この章で学ぶこと
この章では、小数どうしのかけ算とわり算ができるようになります。4 年生では「小数 × 整数」「小数 ÷ 整数」までを学びました。5 年生では かける数・わる数が小数 でも計算できるように、意味と計算方法の両方を広げていきます。
この章が終わるころには、つぎのことができるようになっています。
- 整数や小数を 10 倍・100 倍・1/10・1/100 する計算が、小数点の移動でできる
- 整数 × 小数、小数 × 小数 を筆算で正しく計算できる
- 積の小数点 の位置を「かける数の小数点以下のけた数の合計」で決められる
- 整数 ÷ 小数、小数 ÷ 小数 を筆算で正しく計算できる
- わる数とわられる数を 同じ倍数する と商は変わらない、という性質を使える
- わり切れないときに 商を上からのけた数のがい数(商のがい数) で表せる
- あまりが出るときに あまりの小数点 を正しく打てる
ポイント:小数の計算は、整数の計算と 同じルール で進みます。ちがうのは 小数点をどこに打つか だけ。この章では「どうしてその位置に打つのか」という理由にも注目します。
1. 10 倍・100 倍・1/10・1/100 のしくみ
小数と整数は、どちらも 十進位取り記数法 で書かれています。つまり、10 倍すると位が 1 つ上がり、1/10 にすると位が 1 つ下がる という同じしくみです。
このしくみを、小数点の移動 として捉え直してみます。
| 元の数 | 10 倍 | 100 倍 | 1000 倍 |
|---|
| 2.485 | 24.85 | 248.5 | 2485 |
小数点が 右へ 1 つずつ動いているのがわかりますね。
| 元の数 | 1/10 | 1/100 |
|---|
| 2.485 | 0.2485 | 0.02485 |
1/10・1/100 にすると、小数点は 左へ 1 つずつ動きます。
ポイント: 10 倍・100 倍・… → 小数点は 右へ。1/10・1/100・… → 小数点は 左へ。0 を書き足したり、先頭に 0 を補ったりする必要があるときは、わすれないようにしましょう。
例題:筆算しないで答える
24.85 ÷ 100 を、筆算せずに答えます。
1/100 にするのだから、小数点を 左に 2 つ動かします。
24.85 → 2.485 → 0.2485
答え:0.2485。
このように、10 倍や 1/100 の計算は小数点を動かすだけで一しゅんで終わります。
2. 整数 × 小数
ここから小数のかけ算に入ります。まずは 整数 × 小数 から。
例題:1m が 80 円の布を 2.5m 買うと?
式は 80 × 2.5。でも「2.5 こぶん」ってどういうことでしょう?
4 年生までは、かけ算を「いくつぶん」「何倍」と考えてきました。5 年生ではこの考え方を広げて、「1 を基準にしたときに、2.5 にあたる大きさ」 という意味でとらえ直します。
つまり、80 × 2.5 は「80 の 2.5 倍」。1m の値だんを 1 とみたとき、2.5m 分は「1 の 2.5 にあたる大きさ」だから 80 × 2.5 で求められるのです。
計算のしくみ
数直線で考えると、1m で 80 円、0.5m で 40 円、合わせて 2.5m で 120 + 80 = 200 円… というのは直かん的にも分かります。
これを 計算 で出してみます。かける数 2.5 を 10 倍すると 25(整数)。
- 80 × 25 = 2000
- 答えは 10 倍になっているから、10 でわる:2000 ÷ 10 = 200
こうして 80 × 2.5 = 200 が求まります。
筆算のしかた
実さいには筆算でも計算できます。
8 0
× 2.5
-----
4 0 0 ← 80 × 5
1 6 0 ← 80 × 2
-------
2 0 0.0 ← 小数点を打つ
小数点の位置のきまり:かけられる数とかける数の 小数点以下のけた数の合計 だけ、積の小数点を右から左へずらします。
- 80(小数点以下 0 けた)× 2.5(小数点以下 1 けた)→ 合計1 けた
- 2000 の右から 1 けた左に小数点を打って 200.0、つまり 200
3. 小数 × 小数
こんどは小数どうしのかけ算です。
例題:0.3 × 0.4
0.3 × 0.4 の答えを考えましょう。両方とも 1 より小さい数ですね。
