この章で学ぶこと
高校数学 A の出発点となる章です。 中学で 「起こりうる場合を全部書き出す」 程度 だった 場合の数 を、 高校では 樹形図 → 和の法則・積の法則 → 順列公式 と段階的に道具 をそろえます。
- 樹形図 と 辞書式 で場合をもれなく重なりなく数える
- 和の法則: 同時に起こらないときは足す
- 積の法則: 連続 して起こるときはかける
- 階乗 n! と 順列 nPr を区別する
- 円順列・じゅず順列・同じものを含む順列 へ拡張する
ポイント: 公式 を暗記 するより、 「何を 区別 して、 何を 区別 しないか」 を判断 できるようになることが大切です。
1. 樹形図で漏れなく数える
樹形図の描き方
たとえば 「A、 B、 C の 3 文字から 2 文字を並べる」 場合を数えます。 1 文字目に A を取ると 2 文字目は B か C の 2 通り。 1 文字目が B なら 2 文字目は A か C で 2 通り。 同様 に C からも 2 通り。 合計3×2=6通りです。
| 1 文字目 | 2 文字目 | 並び |
|---|
| A | B | AB |
| A | C | AC |
| B | A | BA |
| B | C | BC |
| C | A | CA |
| C | B | CB |
辞書式配列
辞書式 とは アルファベット順 や 数の小さい順 に並べる整理法です。 「漏れ・重複 がないか」 の確認 がしやすくなります。
大事: 数え上げるときは 必ず順序を決めて書き出す こと。 ランダムに書くと必ず漏れが出ます。
2. 和の法則と積の法則
和の法則
事象 A と B が 同時には起こらない とき、 A または B が起こる場合の数は
(A の場合の数)+(B の場合の数)
で求まります。 これを 和の法則 といいます。
例題 1: サイコロを 1 個投げて 「3 の倍数」 または 「5」 が出る場合の数は ?
3 の倍数 は {3,6} の 2 通り、 5 は 1 通り。 共通 なしなので 2+1=3通り。
積の法則
事象 A の後に 続けて 事象 B が起こるとき、
(A の場合の数)×(B の場合の数)
で全体の場合の数が求まります。 これを 積の法則 といいます。
例題 2: 大中小 3 個のサイコロを投げるとき、 目の出方は何通りか。
各サイコロが 6 通りずつ独立 に起こるので 6×6×6=216通り。
どちらを使うかの見分け
| 状況 | 法則 |
|---|
| 「A または B」 で同時に起こらない | 和の法則 (足す) |
| 「A も B も続けて」 起こる | 積の法則 (かける) |
3. 順列 nPr
階乗の定義
1 から n までの 自然数 をすべてかけ合わせた数を n の 階乗 と呼び、 n! と書きます。
n!=n×(n−1)×(n−2)×⋯×2×1
例: 3!=6、 4!=24、 5!=120、 6!=720。 約束 として 0!=1 と定めます。
順列の公式
異なる n個のものから r個を取り出して 順番に並べる 並べ方の総数を、 n個から r個取る 順列 といい、
nPr=(n−r)!n!=n(n−1)(n−2)⋯(n−r+1)
と表します (r個の因数 の積)。
例: 5P3=5×4×3=60、 7P2=7×6=42。
例題 3: 数字の並べ方
1〜5 の 5 枚のカードから 3 枚を取り出して並べる並べ方は ?
5P3=60通り。
全部並べる
n個すべてを並べるときは nPn=n!通り。 例えば 5 人が 1 列に並ぶ並び方は 5!=120通りです。
4. 円順列とじゅず順列
円順列
n人を円形に並べる並び方は (n−1)!通り。 1 人を基準 に固定 すれば、 残り n−1人の並び方は (n−1)! だからです。
例: 4 人が円形テーブルに座る座り方は (4−1)!=6通り。
じゅず順列
じゅず順列 は円順列を裏返 して同じとみなす並び方で、 2(n−1)!通りになります。 ネックレス のように表裏がないものがこれに当たります。
5. 同じものを含む順列
公式の形
n個の中に p個・q個・r個⋯ の同じものが含まれるとき、 並べ方の総数は
p!q!r!⋯n!(p+q+r+⋯=n)
となります。
例題 4: 文字並べ
「TOKYO」 の 5 文字を並べる並べ方は何通りか。
T が 1 個、 O が 2 個、 K が 1 個、 Y が 1 個で計 5 文字。 並べ方は 2!5!=2120=60通りです。
例題 5: 最短経路
3 区画右、 2 区画上へ進む最短経路 は 3!2!5!=10通り。 「右 R を 3 個・上 U を 2 個並べる順列」 と同じことです。
6. 章末まとめ
| 道具 | 公式 | 使う場面 |
|---|
| 樹形図 | — | 小さいケースで漏れ確認 |
| 和の法則 | A + B | 「A または B」 排反 |
| 積の法則 | A × B | 「A も B も」 連続 |
| 階乗 | n! | 全部並べる |
| 順列 | nPr=(n−r)!n! | 順番を区別し一部を並べる |
| 円順列 | (n−1)! | 円形配置 |
| 同じもの含む順列 | p!q!⋯n! | 重複 あり |
次の章では: 「順番を区別しない」 取り出し方 = 組合せ nCr を学びます。 順列と組合せの違いをしっかり押さえましょう。