この章で学ぶこと
これまでみなさんは、「1 つの量」をくらべる学習をしてきました。長さどうし、面積どうし、重さどうしをくらべて、「こちらのほうが大きい・小さい」と言ってきました。
ところが世の中には、「2 つのちがう種類の量」を 1 組にして、はじめて比べられるものがたくさんあります。
- こみぐあい(部屋の広さと人の数)
- 速さ(進んだ道のりとかかった時間)
- ねだんの安さ(ねだんと量)
この章では、このような「2 つの量を組み合わせた見方」を身につけます。
この章がおわるころには、つぎのことができるようになっています。
- 単位量あたりの大きさの意味が分かり、こみぐあいや作物のとれぐあいを比べられる
- 人口密度(1 km² あたりの人の数)を計算できる
- 速さ・道のり・時間の 3 つの関係(速さ = 道のり ÷ 時間)を使える
- 時速・分速・秒速のちがいを理かいし、60 倍・60 でわるで換算できる
- 割合= 比べる量 ÷ もとにする量 の関係を使える
- 百分率(%)と 歩合(1 割 = 0.1)を小数と行き来できる
ポイント: この章の主役は、「1 あたりにそろえて比べる」という考え方です。こみぐあいも、速さも、安さも、「1 つあたりいくつ?」の形にそろえると、だれでもすっきり比べられます。
1. 単位量あたりの大きさ
こみぐあいを比べる
つぎの 2 つの部屋、どちらがこんでいると言えるでしょう?
| 部屋 | 広さ | 人の数 |
|---|
| 部屋 A | 6 m² | 9 人 |
| 部屋 B | 8 m² | 10 人 |
広さだけ見れば B のほうが広い。人の数だけ見れば B のほうが多い。でも、こみぐあいは広さだけ・人の数だけでは分かりません。2 つを組み合わせて考える必要があります。
こういうときは、「1 m² に何人いるか」を計算して、そろえて比べます。
- 部屋 A … 9 ÷ 6 = 1.5 人 / m²
- 部屋 B … 10 ÷ 8 = 1.25 人 / m²
1 m² あたりの人数が多いほうがこんでいます。答えは 部屋 A のほうがこんでいる。
この「1 つ(1 m² や 1 人など)あたりいくつ」にそろえた数を、単位量あたりの大きさと言います。
どちらを「1」にするか
2 つの量のどちらを「1」にそろえても比べられます。さっきの例では、「1 人あたり何 m²」で考える方法もあります。
- 部屋 A … 6 ÷ 9 = 0.666... m² / 人
- 部屋 B … 8 ÷ 10 = 0.8 m² / 人
1 人あたりの広さが せまいほうがこんでいます。答えはやっぱり 部屋 A のほうがこんでいる。
どちらで考えても答えは同じ。ただし、大小の意味が反対になるので注意しましょう。
ポイント: 「1 m² あたり何人」なら 多いほうがこんでいる。「1 人あたり何 m²」なら せまいほうがこんでいる。どちらを「1」にするかで、大小のむきが入れかわります。
作物のとれぐあい(1 a あたりの収かく)
農業では、「1 a(アール)あたり何 kg とれたか」で作物のとれぐあいを比べます。1 a = 100 m² です。
例題:田んぼ A(3 a)で 1,500 kg、田んぼ B(5 a)で 2,400 kg のお米がとれました。どちらがよくとれたと言えますか?
- 田んぼ A … 1500 ÷ 3 = 500 kg / a
- 田んぼ B … 2400 ÷ 5 = 480 kg / a
1 a あたりで比べると、田んぼ A のほうがよくとれたと分かります。
2. 人口密度
都道府県や市町村の「こみぐあい」は、ふつう 1 km² あたり何人住んでいるかで表します。これを 人口密度と言います。
人口密度=人口÷面積(km2)
例題:面積 200 km²、人口 80,000 人の市の人口密度は?
