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この章では、5 年生で学んだ 比例 をさらに広げて、反比例 という新しい関係を学びます。そして、図形の世界では 拡大図・縮図 という「形はそっくりで、大きさだけがちがう図形」の見方も身につけます。
この章が終わるころには、つぎのことができるようになっています。
ポイント: この章のキーワードは「対応」です。x が変わるとき、y はどうなるか。2 つの数量の動きのルールを、表・式・グラフの 3 つの道具で表し、行き来できるようになりましょう。
まずは、5 年生で学んだ比例を思い出しましょう。
2 つの数量 x と y があって、x が 2 倍、3 倍、4 倍… になると、y も 2 倍、3 倍、4 倍… になる とき、y は x に 比例する といいます。
たとえば、1 m の重さが 30 g の針金があるとき、長さ x m と重さ y g の関係は次のようになります。
| 長さ x(m) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
|---|---|---|---|---|---|
| 重さ y(g) | 30 | 60 | 90 | 120 | 150 |
長さが 2 倍、3 倍になると、重さもちょうど 2 倍、3 倍になっています。これが比例の 変化の特徴 です。
表をよく見ると、どの列でも y ÷ x の値がいつも同じになっています。
この「いつも同じ値」を 決まった数 と呼び、比例の式は次の形で表せます。
y = 決まった数 × x
この場面では y = 30 × x となり、長さ x が分かれば重さ y がすぐ計算できます。
ポイント:決まった数の意味は、場面によってちがいます。針金の例では「1 m あたりの重さ」でした。速さと時間の問題なら「1 時間あたりの道のり」、つまり 速さそのもの が決まった数になります。
比例の関係を方眼紙に点で打ってつないでみると、原点(0, 0)を通るまっすぐな直線 になります。
| x | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|---|
| y | 0 | 30 | 60 | 90 | 120 |
この 原点を通る直線 という特ちょうは、比例を見分けるときの大切な手がかりです。逆にいえば、グラフが直線でも 原点を通らなければ比例ではありません。
注意:決まった数が大きいほど、直線のかたむきは急になります。2 つの比例の関係を同じグラフにかくと、どちらが「x の増え方に対して y の増え方が大きいか」が一目で分かります。
いよいよ新しい関係、反比例 の登場です。
2 つの数量 x と y があって、x が 2 倍、3 倍、4 倍… になると、y は 1/2 倍、1/3 倍、1/4 倍… になる とき、y は x に 反比例する といいます。
ある場面を考えてみましょう。面積が 24 cm² の長方形を作るとき、たての長さ x cm と横の長さ y cm の関係は次のようになります。
| たて x(cm) | 1 | 2 | 3 | 4 | 6 | 8 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 横 y(cm) | 24 | 12 | 8 | 6 | 4 | 3 | 2 |
たてが 2 倍になると、横は 1/2 倍(半分)に、たてが 3 倍になると、横は 1/3 倍になっています。
表の各列で x × y の値を計算してみましょう。
どこも 24 になっています。これが反比例の大切な特ちょうで、反比例の式は次の形で表せます。
x × y = 決まった数
y について解くと y = 決まった数 ÷ x とも書けます。この場面では y = 24 ÷ x です。
ポイント:比例では y ÷ x が一定、反比例では x × y が一定。どちらも「決まった数」がかくれていますが、かくれ方がちがいます。
反比例の関係を方眼紙にかいてみると、原点を通らないなめらかな曲線 になります。この曲線は、x が 0 に近づくと y がとても大きくなり、x がとても大きくなると y が 0 に近づきますが、決して x 軸や y 軸とは交わりません。
| x | 1 | 2 | 3 | 4 | 6 | 8 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| y | 24 | 12 | 8 | 6 | 4 | 3 | 2 |
点をつないでいくと、右下に向かってゆるやかに下がっていく曲線になります。
表や式、グラフのどれを使っても、見分けることができます。
| 見方 | 比例 | 反比例 |
|---|---|---|
| 表の変化 | x が 2 倍 → y も 2 倍 | x が 2 倍 → y は 1/2 倍 |
| 式 | y = 決まった数 × x | x × y = 決まった数 |
| y ÷ x | いつも同じ(決まった数) | バラバラ |
| x × y | バラバラ | いつも同じ(決まった数) |
