メインコンテンツへスキップ
教材一覧に戻る
生成AIパスポート

情報じょうほうリテラシー・AI社会しゃかい原則げんそく・法律ほうりつ

最終確認日:

この章しょうで学まなぶこと

この第だい4章しょう「情報じょうほうリテラシー・AI社会しゃかい原則げんそく・法律ほうりつ」は、生成せいせいAIパスポート試験しけんのなかでも分量ぶんりょうが最もっとも多おおく、配点はいてん比率ひりつが高たかい最さい重要じゅうよう章しょうです。生成せいせいAIをただ使つかえるだけでなく、「どんな脅威きょういがあるのか」「どの法律ほうりつに触ふれるのか」「社会しゃかいとしてどんなルール・理念りねんのもとで使つかうべきか」を理解りかいしているかが問とわれます。試験しけん名めいにもある「生成せいせいAIリスクを予防よぼうする」という目的もくてきが、そのままこの章しょうに集約しゅうやくされていると考えかんがえてください。

内容ないようは大おおきく6つに分わかれます。①ネットを安全あんぜんに使つかうための情報リテラシーじょうほうりてらしー、②フィッシング詐欺ふぃっしんぐさぎやマルウェアまるうぇあなどの脅威きょういと対策たいさく、③個人情報保護法こじんじょうほうほごほうを軸じくとした個人こじん情報じょうほうの扱あつかい、④著作権ちょさくけんをはじめとする知的財産権ちてきざいさんけんなど制作せいさく物ぶつの権利けんり、⑤AI社会原則えーあいしゃかいげんそくという国くにの理念りねん・指針ししん、⑥2025年ねんに公布こうふされたAI新法えーあいしんぽうです。法律ほうりつ名めい・定義ていぎ・原則げんそくの項目こうもく数すうを正確せいかくに覚おぼえることが得点とくてんの鍵かぎになります。

学習がくしゅうゴール

  • 情報リテラシーじょうほうりてらしー・インターネットリテラシーいんたーねっとりてらしー・デジタル市民権でじたるしみんけんの意味いみを説明せつめいできる
  • フィッシング詐欺ふぃっしんぐさぎの種類しゅるい(スミッシングすみっしんぐ・ヴィッシングう゛ぃっしんぐ・スピアフィッシングすぴあふぃっしんぐ)とソーシャルエンジニアリングそーしゃるえんじにありんぐの手口てぐちを判別はんべつできる
  • 個人情報保護法こじんじょうほうほごほうの重要じゅうよう用語ようご(要配慮個人情報ようはいりょこじんじょうほう・個人識別符号こじんしきべつふごう・匿名加工情報とくめいかこうじょうほう・個人情報取扱事業者こじんじょうほうとりあつかいじぎょうしゃ)を正ただしく区別くべつできる
  • 知的財産権ちてきざいさんけんの内訳うちわけ(著作権ちょさくけん・特許権とっきょけん・商標権しょうひょうけん・意匠権いしょうけん)と肖像権しょうぞうけん・パブリシティ権ぱぶりしてぃけん・不正競争防止法ふせいきょうそうぼうしほうを区別くべつできる
  • AI社会原則えーあいしゃかいげんそくの基本きほん理念りねん(尊厳そんげん・多様たよう性せいと包摂ほうせつ・持続じぞく可能かのう性せい)と共通きょうつうの指針ししん10項目こうもく、AI事業じぎょうの3主体しゅたいを説明せつめいできる
  • AI新法えーあいしんぽうの正式せいしき名称めいしょう・公布こうふ時期じき・理念りねん法的ほうてきな性格せいかくを説明せつめいできる

試験しけんでは: この章しょうは「不適切ふてきせつなものを1つ選えらべ」「あてはまるものをすべて選えらべ」といった形式けいしきで細部さいぶが問とわれます。定義ていぎの言い換えいいかえ(要よう配慮はいりょ個人こじん情報じょうほうとは何なにか等とう)や、似にた権利けんりの混同こんどう(商標しょうひょう権けんと意匠いしょう権けん、肖像しょうぞう権けんとパブリシティ権けん)を突つく出題しゅつだいが多おおいため、対比たいひと項目こうもく数すうの暗記あんきが有効ゆうこうです。

