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いよいよ、小学校算数の最終章 です。この章では、世の中にあふれる データ をどう整理し、どう読み取るかを学びます。そして、「何通りあるか」を数え上げる 場合の数 の考え方にもふれます。
この章が終わるころには、つぎのことができるようになっています。
ポイント: この章のテーマは 「バラバラをまとめる力」。たくさんのデータからとくちょうを読み取ったり、いろいろな組み合わせをもれなく数えたりするには、整理のしかた が大切です。中学校の 統計 や 確率 にまっすぐつながる、楽しい章です。
みなさんのクラスで「50 m 走のタイム」を調べたとしましょう。人数が 30 人いたら、30 個の数字がならびます。
ただ数字を書き出しただけでは、「速い人が多いクラスなのか」「差が大きいクラスなのか」はよく分かりません。そこで、データ全体のとくちょうや傾向を見つけるための道具が必要になります。
それが、この章で学ぶ 度数分布表・ヒストグラム・ドットプロット と 3 つの代表値 です。
まずは表から。つぎは、ある 6 年生 30 人の 50 m 走のタイムを、0.5 秒ごとにくぎって整理したものです。
| タイム(秒) | 人数(人) |
|---|---|
| 7.0 以上 〜 7.5 未満 | 2 |
| 7.5 以上 〜 8.0 未満 | 6 |
| 8.0 以上 〜 8.5 未満 | 10 |
| 8.5 以上 〜 9.0 未満 | 8 |
| 9.0 以上 〜 9.5 未満 | 3 |
| 9.5 以上 〜 10.0 未満 | 1 |
| 合計 | 30 |
このように、データをいくつかのはん囲に分けて、それぞれのはん囲に入る個数を書いた表を 度数分布表 といいます。
と呼びます。
ポイント: 「8.0 以上 8.5 未満」は、8.0 は入る、8.5 は入らない という意味です。8.5 ちょうどの人は、次の「8.5 以上 9.0 未満」に入ります。重なりや落ちがないように、この書き方を使います。
度数分布表をそのままグラフにしたものが ヒストグラム です。柱状グラフ ともいいます。
各階級の長方形を、すき間なくつなげてかくのがヒストグラムの特ちょうです。
上の 50 m 走の表をヒストグラムにすると、真ん中の 8.0 以上 8.5 未満 がもっとも高く、そこから両側にだんだん低くなっていく「山の形」が見えます。
3 年生で学んだ 棒グラフ と似ていますが、大切なちがいがあります。
| 棒グラフ | ヒストグラム | |
|---|---|---|
| 横じく | ものの名前(文字) | 数のはん囲(数値) |
| 棒のあいだ | すき間をあける | すき間なくつなげる |
| 表すもの | それぞれの量 | データの散らばり |
注意: ヒストグラムは棒と棒のあいだにすき間がありません。これは「この数値のはん囲にはデータがない」という誤解を防ぐためです。
もうひとつ便利な道具が ドットプロット です。これは、数直線の上に、データを 1 つずつ「・」の点で積み上げていく図です。
たとえば、あるクラスの 10 人の小テストの点数(10 点満点)がつぎのようだったとします。
5, 7, 8, 8, 9, 10, 7, 8, 6, 8
これを数直線の上に積み上げると、
というように、どの点が多いかが一目で分かります。
ポイント: ドットプロットは、データの個数が少ないときや、いちばん多い値をぱっと見つけたいときに便利です。データの数が多くなってくると、ドットの山が高くなりすぎて読みにくくなるので、そのときはヒストグラムの出番です。
データ全体のとくちょうを 1 つの数 で表したい、というときに使うのが 代表値 です。小学校では次の 3 つを学びます。
平均値 は 5 年生でもおなじみの、合計 ÷ 個数 で求める値です。
さきほどの小テスト(5, 7, 8, 8, 9, 10, 7, 8, 6, 8)の平均値は、
合計 = 5 + 7 + 8 + 8 + 9 + 10 + 7 + 8 + 6 + 8 = 76 76 ÷ 10 = 7.6
平均値は 7.6 点です。
中央値 は、データを小さい順(または大きい順)にならべたときに、ちょうど真ん中にくる値 です。
さきほどのテストの点を小さい順にならべると、
5, 6, 7, 7, 8, 8, 8, 8, 9, 10
10 個あるので、真ん中は 5 番目と 6 番目のあいだです。5 番目は 8、6 番目も 8 なので、その平均で 8 が中央値になります。
最頻値 は、データの中でもっとも多く出てくる値 です。
テストの例では、8 が 4 回出てきていてもっとも多いので、最頻値は 8 です。
「代表値」というと平均値だけを思いうかべがちですが、じつは 場面によって、どの代表値がふさわしいかは ちがいます。
たとえば、あるお店で売れた 10 足の くつのサイズがつぎのようだったとします。