- 0.3 を 10 倍 → 3
- 0.4 を 10 倍 → 4
- 3 × 4 = 12
2 回それぞれ 10 倍したので、合わせて 100 倍 になっています。もとに戻すには 100 でわる:12 ÷ 100 = 0.12。
答え:0.3 × 0.4 = 0.12。
例題:2.5 × 1.4
もう少し大きい数で。
- 2.5 × 10 = 25
- 1.4 × 10 = 14
- 25 × 14 = 350
- 合わせて 100 倍したから、350 ÷ 100 = 3.5
筆算ではこうなります。
2.5
× 1.4
-----
1 0 0 ← 25 × 4
2 5 ← 25 × 1(10 の位なのでずらす)
-------
3.5 0 ← 小数点以下 2 けた
かけられる数 2.5(小数点以下 1 けた)+ かける数 1.4(小数点以下 1 けた)= 合計2 けた。350 の右から 2 けた左に小数点を打って 3.50 = 3.5。
積の小数点 のきまり
まとめると、小数のかけ算の 積の小数点 は:
ポイント:かけられる数の小数点以下のけた数 と かける数の小数点以下のけた数 を 足し算 した数だけ、積の右から左へ小数点をずらす。
たとえば:
| 計算 | 小数点以下のけた | 積の小数点 |
|---|
| 0.3 × 0.4 | 1 + 1 = 2 | 12 → 0.12 |
| 1.2 × 0.05 | 1 + 2 = 3 | 60 → 0.060 = 0.06 |
| 2.5 × 1.4 | 1 + 1 = 2 | 350 → 3.50 = 3.5 |
| 6 × 0.7 | 0 + 1 = 1 | 42 → 4.2 |
注意:筆算のときは 右のはしをそろえて書きます。整数のかけ算のように位をそろえる必要はありません。小数点の位置は 最後に打つ のがコツ。
1 より小さい数をかけると、答えは元より小さい
おもしろいことに、1 より小さい数をかけると、答えはかけられる数より小さく なります。
- 80 × 1 = 80
- 80 × 0.8 = 64(80 より小さい)
- 80 × 0.5 = 40(80 より小さい)
これは「0.8 は 1 より小さい割合だから、80 全部よりは少なくなる」と考えれば納得できます。
4. 整数 ÷ 小数
つぎはわり算です。まずは 整数 ÷ 小数 から。
例題:9m のリボンを 1.8m ずつに切ると?
式は 9 ÷ 1.8。「9 を 1.8 で分けたら何本取れるか」を求めます。
小数でわるのはむずかしそうに見えますが、わる数を整数にする工夫をすれば大じょうぶ。
わり算の大事な性質:わられる数とわる数を 同じ数でかける と、商(答え)は変わりません。
- 9 ÷ 1.8 = (9 × 10) ÷ (1.8 × 10) = 90 ÷ 18
- 90 ÷ 18 = 5
答え:9 ÷ 1.8 = 5。リボンは 5 本とれます。
筆算のやり方
筆算では 小数点の移動 を使います。
5
1.8 ) 9.0
9 0
---
0
わる数 1.8 の小数点を 右に 1 つ動かして 18。同じだけわられる数 9 の小数点も右に 1 つ動かして 90(9 → 90)。あとは 90 ÷ 18 = 5。
ポイント:小数でわるときは、わる数が整数になるまで両方の小数点を右へ動かします。わる数の小数点以下のけた数だけ、両方いっしょに動かすのがコツ。
5. 小数 ÷ 小数
最後は 小数 ÷ 小数 です。考え方はさきほどと同じ。
例題:7.2 ÷ 2.4
わる数 2.4 を整数に するために、両方の小数点を右に 1 つずらします。
- 7.2 → 72
- 2.4 → 24
- 72 ÷ 24 = 3
答え:7.2 ÷ 2.4 = 3。
例題:0.1 ÷ 0.04
- わる数 0.04 を整数にするには、小数点を右に 2 つ動かして 4。
- わられる数 0.1 も同じく右に 2 つ:0.1 → 1 → 10(けたが足りないので 0 を補います)
- 10 ÷ 4 = 2.5
答え:0.1 ÷ 0.04 = 2.5。
筆算の例:3.45 ÷ 1.5
2.3
1.5 ) 3.4 5
3 0
---
4 5
4 5
---
0
1.5 → 15、3.45 → 34.5。34.5 ÷ 15 = 2.3。商の小数点は、わられる数の動いた後の小数点の位置 にそろえて打ちます。
なぜ小数点を動かしていいの?