1. インターネットリテラシー

1.1 インターネットリテラシーとは

インターネットリテラシーいんたーねっとりてらしーとは、インターネットを正ただしく理解りかいし、安全あんぜんかつ適切てきせつに使つかいこなす能力のうりょくのことです。情報じょうほうを「探さがす・読よみ解とく・発信はっしんする」だけでなく、危険きけんを避さけ、他者たしゃに配慮はいりょして利用りようする力ちからまでを含ふくみます。生成せいせいAIの普及ふきゅうで、誰だれもが手軽てがるに文章ぶんしょう・画像がぞうを作つくれるようになった今いま、この能力のうりょくの重要じゅうよう性せいはさらに高たかまっています。

インターネットリテラシーは、大おおきく次つぎの要素ようそから成なり立たつと整理せいりされます。

要素ようそ内容ないよう
情報リテラシーじょうほうりてらしー情報じょうほうを検索けんさくし、その真偽しんぎ・信頼しんらい性せいを評価ひょうかし、適切てきせつに活用かつよう・発信はっしんする力ちから
テクノロジーの理解りかいインターネットや端末たんまつ・サービスの仕組しくみを理解りかいして使つかう力ちから
セキュリティせきゅりてぃとプライバシー脅威きょういから自分じぶんと他人たにんの情報じょうほうを守まもる力ちから
デジタル市民権でじたるしみんけん(デジタルシティズンシップ)オンラインで責任せきにんある一員いちいんとしてふるまう態度たいど・倫理りんり

1.2 情報じょうほうリテラシー

情報リテラシーじょうほうりてらしーは、大量たいりょうの情報じょうほうのなかから必要ひつようなものを選えらび、内容ないようの正ただしさを見みきわめ、適切てきせつに使つかいこなす力ちからを指さします。生成せいせいAIの回答かいとうは誤あやまり(ハルシネーションはるしねーしょん)を含ふくむことがあるため、「AIの出力しゅつりょくをうのみにせず、一いち次じ情報じょうほうで裏うらを取とる」姿勢しせいが情報じょうほうリテラシーの中核ちゅうかくになります。フェイクニュースや偽にせ情報じょうほうが拡散かくさんしやすい時代じだいには、発信はっしん元もとの確認かくにん・複数ふくすうソースの照合しょうごうが欠かかせません。

1.3 デジタル市民しみん権けん(デジタルシティズンシップ)

デジタル市民権でじたるしみんけんとは、デジタル社会しゃかいの一員いちいんとして、責任せきにんと倫理りんりをもって行動こうどうする考かんがえ方かたです。他者たしゃを傷きずつけない発信はっしん、著作ちょさく権けんや個人こじん情報じょうほうへの配慮はいりょ、ネットいじめや誹謗ひぼう中傷ちゅうしょうをしない態度たいどなどが含ふくまれます。単たんに「使つかえる」だけでなく「良よき市民しみんとして使つかう」ことを重視じゅうしする概念がいねんです。

注意ちゅうい: 「リテラシー」は技術ぎじゅつを使つかえる能力のうりょくだけを指さすのではありません。情報じょうほうの真偽しんぎを見みきわめる力ちから、他者たしゃに配慮はいりょする倫理りんり観かんまで含ふくむ広ひろい概念がいねんである点てんが問とわれます。

2. セキュリティとプライバシー

インターネット上じょうには、利用りよう者しゃをだまして情報じょうほうや金銭きんせんを奪うばう多様たような攻撃こうげきが存在そんざいします。手口てぐちの名前なまえと特徴とくちょうを対たいで覚おぼえることが、この節ふしの得点とくてんポイントです。

2.1 フィッシング詐欺さぎ

フィッシング詐欺ふぃっしんぐさぎとは、実在じつざいする企業きぎょうや公的こうてき機関きかんになりすまし、偽にせのメールやサイトに誘導ゆうどうして、ID・パスワード・クレジットカード番号ばんごうなどを盗ぬすみ取とる詐欺さぎです。使つかう手段しゅだんによって呼よび名なが分わかれます。

名称めいしょう手段しゅだん特徴とくちょう
フィッシングふぃっしんぐ主おもにメール偽にせサイトへ誘導ゆうどうして入力にゅうりょくさせる、最もっとも基本きほん的てきな手口てぐち
スミッシングすみっしんぐ(smishing)SMS(ショートメッセージ)「荷物にもつの不在ふざい通知つうち」などを装よそおったSMSからリンクへ誘導ゆうどう
ヴィッシングう゛ぃっしんぐ(vishing)音声おんせい通話つうわ電話でんわで本人ほんにんに直接ちょくせつ話はなしかけ、口頭こうとうで情報じょうほうを聞きき出だす
スピアフィッシングすぴあふぃっしんぐ特定とくてい個人こじん・組織そしきを狙ねらう標的ひょうてき型がた相手あいてを事前じぜんに調しらべ、業務ぎょうむメールを装よそおうなど精巧せいこうに作つくり込こむ