80,000÷200=400 人 / km2
人口密度400 人 / km²。1 km² に 400 人が住んでいる、という意味です。
東京都の人口密度はおよそ 6,400 人 / km²、北海道はおよそ 66 人 / km²。100 倍近くもちがうことが分かります。
3. 速さ
速さ = 1 つの量にそろえる
自動車 A は 2 時間で 120 km、自動車 B は 3 時間で 150 km 進みました。どちらが速いと言えるでしょう?
進んだ道のりだけ見れば B のほうが長い。かかった時間も B のほうが長い。道のりと時間を組み合わせた「速さ」で比べる必要があります。
こみぐあいのときと同じように、「1 時間あたり何 km 進むか」でそろえて比べましょう。
- 自動車 A … 120 ÷ 2 = 60 km / 時
- 自動車 B … 150 ÷ 3 = 50 km / 時
1 時間あたりの道のりが長いほうが速い。答えは 自動車 A のほうが速い。
この「1 時間あたり何 km」が、速さの正体です。
速さ=道のり÷時間
3 つの公式(速さ・道のり・時間)
速さの公式を変形すると、道のり・時間も求められます。
速さ=道のり÷時間
道のり=速さ×時間
時間=道のり÷速さ
覚え方として、下のような図がよく使われます。
┌─────────────┐
│ 道のり │ ← 上が 「道のり」
├──────┬──────┤
│ 速さ │ 時間 │ ← 下が 「速さ」と「時間」
└──────┴──────┘
・道のりをかくすと → 速さ × 時間
・速さをかくすと → 道のり ÷ 時間
・時間をかくすと → 道のり ÷ 速さ
「み・は・じ」(道のり・速さ・時間)や、「き・は・じ」(距離・速さ・時間)と呼ぶこともあります。3 つのうち、どの 2 つが分かれば、のこりの 1 つは計算で出せる、と覚えましょう。
例題 1:時速 60 km の自動車が、3 時間走りました。進んだ道のりは?
60×3=180 km
例題 2:家から学校まで 2 km。時速 4 km で歩くと何時間かかる?
2÷4=0.5 時間=30 分
時速・分速・秒速
速さには、「1 時間あたり・1 分間あたり・1 秒間あたり」の 3 つの表し方があります。
| 名前 | 単位時間 | 例 |
|---|
| 時速 | 1 時間あたり | 時速 60 km(1 時間に 60 km) |
| 分速 | 1 分間あたり | 分速 200 m(1 分に 200 m) |
| 秒速 | 1 秒間あたり | 秒速 5 m(1 秒に 5 m) |
1 時間 = 60 分、1 分 = 60 秒ですから、換算は 60 倍・60 でわるで行きます。
×60 ×60
時速 ─────→ 分速 ─────→ 秒速
←───── ←─────
÷60 ÷60
例題 3:時速 72 km は分速何 m? さらに秒速何 m?
時速 72 km = 時速 72,000 m(km を m に直す)。1 時間 = 60 分なので、
72,000÷60=1,200 m / 分
分速 1,200 m。さらに 1 分 = 60 秒なので、
1,200÷60=20 m / 秒
秒速 20 m。つまり 時速 72 km = 分速 1,200 m = 秒速 20 m。
注意:時速 ←→ 分速・秒速の換算で、km を m に直し忘れるミスが多いです。時速はふつう km、分速・秒速はふつう m で表すので、単位もいっしょに合わせることをわすれずに。
ちょっと遠くから見る
| のりもの | およその速さ |
|---|
| 歩く人 | 時速 4 km(分速 67 m) |
| 自転車 | 時速 15 km |
| 自動車(一ぱん道) | 時速 40〜60 km |
| 新幹線 | 時速 250〜300 km |
| 音 | 秒速 340 m = 時速 1,224 km |
| 光 | 秒速約 30 万 km |
ふだん耳にする数字も、単位時間あたりに何進むかの形で表されていたと分かります。
4. 割合 とはなにか
「もと」に対してどれだけ?
ここからは、話を少し変えて、「2 つの量をくらべたとき、片ほうがもう片ほうの何倍にあたるか」を考える学習に入ります。
例: クラス全員 30 人のうち、男子が 12 人います。男子はクラス全員のどれくらいの数にあたるでしょうか?
