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漢文

送おくり仮名かなと書き下し文かきくだしぶん — 表記ひょうきの作法さほう

最終確認日:

はじめに

前章ぜんしょうで学まなんだ 訓読くんどく の仕組しくみをふまえ、 この章しょうでは 書き下し文かきくだしぶんを正ただしく表記ひょうきする作法さほう を整理せいりします。 入試にゅうし・定期ていき試験しけんで減点げんてんされやすいポイントを集中しゅうちゅう的てきに学まなびます。

この章しょうでできるようになること:

  • 書き下し文かきくだしぶんは 歴史れきし的てき仮名遣かなづかい で書かくことを理解りかいする
  • 助動詞じょどうし・助詞じょし・形式けいしき名詞めいしを 「漢字かんじかひらがなか」 で適切てきせつに表記ひょうきできる
  • 置き字おきじ の処理しょりを正ただしく行おこなえる
  • 再読さいどく文字もじを二に度ど書かき下くだす際さいのルールを守まもれる

1. 歴史れきし的てき仮名遣かなづかいの基本きほん

書き下し文かきくだしぶんは 古典こてんと同おなじルール で書かくため、 現代げんだい仮名遣かなづかいとは異ことなる表記ひょうきを用もちいます。

現代げんだい仮名遣かなづかい歴史的仮名遣いれきしてきかなづかい例れい
〜おう〜あう/〜au思おもはう(思おもおう)
〜よう〜やう行いきやう(行いきよう)
いゐ用ようゐる
えゑ飢ゑる
おを男おとこ(をとこ)
じぢ鼻はなぢ
ずづ水みず(みづ)
わは言げんふ(いふ)

注意ちゅうい: 「言げんふ・思おもふ・習ふ」 など ハ行ゆき四よん段だん活用かつよう動詞どうし の終止形しゅうしけいは 「ふ」 で終おわる。 「言いう」 ではないことに注意ちゅうい。

2. 漢字かんじで残のこすか、 ひらがなに開ひらくか

書き下し文かきくだしぶんでは 原則げんそくとして:

種類しゅるい表記ひょうき例れい
名詞めいし・本ほん動詞どうし・形容詞けいようし漢字かんじのまま「学まなぶ」「人ひと」「美うつくし」
助動詞じょどうしひらがなに開ひらく「不ふ」 → ず/「可か」 → べし
助詞じょしひらがなに開ひらく「之これ」(〜の) → の/「乎」 → や
形式けいしき名詞めいしひらがなに開ひらく「者しゃ」 → もの/こと

助動詞じょどうしを開ひらく例れい

漢字かんじ訓読くんどく書かき下くだし意味いみ
不ふズず打だ消しょう
弗ふつズず打だ消しょう
未みイマダ〜ズいまだ〜ず再読さいどく・打だ消しょう
可かベシべし可能かのう・当然とうぜん
能のうヨクよく可能かのう
欲よくホットほつす願望がんぼう(漢字かんじで残のこす流派りゅうはもあり)
当とうマサニ〜ベシまさに〜べし再読さいどく・当然とうぜん
須スベカラク〜ベシすべからく〜べし再読さいどく・当然とうぜん

助詞じょし・接続せつぞくを開ひらく例れい

漢字かんじ訓読くんどく書かき下くだし
之これ〜ノの
而テ・ドモ(置おき字じ、 文脈ぶんみゃくでて/ども)
与あずかトと
也ナリなり
乎・耶・哉ヤ・カや・か

ポイント:助動詞じょどうし 「ず」「べし」「なり」 を 漢字かんじのまま 「不ふ」「可か」「也」 と書かくと減点げんてん対象たいしょうです。 必かならずひらがなに開ひらきましょう。

3. 置おき字じの処理しょり

置おき字じは書き下し文かきくだしぶんに 文字もじとしては出ださない が、 送り仮名おくりがな で補おぎなう接続せつぞくや助詞じょしは反映はんえいします。

訓読文くんどくぶん書き下し文かきくだしぶん
学がくビテ而時じニ習フ学まなびて時ときに習ふ
苛政かせいハ猛もう二に於虎とら一いち ナリ苛政かせいは虎とらよりも猛もうなり
朋とも自じ二に遠方えんぽう一いち来らいル朋とも遠方えんぽうより来きたる

解説かいせつ: 「於・于・乎」 は比較ひかくや場所ばしょを示しめす前置詞ぜんちし。 「於虎とら」 は 「虎とらよりも」 と訳やくし、 書かき下くだしでは 「虎とら」 だけ残のこします。

