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化学

高分子こうぶんし化合かごう物ぶつ

最終確認日:

この章しょうで学まなぶこと

第だい 10 章しょう (最終さいしゅう章しょう) では 高分子化合物こうぶんしかごうぶつ を学まなびます。 高分子こうぶんしとは 多数たすうの小ちいさな分子ぶんし (単量体たんりょうたい / モノマー) がつながった巨大きょだいな分子ぶんし で、 分子ぶんし量りょうは 1 万まん 〜 100 万まんをこえるものもあります。

  • 高分子こうぶんし化合かごう物ぶつの一般いっぱん的てき性質せいしつを説明せつめいできる
  • 付加重合ふかじゅうごう と 縮合重合しゅくごうじゅうごう のちがいを区別くべつできる
  • 糖類とうるい (単たん糖とう・二に糖とう・多た糖とう) の種類しゅるいと反応はんのうを整理せいりできる
  • タンパク質たんぱくしつ の構造こうぞう (1 次つぎ 〜 4 次じ) と性質せいしつを述のべられる
  • ナイロン・ポリエステル・ポリエチレン など合成ごうせい高分子こうぶんしの用途ようとを知しる
  • 環境かんきょうにやさしい 生せい分解ぶんかい性せいプラスチック を知しる

ポイント: 私わたしたちの体からだ (タンパク質たんぱくしつ・DNA・多た糖とう)、 衣服いふく (綿めん・絹きぬ・ナイロン・ポリエステル)、 生活せいかつ用品ようひん (プラスチック・ゴム) — そのほぼすべてが高分子こうぶんしでできています。

1. 高分子こうぶんしの基本きほん

高分子こうぶんしとは

用語ようご意味いみ
単量体たんりょうたい (モノマー)高分子こうぶんしを作つくる元もととなる小ちいさな分子ぶんし
重合体じゅうごうたい (ポリマー)多数たすうの単たん量りょう体たいがつながった高分子こうぶんし
重合じゅうごう度ど n1 つの高分子こうぶんし中ちゅうの単たん量りょう体たいの数かず
平均へいきん分子ぶんし量りょう高分子こうぶんしは大おおきさが揃そろわないので平均へいきん値ちで表あらわす

重合じゅうごうの種類しゅるい

種類しゅるい反応はんのう例れい
付加重合ふかじゅうごうC = C を開ひらいてつながる、 副ふく生物せいぶつなしポリエチレン、 ポリスチレン、 ポリ塩化えんかビニル
縮合重合しゅくごうじゅうごう-OH や -COOH 同士どうしが結合けつごう、 H₂O が抜ぬけるナイロン、 ポリエステル
開環重合かいかんじゅうごう環状かんじょう単たん量りょう体たいが開ひらいてつながるナイロン 6、 ポリオキシメチレン
共ども重合じゅうごう2 種類しゅるい以上いじょうの単たん量りょう体たいを混まぜて重合じゅうごうABS 樹脂じゅし、 SBR ゴム

高分子こうぶんしの性質せいしつ

  • 一般いっぱんに結晶けっしょう部分ぶぶんと非ひ結晶けっしょう部分ぶぶんが混在こんざい (融点ゆうてんが不明瞭ふめいりょう、 軟化なんかする)
  • 水みずに溶とけにくいものが多おおい (タンパク質たんぱくしつ・デンプンなど親水しんすい性せい高分子こうぶんしは例外れいがい)
  • 熱ねつを加くわえると 熱ねつ可塑かそ性せい (温度おんどで軟化なんか、 PE・PS) と 熱ねつ硬化こうか性せい (固かたまったら戻もどらない、 フェノール樹脂じゅし・尿素にょうそ樹脂じゅし) に分わかれる

2. 糖類とうるい (炭水化物たんすいかぶつ)

単たん糖とう

最もっとも小ちいさい糖とうで、 加水かすい分解ぶんかいでこれ以上いじょう分わけられない。

名前なまえ化学かがく式しき特徴とくちょう
グルコース (ブドウ糖とう)C₆H₁₂O₆血糖けっとう、 還元かんげん性せい (-CHO 基もと)、 アルコール発酵はっこう
フルクトース (果糖かとう)C₆H₁₂O₆果実かじつ・蜂蜜はちみつ、 糖とうの中なかで最もっとも甘あまい
ガラクトースC₆H₁₂O₆乳糖にゅうとうの構成こうせい

二に糖とう

単たん糖とう 2 個こが縮ちぢみ合あわしたもの。 加水かすい分解ぶんかいで単たん糖とう 2 個こに。

名前なまえ構成こうせい特徴とくちょう
マルトース (麦芽糖ばくがとう)グルコース 2 個こ還元かんげん性せいあり、 デンプンの加水かすい分解ぶんかい
スクロース (ショ糖とう)グルコース + フルクトース還元かんげん性せいなし、 砂糖さとうの主成分しゅせいぶん
ラクトース (乳糖にゅうとう)グルコース + ガラクトース還元かんげん性せいあり、 牛乳ぎゅうにゅう

