この章で学ぶこと
この章では、対称な図形について学びます。チョウのはねや雪のけっしょう、車のマークや都道府県のマークなど、左右や上下がぴったりそろった形が、わたしたちの身のまわりにはたくさんあります。こうした「整った形」を算数のことばで表すのが 対称 という見方です。
この章が終わるころには、つぎのことができるようになっています。
- 線対称 な図形とはどんな形かがわかり、対称 の 軸 を見つけられる
- 線対称な図形で、対応する点・辺・角を見つけられる
- 点対称 な図形とはどんな形かがわかり、対称の中心 を見つけられる
- 点対称な図形で、対応する点・辺・角を見つけられる
- 三角形・四角形・正多角形・円が、線対称か、点対称か、両方か、どちらでもないかを見分けられる
- 身のまわりから対称な図形を見つけ出せる
ポイント: この章のキーワードは 「動かしても重なる」。折り目で折って重なるのが線対称、くるっと 180 度回して重なるのが点対称です。手を動かして、実さいに紙を折ったり回したりしながら学ぶと、よくわかります。
1. 線対称とは
1 本の直線を折り目にして 2 つに折ったとき、折り目の両がわが ぴったり重なる図形を 線対称 な図形といいます。
その折り目にした直線のことを 対称 の 軸 といいます。
身近な例
- アルファベットの「A」「M」「T」「U」「V」「W」「Y」など
- カタカナの「エ」「コ」「ヒ」「ミ」「ム」「ユ」など
- チョウのはね、葉っぱ、だるま、新幹線を正面から見た形
ポイント: 「左右がそろって見える」と感じたら、まず線対称かな? と思いましょう。そして、どこで折ればぴったり重なるかを考えると、それが対称の軸になります。
対称の軸は 1 本とはかぎらない
正方形や長方形のように、対称の軸が何本もある図形もあります。
- 長方形:対称の軸は 2 本(たてと横の中央を通る直線)
- 正方形:対称の軸は 4 本(たて、横、対角線 2 本)
- 正三角形:対称の軸は 3 本
- 円:対称の軸は 数えきれないほど(中心を通るすべての直線)
2. 線対称な図形で対応するもの
線対称な図形を折り目でぴったり重ねたとき、重なり合う 点・辺・角 のことを、それぞれ「対応する点」「対応する辺」「対応する角」といいます。
| 対応するもの | どういう関係か |
|---|
| 対応する点 | 折ったときに重なる 2 つの点 |
| 対応する辺 | 折ったときに重なる 2 つの辺(長さが等しい) |
| 対応する角 | 折ったときに重なる 2 つの角(大きさが等しい) |
大切な性質
線対称な図形には、つぎの大切な性質があります。
- 対応する辺の長さは等しい
- 対応する角の大きさは等しい
- 対応する 2 つの点を結ぶ直線は、対称の軸と垂直に交わる
- 対応する 2 つの点から対称の軸までのきょりは等しい(軸で 2 等分される)
性質 3 と 4 をまとめると、「対応する 2 点を結ぶ線分は、対称の軸によって垂直に 2 等分される」となります。これは、線対称な図形を作図するときのいちばん大事なきまりです。
ポイント:対応する点をむすぶとき、必ず対称の軸と直角に交わるところがポイント。ななめに引いてしまうと、折っても重なりません。
線対称な図形を作図する
「半分だけ書かれた線対称な図形を完成させなさい」という問題では、つぎのように進めます。
- もとの図形の ちょう点から対称の軸に垂直な線 を引く
- 軸をこえて、軸までのきょりと同じ長さ だけ反対がわにのばし、そこに点をうつ
- すべてのちょう点で同じことをして、その点をじゅんに直線で結ぶ
こうすれば、反対がわにぴったり重なる図形が作れます。
3. 点対称とは
1 つの点を中心にして 180 度回転(半回転)させたとき、もとの図形と ぴったり重なる図形を 点対称 な図形といいます。
そのとき、中心にした点のことを 対称の中心 といいます。
身近な例
- アルファベットの「H」「I」「N」「O」「S」「X」「Z」
- 数字の「0」「8」、トランプのハートではなくダイヤやスペード(見方による)
- 平行四辺形、長方形、ひし形、正方形
- 風車のはね、トランプの絵札の向き
ポイント:線対称が「折る」操作だったのに対し、点対称は「回す」操作で重なるかを見ます。図形の真ん中あたりを指でおさえて、くるっと 180 度回すところをイメージしてみましょう。
対称の中心の見つけ方
点対称な図形の対称の中心は、対応する 2 つの点を結ぶ直線 を引いたとき、その直線たちが 1 点で交わる ところにあります。
4. 点対称な図形で対応するもの
点対称な図形を、対称の中心のまわりに 180 度回したときに重なる点・辺・角を、それぞれ「対応する点」「対応する辺」「対応する角」といいます。
大切な性質
点対称な図形には、つぎの大切な性質があります。
- 対応する辺の長さは等しい
- 対応する角の大きさは等しい
- 対応する 2 つの点を結ぶ直線は、対称の中心を通る
- 対応する 2 つの点から対称の中心までのきょりは等しい(中心で 2 等分される)
