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再読文字 とは、 1 字を 2 回読む特殊な漢字のことです。 1 回目は 副詞 として、 2 回目は 動詞か助動詞 として読みます。
この章でできるようになること:
ポイント:再読文字は 「副詞 + 助動詞 / 動詞」 の構造で訳す。 「まさに 〜 す」 「いまだ 〜 ず」 のように 呼応する 2 つの要素 を 1 字で表すのが特徴です。
| 漢字 | 読み (1 回目/2 回目) | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| 未 | いまだ/ず | まだ 〜 ない | 未ダ知ラ[レ] ズ |
| 将 | まさに/んとす | 今にも 〜 しようとする | 将ニ死セントス |
| 且 | まさに/んとす | 今にも 〜 しようとする | 且ニ行カントス |
| 当 | まさに/べし | 当然 〜 すべきだ | 当ニ為スベシ |
| 応 | まさに/べし | きっと 〜 だろう | 応ニ知ルベシ |
| 宜 | よろしく/べし | 〜 するのがよい | 宜シク学ブベシ |
| 須 | すべからく/べし | ぜひ 〜 すべきだ | 須ラク勉ムベシ |
| 猶 | なほ/ごとし | あたかも 〜 のようだ | 猶ホ水ノ如シ |
覚え方: 「まさに」 で始まる字が 4 つ (将・且・当・応) あるのが紛らわしい。 将・且は 「んとす」、 当・応は 「べし」 と覚えると区別しやすい。
最頻出の再読文字。 副詞 「いまだ」 + 打消助動詞 「ず」。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 白文 | 未聞好学者也。 |
| 訓読文 | 未ダ学ヲ好ム者ヲ聞カ[レ] ズナリ。 |
| 書き下し文 | いまだ学を好む者を聞かざるなり。 |
| 現代語訳 | まだ学問を好む者を聞いたことがない。 |
出典: 論語雍也篇。 孔子が弟子の顔回を評した言葉の一部を改編した例です (原文 「未聞好学者也」 はそのまま)。
近い未来や直前の動作を表す。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 白文 | 将入海。 |
| 訓読文 | 将ニ海ニ入ラントス。 |
| 書き下し文 | まさに海に入らんとす。 |
| 現代語訳 | 今にも海へ入ろうとしている。 |
解説: 「将」 は 「ショウ」 と読むと 「武将」 の意味になるが、 再読文字として用いる場合は 必ず 「まさに 〜 んとす」 と訓む。 文中での位置が動詞の前にあるときは再読の可能性を疑う。
道徳的当為や必然を表す。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 白文 | 学者当立志。 |
| 訓読文 | 学ぶ者ハ当ニ志ヲ立ツベシ。 |
| 書き下し文 | 学ぶ者はまさに志を立つべし。 |
| 現代語訳 | 学ぶ者は当然志を立てるべきだ。 |
「応」 も同様に 「まさに 〜 べし」 と読むが、 「応」 は推量 (きっと 〜 だろう)、 「当」 は当然 (〜 すべき) と意味が異なる点に注意。
| 字 | 副詞 | 意味 |
|---|---|---|
| 宜 | よろしく | 〜 するのがよい (適当・推奨) |
| 須 | すべからく | ぜひ 〜 すべきだ (必要) |
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 白文 | 須勤学。 |
| 訓読文 | 須ラク学ヲ勤ムベシ。 |
| 書き下し文 | すべからく学を勤むべし。 |
| 現代語訳 | ぜひ学問に励むべきだ。 |
比喩を表す再読文字。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 白文 | 過猶不及。 |
| 訓読文 | 過ぎたるは猶ホ及バ[レ] ザルガ如シ。 |
| 書き下し文 | 過ぎたるはなほ及ばざるがごとし。 |
| 現代語訳 | やり過ぎは、 ちょうど及ばないのと同じである。 |
出典: 論語先進篇。 「過ぎたるは猶及ばざるが如し」 の故事として知られる名句です。
再読文字として扱う教科書もある字。 「盍」 は 「何不(なんぞ 〜 ざる)」 の合字とされ、 反語を表します。
| 訓読文 | 書き下し |
|---|---|
| 盍ゾ各言ハ爾ノ志ヲ[レ] ザル | 盍ぞおのおの爾の志を言はざる |
意味: 「どうしてそれぞれ自分の志を言わないのか (言えばよいではないか)」。

次章では 「不」「無」「莫」 などの打消・否定を体系的に学びます。