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5 年生で、2 つの量を比べるとき 割合(= くらべる量 ÷ もとにする量)や 百分率(%)を使う方法を学びました。あれは、「どちらをもとにするか」 を決めて、一つの数 で表す方法でした。
この章で学ぶ 比(ひ)は、もう少し別の見方をします。2 つの量を、どちらをもとにするか決めずに、簡単な整数の組でならべて書く方法です。
たとえば、「コップ 3 ぱいの水と、コップ 5 はいのこいジュースのもとを混ぜる」 のような場面では、3 : 5(さんたいご)と書きます。この書き方だと 、どちらをもととするかを決めなくても 、2 つの量の関係 がそのまま目に見えます。
この章が終わるころには、つぎのことができるようになっています。
ポイント: 比 と 分数 はそっくりです。a : b の比の値は a ÷ b、これはまさに分数a/b。だから 「比 = 分数の別の書き方」 と思っても OK です。
こいめんつゆを 3 杯、水を 5 杯混ぜて、うすめためんつゆを作ることを考えましょう。
めんつゆ: ▓▓▓ (3 杯)
水: ░░░░░ (5 杯)
このとき、「めんつゆと水の 関係」 を、3 : 5 と書きます。読み方は 「さんたいご」。
同じ味のめんつゆをもっとたくさん作りたいとき、たとえば 6 杯と 10 杯 で混ぜても、9 杯と 15 杯 で混ぜても、同じ味 になります。
めんつゆ 3 : 水 5 → めんつゆ 6 : 水 10 → めんつゆ 9 : 水 15
▓▓▓ | ░░░░░ ▓▓▓▓▓▓ | ░░░░░░░░░░ ▓▓▓▓▓▓▓▓▓ | ░░░░░░░░░░░░░░░
どれも同じ 「こさ」 = 同じ関係
このような 「同じ関係とみなせる組」 をひとまとめにして、3 : 5 と代表で書いてしまうのが、比 の書き方のアイデアです。
2 つの数 a と b を、コロン 「:」 で区切って
と書いたものを 比(ひ)といいます。「a たい b」 と読みます。
比 は、部分と部分の関係 を表すのが得意です。たとえば、ジュースを作るときの 「こい液と水」、クラスの 「男子と女子」、ケーキの 「小麦粉とさとう」 など、どちらをもとにするかを決めずに、ならべて比べたい ときに使います。
ポイント: 比 の書き方は左と右の順番が大切です。「男子 : 女子 = 3 : 2」 と 「女子 : 男子 = 3 : 2」 は意味が別。どちらの量を左、どちらを右に書くか をはっきり決めましょう。
5 年生の 「割合」 は、2 つの量を 1 つの数で表しました。比 を 1 つの数で表すには、左の数を右の数でわった商 を使います。これを 比の値(ひのあたい)といいます。
つまり、比の値 は 分数そのもの です。
左 ÷ 右、の順番をしっかり覚えましょう。4 : 1 と 1 : 4 は比の値がぜんぜん違う、別の比です。
ポイント: 比の値 は 分数(a/b)と同じ。だから 5 年生で学んだ 「割合」 や 「分数」 の計算がそのまま使えます。
最初に見たように、3 : 5 と 6 : 10 と 9 : 15 は、ぜんぶ 「同じ関係」 を表していました。このような 2 つの比が同じ関係を表すことを、等しい比 といい、記号 「=」 でつなげて書きます。
比の値 を計算 してみると、
すべて 同じ 3/5 になります。比の値 が等しい ⇔ 等しい比、これが一番大事な関係です。
比 のとても大切な性質はこれです。
(ただし k は 0 でない数)
つまり、両がわに同じ数をかけても、同じ数でわっても、比は等しいまま。これは分数の 「約分と通分」 とまったく同じしくみです。
× 2 するばあい:
3 : 5 = (3 × 2) : (5 × 2) = 6 : 10
↑ 両ほうに同じ数をかけても関係は同じ
÷ 3 するばあい:
9 : 15 = (9 ÷ 3) : (15 ÷ 3) = 3 : 5
↑ 両ほうを同じ数でわっても関係は同じ
つぎの □ に当てはまる数を求めましょう。
(1) 2 : 3 = 8 : □
左は 2 × 4 = 8 になっています。右も同じ × 4 をすれば、3 × 4 = 12。答えは □ = 12。
(2) 15 : 25 = 3 : □
左は 15 ÷ 5 = 3。右も同じ ÷ 5 で、25 ÷ 5 = 5。答えは □ = 5。
(3) 4 : 7 = □ : 21
右は 7 × 3 = 21。左も同じ × 3 で、4 × 3 = 12。答えは □ = 12。
ポイント: 「片方を何倍 (または何等分)したか」 を見つけて、もう片方に同じことをする。これが 等しい比 を見つけるときの基本です。
24 : 36 と 2 : 3 は 、じつは 等しい比 です(どちらも比の値は 2/3)。でも、読みやすさ・使いやすさでいえば 2 : 3 のほうがずっとシンプル。