多た糖とう

単たん糖とうが多数たすうつながったもの。 加水かすい分解ぶんかいで多数たすうの単たん糖とうに。

名前なまえ構成こうせい特徴とくちょう・用途ようと
デンプンα-グルコースが α-1,4 結合けつごう植物しょくぶつの貯蔵ちょぞう養分ようぶん、 ヨウ素デンプン反応ヨウそデンプンはんのうで青あお紫むらさき
グリコーゲンα-グルコース、 枝分えだわかれ多おおい動物どうぶつの肝臓かんぞう・筋肉きんにくの貯蔵ちょぞう養分ようぶん
セルロースβ-グルコースが β-1,4 結合けつごう植物しょくぶつ細胞さいぼう壁かべ、 紙かみ・綿めんの主成分しゅせいぶん

糖とうの反応はんのう

  • アルコール発酵アルコールはっこう: C₆H₁₂O₆ → 2 C₂H₅OH + 2 CO₂ (酵母こうぼ)
  • 還元かんげん性せい試験しけん: 銀鏡しろみ反応はんのう、 フェーリング液えき (還元かんげんする単たん糖とう・二に糖とうで起おこる)
  • ヨウ素デンプン反応ヨウそデンプンはんのう: デンプン + I₂ → 青あお紫色むらさきいろ (デンプンの検出けんしゅつ)

3. タンパク質たんぱくしつ

アミノ酸あみのさん

タンパク質たんぱくしつの単たん量りょう体たい。 1 つの炭素たんそに -NH₂ (アミノ基もと) と -COOH (カルボキシ基もと) と H と側がわ鎖くさり R がつく。 R が異ことなる約やく 20 種類しゅるいの α-アミノ酸アルファアミノさん がある。

H₂N-CHR-COOH

中央ちゅうおうの C は不ふ斉ひとし炭素たんそ (ただしグリシン R = H は例外れいがい) → 鏡かがみ像ぞう異性いせい体たいが存在そんざい (天然てんねんはほぼ L 体からだ)。

酸さんと塩基えんきの両性りょうせい (双そう性せいイオン)

水溶液すいようえき中ちゅうでは -COOH が H⁺ を失うしない、 -NH₂ が H⁺ を受うけ取とり、 ⁺H₃N-CHR-COO⁻ の 双性イオンそうせいイオン になる。 全体ぜんたいの電荷でんかが 0 になる pH を 等電点とうでんてん という。

ペプチド結合けつごうとタンパク質たんぱくしつの構造こうぞう

2 個このアミノ酸あみのさんが -COOH と -NH₂ で縮ちぢみ合ごうし H₂O が抜ぬけると ペプチド結合ペプチドけつごう -CO-NH- ができる。 多数たすうのアミノ酸あみのさんがつながったものがタンパク質たんぱくしつ。

構造こうぞう内容ないよう
1 次じ構造こうぞうアミノ酸あみのさんの配列はいれつ順じゅん
2 次じ構造こうぞう水素すいそ結合けつごうで α-ヘリックスや β-シート
3 次じ構造こうぞう全体ぜんたいの立体りったい折おりたたみ
4 次じ構造こうぞう複数ふくすうのタンパク質たんぱくしつが集あつまった状態じょうたい (ヘモグロビンなど)

タンパク質たんぱくしつの検出けんしゅつ反応はんのう

反応はんのう試薬しやく色いろ検出けんしゅつするもの
ビウレット反応はんのうNaOH + CuSO₄赤あか紫むらさきペプチド結合けつごう (2 個こ以上いじょう)
キサントプロテイン反応はんのう濃こ HNO₃ で加熱かねつ → アンモニア水すい黄き → 橙だいだいベンゼン環たまき (チロシンなど)
硫黄いおう反応はんのうNaOH 加熱かねつ + 酢酸さくさん鉛なまり黒くろ (PbS)S を含ふくむアミノ酸あみのさん (システイン)
ニンヒドリン反応はんのうニンヒドリン試薬しやく紫むらさきアミノ酸あみのさん全般ぜんぱん

タンパク質たんぱくしつの変性へんせい

熱ねつ・酸さん・有機ゆうき溶媒ようばい・重金属じゅうきんぞくイオンで立体りったい構造こうぞうがこわれる = 変性へんせい。 卵たまごをゆでると白しろく固かたまるのが例れい。

