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漢文

再読さいどく文字もじ — 二に度ど読よむ字じの体系たいけい

最終確認日:

はじめに

再読文字さいどくもじ とは、 1 字じを 2 回かい読よむ特殊とくしゅな漢字かんじのことです。 1 回かい目めは 副詞ふくし として、 2 回かい目めは 動詞どうしか助動詞じょどうし として読よみます。

この章しょうでできるようになること:

  • 主要しゅような再読さいどく文字もじ 8 字じ (未・将・且・当・応・宜・須・猶) を識別しきべつできる
  • 各かく字じの 副詞ふくし読よみ と 2 回かい目めの読よみ を言いえる
  • 書き下し文かきくだしぶんで正ただしくひらがなに開あける
  • 例文れいぶんを 訓読くんどく・書かき下くだしして現代げんだい語ご訳やくできる

ポイント:再読さいどく文字もじは 「副詞ふくし + 助動詞じょどうし / 動詞どうし」 の構造こうぞうで訳やくす。 「まさに 〜 す」 「いまだ 〜 ず」 のように 呼応こおうする 2 つの要素ようそ を 1 字じで表あらわすのが特徴とくちょうです。

1. 再読さいどく文字もじ一覧いちらん

漢字かんじ読よみ (1 回かい目め/2 回かい目め)意味いみ例れい
未いまだ/ずまだ 〜 ない未ダ知ちラ[レ] ズ
将まさに/んとす今いまにも 〜 しようとする将ニ死しセントス
且まさに/んとす今いまにも 〜 しようとする且ニ行ゆきカントス
当まさに/べし当然とうぜん 〜 すべきだ当ニ為ためスベシ
応まさに/べしきっと 〜 だろう応ニ知ちルベシ
宜よろしく/べし〜 するのがよい宜シク学がくブベシ
須すべからく/べしぜひ 〜 すべきだ須ラク勉べんムベシ
猶なほ/ごとしあたかも 〜 のようだ猶ホ水すいノ如シ

覚おぼえ方かた: 「まさに」 で始はじまる字じが 4 つ (将・且・当・応) あるのが紛まぎらわしい。 将・且 は 「んとす」、 当・応 は 「べし」 と覚おぼえると区別くべつしやすい。

2. 「未 〜 ず」 — まだ 〜 ない

最さい頻出ひんしゅつの再読さいどく文字もじ。 副詞ふくし 「いまだ」 + 打だ消しょう助動詞じょどうし 「ず」。

段だん内容ないよう
白文はくぶん未聞みもん好学こうがく者しゃ也。
訓読文くんどくぶん未ダ学がくヲ好こうム者しゃヲ聞カ[レ] ズナリ。
書き下し文かきくだしぶんいまだ学がくを好このむ者ものを聞きかざるなり。
現代げんだい語ご訳やくまだ学問がくもんを好このむ者ものを聞きいたことがない。

出典しゅってん: 論語ろんご雍也篇へん。 孔子こうしが弟子でしの顔かお回かいを評ひょうした言葉ことばの一部いちぶを改編かいへんした例れいです (原文げんぶん 「未聞みもん好学こうがく者しゃ也」 はそのまま)。

3. 「将 〜 んとす」 — 今いまにも 〜 しようとする

近ちかい未来みらいや直前ちょくぜんの動作どうさを表あらわす。

段だん内容ないよう
白文はくぶん将入海。
訓読くんどく文ぶん将ニ海かいニ入にゅうラントス。
書き下し文かきくだしぶんまさに海うみに入はいらんとす。
現代げんだい語ご訳やく今いまにも海うみへ入にゅうろうとしている。

解説かいせつ: 「将」 は 「ショウ」 と読よむと 「武将ぶしょう」 の意味いみになるが、 再読さいどく文字もじとして用もちいる場合ばあいは 必かならず 「まさに 〜 んとす」 と訓くんむ。 文中ぶんちゅうでの位置いちが動詞どうしの前まえにあるときは再読さいどくの可能かのう性せいを疑うたがう。

4. 「当 〜 べし」 — 当然とうぜん 〜 すべき

道徳どうとく的てき当為とういや必然ひつぜんを表あらわす。

段だん内容ないよう
白文はくぶん学者がくしゃ当とう立志りっし。
訓読くんどく文ぶん学まなぶ者ものハ 当ニ志こころざしヲ立りつツベシ。
書き下し文かきくだしぶん学まなぶ者ものはまさに志こころざしを立たつべし。
現代げんだい語ご訳やく学まなぶ者ものは当然とうぜん志こころざしを立たてるべきだ。

