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前章で学んだ 訓読 の仕組みをふまえ、 この章では 書き下し文を正しく表記する作法 を整理します。 入試・定期試験で減点されやすいポイントを集中的に学びます。
この章でできるようになること:
書き下し文は 古典と同じルール で書くため、 現代仮名遣いとは異なる表記を用います。
| 現代仮名遣い | 歴史的仮名遣い | 例 |
|---|---|---|
| 〜おう | 〜あう/〜au | 思はう(思おう) |
| 〜よう | 〜やう | 行きやう(行きよう) |
| い | ゐ | 用ゐる |
| え | ゑ | 飢ゑる |
| お | を | 男(をとこ) |
| じ | ぢ | 鼻ぢ |
| ず | づ | 水(みづ) |
| わ | は | 言ふ(いふ) |
注意: 「言ふ・思ふ・習ふ」 など ハ行四段活用動詞 の終止形は 「ふ」 で終わる。 「言う」 ではないことに注意。
書き下し文では 原則として:
| 種類 | 表記 | 例 |
|---|---|---|
| 名詞・本動詞・形容詞 | 漢字のまま | 「学ぶ」「人」「美し」 |
| 助動詞 | ひらがなに開く | 「不」 → ず/「可」 → べし |
| 助詞 | ひらがなに開く | 「之」(〜の) → の/「乎」 → や |
| 形式名詞 | ひらがなに開く | 「者」 → もの/こと |
| 漢字 | 訓読 | 書き下し | 意味 |
|---|---|---|---|
| 不 | ズ | ず | 打消 |
| 弗 | ズ | ず | 打消 |
| 未 | イマダ〜ズ | いまだ〜ず | 再読・打消 |
| 可 | ベシ | べし | 可能・当然 |
| 能 | ヨク | よく | 可能 |
| 欲 | ホット | ほつす | 願望(漢字で残す流派もあり) |
| 当 | マサニ〜ベシ | まさに〜べし | 再読・当然 |
| 須 | スベカラク〜ベシ | すべからく〜べし | 再読・当然 |
| 漢字 | 訓読 | 書き下し |
|---|---|---|
| 之 | 〜ノ | の |
| 而 | テ・ドモ | (置き字、 文脈でて/ども) |
| 与 | ト | と |
| 也 | ナリ | なり |
| 乎・耶・哉 | ヤ・カ | や・か |
ポイント:助動詞 「ず」「べし」「なり」 を 漢字のまま 「不」「可」「也」 と書くと減点対象です。 必ずひらがなに開きましょう。
置き字は書き下し文に 文字としては出さない が、 送り仮名 で補う接続や助詞は反映します。
| 訓読文 | 書き下し文 |
|---|---|
| 学ビテ而時ニ習フ | 学びて時に習ふ |
| 苛政ハ猛二於虎一 ナリ | 苛政は虎よりも猛なり |
| 朋自二遠方一来ル | 朋遠方より来たる |
解説: 「於・于・乎」 は比較や場所を示す前置詞。 「於虎」 は 「虎よりも」 と訳し、 書き下しでは 「虎」 だけ残します。
再読文字は 1 度副詞として、 もう 1 度動詞・助動詞として 2 度読みます。 詳細は次章で扱いますが、 表記上の原則だけ確認しましょう。
| 訓読文 | 書き下し文 |
|---|---|
| 未ダ学バ[レ] ズ | いまだ学ばず |
| 将ニ行カントス | まさに行かんとす |
| 当ニ為スベシ | まさに為すべし |
副詞部分 (いまだ/まさに/すべからく) は ひらがな、 助動詞部分 (ず/ベし/んとす) も ひらがな で開くのが原則です。
一方で、 固有名詞・本動詞・形容詞・名詞の中心 は漢字で残します。
| 訓読文 | 書き下し文(漢字を残す) |
|---|---|
| 孔子曰ハク | 孔子曰はく |
| 子ハ 仁 ヲ好ム | 子は仁を好む |
| 国ハ大ナリ | 国は大なり |
「曰はく」 の 「曰」 は動詞なので漢字で残し、 助動詞 「ナリ」 はひらがなに開く、 という 使い分け が基本です。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 白文 | 不以規矩、不能成方円。 |
| 訓読文 | 規矩ヲ以テセ[レ] ザレバ、 方円ヲ成ス能ハ[レ] ズ。 |
| 書き下し文 | 規矩を以てせざれば、方円を成す能はず。 |
| 現代語訳 | コンパスと定規を使わなければ、 円や四角を描くことはできない。 |
解説:出典は 孟子離婁上篇。 「規矩」 はコンパスと定規のこと。 規則・基準があるからこそ物事が成り立つ、 という教えです。
