この章で学ぶこと
この章では、分数のかけ算とわり算について学びます。5年生までに、分数のたし算・ひき算、そして 分数×整数 や 整数÷整数を分数で表す ことは学習してきました。6年生では、いよいよ 分数どうしのかけ算・わり算 に進みます。これで、小学校で学ぶ四則計算のまとめになります。
この章が終わるころには、つぎのことができるようになっています。
- 分数×整数、整数÷整数を分数で表すことを、すらすら計算し直せる
- 分数×分数 を「分子どうし、分母どうしをかける」で計算できる
- 計算のとちゅうで 約分 して、答えを簡単な分数で出せる
- 逆数 の意味と見つけ方がわかる
- 分数÷分数 を「わる数の逆数をかける」で計算できる
- 1 より小さい数をかけたり、わったりすると、答えがどうなるか説明できる
- 分数のまじったかけ算・わり算・たし算・ひき算(四則混合)の順序を守って計算できる
ポイント:分数のかけ算・わり算は、数の意味と 計算のきまり の両方がそろって初めて身につきます。手順を覚えるだけでなく、「なぜそう計算できるのか」もいっしょに考えていきましょう。
1. 分数×整数の復習
5年生で学んだ 分数×整数 をまず思い出しましょう。
52×3
これは「52 が 3 つ分」という意味です。52 というのは「1 を 5 つに分けたうちの 2 つ分」なので、それが 3 回集まると「1 を 5 つに分けたうちの 6 つ分」、つまり 56 になります。
計算のルールとしては、分母はそのまま、分子に整数をかけるだけです。
52×3=52×3=56
ポイント:分数×整数では 分母は変えません。「いくつに分けるか」は変わらず、「いくつ分か」だけが増えるからです。
約分できるときはしよう
43×2=43×2=46=23
最後に約分するのもよいのですが、計算のとちゅうで約分 した方が数が小さくて楽になります。
43×2=423×21=23
2 と 4 を先に 2 でわってから計算しました。結果は同じ 23 です。
2. 整数÷整数を分数で表す
「3 ÷ 4」のように、整数どうしのわり算で わり切れない とき、その答えを分数で表すことができます。
3÷4=43
つまり、わられる数が分子、わる数が分母になります。
a÷b=ba
この見方ができると、どんなわり算の答えも 1 つの分数で書き表せるようになります。これは、このあと分数×分数や分数÷分数を考えるときの 大切な土台 になります。
ポイント: 「ba」は、「a を b でわった結果」と見ることもできます。分数とわり算は、じつは同じものを別の書き方で表しているのです。
3. 分数×分数
いよいよ本題です。例としてつぎの計算を考えましょう。
32×54
意味を考える
32 m のテープがあるとします。その 54 にあたる長さは何 m になるでしょうか。
「54 にあたる長さ」というのは、「5 つに分けたうちの 4 つ分の長さ」という意味です。そこで、まず 32 を 5 つに等分してみます。1 つ分は 32÷5=3×52=152 m です。
そして、その 4 つ分だから 152×4=158 m となります。
計算のルール
上の流れをまとめると、分数×分数は分子どうし、分母どうしをかける と覚えられます。
ba×dc=b×da×c,32×54=158
ポイント:分数×整数のときは「分母はそのまま」でしたが、分数×分数では 分母どうしもかけます。整数 3 は「13」と見れば、分数×分数のルールと同じだと確かめられます。
4. とちゅうで約分すると楽になる
分数×分数では、かけ算を最後までせずに、とちゅうで約分することがよくあります。
例:
94×83
そのまま計算すると 9×84×3=7212 となり、あとで約分しないといけません。
そこで、分子と分母で公約数をもつところを先にわってからかけると楽になります。
- 4 と 8 は 4 でわれる → 4 を 1 に、8 を 2 に
- 3 と 9 は 3 でわれる → 3 を 1 に、9 を 3 に
9341×8231=3×21×1=61
ポイント:約分のときに見るのは 「ななめ」(左の分子と右の分母、左の分母と右の分子)と 「たて」(同じ分数の中の分子と分母)です。どちらの組み合わせでも、公約数があれば先にわっておけます。
帯分数のあるかけ算
帯分数のままかけ算するとまちがえやすいので、仮分数になおしてから計算しましょう。132×53=35×53=1 のようにできます。
5. 逆数
分数のわり算に進む前に、逆数 という言葉を覚えましょう。
2 つの数をかけて 1 になるとき、一方を他方の逆数といいます。
たとえば、
32×23=3×22×3=66=1
だから、32 の逆数は 23、23 の逆数は 32 です。
逆数の見つけ方
分数の逆数は、分子と分母を入れかえるだけで作れます。
ba の逆数は ab
| もとの数 | 逆数 |
|---|
| 53 | 35 |
| 41 | 14=4 |
| 7 | 71 |
| 221 | 52 |
- 整数 7 は 17 と見れば、逆数は 71
- 帯分数221 はまず仮分数25 に直してから入れかえて 52
ポイント:0 には逆数がありません。何かに 0 をかけても答えは 0 で、1 にはならないからです。
6. 分数÷分数
分数÷分数は、じつは 逆数 のかけ算にすればできます。
ba÷dc=ba×cd
つまり、わる数の分子と分母を入れかえて、かけ算に変える のです。
例で計算
32÷54
54 の逆数は 45 だから、
32×45=3×4221×5=65
なぜ逆数をかけるとうまくいくの?