わり算の性質「わられる数とわる数を同じ倍数しても商は変わらない」があるからです。
- 3.45 ÷ 1.5
- = (3.45 × 10) ÷ (1.5 × 10)
- = 34.5 ÷ 15
- = 2.3
ポイント:小数点をずらす回数は わる数に合わせる。「わる数の小数点以下が 1 けたなら 1 回、2 けたなら 2 回」両方いっしょに右へ動かします。
1 より小さい数でわると、答えは元より大きい
これもおぼえておくと良いこと。
- 9 ÷ 1 = 9
- 9 ÷ 0.9 = 10(9 より大きい)
- 9 ÷ 0.5 = 18(9 より大きい)
- 9 ÷ 0.1 = 90(大きい!)
「0.5 で分けると 1 回分より小さいかたまりで分けるので、本数は多くなる」と考えると納得できます。
6. 商のがい数
わり切れないわり算もあります。そんなときは 商のがい数(だいたいの答え)で表します。
例題:10 ÷ 3 を上から 2 けたのがい数で
10 ÷ 3 = 3.333… とどこまでも 3 が続きます。上から 2 けたのがい数にしたいときは、上から 3 けた目 を見て四捨五入します。
- 3.333…
- 上から 3 けた目は 3
- 3 は 4 より小さいので切り捨て
- 答え:3.3
例題:5.2 ÷ 0.7 を上から 2 けたのがい数で
- 5.2 ÷ 0.7 = 52 ÷ 7 = 7.428…
- 上から 3 けた目は 2
- 切り捨て → 答え:7.4
ポイント: 「上から○けたのがい数」と言われたら、そのひとつ下のけた を見て四捨五入します。
7. あまりのある小数のわり算
わり算であまりが出るときは、あまりの小数点の位置 に注意が必要です。
例題:7.8 ÷ 2.5 を商は一の位まで、あまりも出して
わり算の筆算で、わる数の小数点を右に 1 つ動かして 25。同じだけわられる数も動かして 78… と動かすと、本来の 7.8 とは見た目がちがうので、あまりを出すときは注意。
3
2.5 ) 7.8
7 5
---
0.3
商の一の位まで出すと 3、そしてあまりは?
ここがポイント。あまりの小数点は、もとのわられる数の小数点の位置 にそろえます。筆算で小数点を動かして計算しても、あまりの小数点は「動かす前のわられる数」の小数点のところに打ちます。
- 7.8 ÷ 2.5 = 3 あまり 0.3
- 確かめ:2.5 × 3 + 0.3 = 7.5 + 0.3 = 7.8 ○
注意: 「商の小数点」と「あまりの小数点」は ちがう位置 になることがあります。商の小数点は動かした後のわられる数の位置、あまりの小数点は 動かす前の わられる数の位置です。まちがえやすいので、確かめ算でチェックしましょう。
確かめのしかた
わり算のたしかめには、(わる数) × (商) + (あまり) = (わられる数) の式を使います。
この式でもとのわられる数が出てくれば、あまりの小数点の位置は正しいとわかります。
8. 計算に成り立つ性質(分配のきまり)
整数の計算で学んだ 分配のきまり は、小数でも成り立ちます。
◯×(△+□)=◯×△+◯×□
たとえば:
- 30 × 2.5 = 30 × 2 + 30 × 0.5 = 60 + 15 = 75
- 30 × 2.5 を直接計算しても 75
- どちらでも同じ答え ○
この性質を使うと、暗算で計算できたり、計算の確かめに使えたり します。
9. つまずきやすいポイント
- 積の小数点:けた数を足すのを忘れない(0.3 × 0.4 = 0.12、0 を書くのをわすれない)
- わり算の小数点移動:わる数の小数点以下けた数 ぶん、両方いっしょに動かす
- あまりの小数点:もとのわられる数の位置に打つ(商の小数点とはちがう)
- 1 より小さい数をかけると答えは小さくなる、わると答えは大きくなる
- 0 の書きたし:けたが足りないときは 0 を補う(0.1 → 10 のように)
まとめ
- 10 倍・1/10 は小数点を 右・左へ 1 つ動かすだけ
- 整数や 小数 のかけ算:かけられる数とかける数を 10 倍・100 倍して整数にして計算し、最後に割り戻す
- 積の小数点:かけられる数の小数点以下けた数 + かける数の小数点以下けた数 ぶん、積の右から左へずらす
- 小数のわり算:わる数が整数になるまで、わる数・わられる数の小数点を 両方いっしょに右へ動かす
- わり算の性質:わられる数とわる数を同じ倍数しても商は変わらない
- 商のがい数:上から○けたのがい数は、そのひとつ下のけたを四捨五入
- あまりの小数点:動かす前のわられる数の位置に打つ
- 計算に成り立つ性質(分配のきまり)は、小数でもそのまま使える