この章で学ぶこと
この章では、円の面積の求め方を学びます。5年生では、三角形・平行四辺形・ひし形・台形といった 直線で囲まれた図形 の面積を、長方形に変形する工夫によって求められるようになりました。6年生では、ついに 曲線で囲まれた図形 である円の面積に挑戦します。
この章が終わるころには、つぎのことができるようになっています。
- 円を細かく分けて並べ替えると、長方形に近い形になることを説明できる
- 円の面積 = 半径 × 半径 × 3.14 の公式を使って、面積を計算できる
- 直径から半径を求めて、円の面積を計算できる
- おうぎ形 の面積を、中心角の大きさから求められる
- 身の回りにある複雑な形の およその面積 を、長方形や三角形などに近づけて求められる
ポイント:円は曲線でできているので、そのままでは面積を求められません。しかし「細かく切って並べ替えれば、知っている形になる」という考え方を使えば、公式まで導けます。これは中学校・高校の数学でもずっと使う大切な発想です。
1. 円の面積は、どれくらいの大きさ?
まずは公式に入る前に、およその大きさの見通しを持つことが大切です。
半径 10cm の円を考えてみましょう。この円にぴったり入る正方形(内接する正方形)と、この円をぴったり囲む正方形(外接する正方形)を考えます。
- 外側の正方形: 1 辺が 20cm(直径と同じ)→ 面積は 20 × 20 = 400cm²
- 内側の正方形: 対角線が 20cm の正方形 → 面積は 20 × 20 ÷ 2 = 200cm²
円の面積は、この 2 つの正方形の面積の間 にあるはずです。つまり、
200cm² < 円の面積 < 400cm²
もう少しくわしく見るなら、半径を 1 辺とする正方形(10 × 10 = 100cm²)の 何倍になるか に注目します。じつはこの倍率こそが、円周率3.14 に対応しているのです。
ポイント:円の面積を求める前に、「きっとこれくらいの大きさだな」と見当をつけるくせをつけましょう。計算ミスに気づく力になります。
2. 公式を導こう:円を細かく分けて並べ替える
いよいよ、円の面積の求め方を考えます。
円をピザのように、中心から 同じ大きさのおうぎ形 にたくさん切り分けます。そして、切ったピースを上下こうごに向きを変えて、横に並べていきます。
- 4 等分だと、かなり でこぼこ した形になります
- 8 等分、16 等分、32 等分 … と細かくしていくと、だんだん 長方形に近づく ことが見えてきます
細かく分ければ分けるほど、並べ替えた形は きれいな長方形 に近づいていきます。
並べ替えた長方形の「たて」と「よこ」
細かく切って並べ替えた長方形を、よく観察してみましょう。
- よこの長さ … 円周の半分。つまり 直径 × 円周率 ÷ 2 = 半径 × 円周率
- たての長さ … もとの円の 半径
なぜでしょうか? 円の外周(円周)を上下に半分ずつ分けて、互いちがいに並べたので、長方形の長い辺 2 本ぶんが円周 1 本ぶんに当たります。だから、よこの長さは円周の半分なのです。たての長さは、それぞれのおうぎ形の「とがった先から弧まで」の長さ、つまり半径そのものです。
公式の完成
長方形の面積は たて × よこ でした。これを円の場合にあてはめると、
(円の面積)= (たて)× (よこ)
= (半径)×(半径 × 円周率)
= 半径 × 半径 × 円周率
となります。円周率は 3.14 を使うので、まとめると次のようになります。
円の面積 の公式
円の面積 = 半径 × 半径 × 3.14
この公式は、半径を 1 辺とする正方形の面積の 3.14 倍 と読むこともできます。「半径 × 半径」の部分が正方形 1 つぶんの面積で、それを 3.14 倍しているからです。
注意:公式で使うのは 半径 です。直径が与えられたときは、まず半分にして半径を求めましょう。ここで直径のまま計算してしまうミスがとても多いので、気をつけてください。
3. 円の面積を計算してみよう
公式を使って、実さいに計算してみましょう。