つまり、対応する 2 点を結ぶ線分は、対称の中心によって 2 等分される のです。線対称では「軸で垂直に 2 等分」、点対称では「中心で 2 等分」と、似ていますが少しちがいます。
| 線対称 | 点対称 |
|---|
| 折り目で折ると重なる | 180 度回すと重なる |
| 対称の軸(直線) | 対称の中心(点) |
| 対応する点を結ぶ線分は、軸に垂直で、軸で 2 等分される | 対応する点を結ぶ線分は、中心を通り、中心で 2 等分される |
点対称な図形を作図する
半分だけ書かれた点対称な図形を完成させるときは、つぎのようにします。
- もとの図形の ちょう点と対称の中心 を直線で結ぶ
- その直線を 対称の中心をこえて同じ長さだけのばし、そこに点をうつ
- すべてのちょう点で同じことをして、その点をじゅんに直線で結ぶ
5. 多角形の対称性
これまで学んだ三角形・四角形・正多角形を、対称の観点から見直してみましょう。
三角形
| 三角形 | 線対称 | 対称の軸の数 | 点対称 |
|---|
| 正三角形 | ○ | 3 | × |
| 二等辺三角形 | ○ | 1 | × |
| 直角三角形(正三角形・二等辺以外) | × | 0 | × |
ポイント:三角形には 点対称な図形はありません。三角形を 180 度回すと、必ず向きが逆になります。
四角形
| 四角形 | 線対称 | 対称の軸の数 | 点対称 |
|---|
| 正方形 | ○ | 4 | ○ |
| 長方形 | ○ | 2 | ○ |
| ひし形 | ○ | 2(対角線) | ○ |
| 平行四辺形 | × | 0 | ○ |
| 台形(等きゃく台形を除く) | × | 0 | × |
| 等きゃく台形 | ○ | 1 | × |
平行四辺形は、線対称ではないけれど 点対称です。はんたいに、等きゃく台形は 線対称だけれど点対称ではありません。
正多角形
正多角形はどれも 対称の軸が多い のがとくちょうです。
| 正多角形 | 線対称 | 対称の軸の数 | 点対称 |
|---|
| 正三角形 | ○ | 3 | × |
| 正方形(正四角形) | ○ | 4 | ○ |
| 正五角形 | ○ | 5 | × |
| 正六角形 | ○ | 6 | ○ |
| 正七角形 | ○ | 7 | × |
| 正八角形 | ○ | 8 | ○ |
きまり
- 正 n 角形は、対称の軸が n 本 あります
- 正 n 角形は、n が偶数のときだけ点対称になります(正方形、正六角形、正八角形…)
円
円は、線対称でも点対称でも、とくべつにうつくしい図形です。
- 中心を通るどんな直線も 対称の軸(軸は無数にある)
- 中心が 対称の中心(どんな角度で回しても重なるので、とうぜん 180 度回しても重なる)
ポイント:円は「あらゆる向きに対して対称」な、もっとも整った図形です。だからこそ、お皿、タイヤ、時計の文字ばんなど、身のまわりでたくさん使われています。
6. 身のまわりの対称な図形
対称な図形は、身のまわりのいろいろなところで見つかります。
- 都道府県のマーク:多くが線対称や点対称に作られている(見た目の安定感のため)
- 建物:神社や寺の正面、お城の石がき、ヨーロッパの古い教会などは線対称なつくりが多い
- しょっ器・道具:おちゃわん、コップ、ふえ、さら
- 自然の中:チョウ、トンボ、葉っぱ、雪のけっしょう
- 文字や記号:ひらがなの「め」「ゆ」、漢字の「回」「口」「田」「日」「同」「中」など
考えてみよう
- 自分の名前の文字のうち、線対称・点対称になっているものはあるでしょうか?
- 学校や家の中で、対称な形をさがしてみましょう。
ポイント:対称な形は 安定感やうつくしさ を感じさせるため、マークやデザインでよく使われます。「なぜこの形なのか」を考える目をもつと、算数が生活とつながって見えてきます。
7. つまずきやすいポイント
- 線対称と点対称のちがい:線対称は「折る」、点対称は「回す(180 度)」
- 対応する点:線対称は 軸をはさんで向かい、点対称は 中心をはさんで反対がわ にある
- 対称の軸は 1 本とはかぎらない:正方形なら 4 本、円なら無数
- 平行四辺形は線対称ではないけれど 点対称。まぎらわしいので注意
- 正 n 角形が点対称になるのは n が偶数のとき:正三角形や正五角形は点対称ではない
- 対応する 2 点を結ぶ線分:線対称では 軸に垂直で軸で 2 等分、点対称では 中心を通り中心で 2 等分
まとめ
- 線対称:1 本の直線で折ると重なる図形。その直線が 対称 の 軸
- 線対称では、対応する点を結ぶ線分は対称の軸に垂直で、軸で 2 等分される
- 点対称:1 つの点を中心に 180 度回すと重なる図形。その点が 対称の中心
- 点対称では、対応する点を結ぶ線分は対称の中心を通り、中心で 2 等分される
- 対応する 辺の長さ・角の大きさは等しい(線対称でも点対称でも)
- 正 n 角形は 対称の軸が n 本、n が偶数のときだけ点対称
- 円は対称の軸が無数にあり、中心が対称の中心。もっとも整った図形
- 対称な形は、身のまわりのデザインや自然にたくさん見つかる