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漢文の疑問と反語は 同じ形 で表されることが多く、 文脈で判断する必要があります。 反語は 「〜 だろうか、 いや 〜 ない」 と 強い肯定/否定 を表す修辞です。
この章でできるようになること:
| 疑問詞 | 読み | 訳 | 用例 |
|---|---|---|---|
| 何 | なに/なんぞ | 何・どうして | 何為(なんすれぞ) |
| 誰 | たれ | 誰 | 誰知(たれか知る) |
| 安 | いづくんぞ | どうして/どこで | 安在(いづくにかある) |
| 孰 | いづれ | どちら・誰 | 孰賢(いづれか賢ならん) |
| 幾何 | いくばく | どれほど | 幾何(いくばくぞや) |
| 奚 | なんぞ | なぜ/何 | 奚為(なんすれぞ) |
| 何如 | いかん | どうか | 何如(いかん) |
| 如何 | いかんせん | どうしようか | 如何(いかんせん) |
注意: 「何如」 と 「如何」 は 語順が違うだけで意味が異なる。 何如 = 状態・評価を問う (どうか)。 如何 = 方法・処置を問う (どうしようか)。 入試頻出の区別です。
| 字 | 読み | 用法 |
|---|---|---|
| 乎 | や・か | 疑問・反語・詠嘆 |
| 哉 | や・かな | 詠嘆・反語 |
| 耶 | や・か | 疑問・反語 |
| 与(歟) | か・や | 疑問・反語 |
| 也 | や(疑問) | 疑問(「也」 + 疑問詞の場合) |
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 白文 | 子曰、有朋自遠方来、不亦楽乎。 |
| 訓読文 | 子曰ハク、 朋有リ遠方ヨリ来ル、 亦楽シカラ[レ] ズヤ。 |
| 書き下し文 | 子曰はく、朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや。 |
| 現代語訳 | 先生がおっしゃった。 「友が遠い所から訪ねて来てくれる、 何と楽しいことではないか」。 |
出典: 論語学而篇。 「不亦 〜 乎」 は 詠嘆反語。 「何と 〜 ではないか」 と強く肯定する形。
反語とは、 形は疑問だが 答えは自明 で、 「〜 だろうか、 いや 〜 ない」 と訳すもの。 修辞上は 強い否定 / 強い肯定 を表す。
| 形 | 訓読 | 意味 |
|---|---|---|
| 豈 〜 乎/哉 | あに 〜 や | どうして 〜 だろうか、 いや 〜 ない |
| 何 〜 之有 | なんの 〜 かこれあらん | どんな 〜 があろうか、 ない |
| 安 〜 哉 | いづくんぞ 〜 や | どうして 〜 だろうか、 いや 〜 ない |
| 孰 〜 哉 | いづれか 〜 や | どちらが 〜 だろうか |
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 白文 | 燕雀安知鴻鵠之志哉。 |
| 訓読文 | 燕雀安ンゾ鴻鵠ノ志ヲ知ランヤ。 |
| 書き下し文 | 燕雀いづくんぞ鴻鵠の志を知らんや。 |
| 現代語訳 | ツバメやスズメに、 どうしてオオハクチョウやオオトリの大きい志が分かろうか、 いや分かるはずがない。 |
出典: 史記陳渉世家。 陳勝がまだ雇い農民だった頃に言ったとされる名言。 「小人物には大人物の志は理解できない」 という意味。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 白文 | 君子居之、何陋之有。 |
| 訓読文 | 君子之ニ居ラバ、 何ノ陋カ之有ラン。 |
| 書き下し文 | 君子之に居らば、何の陋か之有らん。 |
| 現代語訳 | 君子がそこに住めば、 どんないやしさがあるだろうか、 いや何もない。 |
出典: 論語子罕篇。
同じ 「豈 〜 哉」 でも文脈で疑問になることもある。 見分けのヒント:
| 見分けの観点 | 疑問 | 反語 |
|---|---|---|
| 答え | 文中・文後に答えあり | 答え自明、 書かれない |
| 訳 | 「〜 か」「どうか」 | 「〜 だろうか、 いや 〜 ない」 |
| 文末助詞 | 乎・耶・与が中心 | 哉・乎が多い |
| 副詞の強さ | なし | 豈・寧・安など強い副詞 |
覚え方: 「豈」「寧」「敢」 が文頭にあるとほぼ 反語。 「安」 は場所疑問と反語の両方あるので文脈判断。
形は疑問と同じだが、 感動・嘆息 を表す用法。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 白文 | 賢哉回也。 |
| 訓読文 | 賢ナル哉回ヤ。 |
| 書き下し文 | 賢なるかな回や。 |
| 現代語訳 | 何と賢いことよ、 顔回は。 |
出典: 論語雍也篇。 孔子が弟子顔回 を称えた言葉。

次章では受身・使役・比較の構文を学びます。