この章で学ぶこと
第 1 章で学んだ 順列 は 「順番を区別」 する並べ方でした。 この章では 「順番を区別しない」 取り出し方 = 組合せ を学びます。
- 順列と組合せの違いを区別する
- nCr=r!(n−r)!n! の公式 を導く
- 組合せ の性質 (nCr=nCn−r ほか) を使いこなす
- 重複組合せ nHr を仕切り法で理解 する
- 組分け 問題を 組合せ で解く
ポイント: 「順番を区別するか」 を文章 から読み取れるかが鍵。 例: 「委員長・副委員長を選ぶ」 → 順列、 「委員を 2 人選ぶ」 → 組合せ。
1. 組合せの公式
定義
異なる n個のものから順序を区別せずに r個取り出す取り出し方を、 n個から r個取る 組合せ と呼び、 nCr と書きます。
nCr=r!nPr=r!(n−r)!n!
公式の導出
n個から r個並べる並べ方は nPr=(n−r)!n!通りです。 このうち、 同じ r個の組を並べたものが r!通りずつ重複 しているので、 r! で割れば組合せの数になります。
計算例
- 5C2=2×15×4=10
- 7C3=3×2×17×6×5=35
- 10C4=4×3×2×110×9×8×7=210
計算のコツ: 分子・分母ともに r個ずつの因数を書いて、 約分しながら計算すると速い。
2. 組合せの性質
対称性
nCr=nCn−r
「r個取る」 ことは 「(n−r) 個残す」 ことに等しいからです。 例: 10C8=10C2=45。 この性質 を使うと計算が楽になります。
端の値
nC0=1 (何も取らない 1 通り)、 nCn=1 (全部取る 1 通り)、 nC1=n (1 個取る n通り)。
パスカルの三角形
nCr=n−1Cr−1+n−1Cr
という漸化式が成り立ち、 これを並べたものが パスカルの三角形 です。
| 段 | 値 |
|---|
| 0 | 1 |
| 1 | 1 1 |
| 2 | 1 2 1 |
| 3 | 1 3 3 1 |
| 4 | 1 4 6 4 1 |
| 5 | 1 5 10 10 5 1 |
各数は 「左上 + 右上」 の和になっています。
3. 例題で練習
例題 1: 委員選び
10 人の中から委員 を 3 人選ぶ選び方は 10C3=120通り。
例題 2: 男女の取り方
男子 6 人、 女子 4 人から男子 2 人と女子 2 人を選ぶ選び方は 6C2×4C2=15×6=90通り (積の法則)。
例題 3: 含む・含まない
10 人から 4 人を選ぶとき、 特定の 1 人 A を 必ず含む 選び方は ? A を先に選んだ後、 残り 9 人から 3 人選べばよいので 9C3=84通り。
A を 含まない 選び方は 9C4=126通り。 合計84+126=210=10C4 となり確認 できます。
4. 重複組合せ
定義
異なる n種類 のものから 重複 を許して r個取る取り方の総数を 重複組合せ と呼び、
nHr=n+r−1Cr
と表します。
仕切り法でのイメージ
n=3、 r=5 のとき、 「○ ○ ○ ○ ○」 の 5 個の ○ と 「| |」 の仕切り 2 本 (= n−1本) を並べます。 仕切りで区切 られた部分がそれぞれ種類 1・2・3 の個数を表します。
並べ方は 5!2!(5+2)!=7C2=21通り。 これが 3H5=3+5−1C5=7C5=21 と一致 します。
例題 4: お菓子の選び方
3 種類のお菓子から重複 を許して 5 個選ぶ選び方は 3H5=21通り。
5. 組分け問題
区別する組への分配
「9 人を A 組 4 人・B 組 3 人・C 組 2 人に分ける」 分け方は
9C4×5C3×2C2=126×10×1=1260 通り
と順番に取っていけば求まります。
区別しない組への分配
「9 人を 3 人ずつ 3 組に分ける」 ときは、 組を区別しないので上で求めた結果を 3! で割ります。 3!9C3×6C3×3C3=684×20×1=280通り。
注意: 組の人数が すべて同じ ときだけ 「組を区別しない」 場合を考える必要 があります。 人数が違えば自動的に組が区別されます。
6. 章末まとめ
| 道具 | 公式 | 使う場面 |
|---|
| 組合せ | nCr=r!(n−r)!n! | 順番区別なしで取る |
| 対称性 | nCr=nCn−r | 計算を楽に |
| 重複組合せ | nHr=n+r−1Cr | 重複 OK で取る |
| 組分け (区別) | nCa×n−aCb⋯ | 名前付き組 |
| 組分け (同数) | 上を k! で割る | 同人数k組 |
7. 補足: 順列と組合せの使い分けチェックリスト
文章題を解くとき、 次のチェックを通しましょう。
| 質問 | YES → 順列 | NO → 組合せ |
|---|
| 「並べる」 「順番を決める」 と書いてあるか | ○ | |
| 「役割 が違う」 (委員長・副委員長等) | ○ | |
| 「選ぶだけ」 「セットとして取り出す」 | | ○ |
| 「順番を区別しない同じ役割 の委員」 | | ○ |
迷ったら 小さい例で樹形図を書いてみる と確実 に判別できます。
次の章では: 場合の数を全体で割って 確率 を求めます。 「同様に確からしい」 という考え方がポイントです。