そこで、なるべく小さい整数の組 に直した比を、「簡単な比」 といい、元の比を簡単にすることを 「比を簡単にする」 といいます。これは分数の 約分 とまったく同じ考え方です。
両がわの数の 最大公約数(GCD) でわると、一気に簡単になります。
例 1: 24 : 36 を簡単にする。
24 と 36 の最大公約数は 12。両がわを 12 でわると、
例 2: 18 : 45 を簡単にする。
18 と 45 の最大公約数は 9。両がわを 9 でわると、
いきなり最大公約数が出せないときは、共通にわり切れる数で少しずつわる方法でも OK。
例: 60 : 48 → まず両がわを 2 でわって 30 : 24 → さらに 2 でわって 15 : 12 → さらに 3 でわって 5 : 4。答えは 5 : 4。
比の中に小数や分数が入っているときは、まず整数の比に直してから簡単にします。
小数のばあい:両がわに 10・100 などをかけて整数にする。
分数のばあい:両がわに 分母の最小公倍数をかけて整数にする。
ポイント: 小数 → 10 倍 100 倍で整数に、分数 → 分母の最小公倍数をかけて整数に。これが比の 「前さばき」 の基本です。
比の 1 か所の値と、全体や片方の値が分かっているとき、もう一方の値を求めることができます。
男子 : 女子 = 3 : 2 で、男子が 18 人。女子は何人?
3 が 18 になる、ということは、× 6 しています。女子も同じ × 6 で、
1000 円 を、A さんと B さんで 3 : 2 に分けたい。A さんと B さんがもらうのはそれぞれいくら?
比の合計は 3 + 2 = 5。これが全体の 1000 円に当たります。だから 1 ぶんは 1000 ÷ 5 = 200 円。
このように、全体を決まった比で分けること を 比例配分(ひれいはいぶん)といいます。
全体 1000 円のうち、A さんは 全体の 3/5、B さんは 全体の 2/5、と考えても同じ答えになります。
分数を使うやり方と、「1 ぶんを先に求める」 やり方、どちらでも OK。自分がやりやすいほうを使いましょう。
長さ 120 cm のひもを、5 : 3 に分けます。それぞれの長さは?
比の合計 = 5 + 3 = 8。1 ぶん = 120 ÷ 8 = 15 cm。
やってみよう: 84 まいの色紙を、兄と弟で 4 : 3 に分けます。兄と弟はそれぞれ何まい?
答え:比の合計 = 7、1 ぶん = 84 ÷ 7 = 12。兄 = 12 × 4 = 48 まい、弟 = 12 × 3 = 36 まい。
比 は、教科書の中だけでなく、身のまわりのいろいろな場面 で使われています。
すし酢の作り方 「米酢 : さとう : 塩 = 5 : 3 : 1」 のように、材料の割合 はよく比で書かれます。3 つ以上の比も、意味は同じ(「米酢 5、さとう 3、塩 1 の割合」)。2 人分でも 10 人分でも、比さえ合っていれば味は同じ になります。
地図の 「縮尺 1 : 25000」 は、地図の 1 cm が実際の 25000 cm(= 250 m) ということ。これも比の考え方です。7 章でくわしく学びます。
「3 対 2」 で勝った、というときの 「対」 はまさに比の 「:」。点の数の関係を表しています。
テレビの画面やスマホの写真の「16 : 9」 や 「4 : 3」 も比。大きい画面でも小さい画面でも、比が同じなら形は同じ です。
ポイント: 「割合でくらべる」 と 「比でくらべる」 は、言い方がちがうだけで根っこは同じ。どちらを使うと見やすいか、場面で使い分けてみてください。
「男子 : 女子 = 3 : 2」 と 「女子 : 男子 = 3 : 2」 は 別の意味。問題を解くとき、どちらを左に書くか を最初に確認しましょう。
答えの書き方がちがってくるので、「比で答える」 のか 「比の値で答える」 のか を問題文から読み取りましょう。
両がわに同じ数 をかけたりわったりしないと、比は変わってしまいます。「左は 3 でわったけど右はそのまま」 はまちがいです。
○ 正しい: × 間ちがい:
24 : 36 24 : 36
↓ ÷12 ↓ ÷12 ↓ ÷12 (そのまま)
2 : 3 2 : 36 ← これは別の比
1000 円を 3 : 2 に分けるとき、いきなり 「A = 1000 × 3 = 3000 円」 とやってしまうミス。合計の比(3 + 2 = 5)をまず出して、1 ぶんを計算する、という手順を忘れないようにしましょう。
次の章: 「比が同じ」 という考え方をもっとおし広めた 比例と反比例、そして 拡大図・縮図 の世界に進みます。2 つの量がどのように変わっていくかを、表・式・グラフの 3 つの道具で見わたせるようにしましょう。