4. 再読さいどく文字もじの書かき下くだし

再読さいどく文字もじは 1 度ど副詞ふくしとして、 もう 1 度ど動詞どうし・助動詞じょどうしとして 2 度ど読よみます。 詳細しょうさいは次じ章しょうで扱あつかいますが、 表記ひょうき上じょうの原則げんそくだけ確認かくにんしましょう。

訓読くんどく文ぶん書き下し文かきくだしぶん
未みダ学がくバ[レ] ズいまだ学まなばず
将はたニ行ゆきカントスまさに行いかんとす
当とうニ為ためスベシまさに為なすべし

副詞ふくし部分ぶぶん (いまだ/まさに/すべからく) は ひらがな、 助動詞じょどうし部分ぶぶん (ず/ベし/んとす) も ひらがな で開ひらくのが原則げんそくです。

5. 漢字かんじのまま残のこす慣用かんよう表現ひょうげん

一方いっぽうで、 固有名詞こゆうめいし・本ほん動詞どうし・形容詞けいようし・名詞めいしの中心ちゅうしん は漢字かんじで残のこします。

訓読くんどく文ぶん書き下し文かきくだしぶん(漢字かんじを残のこす)
孔子こうし曰ハク孔子こうし曰はく
子こハ 仁ひとし ヲ好こうム子こは仁じんを好このむ
国くにハ大だいナリ国くには大だいなり

「曰はく」 の 「曰」 は動詞どうしなので漢字かんじで残のこし、 助動詞じょどうし 「ナリ」 はひらがなに開ひらく、 という 使つかい分わけ が基本きほんです。

6. 実践じっせん — 孟子もうしの一節いっせつ

段だん内容ないよう
白文はくぶん不ふ以規矩きく、不ふ能成よしなり方円ほうえん。
訓読くんどく文ぶん規矩きくヲ以テセ[レ] ザレバ、 方円ほうえんヲ成なるス能のうハ[レ] ズ。
書き下し文かきくだしぶん規矩きくを以もってせざれば、方円ほうえんを成なす能のうはず。
現代げんだい語ご訳やくコンパスと定規じょうぎを使つかわなければ、 円えんや四角しかくを描えがくことはできない。

解説かいせつ:出典しゅってんは 孟子もうし離婁上じょう篇へん。 「規矩きく」 はコンパスと定規じょうぎのこと。 規則きそく・基準きじゅんがあるからこそ物事ものごとが成なり立たつ、 という教おしえです。

元代 (14 世紀) 印刷の論語のページ
論語ろんご の元もと代だい (14 世紀せいき) 印しるし刷本すりほんの復刻ふっこく (台北たいぺい国立こくりつ故こ宮みや博物はくぶつ院いん所蔵しょぞう)。 漢字かんじ右側みぎがわに小ちいさく訓点くんてんが書かき込こまれ、 日本にほんでも同様どうようの書かき入いれ方式ほうしきで訓読くんどくした。

7. 章しょう末まつまとめ

  • 書き下し文かきくだしぶんは 歴史れきし的てき仮名遣かなづかい で書かく
  • 助動詞じょどうし・助詞じょし・形式けいしき名詞めいしは ひらがなに開ひらく
  • 本ほん動詞どうし・名詞めいし・形容詞けいようしは 漢字かんじのまま残のこす
  • 置おき字じ 「而・於・于・乎・矣・焉」 は文字もじとして出ださない
  • 再読さいどく文字もじは副詞ふくし部分ぶぶん・助動詞じょどうし部分ぶぶんともひらがなに開ひらく
この教材きょうざいは役やくに立たちましたか?
学がく習しゅうロードマップ(10件けん)
  1. 1漢文かんぶん入門にゅうもん — 訓読くんどく・返かえり点てん・送おくり仮名かなのしくみ
  2. 2送おくり仮名かなと書き下し文かきくだしぶん — 表記ひょうきの作法さほう
  3. 3再読さいどく文字もじ — 二に度ど読よむ字じの体系たいけい
  4. 4否いな定形ていけい — 不ふ・無む・莫・非ひ・勿の使つかい分わけ
  5. 5疑問ぎもん形けい・反はん語形ごけい — 何なに・誰だれ・安やす・乎・哉
  6. 6受身うけみ・使役しえき・比較ひかく — 構文こうぶんの三本みもと柱はしら
  7. 7故事こじ成語せいご — 漢文かんぶんから生うまれたことわざ
  8. 8思想しそう — 諸子百家しょしひゃっか(論語ろんご・孟子もうし・荘子そうし・老子ろうし・韓非子かんぴし)
  9. 9史伝しでん — 史記しき・十八史略じゅうはっしりゃくの名めい場面ばめん
  10. 10漢詩かんし — 絶句ぜっく・律詩りっしと唐詩とうしの名作めいさく