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この章では、 物語をただ読むのではなく、 場面の移り変わり と 登場人物の気持ちの変化 を結びつけて読む方法を学びます。
この章でできるようになること:
物語にはかならず次の 4 つがあります。
| 要素 | 何をさがす |
|---|---|
| 場面 | いつ・どこで・だれが |
| 登場人物 | 主人公とまわりの人 |
| 出来事 | どんなことがおきたか |
| 気持ち | 登場人物がどう思ったか |
場面が変わる印は 「次の日」「公園を出ると」「いっぽう」 など。 改行 や一行空きが目印になることもあります。
ぼくは公園で赤いふうせんを買ってもらった。 風が強かったので、 手をしっかりにぎっていたのに、 ふと空を見上げたすきに、 ふうせんは手からはなれてしまった。 「あ!」 とさけぶぼくの声だけをのこして、 ふうせんはぐんぐん高く上っていった。
森の上をふうせんがとんでいく。 木のえだにひっかかりそうになっても、 ふうせんはするりとすりぬけた。 リスが顔を出して 「なに?」 と言うように見ていた。
海に出た。 ふうせんは波の上をかすめるようにとんでいく。 カモメがとなりにならんでしばらく一しょに飛んでくれた。 ふうせんはさみしくなかった。
山の上で、 ふうせんはすこしつかれて下に降りた。 そこには小さな村があった。
一人の女の子が庭で空を見上げていた。 風にのって静かに落ちてきた赤いふうせんを、 女の子は両手でうけとめた。 「ありがとう、 風さん」。 女の子はうれしそうにわらった。 ふうせんはようやく家を見つけたように安心した。
場面の表をつくる
| 場面 | 場所 | 出来事 | ふうせんの気持ち |
|---|---|---|---|
| 1 | 公園 | 手からはなれる | おどろき・不安 |
| 2 | 森 | 木をすりぬける | スリル |
| 3 | 海 | カモメと飛ぶ | さみしくない |
| 4 | 山 | 一度おりる | つかれた |
| 5 | 村 | 女の子に受けとめられる | 安心・うれしい |
気持ちが 「不安 → スリル → さみしくない → つかれた → うれしい」 と場面とともに変わっていることがわかります。
雨の日の午後、 ぼくは屋根うら部屋で古い木の箱を見つけた。 ふたをあけると、 中にはほこりをかぶった茶色いラジオが入っていた。 おじいちゃんが子どものころにつかっていたものらしい。
でんげんを入れると、 「ザ…ザザ…」 という音がした。 つまみをゆっくり回すと、 ふいに子どもの笑い声が聞こえてきた。 「タロウ、 早くこっちへ来いよ!」 — タロウはおじいちゃんの名前だ。
ぼくは思わず息をのんだ。 このラジオは、 おじいちゃんが子どもだったころの声を流しているのだろうか。 まどべで雨をながめていたおじいちゃんが、 部屋に入ってきた。
「ほう、 これを見つけたか」。 おじいちゃんはラジオに手を当てて、 しずかにわらった。 「物は古くなっても、 中には思い出がぎゅっとつまっているんだよ」。
ぼくはラジオをそっと抱きしめた。 古いものにも、 こんなにあたたかい物語がある。
性格・情景の描写に注目
物語を深く読むには、 「場面が変わったときに、 気持ちがどう変わったか」 を結びつけて 考え ます。
練習: 物語 1 で、 ふうせんの気持ちが一番大きく変わったのはどこですか? 答え: 「山で一度おりた」 → 「村で受けとめられる」 の場面。 「つかれた」 から 「うれしい」 へ。 場所と出会いが変わったことで気持ちも変わっています。
同じ物語を読んでも、 友達と感じ方がちがうことがあります。 「ぼくはカモメの場面が一番好き」 「私は女の子の笑顔にぐっときた」 と伝え合うと、 自分の読みがもっと深まります。 一人一人の感じ方のちがいは、 読書のおもしろさの一つです。
次の章では、 説明文をどう読むかを学びます。