例題 1:半径 5cm の円
円の面積 = 5 × 5 × 3.14
= 25 × 3.14
= 78.5cm²
例題 2:半径 10cm の円
円の面積 = 10 × 10 × 3.14
= 100 × 3.14
= 314cm²
先ほど見当をつけたとき、「200cm² と 400cm² の間にあるはず」と予想しましたね。314cm² は、ちゃんとその間に入っています。見通しが合っていたことが確認できました。
例題 3:直径 14cm の円
直径が与えられているので、まず半径を求めます。半径 = 14 ÷ 2 = 7cm。
円の面積 = 7 × 7 × 3.14
= 49 × 3.14
= 153.86cm²
ポイント: 49 × 3.14 のような小数のかけ算は、まず整数どうしのかけ算として計算し、さいごに小数点を打つのがコツです。49 × 314 = 15386 なので、小数点を 2 けた ずらして 153.86 となります。
例題 4:直径 20cm の円
半径 = 20 ÷ 2 = 10cm。
円の面積 = 10 × 10 × 3.14 = 314cm²
半径 10cm の円と同じ答えになりました。当然ですね。直径 20cm の円と半径 10cm の円は同じ円だからです。
4. おうぎ形の面積
円を切り分けたピースのような形を、おうぎ形 といいます。2 本の半径と、その間の弧で囲まれた図形のことです。
おうぎ形の大きさは、中心角(2 本の半径の間の角度)で決まります。円 1 周ぶんは 360° なので、たとえば中心角が 90° のおうぎ形は、円全体の 90 ÷ 360 = 1/4 の大きさです。
おうぎ形の面積の求め方
おうぎ形の面積は、次のように考えます。
おうぎ形の面積 = 円の面積 × (中心角 ÷ 360)
つまり、いったん 完全な円 の面積を求めてから、中心角のぶんだけ切り取る、という考え方です。
例題 5:半径 6cm、中心角 90° のおうぎ形
まず半径 6cm の円の面積を求めます。
円の面積 = 6 × 6 × 3.14 = 113.04cm²
これを 90/360 = 1/4 倍します。
おうぎ形の面積 = 113.04 × 1/4 = 28.26cm²
例題 6:半径 10cm、中心角 60° のおうぎ形
円の面積 = 10 × 10 × 3.14 = 314cm²
60/360 = 1/6 なので、
おうぎ形の面積 = 314 × 1/6 = 約 52.33cm²
ポイント:中心角が 180° なら半円(1/2)、90° なら 1/4 の円、60° なら 1/6 の円 というふうに、代表的な中心角はすぐに分数で思い出せるようにしておきましょう。
5. 組み合わせた図形の面積
円の面積の公式は、他の図形と組み合わせて使うことがよくあります。
例題 7:半円と長方形の組み合わせ
たて 10cm、よこ 20cm の長方形の右側に、半径 5cm の半円がくっついた形を考えます(陸上競技場のような形)。
- 長方形の面積: 10 × 20 = 200cm²
- 半円の面積: 5 × 5 × 3.14 ÷ 2 = 78.5 ÷ 2 = 39.25cm²
合計: 200 + 39.25 = 239.25cm²
例題 8:正方形から円をくりぬいた形
1 辺 10cm の正方形の中から、半径 5cm の円(正方形にぴったり入る円)をくりぬいた部分の面積を求めます。
- 正方形の面積: 10 × 10 = 100cm²
- 円の面積: 5 × 5 × 3.14 = 78.5cm²
くりぬき後の面積 = 100 − 78.5 = 21.5cm²
ポイント:図形を見たら、「足し算で求まる形か、引き算で求まる形か」をまず決めましょう。決まれば、あとは 1 つずつ面積を計算してまとめるだけです。
6. 身の回りの形の およその面積
世の中の形は、きれいな長方形や円ばかりではありません。池・葉っぱ・地図で見る都道府県 … どれも複雑な曲線でできています。こういった形の面積を求めたいときは、どうすればよいでしょうか?
