この章で学ぶこと
3 年生では、そろばんで 1万までの数を表したり、かんたんなたし算・ひき算をしたりすることを学びました。4 年生では、それを もっと大きな数(億・兆)や 1/100 までの小数にも広げていきます。
そろばんは 「同じ形の玉」だけをならべて使う道具です。1 の玉も、1万の玉も、1兆の玉も、形はまったく同じ。場所(けた)をずらすだけで表せる数が大きくなります。これは 十進位取り記数法のしくみそのものです。
この章がおわるころには、つぎのことができるようになっています。
- そろばんの 一玉・五玉・定位点の名前とやくわりが言える
- そろばんで 億・兆までの大きな数を表せる
- そろばんで 1/100 の位までの小数を表せる
- 億どうし・兆どうしの かんたんなたし算・ひき算をそろばんでできる
- 0.02 + 0.85 のような 小数のかんたんなたし算・ひき算をそろばんでできる
ポイント: そろばんはただの計算道具ではなく、十進位取り記数法のしくみを手でさわって理解できる道具です。「位をずらすだけで、数が 10 倍になる」「同じ玉でも場所で大きさが変わる」という数の大切なしくみを、玉の動きでたしかめましょう。
1. そろばんのしくみをおさらいしよう
そろばんは、たての棒に 玉を通した道具です。1 本の棒を 「けた」といいます。
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● ● ● ● ● ● ← 五玉(5 を表す 1 こ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ← 梁
○ ○ ○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○ ← 一玉(1 を表す玉が 4 こ)
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- 1 本のけたには、まん中の 梁をはさんで 上に 1 こ・下に 4 この玉があります。
- 上の 1 こ(五玉)は 5を表します。
- 下の 4 こ(一玉)は 1 こで 1を表します。
- 玉を 梁につけると「置いた」ことになり、その数が表されます。
- 梁からはなすと「払った」ことになり、そのけたは 0になります。
定位点:どこが一の位か
そろばんの梁には、何か所か 小さなしるしがついています。これを 定位点といいます。
定位点を一の位と決めると、その左が十の位、百の位、千の位、万の位、…と 4 けたごとに万・億・兆の単位へ進んでいきます。定位点をどこにするかで、同じ玉のならびでも表す数が変わります。
ポイント:定位点を 「自分で決めてよい」のがそろばんのおもしろいところ。整数を表すときはふつう右から 3 つめや 4 つめの定位点を一の位にしますが、小数を表すときはもっと左の定位点を一の位にして、その右を 1/10 の位、1/100 の位と使います。
2. そろばんで数を置いてみよう
「玉を梁につける」ことを「置く」といいます。実さいに数を置いてみましょう。
れい 1: 3 を置く
一の位のけたで、下の 一玉を 3 こ梁に上げる。
れい 2: 5 を置く
一の位のけたで、上の 五玉 1 こを梁に下ろす。
れい 3: 7 を置く
一の位で、五玉 1 こ(5)+ 一玉 2 こ(2)= 7。
れい 4: 23 を置く
- 十の位に一玉 2 こ → 20
- 一の位に一玉 3 こ → 3
あわせて 23。
やってみよう: 489 をそろばんで表すと、百の位に一玉 4 こ(400)、十の位に五玉 1 こ + 一玉 3 こ(80)、一の位に一玉 4 こ + 五玉 1 こで 9(5+4)。
3. 億・兆をそろばんで表そう
3 年生で学んだ「同じしくみでけたをふやす」考え方をつかえば、億や兆までもそろばんで表せます。
定位点を一の位と決めたとき、そこから左へ数えて:
| けた目 | 位 |
|---|
| 1 | 一の位 |
| 2 | 十の位 |
| 3 | 百の位 |
| 4 | 千の位 |
| 5 | 一万の位 |
| 6 | 十万 |
| 7 | 百万 |
| 8 | 千万 |
| 9 | 一億の位 |
| 10 | 十億 |
| 11 | 百億 |
| 12 | 千億 |
| 13 | 一兆の位 |
つまり、右から 9 けた目が億の位、13 けた目が兆の位です。
れい: 2 億 を置く
右から 9 けた目の一の位(億の一の位)に 一玉 2 こ。それより右はすべて 0(玉を梁からはなす)。
れい: 10 兆 を置く
右から 14 けた目(十兆の位)に 一玉 1 こ。それより右はすべて 0。
ポイント:玉の大きさも形も、一の位であろうと兆の位であろうとまったく同じです。「場所で表す大きさが変わる」—これがそろばんのしくみであり、十進位取り記数法の本質です。同じ記号(玉)でどんなに大きな数でも表せます。
4. そろばんで億・兆のたし算・ひき算
定位点と位がわかれば、たし算・ひき算も同じしくみです。億どうし・兆どうしのかんたんな計算をやってみましょう。
れい 1: 2 億 + 6 億 = ?
