この章で学ぶこと
これまで、知らない数や、変わる数を表すとき、□や△という記号を使ってきました。たとえば 「□ + 30 = 100」「ある数を △ として、△ × 4 で値を求める」 のように使ってきたはずです。
6 年生では、□や△の代わりに x(エックス)や y(ワイ)、a(エー)、b(ビー)のような 文字 を使って式に表します。これは、中学校の数学や、理科・社会の統計で当たり前に出てくる書き方です。ここでしっかり慣れておきましょう。
この章が終わるころには、つぎのことができるようになっています。
- 数量の関係を、x や y などの文字 を使った 文字を使った式 に書ける
- 式の意味 を読み取れる(「5 × x」 が何を表しているか言える)
- 文字に いろいろな数を当てはめて、式の値を求められる
- x + 30 = 100 のような式から、x の値を求められる(簡単な方程式の考え方)
- 決まった計算の法則(交かん法則・結合法則・分配法則)を、文字を使った式 で一般的に表せる
ポイント:文字を使ういちばんのよさは、「どんな数でも当てはまる関係」を、いちいち例を書かずに、1 本の式ですっきり表せる ことです。
1. なぜ文字を使うのか
□ や △ の復習
5 年生までに、つぎのような場面で □ や △ を使ってきました。
- 「ある数に 30 をたすと 100 になります。ある数はいくつ?」 → □ + 30 = 100
- 「1 こ 80 円のりんごを △ こ買うと代金は?」 → 80 × △(円)
この □ や △ の代わりに、これからは x や a のような文字を使います。
x+30=100
80×a
意味はぴったり同じです。読み方だけ変わると思えばだいじょうぶ。
文字を使うとよいこと
文字を使うよさを、具体例で見てみましょう。1 本x 円 のえんぴつを買う場面を考えます。
- 1 本買う → 代金は x 円
- 2 本買う → 代金は x × 2 円
- 3 本買う → 代金は x × 3 円
- ︙
- 5 本買う → 代金は x × 5 円(= 5 × x 円)
どのばあいでも 「1 本の値段 × 本数」 という 同じしくみ で代金が決まります。このしくみを、x を使えば
代金=x×(本数)
と、一本の式ですっきり書けます。□ や △ より 、いろいろな数を当てはめて使う ときに便利です。
ポイント: 文字は、いろいろな数の代わりをする道具。小数でも分数でも、整数でも、同じように当てはめられます。
2. 文字を使った式に表す
例 1: えんぴつの代金
1 本x 円 のえんぴつを 5 本買ったときの代金を、y 円 とします。x と y の関係 を式に表すと、
y=x×5
または、ならわしとして 数を先に書いて
y=5×x
と書くことが多いです(中学ではさらに 「×」 を省いて y = 5x と書きますが、小学校ではまだ 「×」 を書きましょう)。
この 1 本の式に、いろいろな x を当てはめてみましょう。
| x(1 本の値段・円) | y = 5 × x(代金・円) |
|---|
| 50 | 250 |
| 80 | 400 |
| 100 | 500 |
| 120 | 600 |
文字を使った式 1 本で、いろいろな場合をまとめて表せるのがわかります。
例 2: 平行四辺形の面積
5 年生で学んだように、平行四辺形の面積は 底辺 × 高さ で求められました。底辺を 4 cm とし、高さを a cm、面積を b cm² とすると、
4×a=b
という式が成り立ちます。この式は、「高さが決まると面積も決まる」 こと、「高さが 2 倍になると面積も 2 倍になる」 こと(つまり 比例の関係)まで読み取れる便利な式です。
| a(高さ・cm) | b(面積・cm²) |
|---|
| 1 | 4 |
| 3 | 12 |
| 5 | 20 |
| 10 | 40 |
例 3: 代金とお釣り
1 こ a 円 のケーキを 3 こ買って、1000 円出したときのお釣りを b 円 とすると、
b=1000−a×3
と表せます。カッコを使って b = 1000 - (a × 3) と書いても同じことです。