「12 ÷ 30 = 0.4」の意味をかんがえると、クラス全員(30 人)を 「1」と見たとき、男子(12 人)はその 0.4 にあたる、ということです。
この「0.4」のように、ある量をもと(1)にして、もう 1 つの量がその何倍にあたるかを表す数を 割合と言います。
3 つのことば:もとにする量・比べる量・割合
割合の話では、3 つのことばが登場します。
- もとにする量:「1」と見る量(基準となる量)
- 比べる量:もとと比べて求めたい量
- 割合:比べる量がもとの何倍かを表す数
さっきの例では、
- もとにする量 = クラス全員 30 人
- 比べる量 = 男子 12 人
- 割合 = 0.4
3 つの公式
速さと同じように、割合にも 3 つの公式があります。
割合=比べる量÷もとにする量
比べる量=もとにする量×割合
もとにする量=比べる量÷割合
┌────────────────┐
│ 比べる量 │
├──────────┬─────┤
│ もとにする量 │ 割合 │
└──────────┴─────┘
「く・も・わ」(比べる量・もとにする量・割合)と呼ぶこともあります。速さの「み・は・じ」とまったく同じしくみです。
どちらが「もと」か見分けるコツ
割合の問題でいちばん多いミスは、「もと」と「比べる」の取り違えです。日本語の問題文を見て、
- 「〜の …」の 「〜」が もとにする量(例:「クラスの 4 割」→ クラスがもと)
- 「〜をもとにして」と書いてあれば、それが もとにする量
- 「〜に対して」と書いてあれば、それが もとにする量
と見分けます。
例題 4:定員 40 人のバスに、32 人乗っています。乗客は定員のどれだけの割合か?
「定員の …」なので、定員が もとにする量。乗客が 比べる量。
32÷40=0.8
答え:0.8(8 割)。
例題 5: ある本は、全体の 0.3 にあたる 60 ページを読み終わりました。本は全部で何ページ?
割合 0.3 = 読み終わったぶんが全体に対する割合。もとにする量 は全体(= 求めたい量)。比べる量 は 60 ページ。もとにする量 = 比べる量 ÷ 割合を使って、
60÷0.3=200 ページ
5. 百分率(%)
0.3 = 30%
割合を小数で表すと 0.3 や 0.125 のような数になって、ぱっと見にくいことがあります。そこで、もとにする量を「100」として、その何こ分かで表すやり方を使います。これが 百分率で、記号は %(パーセント)です。
| 小数 | 百分率 |
|---|
| 0.01 | 1% |
| 0.1 | 10% |
| 0.25 | 25% |
| 0.5 | 50% |
| 0.8 | 80% |
| 1 | 100% |
| 1.5 | 150% |
小数 ←→ 百分率 の直し方はかんたんです。
- 小数 → 百分率:× 100 して % をつける
- 百分率 → 小数:÷ 100(または % を外して 100 でわる)
例:
- 0.07 → 7%
- 1.2 → 120%
- 45% → 0.45
- 8% → 0.08
ポイント:百分率は 「もとにする量を 100 こに分けたうちの何こ分」。全体そのものはちょうど 100%です。
百分率を使った計算
百分率でも、割合の 3 公式はそのまま使えます。計算するときは、いったん小数に直してからかけ算・わり算するのが安全です。
例題 6:定価 800 円の品物が 25% 引きで売られています。売りねは?
25% = 0.25。25% 引きは、定価の (100 − 25) = 75% で売るということ。
800×0.75=600 円
引かれる分を先に計算して、
800×0.25=200 円
800−200=600 円
としても同じ答えになります。
例題 7:食塩水 200 g の中に、食塩が 5%ふくまれています。食塩は何 g?