絶対ぜったい暗記あんき: スミッシング=SMS、ヴィッシング=音声おんせい(voice)、スピアフィッシング=特定とくていの標的ひょうてきを狙ねらい撃うち。「S=SMS」「V=Voice」で区別くべつすると覚おぼえやすいです。

2.2 マルウェアとランサムウェア

マルウェアまるうぇあ(malware)は、悪意あくいをもって作つくられたソフトウェアの総称そうしょうで、ウイルス・ワーム・トロイの木馬もくば・スパイウェアなどを含ふくみます。感染かんせんすると、情報じょうほうの窃取せっしゅ・データの破壊はかい・端末たんまつの乗のっ取とりなどの被害ひがいが生しょうじます。

  • ランサムウェアらんさむうぇあ: マルウェアの一種いっしゅで、感染かんせんした端末たんまつのデータを勝手かってに暗号あんごう化かし、元もとに戻もどすことと引ひき換かえに身代金みのしろきん(ransom)を要求ようきゅうするもの。企業きぎょう・病院びょういん・自治体じちたいの被害ひがいが深刻しんこく化かしています。
  • アンチウイルスソフトウェアあんちういるすそふとうぇあ(セキュリティソフト): マルウェアを検知けんち・除去じょきょする防御ぼうぎょソフト。定義ていぎファイルを最新さいしんに保たもつことが重要じゅうようです。

対策たいさくの基本きほんは、①OS・ソフトを最新さいしんに更新こうしんする、②不審ふしんなメールの添付てんぷファイル・リンクを開ひらかない、③定期ていき的てきにデータをバックアップする、④セキュリティソフトを導入どうにゅうする、の4点てんです。

2.3 ソーシャルエンジニアリング攻撃こうげき

ソーシャルエンジニアリングそーしゃるえんじにありんぐとは、技術ぎじゅつではなく人間にんげんの心理しんりや行動こうどうのスキをついて情報じょうほうを盗ぬすむ攻撃こうげきです。パスワードを盗ぬすみ見みる(ショルダーハッキング)、ゴミ箱ばこをあさる、といった古典こてん的てき手法しゅほうから、巧妙こうみょうななりすましまで含ふくみます。主おもな類型るいけいは次つぎのとおりです。

手口てぐち内容ないよう
ベイト攻撃べいとこうげき(baiting)「無料むりょう」「限定げんてい」などの餌えさ(bait)で誘さそい、マルウェア入いりのUSBやファイルを開ひらかせる
ブラックメールぶらっくめーる(脅迫きょうはく)弱よわみ・秘密ひみつを握にぎったと脅おどし、金銭きんせんや情報じょうほうを要求ようきゅうする
プレテキストぷれてきすと(pretexting)「システム管理かんり者しゃです」等とうのもっともらしい口実こうじつ(pretext)を作つくって信用しんようさせ、情報じょうほうを聞きき出だす

引ひっかけ: ソーシャルエンジニアリングは高度こうどなハッキング技術ぎじゅつではなく、人じんをだます手口てぐちです。「システムの脆弱ぜいじゃく性せいを突つく技術ぎじゅつ的てき攻撃こうげき」と混同こんどうさせる選択肢せんたくしに注意ちゅういしましょう。

2.4 身近みぢかに潜ひそむさまざまな罠わな

  • 悪意あくいのあるQRコード: 正規せいきのQRコードにシールを貼はり替かえる、偽にせポスターを掲示けいじするなどして、読よみ取とると危険きけんなサイトへ誘導ゆうどうする手口てぐち(クイッシングくいっしんぐとも呼よばれる)。読よみ取とり先さきのURLを確認かくにんする習慣しゅうかんが大切たいせつです。
  • Wi-Fiに潜ひそむ罠わな: 暗号あんごう化かされていない無料むりょうWi-Fiや、正規せいきを装よそおった偽にせアクセスポイント(悪魔の双子あくまのふたご/エビルツイン)では、通信つうしんを盗ぬすみ見みられる恐おそれがあります。公共こうきょうWi-Fiでの重要じゅうよう情報じょうほうの入力にゅうりょくは避さけます。
  • アップロードサービスに潜ひそむ詐欺さぎ: ファイル共有きょうゆう・変換へんかんサービスを装よそおい、アップロードさせたデータを盗ぬすむ、あるいはダウンロード時じにマルウェアを仕込しこむケースがあります。
  • 不適切ふてきせつなコンテンツへのWebアクセス: 違法いほう・有害ゆうがいサイトへの誘導ゆうどうリンクや広告こうこくからの感染かんせん。フィルタリングや広告こうこくブロックが対策たいさくになります。