| グラフ | 原点を通る直線 | 原点を通らない曲線 |
ポイント: 「一方が増えるともう一方も増える」ときは、比例の可能性があります。「一方が増えるともう一方が減る」ときは、反比例の可能性があります。でも、減ったからといって必ず反比例とは限りません。x × y が一定 という条件がカギです。
比例の関係を使うと、直接はかるのが大変なこと を手際よく求められます。
たとえば、画用紙が 50 枚で 120 g の重さだったとします。同じ画用紙 300 枚の重さを知りたいとき、どうするでしょうか。
枚数と重さは比例の関係にあると考えられます。
| 枚数 | 50 | 300 |
|---|---|---|
| 重さ(g) | 120 | ? |
枚数が 50 → 300 で 6 倍 になっているので、重さも 6 倍になるはずです。
120 × 6 = 720 g
式で考えるなら、1 枚あたりの重さは 120 ÷ 50 = 2.4 g なので、300 枚なら 2.4 × 300 = 720 g です。どちらで求めても答えは同じになります。
生活との つながり: このように、比例の関係を使うと、1 つずつ数えたりはかったりしなくても、一部のデータから全体を予想 できます。これは日常生活の中でもよく使われる考え方です。
ここからは図形の世界です。形はまったく同じで大きさだけがちがう図形 について学びましょう。
ある図形を、対応する辺の長さがすべて同じ倍率でのびている ように変形した図形を 拡大図、同じ倍率で縮めた図形を 縮図 といいます。
たとえば、三角形 ABC の各辺を 2 倍にのばして三角形 A'B'C' を作ったとき、三角形 A'B'C' は三角形 ABC の 2 倍の拡大図 です。逆に、三角形 ABC は三角形 A'B'C' の 1/2 の縮図 です。
拡大図と縮図には、とても大切な 2 つの性質があります。
つまり、形はまったく変わらず、大きさだけが変わるのです。コピー機の「150% 拡大」や「70% 縮小」は、まさにこの考え方を使っています。
注意: たてだけ 2 倍にのばして、横はそのまま、という変形は拡大図ではありません。すべての辺が同じ倍率 でなければ、形がゆがんでしまうからです。
方眼紙を使うと、拡大図や縮図が簡単にかけます。
たとえば元の図形で「右に 3 マス、上に 2 マス」の位置にある頂点は、2 倍の拡大図では「右に 6 マス、上に 4 マス」の位置にきます。
地図を見ると、右下などに「1 : 25000」や「1/50000」といった数字が書かれています。これを 縮尺 といいます。
縮尺とは、実際の長さを、地図や設計図の上でどれくらい縮めて表しているか を表す比です。
たとえば、縮尺1 : 25000 の地図では、地図上の 1 cm が実際の 25000 cm(= 250 m)を表します。
縮尺 1 : 50000 の地図で、2 つの町の間が 3 cm だったとしましょう。実際の道のりは何 km でしょうか。
このように、縮尺が分かれば、地図の上だけで 実際の距離を計算 できます。木の高さを測りたいときにも、自分の身長や影の長さと、木の影の長さをくらべて、縮図を作って求める方法があります。
ポイント:縮尺の分母が大きいほど、たくさん縮めている(広いはん囲を小さくまとめている)ことになります。1 : 25000 の地図より 1 : 50000 の地図のほうが、広いはん囲をうつしています。
比例・反比例・拡大図・縮図は、どれも身の回りにたくさんかくれています。
考えてみよう:家族で車に乗ってドライブに行くとき、「時速 60 km で走れば 2 時間でつく距離」を「時速 40 km で走ると何時間かかるか」考えてみましょう。これは反比例の問題です。答えは 60 × 2 = 120 km、120 ÷ 40 = 3 時間。速さが 1.5 倍のんびりになると、時間は 1.5 倍長くかかります。
x が増えたとき y が減ったからといって、必ず反比例とは限りません。たとえば y = 10 - x のように、x が 1 増えるたびに y が 1 ずつ減る関係は反比例ではありません。反比例かどうかは x × y が一定かどうか で確かめます。
比例のグラフは必ず 原点(0, 0)を通る直線 です。これは「x が 0 なら y も 0」という意味で、たとえば「長さ 0 m の針金の重さは 0 g」という当たり前のことを表しています。
拡大図・縮図では、辺の長さは倍率どおりに変わりますが、角の大きさは変わりません。90° の角は、拡大しても縮めても 90° のままです。
地図上の cm と実際の長さを計算するとき、実際の長さは cm → m → km と単位を直すことが多いので、気をつけましょう。100 cm = 1 m、1000 m = 1 km、つまり 100000 cm = 1 km です。
この章で ひらけた 世界: 2 つの数量の関係を「比例」「反比例」という言葉でとらえる力がついたことで、世の中にあふれるたくさんの「変わり方」を整理して見られるようになりました。これは中学校の 関数 につながる大切な一歩です。そして拡大図・縮図は、中学校で学ぶ 相似 のまさに入り口。算数から数学へ、世界がつながっていく実感をぜひ味わってください。