5% = 0.05。食塩 = 200 × 0.05 = 10 g。
例題 8:満点 50 点のテストで 40 点取れました。これは 全体の何 % ですか? 40 ÷ 50 = 0.8 = 80%。もとにする量 = 満点(50 点)、比べる量 = とった点(40 点)、というしくみです。
「〜 増し」「〜 引き」
- 3 割増し = もとの (100 + 30) = 130% = 1.3 倍
- 20% 引き = もとの (100 − 20) = 80% = 0.8 倍
もとを 1として、そこに 足し引きする感じで考えるとすっきりします。
6. 歩合
1 割 = 0.1
野球の打率や、むかしの商売で使われた表し方に 歩合(ぶあい)があります。
| 呼び方 | 小数 | 百分率 |
|---|
| 1 割 | 0.1 | 10% |
| 1 分 | 0.01 | 1% |
| 1 厘 | 0.001 | 0.1% |
「割(わり)」は 10 分の 1、「分(ぶ)」は 100 分の 1、「厘(りん)」は 1000 分の 1。
例:
- 3 割 2 分 = 0.32 = 32%
- 2 割 5 分引き = 0.25 引き = 25% 引き
- 打率 2 割 8 分 5 厘 = 0.285
注意: 「分」には 2 つの意味があります。百分率の「%(パーセント)」の別の言い方としての「分」(1% = 1 分)と、むかしからの時間の単位(1 時間 = 60 分)は、同じ字でも別物です。文しょうの中で区別しましょう。
3 つの表し方の行き来
小数・百分率・歩合は、同じ割合の別の書き方にすぎません。
| 小数 | 百分率 | 歩合 |
|---|
| 0.1 | 10% | 1 割 |
| 0.25 | 25% | 2 割 5 分 |
| 0.4 | 40% | 4 割 |
| 0.85 | 85% | 8 割 5 分 |
| 1 | 100% | 10 割 |
どの表し方を見ても、すぐに小数に直せるようにしましょう。計算するときは 小数がいちばん便利です。
7. つまずきやすいポイント
① どちらが「もと」か分からなくなる
「A は B の 0.8」と 「B は A の 0.8」は、まったくちがう意味です。日本語をよく読んで、「〜の」「〜に対して」の前にあるほうが もとにする量 だと見つけましょう。
② 百分率をそのままかけ算してしまう
「25% の割合」を 25 のままかけ算するのはまちがい。0.25 に直してからかけ算します。
800×25=20,000(まちがい)
800×0.25=200(正しい)
③ 単位をそろえない
時速と分をそのままかけ算するとまちがえます。時速 = 時間とセット、分速 = 分とセット。速さと時間の単位をそろえてから計算しましょう。
例:分速 60 m で 10 秒進むと…? → 10 秒 = 1/6 分。60 × 1/6 = 10 m。
(もしくは分速 60 m = 秒速 1 m に直して、1 × 10 = 10 m)
④ こみぐあいの大小を反対にする
「1 m² あたりの人数」で比べるのか、「1 人あたりの広さ」で比べるのかで、大小のむきが入れかわります。どちらを「1」にそろえたかを、はっきりさせてから比べましょう。
まとめ
- 単位量あたりの大きさ:「1 あたりいくつ」にそろえて比べる考え方
- 人口密度:人口 ÷ 面積(km²)で、1 km² あたりの人数を表す
- 速さ= 道のり ÷ 時間、道のり= 速さ × 時間、時間= 道のり ÷ 速さ
- 時速・分速・秒速の換算は、60 倍・60 でわる
- 割合= 比べる量 ÷ もとにする量、比べる量 = もと × 割合、もとにする量 = 比べる量 ÷ 割合
- 百分率:もとを 100 としたときの何こ分。0.3 = 30%、1 = 100%
- 「〜 引き」「〜 増し」:もとを 1 として、1 − 割合 や 1 + 割合 をかける
- 歩合:1 割 = 0.1、1 分 = 0.01、1 厘 = 0.001
- 小数・百分率・歩合は同じ割合の別の書き方。計算するときは小数が便利
- 単位をそろえる(時速と時間、分速と分、秒速と秒)
次の章: いよいよ最後の章、比例・円グラフや帯グラフ・平均です。伴って変わる 2 つの量の関係を表や式でとらえること、割合を図で見えるようにすること、たくさんの数を 1 つにまとめること … 5 年生算数のしめくくりにふさわしい、活やくどころの多い章です。