やってみよう: 1 冊x 円 のノートを 4 冊買い、y 円 の消しゴムを 1 こ買ったときの合計代金を z 円 として、式に表しましょう。
答え: z = x × 4 + y(または z = 4 × x + y)
3. 式の意味を読み取る
文字を使った式 がいきなり書かれているとき、「この式は何を表しているのか」 を読み取る力も大切です。
例: x × 6 + 200 を読み取る
1 こ x 円 のおかしがならんでいるとき、つぎの式は何を表していると読めるでしょうか。
x×6+200
- x × 6 … 1 こ x 円のおかしを 6 こ買った代金
- + 200 … 200 円の何かをたす
たとえば、「1 こ x 円のおかしを 6 こと、200 円のジュースを 1 本買ったときの代金」 と読めます。
同じ式でも、場面を変えれば別の意味にも使えます。たとえば 「1 m の値段が x 円のひもを 6 m 買い、200 円の箱に入れたときの合計」 などです。式の形から、どんな場面が考えられるか、いくつか挙げてみる練習をしてみましょう。
例: (x + y) × 2
長方形のたてが x cm、よこが y cm のとき、
(x+y)×2
は何を表す式でしょうか。たて + よこを 2 倍する、つまり 長方形のまわりの長さ(周) を表す式です。
ポイント:式を見たら、「どの部分が何を表しているか」、「全体で何を求めているのか」 の 2 つを確かめると、意味がはっきりします。
4. 文字に数を当てはめて、式の値を求める
文字を使った式 に、実際の数を入れて計算することを、「文字に数を当てはめる」 と言います。中学では 「代入する」 と言いますが、呼び方はどちらでもかまいません。
例 1: y = 5 × x に当てはめる
1 本x 円 のえんぴつ 5 本の代金y 円 を表す式y = 5 × x。
- x = 80 のとき → y = 5 × 80 = 400(400 円)
- x = 120 のとき → y = 5 × 120 = 600(600 円)
例 2: 小数や分数も当てはめられる
文字に当てはめる数は、整数だけではありません。小数 でも 分数 でも OK です。
平行四辺形の面積の式b = 4 × a で、
- a = 2.5 のとき → b = 4 × 2.5 = 10(10 cm²)
- a = 3/2 のとき → b = 4 × 3/2 = 6(6 cm²)
ポイント:文字は 「整数しか入れられない」 わけではありません。小数でも分数でも、当てはめれば同じように計算できます。
5. 式の値から文字の値を求める
逆に、式の値が決まっていて、文字に当てはまる数を求める問題もあります。中学で学ぶ 方程式 の入口です。
例 1: x + 30 = 100
「ある数に 30 をたすと 100 になります。ある数はいくつ?」 を式で書けば、
x+30=100
両がわをよく見て、「30 をたすと 100 になる数」 と考えれば、
x=100−30=70
これは 「たし算の逆算」 を使っています(たし算 → ひき算)。
例 2: x × 4 = 80
「ある数を 4 倍すると 80 になります。ある数は?」 なら、
x=80÷4=20
これは 「かけ算の逆算」(かけ算 → わり算)。
例 3: 当てはめて調べる
どうしても逆算が思いつかないときは、文字にいろいろな数を順番に当てはめて、式が成り立つ数をさがす方法もあります。
たとえば 「x × 3 + 5 = 20」 の x をさがすとき:
| x | x × 3 + 5 |
|---|
| 3 | 14 |
| 4 | 17 |
| 5 | 20 ← 当たり |
| 6 | 23 |
このように、順番に数を入れて表を作る と、答えにたどり着けます。計算が得意な人は逆算、不安な人は当てはめ、と使い分けて OK です。
ポイント: + の逆は −、× の逆は ÷。逆算の向きをしっかりおぼえておきましょう。
6. 文字を使って計算の法則を表す
4 年生・5 年生で、計算の法則を学びました。これらは、本当は どんな数でも成り立つ法則です。それを文字で書くと、1 本の式ですっきり表せます。
交かん法則
a+b=b+a