「わり算は、わる数と同じ数を両方にかけても答えは変わらない」という性質がありました。そこで、54 の逆数45 を両方にかけてみます。
32÷54=(32×45)÷(54×45)=(32×45)÷1=32×45
わる数が 1 になるので、かけ算だけ残るのです。
ポイント:手順は「わる数の逆数をかける」と覚えればバッチリです。整数でわるときも、整数1 をかけると考えられます。たとえば 43÷2=43×21=83。
7. 1 より小さい数をかけたり、わったりすると?
整数のかけ算では「かければ大きくなる」と思いこみがちですが、1 より小さい数をかけると、かえって小さくなります。分数でも同じです。
かけ算の場合
6×21=3
6 に 21 をかけたら、答えは 6 より小さい 3 になりました。かけ算は「倍にする」操作なので、1 より小さい数をかけるのは「半分にする」ように、もとより小さくする動きです。
- 1 より大きい数をかける → もとより 大きくなる
- 1をかける → 変わらない
- 1 より小さい数(0 を除く)をかける → もとより 小さくなる
わり算の場合
6÷21=6×2=12
6 を 21 でわったら、答えは 6 より大きい 12 になりました。わり算は「1 あたりはいくつかを求める」動きなので、小さい数でわると 1 あたりは大きくなるのです。
- 1 より大きい数でわる → もとより 小さくなる
- 1でわる → 変わらない
- 1 より小さい数(0 を除く)でわる → もとより 大きくなる
注意: 「かけたから大きい」「わったから小さい」と決めつけないこと。1 より大きいか小さいかで結果の向きが決まります。
8. 四則混合の計算
たし算・ひき算・かけ算・わり算がまじった式(四則混合)の計算は、計算の順序をきちんと守って進めましょう。
計算の順序
- かっこ ( ) の中
- かけ算・わり算(左から順)
- たし算・ひき算(左から順)
例 1
21+31×43
先にかけ算をします。
=21+31×441×31=21+41=42+41=43
例 2
(32+61)÷45
まずかっこの中を計算します。
=64+61=65
つぎにわり算をかけ算に直します。
65÷45=63×5151×42=32
小数と分数がまじるときは、0.3=103、0.25=41 のように 小数を分数に直してから計算 すると、約分がきれいに決まることが多いのでおすすめです。
9. 計算のきまりは分数でも成り立つ
整数や小数で使ってきた、つぎのきまりは 分数でもそのまま成り立ちます。
- 交かんのきまり: a×b=b×a
- 結合のきまり: (a×b)×c=a×(b×c)
- 分配のきまり: (a+b)×c=a×c+b×c
たとえば、
(21+31)×6=21×6+31×6=3+2=5
このように、計算を楽にする道具 として使っていきましょう。
10. つまずきやすいポイント
- 分数×整数と分数×分数のちがい:分数×分数では 分母どうしもかける。整数は 1整数 と見ればルールは同じ
- わり算の向き:ba÷dc では、わる数(うしろ) の分子分母を入れかえる。わられる数ではない
- 約分は先にする:かけ算してから約分よりも、とちゅうで約分した方が数が小さくて楽
- 帯分数は仮分数に直す:そのままかけ算・わり算しない
- 1 より小さい数をかけると小さく、わると大きくなる(整数の感覚と逆になることがある)
- 四則混合:かっこ → かけ算・わり算 → たし算・ひき算 の順を守る
まとめ
- 分数×分数は 分子どうし、分母どうしをかける:ba×dc=b×da×c
- とちゅうで 約分 すると計算が楽になる
- 逆数:かけて 1 になる数。分数なら 分子と分母を入れかえる
- 分数÷分数は わる数の逆数をかける:ba÷dc=ba×cd
- 1 より小さい数をかけるともとより小さく、わるともとより大きくなる
- 四則混合では かっこ → ×・÷ → +・− の順
- 交かん・結合・分配のきまりは、分数でもそのまま成り立つ