はじめに
中学 1 年の表現学習は、 「自分の考えを整理して、 相手に届く形で出す」 力を育てます。 この章では 書く と 話す の二つの領域を通して、 発信 の基本を学びます。
この章でできるようになること:
- 紹介文・意見文・記録 を三段階 (構想・下書き・推敲) で書ける
- 原稿用紙の使い方を守れる
- 敬体 (です・ます) と 常体 (だ・である) を場面で使い分ける
- スピーチ の準備・リハーサル・本番の流れを説明できる
1. 書くことの三段階
(1) 構想
書く前に 何を伝えるか を短く決める。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 目的 | 何のために書くか |
| 相手 | 誰に向けて書くか |
| 主張 | 何を言いたいか (一文) |
| 根拠 | なぜそう言えるか (二 〜 三点) |
(2) 下書き
序論 → 本論 → 結論の順で一気に書く。 細かい直しは後で。
(3) 推敲
書いた後で直すこと。 中学では推敲の質が文章力を決めます。
推敲のチェックリスト
- [ ]主張が一文で言えるか
- [ ]誤字・脱字・送り仮名 の誤りがないか
- [ ]主語と述語が対応しているか
- [ ]敬体 と 常体 が混ざっていないか
- [ ]同じ語を不必要に繰り返していないか
2. 紹介文 を書く
紹介文 は 「人・物・場所を知らない相手に伝える」 文章です。
構成例
- 何を紹介するか (一文)
- その特徴 (二 〜 三点)
- なぜ自分が良いと思うか
- 読者におすすめする一言
自作例:
私が紹介するのは、 通学路にある小さな古本屋です。 店は一軒家を改装してあり、 入ると木の香りがします。 店主はおすすめを一冊ずつメモで添えていて、 本が好きな人にはたまりません。 私は月に一度この店で本を買い、 読書の楽しみを広げています。 ぜひ一度立ち寄ってみてください。
3. 意見文 を書く
意見文 は 「ある問題に対し自分の立場を示す」 文章。
構成 (双括型が書きやすい)
- 結論 (自分の立場)
- 理由 1・具体例
- 理由 2・具体例
- 反論への一言 (任意)
- 結論の繰り返し
注意
- 「絶対 〜 だ」「全員 〜 すべき」 と強く言い切るより、 根拠 を添えるほうが説得力が出る。
- 事実 と 意見 を混ぜない。
4. 原稿用紙の使い方
| ルール | 内容 |
|---|
| 題名 | 1 行め、 上を 2 〜 3 マスあけて書く |
| 名前 | 2 行め、 下寄せ。 名字と名前の間を 1 マスあける |
| 段落の始まり | 1 マスあけて書く |
| 句読点 | 1 マスを使う。 行頭に来ないよう工夫する |
| 「」 | カギかっこも 1 マス。 行頭 「、 行末 」 は前行末に入れる |
| 数字 | 縦書きは漢数字、 横書きはアラビア数字が多い |
5. 敬体 と 常体 の使い分け
| 文体 | 例 | 場面 |
|---|
| 敬体 (です・ます) | 行きます・きれいです | スピーチ・手紙・紹介文 |
| 常体 (だ・である) | 行く・きれいだ | 論文・新聞記事・小説地の文 |
文章の途中で混ぜるのは原則 NG。 ただし、 会話文だけ常体 (「行くぞ」) などは OK。
6. 話すこと — スピーチ の準備
三段階
- 準備: 目的・相手・時間を確認 → 構成を アウトライン で書く → 原稿を作る
- リハーサル: 声に出して練習。 時間を計る。 鏡や録音で 姿勢 と声を確認
- 本番: 聞き手を見る・間 を取る・大事な語でゆっくり話す
スピーチ原稿の構成 (3 分 = 約 900 字)
| 部分 | 時間配分 | 内容 |
|---|
| 導入 | 30 秒 | 話題と結論の予告 |
| 展開 | 120 秒 | 理由と具体例 (二 〜 三点) |
| まとめ | 30 秒 | 結論の繰り返し + 一言 |
話すときの注意
- 早口にならない (1 分に 300 字程度が目安)
- 「えーと」「あの」 を減らす
- 大事な語の前で一拍置く
- 聞き手と アイコンタクト を取る
7. 対話 と司会
中学では班ごとの 討論 や インタビュー も増えます。
- 相手の話を最後まで聞く
- 自分の意見を一文で言う
- 根拠 を添える
- 反対意見には 「なるほど、 ただ私は…」 と受け止めてから言う
8. どう問われるか
- 「次のテーマで 200-400 字の意見文を書きなさい」
- 「次の文の推敲すべき点を指摘しなさい」
- 「敬体・常体が混在している箇所を直しなさい」
- 「3 分スピーチの構成メモを書きなさい」
まとめ
- 書くことは構想・下書き・推敲 の三段階
- 原稿用紙の約束を守る
- 敬体 と 常体 を混ぜない
- スピーチは準備・リハーサル・本番の三段階