はじめに
説明文 (説明的文章) を読む力は、 大量の情報を短時間で整理し、 筆者の 主張 を一文で言える力です。 中学 1 年では、 構成・キーワード・要旨 の三つを軸に読み進める練習をします。 本章の例文はすべて Studia の自作です。
この章でできるようになること:
- 説明文の三部構成 (序論・本論・結論) を識別できる
- 接続詞 を手がかりに文のつながりを追える
- 事実 と 意見 を区別できる
- 要旨 を 100 字以内でまとめられる
1. 説明文の基本構成
説明文の多くは次の三部構成を持ちます。
| 部分 | 役割 |
|---|
| 序論 (はじめ) | 話題提示・問題提起 |
| 本論 (なか) | 説明・例・根拠 |
| 結論 (おわり) | 筆者の 主張・まとめ |
よくあるバリエーション
- 双括型: 結論が序論と結論の両方に出る
- 尾括型: 結論が最後だけ
- 頭括型: 結論が最初だけ
2. オリジナル例文 — 「夜空を見上げる意味」 (Studia 自作)
私たちはふだん、 上を見ずに暮らしています。 通学の道でもスマートフォンの画面ばかりを見つめ、 夜の空をゆっくり眺める時間はほとんどありません。 けれど、 夜空を見上げることには大きな意味があります。
第一に、 夜空は私たちを 時間の長さ に向き合わせます。 今見ている星の光は、 数十年から数千年も前に星を出発したものです。 つまり私たちは、 過去の光を今受け取っているのです。 これは普段の生活で体験できない規模の時間です。
第二に、 夜空は私たちを 空間の広さ に向き合わせます。 地球は太陽系の一員であり、 太陽系は銀河系の一部、 銀河系は宇宙全体のごくわずかな部分です。 一つの星を見上げるだけで、 自分の位置を相対化できるのです。
したがって、 夜空を見上げることは単なる趣味ではなく、 自分を時間と空間の中に置き直す行為です。 一日に一度でよい、 顔を上げて空を見る習慣を持ちたいものです。
構成の識別
- 序論: 第 1 段落 (問題提起 + 主張の予告)
- 本論: 第 2・3 段落 (理由二つ)
- 結論: 第 4 段落 (主張の再提示)
これは 双括型。 序論と結論が響き合う構造です。
3. 接続詞 を手がかりに読む
接続詞 は段落と段落、 文と文の 関係を示す標識 です。 接続詞を追うだけで論理の流れが見えます。
| 関係 | 接続詞の例 |
|---|
| 順接 (因果) | だから・したがって・そこで |
| 逆接 | しかし・けれども・ところが |
| 並立・追加 | また・さらに・しかも |
| 対比 | 一方・反対に・他方 |
| 説明・補足 | つまり・なぜなら・ただし |
| 例示 | 例えば・たとえば |
| 転換 | さて・ところで・では |
練習:上の例文第 4 段落の 「したがって」 は 「順接」。 二つの理由を受けて結論に進んでいることが分かります。
4. 事実 と 意見 を区別する
| 区別 | 特徴 | 例 |
|---|
| 事実 | 確かめられる、 数値や客観情報 | 「光の速さは秒速約 30 万 km」 |
| 意見 | 筆者の判断・主張・推測 | 「夜空を見上げる習慣を持ちたい」 |
意見を示す表現: 「〜 だろう」「〜 すべきだ」「〜 と考える」「〜 と思われる」 など。
5. 要旨 をまとめる三手順
要旨 とは、 文章全体の中心となる内容を短くまとめたもの。 中学入試・定期試験で頻出です。
手順
- 話題を一語で: 何についての文章か (例: 「夜空を見上げる意味」)
- 主張を一文で: 筆者は何を言いたいのか (例: 「自分を時間と空間の中に置き直す行為だ」)
- 根拠を二 〜 三点: なぜそう言えるのか (例: 「時間の長さ・空間の広さに向き合えるから」)
まとめ例 (95 字)
夜空を見上げることは、 過去の光と宇宙の広さに触れ、 自分を時間と空間の中に置き直す行為であり、 単なる趣味を超えた意味を持つ。
6. 説明文を読む三つのコツ
- キーワードに印 — 繰り返し出てくる語が必ずテーマにつながる。
- 段落の頭と末尾 — そこに要点が集中する。
- 図表があるなら先に見る — 数値や関係を一目でつかむ。
7. どう問われるか
- 「第 ○ 段落と第 ○ 段落の関係を答えなさい」 (対比・並立等)
- 「次の中で筆者の意見に当たるものを一つ選びなさい」
- 「この文章の要旨を 80-100 字で書きなさい」
- 「下線部 『つまり』 の前後の関係を説明しなさい」
まとめ
- 説明文は序論・本論・結論の三部で組み立てられる
- 接続詞 を追うと論理の流れが見える
- 事実 と 意見 を区別する
- 要旨 は 「話題 + 主張 + 根拠」 を一文に圧縮