はじめに
3 年生で入門した ことわざ・慣用句・故事成語 を、 4 年生では 会話や作文でつかえる ように練習します。 さらに、 文章をゆたかにする 表現技法(比喩・反復・倒置) を学びます。
この章でできるようになること:
- ことわざをテーマ別に整理して、 場面に合ったものをえらべる
- 反対の意味・似た意味のことわざのペアを言える
- 体の部位をつかった慣用句を 5 つ以上言える
- 故事成語の由来を短く話せる
- 比喩・反復・倒置を自分の文章に入れてみる
1. ことわざのつかいかた — テーマ別整理
努力・継続のことわざ
| ことわざ | 意味 | 使い方のれい |
|---|
| ちりもつもれば山となる | 小さなことも重なれば大きくなる | まい日 5 分ずつ漢字ドリルをつづけた。 まさに ちりもつもれば山となる、 1 年で字がきれいになった |
| 石の上にも三年 | がまんづよく続ければ成功する | ピアノをはじめて 3 年。 石の上にも三年、 やっと好きな曲がひけるようになった |
| 千里の道も一歩から | どんな大きなことも小さな一歩から始まる | プロサッカー選手になる夢も、 まずは毎日のリフティング練習から。 千里の道も一歩から |
油断・失敗のことわざ
| ことわざ | 意味 | 使い方のれい |
|---|
| さるも木から落ちる | 名人でも失敗する | 計算が速い兄が単純な足し算をまちがえた。 さるも木から落ちる とはこのことだ |
| 油断大敵 | 油断はいちばん怖い敵 | テストであまった時間で見直しをしよう。 油断大敵 だ |
友情・人間関係のことわざ
| ことわざ | 意味 | 使い方のれい |
|---|
| 類は友をよぶ | 似た者同士が集まる | 本ずきな友達が自然とあつまった。 類は友をよぶ、 図書室でにこにこ顔 |
| 同じかまの飯を食う | 同じ場所で一緒にくらす仲間 | 林間学校の班のみんなは 同じかまの飯を食った仲間だ |
2. 反対の意味・似た意味のことわざ
反対の意味のペア
| ことわざ A | ことわざ B | 関係 |
|---|
| 急がば回れ | 善は急げ | 「いそがず確実に」 と 「すぐにやろう」 で反対 |
| 三人寄れば文殊の知恵 | 船頭多くして船山に上る | 「人数が多いほどよい」 と 「多すぎるとまとまらない」 で反対 |
似た意味のペア
| ことわざ A | ことわざ B |
|---|
| 弘法も筆のあやまり | さるも木から落ちる |
| のれんにうでおし | ぬかにくぎ |
ポイント: ことわざは 場面 でつかい分けます。 「とにかくいそげ」 と言いたい時は 「善は急げ」、 「あわてて失敗するよりゆっくり」 と言いたい時は 「急がば回れ」 をえらびましょう。
3. 体の部位をつかった慣用句
慣用句 は 2 つ以上の言葉がくっついて別の意味になる言い方です。
頭のつく慣用句
- 頭が下がる — 感心する。 例: 6 年の朝そうじには 頭が下がる
- 頭をひねる — よく考える。 例: なぞなぞに 頭をひねった
目のつく慣用句
- 目がない — とても好き。 例: あねはケーキに 目がない
- 目をまるくする — びっくりする。 例: 妹が 目をまるくして花火を見ていた
口のつく慣用句
- 口がかたい — ひみつを守る。 例: 親友は 口がかたい から安心だ
- 口をそろえる — みんな同じことを言う。 例: 友達は 口をそろえて 「行こう」 と言った
耳のつく慣用句
- 耳をかたむける — よく聞こうとする。 例: 校長先生の話に 耳をかたむけた
手のつく慣用句
- 手をかす — 助ける。 例: 妹の宿題に 手をかした
- 手が足りない — 人手がたりない
足のつく慣用句
- 足が出る — お金が予算をこえる
- 足をのばす — 遠くまで行く。 例: 海まで 足をのばした
4. 故事成語のつかいかた
故事成語 は 昔の中国の出来事 から生まれた成句です。
| 故事成語 | 意味 | 由来 |
|---|
| 矛盾 | 話のすじ道が合わない | 楚の商人が「どんな盾もつらぬく矛」と「どんな矛も通さない盾」を同時に売っていて、 つきつけられた故事(『韓非子』) |
| 五十歩百歩 | 少しのちがいはあってもだいたい同じ | 五十歩にげた兵が百歩にげた兵をわらった、 という孟子のたとえ |
| 蛇足 | よけいなつけたし | 蛇をはやく描く競争で、 早く描きおわった人が「足まで描こう」として負けた故事(『戦国策』) |
| 漁夫の利 | 二人があらそううちに第三者がとくをする | はまぐりとしぎがあらそっているところを漁師に両方つかまえられた故事(『戦国策』) |
| 推敲 | 文章をなん度も直すこと | 唐の詩人賈島(かとう) が「推す」「敲く」 でまよった故事 |
自作れい文
- 妹は 「いちばん早く走れる」 と言いつつ 「兄ちゃんよりはおそい」 と言った。 矛盾 している
- 弟とわたしのテストの点が 1 点ちがいだった。 五十歩百歩 だね
- 作文を書きおえたのに、 ぜんぜん関係ない話をつけたしたら先生に 「蛇足 だね」 と言われた
5. 表現技法 — 文をゆたかにする工夫
比喩(たとえる)
比喩 とは あるものを別のものにたとえる工夫です。
| 種類 | 形 | れい |
|---|
| 直喩 | 「〜 のような・〜 のように・〜 みたい」 をつかう | 雪のような はだ/月のように光る顔 |
| 隠喩 | たとえの言葉をつかわず、 直接たとえる | 雪のはだ/きみは太陽だ |
自作れい:校庭のさくらは ピンクのふわふわしたくものよう だった。
反復(くりかえす)
反復 とは 同じ言葉を何度もくり返す工夫。 強調やリズムを出す効果があります。
自作れい:走った、 走った、 ぼくはずっと走った。 風に負けず、 雨に負けず。
倒置(言葉の順を入れかえる)
倒置 とは ふつうの文の順を入れかえる工夫。 大事な言葉を前にもってくることで印象が強くなります。
| ふつう | 倒置 |
|---|
| わたしはうれしかった、 すごく。 | すごくうれしかった、 わたしは。 |
| 空はどこまでもあおかった。 | あおかった、 空はどこまでも。 |
自作れい:走り出した、 ぼくの弟が、 ゴールに向かって。
6. まとめ
- ことわざ・慣用句・故事成語は 場面 にあわせてえらんでつかう
- 反対の意味、 似た意味のペアでおぼえると整理しやすい
- 体の部位をつかった慣用句はグループでおぼえる
- 比喩(直喩・隠喩)・反復・倒置 で文がゆたかになる
- これらの工夫は 次の章の物語を読むとき・書くとき に役立つ
次の章では、 物語を読むときに 登場人物の関係・物語の 山場・情景描写 から心情を読む力を身につけます。