4. 核酸かくさん

塩基対が階段状に並ぶDNA二重らせんの模式図
DNAの二に重じゅうらせん構造こうぞう — リン酸さん + デオキシリボース + 塩基えんき (A, T, G, C) の鎖くさりが 2 本ほんより合あわさりらせんを作つくる。 生体せいたい高分子こうぶんしの代表だいひょう。

DNA と RNA の単たん量りょう体たい = ヌクレオチドぬくれおちど (糖とう + リン酸さん + 塩基えんき)。

核酸かくさん糖とう塩基えんき役割やくわり
DNAデオキシリボースA, T, G, C遺伝いでん情報じょうほうを保存ほぞん
RNAリボースA, U, G, Cタンパク質たんぱくしつ合成ごうせい

DNA は 2 重じゅうらせん構造こうぞう (ワトソン・クリック)。 A-T、 G-C で水素すいそ結合けつごう。

5. 合成ごうせい高分子こうぶんし (繊維せんい・樹脂じゅし・ゴム)

合成ごうせい繊維せんい

名前なまえ単たん量りょう体たい重合じゅうごう用途ようと
ナイロン 66アジピン酸さん + ヘキサメチレンジアミン縮ちぢみ合ごう重合じゅうごう衣料いりょう (ストッキング)、 釣糸つりいと
ナイロン 6カプロラクタム開ひらく環かん重合じゅうごう衣料いりょう
ポリエステル (PET)テレフタル酸さん + エチレングリコール縮ちぢみ合ごう重合じゅうごうペットボトル、 衣料いりょう
アクリルアクリロニトリル付加ふか重合じゅうごうセーター
ビニロン酢酸さくさんビニル → ポリビニルアルコール付加ふか + 反応はんのう漁網ぎょもう、 ロープ

合成ごうせい樹脂じゅし (プラスチック)

名前なまえ単たん量りょう体たい性質せいしつ・用途ようと
ポリエチレン (PE)エチレン CH₂=CH₂袋ふくろ、 容器ようき
ポリプロピレン (PP)プロピレン CH₂=CHCH₃食品しょくひん容器ようき、 自動車じどうしゃ部品ぶひん
ポリ塩化えんかビニル (PVC)塩化えんかビニル CH₂=CHClパイプ、 シート
ポリスチレン (PS)スチレン CH₂=CHC₆H₅発泡はっぽうスチロール
ポリメタクリル酸さんメチル (PMMA)メタクリル酸さんメチルアクリル板ばん、 水族館すいぞくかん
フェノール樹脂じゅしフェノール + ホルムアルデヒド熱ねつ硬化こうか、 電気でんき部品ぶひん

合成ごうせいゴム

天然てんねんゴムはイソプレン (CH₂=C(CH₃)CH=CH₂) の重じゅう合体がったい。 加硫かりゅう (S を加くわえ加熱かねつ) で弾性だんせいが増ます。

合成ごうせいゴムの例れい: スチレンブタジエンゴム (SBR、 タイヤ)、 ブチルゴム (タイヤチューブ)、 シリコーンゴム (耐熱たいねつ)。

機能きのう性せい高分子こうぶんし

種類しゅるい用途ようと
生なま分解ぶんかい性せいプラスチックポリ乳酸にゅうさん (PLA) — 微生物びせいぶつで分解ぶんかい、 環境かんきょう負荷ふか低減ていげん
イオン交換こうかん樹脂じゅし水みずの軟化なんか、 純じゅん水みず製造せいぞう
高こう吸水きゅうすい性せい樹脂じゅし紙かみオムツ、 保水ほすい材ざい (自重じちょうの 100 〜 1000 倍ばいの水みずを吸すう)
導どう電でん性せい高分子こうぶんし太陽たいよう電池でんち、 タッチパネル
形状けいじょう記憶きおくポリマー医療いりょう (ステント)、 産業さんぎょう

天然てんねん繊維せんいと半はん合成ごうせい繊維せんい

名前なまえ出所しゅっしょ主成分しゅせいぶん
綿めん植物しょくぶつ (コットン)セルロース
麻あさ植物しょくぶつ (リネン)セルロース
絹きぬ動物どうぶつ (カイコの繭まゆ)タンパク質たんぱくしつ (フィブロイン)
羊毛ようもう動物どうぶつ (ヒツジ)タンパク質たんぱくしつ (ケラチン)
レーヨンセルロースを化学かがく処理しょりし再生さいせいセルロース
アセテートセルロースをアセチル化か (半はん合成ごうせい)セルロース誘導体ゆうどうたい

プラスチックのリサイクル

PET ボトルを例れいに、 リサイクルの方法ほうほうは大おおきく 3 種類しゅるい:

種類しゅるい内容ないよう
マテリアルリサイクル砕くだいて溶とかし、 別べつの製品せいひんに再生さいせい (繊維せんい・容器ようき)
ケミカルリサイクルエステルを加水かすい分解ぶんかいし、 単たん量りょう体たいに戻もどして再さい重合じゅうごう
サーマルリサイクル燃もやして熱ねつを利用りよう (発電はつでん・熱源ねつげん)

