さ 10cm の円柱
底面積 = 3 × 3 × 3.14 = 9 × 3.14 = 28.26cm²
体積 = 28.26 × 10 = 282.6cm³
例題 6:半径 5cm、高さ 8cm の円柱
底面積 = 5 × 5 × 3.14 = 25 × 3.14 = 78.5cm²
体積 = 78.5 × 8 = 628cm³
例題 7:直径 10cm、高さ 20cm の円柱(ジュース缶のような形)
直径が与えられているので、まず半径を求めます。半径 = 10 ÷ 2 = 5cm。
底面積 = 5 × 5 × 3.14 = 78.5cm²
体積 = 78.5 × 20 = 1570cm³
注意:円柱の問題では、「半径 × 半径 × 3.14 × 高さ」を 1 本の式に まとめて書く のが便利です。ただし、途中でちがう長さをかけていないか、よく確認しましょう。
計算の工夫:3.14 をあとにまわす
3.14 のかけ算は、計算しにくいものです。そこで、3.14 を最後にかける と計算がラクになります。
例題 5 を工夫して計算すると、
体積 = 3 × 3 × 3.14 × 10
= 3 × 3 × 10 × 3.14
= 90 × 3.14
= 282.6cm³
答えは同じです。でも「90 × 3.14」の方が、「28.26 × 10」よりひと目で計算しやすいですね。かけ算は順序を入れかえてよいので、3.14 を最後にまわす ことをおすすめします。
7. 複合立体(組み合わさった立体)
いくつかの立体が組み合わさった形も、足し算 や 引き算 で体積を求められます。
例題 8:直方体の上に、小さな直方体がのっている形
- 下の直方体: たて 10cm、よこ 15cm、高さ 5cm → 体積 750cm³
- 上の直方体: たて 5cm、よこ 8cm、高さ 3cm → 体積 120cm³
- 合計: 750 + 120 = 870cm³
例題 9:大きな直方体から、小さな直方体をくりぬいた形
- 大きい直方体: たて 10cm、よこ 20cm、高さ 10cm → 体積 2000cm³
- くりぬいた部分: たて 4cm、よこ 5cm、高さ 10cm → 体積 200cm³
- 合計: 2000 − 200 = 1800cm³
例題 10:円柱の上に円柱がのっている形
- 下の円柱: 半径 5cm、高さ 6cm → 5 × 5 × 3.14 × 6 = 471cm³
- 上の円柱: 半径 3cm、高さ 4cm → 3 × 3 × 3.14 × 4 = 113.04cm³
- 合計: 471 + 113.04 = 584.04cm³
ポイント:複合立体は、「どう分ければ 知っている形になるか」をまず考えます。足す分け方も 引く分け方も考えられるので、計算しやすい方をえらびましょう。
8. 体積の単位と換算
体積の単位も、あわせて確認しておきましょう。
- 1cm³ … 1 辺が 1cm の立方体の体積
- 1m³ … 1 辺が 1m の立方体の体積。1m³ = 1,000,000cm³
- 1L(リットル) … 1 辺が 10cm の立方体の体積 = 1000cm³
- 1mL = 1cm³
たとえば、半径 5cm、高さ 20cm の円柱の形をしたコップの容積は、
5 × 5 × 3.14 × 20 = 1570cm³ = 1570mL = 1.57L
身の回りのペットボトルや缶の容積を、公式で確かめてみると楽しいですよ。
9. 体積を求めるときの注意
注意 1:単位をそろえる
長さの単位がバラバラのときは、計算前にそろえて ください。たとえば半径が 10cm、高さが 1m なら、1m = 100cm に直してから計算します。
注意 2:底面を正しく見きわめる
「高さ」と書かれていても、柱を寝かせた図 だと、底面が横を向いていることがあります。底面は「同じ形が繰り返される面」で、高さは 底面に垂直な方向の長さです。向きにまどわされず、形で見分けましょう。
注意 3:答えの単位は cm³(または m³)
面積の単位は cm²、体積の単位は cm³ です。右上の小さな数字を「2」と書くか「3」と書くかを、しっかり意識しましょう。
まとめ
この章では、角柱・円柱の体積を、直方体の体積からの 見方の変更 で一気に広げました。
- 直方体の「たて × よこ」は、じつは 底面積 のこと
- 角柱・円柱の体積 = 底面積 × 高さ(形にかかわらず同じ公式)
- 三角柱・四角柱・五角柱 … 底面積の出し方はちがっても公式は共通
- 円柱の体積 = 半径 × 半径 × 3.14 × 高さ(円の面積 × 高さ)
- 複合立体は、足し算・引き算 で分けて計算する
- 1L = 1000cm³、1mL = 1cm³ の単位関係も身の回りでよく出る
ポイント:公式を 1 つ覚えるだけで、いろいろな立体に使える。これは、算数の「一般化」のちから を実感できる良い例です。中学校で学ぶ「角すい」「円すい」や、高校の「積分」まで、この「底面積 × 高さ」の考え方は、形を変えながらずっと続いていきます。
次の章「文字と 式」では、算数から数学への橋わたしになる、文字(x や y)を使った式 を学びます。公式を文字で書くと、もっとスッキリまとまるようになりますよ。
まとめ — 角柱・円柱 の 体積 を 3 行 で
- 直方体 の「たて × よこ」 は、じつは 底面積 の こと。三角柱 でも 円柱 でも 同じ 考え方 で 体積 が 出せる。
- 角柱・円柱 の 体積 = 底面積 × 高さ。円柱 なら「半径 × 半径 × 3.14 × 高さ」 に なる。
- 複雑 な 立体 は 足し算 や 引き算 で 分けて 計算 する。1 L = 1000 cm³、1 mL = 1 cm³ の 単位関係 も 身 の 回り で よく 使う。