「応」 も同様どうように 「まさに 〜 べし」 と読よむが、 「応」 は推量すいりょう (きっと 〜 だろう)、 「当」 は当然とうぜん (〜 すべき) と意味いみが異ことなる点てんに注意ちゅうい。

5. 「宜 〜 べし」 「須 〜 べし」 — 適切てきせつさ・必要ひつようさ

字じ副詞ふくし意味いみ
宜よろしく〜 するのがよい (適当てきとう・推奨すいしょう)
須すべからくぜひ 〜 すべきだ (必要ひつよう)
段だん内容ないよう
白文はくぶん須勤学きんがく。
訓読くんどく文ぶん須ラク学がくヲ勤つとむムベシ。
書き下し文かきくだしぶんすべからく学がくを勤つとむむべし。
現代げんだい語ご訳やくぜひ学問がくもんに励はげむべきだ。

6. 「猶 〜 ごとし」 — あたかも 〜 のようだ

比喩ひゆを表あらわす再読さいどく文字もじ。

段だん内容ないよう
白文はくぶん過か猶なお不ふ及。
訓読くんどく文ぶん過すぎたるは 猶ホ及バ[レ] ザルガ如シ。
書き下し文かきくだしぶん過かぎたるはなほ及およばざるがごとし。
現代げんだい語ご訳やくやり過すぎは、 ちょうど及およばないのと同おなじである。

出典しゅってん: 論語ろんご先進せんしん篇へん。 「過すぎたるは 猶及およばざるが如ごとし」 の故事こじとして知しられる名句めいくです。

7. 「盍 〜 ざる」 — なんぞ 〜 ざる

再読さいどく文字もじとして扱あつかう教科書きょうかしょもある字じ。 「盍」 は 「何なに不ふ(なんぞ 〜 ざる)」 の合ごう字じとされ、 反語はんごを表あらわします。

訓読くんどく文ぶん書かき下くだし
盍ゾ各かく言げんハ爾なんじノ志こころざしヲ[レ] ザル盍ぞおのおの爾なんじの志こころざしを言げんはざる

意味いみ: 「どうしてそれぞれ自分じぶんの志こころざしを言いわないのか (言いえばよいではないか)」。

元代の画帖『至聖先賢半身像』 に描かれた孔子の半身像
孔子こうし の半身はんしん像ぞう (元もと代だい『至いたり聖きよし先賢せんけん半身はんしん像ぞう』 より、 台北たいぺい国立こくりつ故こ宮みや博物はくぶつ院いん所蔵しょぞう)。 論語ろんごには 「未 だ 〜 ず」 「将 に 〜 とす」 等とうの 再読さいどく文字もじ表現ひょうげんが多おおく登場とうじょうする。

8. 章しょう末まつまとめ

  • 再読さいどく文字もじは 1 字じを 2 回かい読よむ特殊とくしゅ字じ
  • 「まさに」 系けい 4 字じは 将・且 はんとす、 当・応 はべし
  • 「未」 = いまだ 〜 ず / 「猶」 = なほ 〜 ごとし
  • 「宜」「須」 は べし で結むすび、 推奨すいしょうと必要ひつようの違ちがい
  • 書き下し文かきくだしぶんでは副詞ふくし部分ぶぶん・助動詞じょどうし部分ぶぶんとも ひらがな に開ひらく

次じ章しょうでは 「不ふ」「無む」「莫」 などの打だ消しょう・否定ひていを体系たいけい的てきに学まなびます。

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学がく習しゅうロードマップ(10件けん)
  1. 1漢文かんぶん入門にゅうもん — 訓読くんどく・返かえり点てん・送おくり仮名かなのしくみ
  2. 2送おくり仮名かなと書き下し文かきくだしぶん — 表記ひょうきの作法さほう
  3. 3再読さいどく文字もじ — 二に度ど読よむ字じの体系たいけい
  4. 4否いな定形ていけい — 不ふ・無む・莫・非ひ・勿の使つかい分わけ
  5. 5疑問ぎもん形けい・反はん語形ごけい — 何なに・誰だれ・安やす・乎・哉
  6. 6受身うけみ・使役しえき・比較ひかく — 構文こうぶんの三本みもと柱はしら
  7. 7故事こじ成語せいご — 漢文かんぶんから生うまれたことわざ
  8. 8思想しそう — 諸子百家しょしひゃっか(論語ろんご・孟子もうし・荘子そうし・老子ろうし・韓非子かんぴし)
  9. 9史伝しでん — 史記しき・十八史略じゅうはっしりゃくの名めい場面ばめん
  10. 10漢詩かんし — 絶句ぜっく・律詩りっしと唐詩とうしの名作めいさく