6. 章しょうのまとめ

重要じゅうよう用語ようごまとめ

  • 付加重合ふかじゅうごう (副ふく生物せいぶつなし) と 縮合重合しゅくごうじゅうごう (H₂O が抜ぬける)
  • 糖類とうるい: 単たん糖とう (グルコース)・二に糖とう (スクロース)・多た糖とう (デンプン・セルロース)
  • スクロースは 還元かんげん性せいなし、 ほかの糖とうはほぼ還元かんげん性せいあり
  • タンパク質たんぱくしつ検出けんしゅつ: ビウレット反応ビウレットはんのう (赤あか紫むらさき)、 キサントプロテイン反応キサントプロテインはんのう (黄き → 橙だいだい)
  • DNA はヌクレオチド (糖とう + リン酸さん + 塩基えんき) の 2 重じゅうらせん
  • 主おもな合成ごうせい繊維せんい: ナイロン (アミド結合けつごう)、 ポリエステル (エステル結合けつごう)

確認かくにんリスト

  • [ ]付加ふか重合じゅうごうと縮ちぢみ合ごう重合じゅうごうを例れいで説明せつめいできる
  • [ ]デンプンとセルロースの構造こうぞう上じょうのちがい (α / β 結合けつごう) を言いえる
  • [ ]アミノ酸あみのさんの双そう性せいイオンと等電点とうでんてんを説明せつめいできる
  • [ ]タンパク質たんぱくしつの 4 つの検出けんしゅつ反応はんのうを区別くべつできる
  • [ ]ナイロンとポリエステルの単たん量りょう体たいを言いえる

この章しょうの安全あんぜん配慮はいりょ

  • フェノール・ホルムアルデヒドは有毒ゆうどく・刺激しげき性せい。 ドラフト内ないで扱あつかう
  • ポリウレタン・ポリスチレンを加熱かねつ・燃焼ねんしょうすると有毒ゆうどくなシアン化水素かすいそ・スチレン蒸気じょうきが発生はっせい。 屋外おくがいでも燃もやさない
  • 重合じゅうごう反応はんのうは急激きゅうげきに進すすむと発熱はつねつ・突沸にえのおそれ。 触媒しょくばい量りょうと温度おんどを厳守げんしゅ
  • アクリロニトリルは強つよい毒性どくせい (発はつがん性せい疑うたがい)。 取とり扱あつかい時じは手袋てぶくろ・保護ほごメガネ・換気かんき
  • 廃はいプラスチックは流ながしに流ながさず自治体じちたいの分別ふんべつルールに従したがう

化学かがくの学習がくしゅうを終おえて: 第だい 1 章しょうの 「物質ぶっしつの分類ぶんるい」 から第だい 10 章しょうの 「高分子こうぶんし化合かごう物ぶつ」 まで、 高校こうこう化学かがくの基本きほんをひととおり学まなびました。 次つぎは一いち問もん一いち答とうと問題もんだい集しゅうで知識ちしきを定着ていちゃくさせ、 大学だいがく入試にゅうしの過去かこ問もんで計算けいさん力りょく・記述きじゅつ力りょくを鍛きたえていきましょう。

炭素鎖と水素原子からなる長鎖高分子のファンデルワールス球モデル
ポリエチレン (PE) — エチレンえちれん (C₂H₄) が多数たすう連つらなった 付加重合ふかじゅうごう 型かた高分子こうぶんし。 レジ袋ぶくろ・ボトル・包装ほうそうフィルム等とうに使つかわれる最もっともありふれたプラスチック。

まとめ — 高分子化合物こうぶんしかごうぶつを 3 行くだりで

  • 高分子こうぶんしの重合じゅうごう反応はんのうは副ふく生物せいぶつなしの付加重合ふかじゅうごう (ポリエチレン等とう) と H₂O が抜ぬける縮合重合しゅくごうじゅうごう (ナイロン・ポリエステル等とう) の 2 大型おおがたに分わかれる
  • 天然てんねん高分子こうぶんしでは糖類とうるい (単たん糖とう・二に糖とう・多た糖とう)・タンパク質たんぱくしつ (アミノ酸あみのさんの縮合しゅくごう) ・核酸かくさん (ヌクレオチドの二重にじゅうらせん) が生命せいめいを支ささえる基本きほん物質ぶっしつである
  • 合成ごうせい繊維せんいではナイロン (アミド結合けつごう) ・ポリエステル (エステル結合けつごう) が代表だいひょうで、 リサイクル (マテリアル・ケミカル・サーマル) は環境かんきょう負荷ふか軽減けいげんの要かなめである
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