- 2 億 を置く(億の位に一玉 2 こ)。
- そこへ 6 億をたす。億の位に一玉 6 こをたしたい。
- 一玉は 4 こしかないので、五玉 1 こ(5)+ 一玉 1 こ(1)で 6 をたす。
- 億の位に五玉 1 こ + 一玉 3 こ(2 + 1 = 3 こ)が残る → 8 億。
れい 2: 10 兆 + 20 兆 = ?
- 10 兆 を置く(十兆の位に一玉 1 こ)。
- そこへ 20 兆 をたす。十兆の位に一玉 2 こをたす。
- 十兆の位に一玉 3 こ → 30 兆。
れい 3: 9 億 − 4 億 = ?
- 9 億 を置く(億の位に五玉 1 こ + 一玉 4 こ)。
- そこから 4 億 をひく。一玉 4 こを梁からはなす。
- 五玉 1 こだけ残る → 5 億。
ポイント:何けたであろうと、たし算は 「玉を上げる」、ひき算は 「玉を下ろす」。しくみは一の位とまったく同じです。位がちがうだけで、玉の動き自体はずっと同じ というところが大切。
5. そろばんで小数を表そう
そろばんは小数も表せます。定位点の右を「1/10 の位、1/100 の位」と決めるだけ。
たとえば、右から 3 つめの定位点を一の位にすると:
| 定位点から | 位 |
|---|
| 一の位 | 1 |
| その右 | 1/10 の位 |
| さらに右 | 1/100 の位 |
れい: 0.85 を置く
- 一の位 → 0(玉ははなす)
- 1/10 の位 → 五玉 1 こ + 一玉 3 こ(5 + 3 = 8)
- 1/100 の位 → 一玉 5 こ … はできないので五玉 1 こ(5)
→ 0.85 が表されます。
れい: 0.02 + 0.85 = ?
- 0.02 を置く(1/100 の位に一玉 2 こ)。
- そこへ 0.85 をたす:
- 1/10 の位に 8 → 五玉 1 こ + 一玉 3 こ。
- 1/100 の位に 5 をたす → 元の一玉 2 こ + 五玉 1 こで 7 こぶん(5+2=7)。
- 答えは 0.87。
ポイント:小数と整数の計算、玉の動きは まったく同じ。ちがうのは 「定位点をどこに置くか」だけ。これも「同じしくみでけたをのばす」 という、十進位取り記数法のよいところです。
まとめ
そろばんのしくみ
- けたには 五玉 1 こ(5)+ 一玉 4 こ(1 ずつ)
- 定位点を一の位と決めると、左へ 4 けたごとに万・億・兆
- 右から 9 けた目 = 億の位、13 けた目 = 兆の位
大きな数・小数を表す
- 玉の形・大きさはどのけたでも同じ
- 場所(けた)で表す大きさが変わる = 十進位取り記数法
- 定位点の右を 1/10 の位、1/100 の位と使えば小数も表せる
計算
- たし算は 玉を梁に上げる、ひき算は 玉を梁から下ろす
- 億どうし・兆どうしのかんたんな計算も、しくみは一の位と同じ
- 0.02 + 0.85 のような小数のたし算も、定位点をずらすだけで同じ
つぎはどこで使う?: そろばんで学んだ 「位で大きさが決まる」感覚は、5 年生の小数のかけ算・わり算や、もっと大きい数の計算で役立ちます。手で玉をうごかして身につけたしくみは、頭の中で計算するときも、しっかり支えになります。
まとめ — そろばん(大きい数)を 3 行で
- そろばんの 1 けたは 五玉 1 こ(5)と 一玉 4 こ(1 ずつ)。玉の形はどのけたでも同じ。
- 定位点 を一の位 と決めると、左へ 4 けたごとに万・億・兆。右から 9 けた目が億の位、13 けた目が兆の位。
- 場所(けた)で大きさが変わるしくみ = 十進位取り記数法。定位点をずらせば小数も同じしくみで表せる。