22, 23, 23, 24, 24, 24, 25, 25, 26, 27
このお店が「来年いちばん多く仕入れるくつのサイズ」を決めるとき、使うべきは 最頻値 の 24 です。平均値の 24.3 というサイズのくつは売っていないし、「平均のサイズ」を大量に仕入れても売れません。いちばん売れているサイズを仕入れたいのです。
もうひとつ、平均値が不便になる例を見てみましょう。ある 5 人家族の 1 か月のおこづかいが次のようだったとします。
500 円、500 円、500 円、500 円、10000 円
(最後の 1 人だけ、お兄さんのアルバイト代で 10000 円です。)
「平均 2400 円」というと、みんな 2000 円以上もらっているような感じがしますが、実さいには 4 人が 500 円です。このように ほかと大きくかけはなれた値(外れ値) があると、平均値はその影響を強く受けて、真ん中からずれてしまいます。
ポイント:外れ値があるときや、分布がかたよっているときは、中央値や最頻値のほうが「ふつうの感じ」をよく表す ことがあります。世の中のニュースで「平均年収」「平均貯金額」を聞いたとき、中央値はもっと低いかもしれない、と考えてみる目が大切です。
後半のテーマは、がらりと変わって 場合の数 です。
たとえば、A・B・C・D の 4 人の中から、2 人 を選んでそうじ当番にしたいとき、何通りの選び方があるでしょうか。こういう「何通りあるか」を考える問題を 起こり得る場合 の問題といいます。
大切なのは もれなく・重なりなく数えること。そのために役立つ道具が 樹形図 と 表 です。
樹形図 は、木が枝分かれしていくように、順序を決めて場合を書き出していく図 です。
A・B・C・D の 4 人が 1 列に並ぶとき、いちばん前が A の場合 を考えてみましょう。
A ─ B ─ C ─ D
│ └ D ─ C
├ C ─ B ─ D
│ └ D ─ B
└ D ─ B ─ C
└ C ─ B
A が先頭のときは 6 通り あります。先頭は A・B・C・D の 4 つの場合があるので、全部で
6 × 4 = 24 通り
になります。
ポイント:樹形図のコツは 観点を決めること。「まず先頭を固定する」「まずいちばん大きいものから決める」のように、ルールを決めて順に書くと、もれも重なりも起きません。
ここで、とても大切なちがいがあります。
A・B・C・D の 4 人から 2 人を選んで並べる(たとえば班長と副班長を決める)とき、
この 2 つは 別のもの として数えます。4 人から 2 人を選んで並べるときは、
4 × 3 = 12 通り
同じ 4 人から 2 人を選ぶだけ(たとえばそうじ当番の 2 人を選ぶ)とき、
と考えます。12 通りの中には「AとB」「BとA」のような同じ組が 2 回ずつ入っているので、
12 ÷ 2 = 6 通り
実さいに書き出すと、{A,B} {A,C} {A,D} {B,C} {B,D} {C,D} の 6 通りです。
| A | B | C | D |
|---|---|---|---|
| A-B | B-C | C-D | |
| A-C | B-D | ||
| A-D |
表にまとめると、対角線より上(または下)の部分だけを見ればよく、もれなく重なりなく数えられます。
ポイント: 「班長と副班長」のように 役割がちがう → 順序を区別する(順列)。「そうじ当番 2 人」のように 役割が同じ → 順序を区別しない(組合せ)。同じ「2 人選ぶ」でも、数は 2 倍ちがう のです。
対戦の組み合わせは、ちょうど「4 人から 2 人を選ぶ組合せ」と同じ考え方で解けます。
「2 人を選ぶ」のか「2 人を順番に並べる」のかで、答えは 2 倍もちがいます。問題文の 「並べる」「順番」「1 位、2 位」 などの言葉に注目しましょう。
「8.0 以上 8.5 未満」と「8.5 以上 9.0 未満」のとき、8.5 ちょうど のデータはどちらに入れますか? ルール上は「8.5 以上 9.0 未満」の方に入れます。両方に入れると 重複して合計が合わなくなります。
平均値は、外れ値があると真ん中からずれることがあります。真ん中を知りたければ中央値、いちばん多い値を知りたければ最頻値 を使いましょう。
「まず先頭を A に固定」と決めたのに、途中から「まず 2 番目を決める」に変えると、もれや重なりが起きます。最初に決めた順序を最後までつらぬく のが鉄則です。
小学校算数、完結: 1 年生の「たしざん」から始まり、ひっ算、九九、分数、小数、図形、体積、割合、速さ、比例、そしてデータと場合の数まで。6 年間で、数と図形、そして世の中の「変わり方」や「ばらつき」までをとらえる力がそろいました。これは立派な 数学の土台 です。
中学校では、文字式・方程式・関数・図形の証明・確率…と、この章で学んだ考え方がすべて土台になります。ここまで積み上げてきたことに、自信をもってください。算数を楽しんできた心そのものが、これからの大きな武器になります。