答えは、知っている形に近づけて考える ことです。
概形をつかまえよう
複雑な形を、だいたい何に見えるか で分類します。
- ほぼ長方形に見える池 → 長方形として、たて × よこ で求める
- ほぼ三角形に見える葉っぱ → 三角形として、底辺 × 高さ ÷ 2 で求める
- ほぼ円に見える花だん → 円として、半径 × 半径 × 3.14 で求める
このように、複雑な形を 基本的な図形 で近似することを、「概形をとらえる」といいます。
方眼で数える方法
もう 1 つの方法は、方眼紙の上にのせて数える やり方です。
- 形の内側にすっぽり入っているマスの数を数える(たしかに内側)
- 形のふちにかかっているマスは、ざっくり半分として数える
- 2 つを足して、1 マスの面積をかける
この方法は少し時間がかかりますが、かなり正確におよその面積が求められます。実さいの地図や写真を使って面積を求めるときによく使われます。
例題 9:湖のおよその面積
ある湖を長方形に近づけたら、たて 3km、よこ 5km くらいでした。およその面積は、
3 × 5 = およそ 15km²
「およそ」という言葉を付けるのが大切です。本当はでこぼこしているので、ぴったり 15km² ではありません。
ポイント: およその面積を求めるときは、目的に合った くわしさ で十分です。たとえば湖の広さをだいたい知りたいだけなら、「およそ 15km²」で十分役に立ちます。小数点以下までこだわる必要はありません。
7. 円の面積のよくあるまちがい
最後に、円の面積でまちがえやすいポイントをまとめておきます。
まちがい 1:直径をそのまま公式にあてはめる
直径 10cm の円の面積を、「10 × 10 × 3.14 = 314cm²」としてしまうミス。これは半径 10cm の円の面積です。直径 10cm なら半径は 5cm なので、正しくは 5 × 5 × 3.14 = 78.5cm² です。
注意:公式の「半径 × 半径」は 半径の 2 乗(同じ数を 2 回かける)です。直径を入れてしまうと、半径の 4 倍の面積になってしまいます。
まちがい 2:円周の公式と混ぜてしまう
円周 = 直径 × 3.14、円の面積 = 半径 × 半径 × 3.14。似ているようで、使う長さも、何回かけるかもちがいます。区別して覚えましょう。
| 求めるもの | 公式 | 答えの単位 |
|---|
| 円周 | 直径 × 3.14 | cm |
| 円の面積 | 半径 × 半径 × 3.14 | cm² |
まちがい 3:おうぎ形で 360 でわり忘れる
おうぎ形は、円の一部です。必ず 中心角 ÷ 360 をかけて、全体の何分の何かを反映させましょう。
まとめ
この章では、円の面積の求め方を、長方形への変形という工夫から導き、実さいの計算やおよその面積までを学びました。
- 円を細かく分けて並べ替えると、たて = 半径、よこ = 半径 × 円周率 の長方形に近づく
- 円の面積 = 半径 × 半径 × 3.14
- 直径が与えられたら、まず 半分にして半径 を出す
- おうぎ形 の面積 = 円の面積 × (中心角 ÷ 360)
- 身の回りの複雑な形は、長方形・三角形・円などに 概形をつかまえて およその面積を求める
ポイント:円の面積公式は、ただ暗記するだけでなく、「どうしてこの公式になるのか」を説明できると強くなります。細かく切って並べ替える発想は、中学校・高校でも何度も出てくるので、大切に身につけておきましょう。
次の章「角柱・円柱の 体積」では、この円の面積を使って、円柱の体積まで求められるようになります。平面の話が立体の話につながる、わくわくする内容ですよ。
まとめ — 円 の 面積 を 3 行 で
- 円 を 細かく 分けて 並べ かえる と、たて = 半径、よこ = 半径 × 円周率 の 長方形 に 近づく。
- そこ から 円の面積 = 半径 × 半径 × 3.14 の 公式 が 導かれる。直径 だけ 与えられた ら まず 半分 にして 半径 を 出す。
- おうぎ形 の 面積 は 円 の 面積 × (中心角 ÷ 360)。身 の 回り の 複雑 な 形 は 概形 で つかんで、およそ の 面積 を 求めよう。