a×b=b×a
「たし算とかけ算は、前後を入れかえても答えが同じ」。
結合法則
(a+b)+c=a+(b+c)
(a×b)×c=a×(b×c)
「カッコの付け方を変えても答えが同じ」。
分配法則
(a+b)×c=a×c+b×c
「たし算してからかけるのと、それぞれにかけてからたすのは、同じ」。
これらの式は、a・b・c にどんな整数・小数・分数を入れても つねに成り立ちます。たとえば分配法則を a = 3, b = 7, c = 4 で確かめると:
- 左辺: (3 + 7) × 4 = 10 × 4 = 40
- 右辺: 3 × 4 + 7 × 4 = 12 + 28 = 40
ぴったり一致します。他の数でもぜひ試してみてください。
ポイント:計算の法則を 文字で表す と、「どんな数でも当てはまる」 ことが 1 本の式で言えます。これが文字のいちばん大きな力です。
7. 2 つの文字の関係
1 つの式に 2 つの文字 が出てくることがあります。これは、一方が決まるともう一方も決まる関係を表していることが多いです。
例: 1 辺 x cm の正方形のまわりの長さ y cm
y=x×4
- x = 3 → y = 12
- x = 5 → y = 20
- x = 10 → y = 40
x が決まると y が決まり、x が 2 倍になると y も 2 倍になります。これは 7 章で学ぶ 比例の関係 の入口です。
例: 時速 60 km で x 時間進んだときのきょり y km
y=60×x
- x = 1 → y = 60
- x = 2.5 → y = 150
x が小数でも 、同じ式で計算できます。
ポイント: 「x が変わると y も変わる」 関係を 1 本の式で書ける、という考え方は中学の関数や理科の公式で大活やくします。
8. つまずきやすいポイント
① ×(かける)の向きを迷う
1 本x 円 のえんぴつを 5 本 の代金を、x × 5 と書くか 5 × x と書くかで悩むことがあります。どちらでも答えは同じ(かけ算の交かん法則)。ただし、ならわしとして 数を前に書いて 「5 × x」 とすることが多いです。中学ではこれを 5x と書きます。
② 文字の前に数を書き忘れる
「5 こ買った」 を単に 「x」 と書いてしまうミスがあります。x は 1 本分の値段、5 × x が 5 本の代金。x と 5 × x は別物です。「何が x か」 「何倍するか」 を分けて考えましょう。
③ 文字をいきなり消して計算してしまう
x + 30 = 100 を解くとき、 x を勝手に消して 「+30 = 100 だから 70」 とやってはいけません。x = 100 − 30 = 70 と、x の値を求める、という形で書きましょう。最後に x = 70 を元の式に当てはめて確かめる のも大切です(70 + 30 = 100 になれば OK)。
④ 文字に当てはめたとき 、計算順序をまちがえる
y = 5 × x + 3 に x = 4 を当てはめると、y = 5 × 4 + 3 = 20 + 3 = 23。「× が先、+ があと」 という計算順序をわすれないようにしましょう。たし算を先にやると、答えがちがってしまいます。
まとめ
- □ や △ の代わりに x・y・a・b などの 文字 を使って式を書く → 文字を使った式
- 文字は どんな数でも当てはまる道具。整数・小数・分数すべて OK
- 数量の関係を、1 本の式で一般的に表せる(例: 代金 y = 5 × x)
- 式を見たら、どの部分が何を表すか・全体で何を求めるか を読み取る
- 文字に数を 当てはめて式の値を求められる
- 式の値が決まっているときは、逆算 か 当てはめ で文字の値を求める
- + の逆は −、× の逆は ÷
- 計算の法則(交かん・結合・分配)は、文字を使うと 1 本の式でどんな数でも OK と表せる
- 2 つの文字を使うと、一方が決まればもう一方も決まる関係(比例の入口)が見える
次の章: いよいよ 6 年生の算数の大きな山、比と比の値 です。「混ぜる割合」 や 「身長と体重の関係」 など、2 つの量を 同じ単位でならべて比べる考え方を身につけましょう。