2.5 プライバシー設定せってい

SNSやアプリの初期しょき設定せっていは、情報じょうほうが広ひろく公開こうかいされる側がわになっていることがあります。公開こうかい範囲はんい・位置いち情報じょうほう・アプリの権限けんげん(連絡れんらく先さきやカメラへのアクセス)を自分じぶんで確認かくにん・制限せいげんすることが、プライバシーを守まもる基本きほんです。写真しゃしんの位置いち情報じょうほう(ジオタグ)から自宅じたくが特定とくていされる、といったリスクにも注意ちゅういします。

2.6 生成せいせいAIの技術ぎじゅつ的てき発展はってんに潜ひそむ脅威きょうい

生成せいせいAIの進化しんかは、攻撃こうげき側がわにも悪用あくようされます。試験しけんで問とわれやすい脅威きょういは次つぎのとおりです。

  • 精巧せいこうなフィッシング文面ぶんめんの自動じどう生成せいせい: 従来じゅうらいは不自然ふしぜんな日本語にほんごで見破みやぶれた詐欺さぎメールが、生成せいせいAIで自然しぜんな文章ぶんしょうになり見分みわけにくくなる。
  • ディープフェイクでぃーぷふぇいくの悪用あくよう: 本物ほんものそっくりの偽にせの音声おんせい・動画どうがで、なりすましや詐欺さぎ(社長しゃちょうの声こえを装よそおった送金そうきん指示しじなど)に使つかわれる。
  • マルウェア作成さくせいの容易ようい化か: 専門せんもん知識ちしきがなくても攻撃こうげき用ようコードを作つくりやすくなる。
  • 偽にせ情報じょうほうの大量たいりょう拡散かくさん: もっともらしいデマを大量たいりょう・高速こうそくに生成せいせい・拡散かくさんできる。

試験しけんでは: 生成せいせいAIは「便利べんりな道具どうぐ」であると同時どうじに「攻撃こうげきの道具どうぐ」にもなる、という両面りょうめんが問とわれます。技術ぎじゅつの進歩しんぽがリスクも高たかめる点てんを押おさえましょう。

3. 個人こじん情報じょうほう保護ほごの観点かんてん

生成せいせいAIにデータを入力にゅうりょくする場面ばめんが増ふえたことで、「個人こじん情報じょうほうを正ただしく扱あつかえているか」が実務じつむでも試験しけんでも重要じゅうようになっています。用語ようごの定義ていぎを正確せいかくに区別くべつすることがこの節せつのポイントです。

3.1 個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほうと個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい

個人情報保護法こじんじょうほうほごほう(個人こじん情報じょうほうの保護ほごに関かんする法律ほうりつ)は、個人こじん情報じょうほうの適正てきせいな取とり扱あつかいを定さだめ、個人こじんの権利けんり利益りえきを保護ほごすることを目的もくてきとした法律ほうりつです。デジタル化かの進展しんてんに合あわせて改正かいせいが重かさねられており、おおむね3年ねんごとの見直みなおしが行おこなわれています(改正個人情報保護法かいせいこじんじょうほうほごほう)。

  • 個人情報保護委員会こじんじょうほうほごいいんかい(PPC): 個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほうを所管しょかんする国くにの独立どくりつ性せいの高たかい監督かんとく機関きかん。事業じぎょう者しゃへの指導しどう・監督かんとく、ガイドラインの策定さくていなどを行おこないます。
  • 個人情報取扱事業者こじんじょうほうとりあつかいじぎょうしゃ: 事業じぎょうのために個人こじん情報じょうほうを扱あつかう者もの(法人ほうじん・個人こじん事業じぎょう主ぬし・多おおくの団体だんたいを含ふくむ)。この法律ほうりつの義務ぎむを負おう主体しゅたいです。

3.2 個人こじん情報じょうほうの定義ていぎと個人こじん識別しきべつ符号ふごう

個人情報こじんじょうほうとは、生存せいぞんする個人こじんに関かんする情報じょうほうで、氏名しめい・生年月日せいねんがっぴなどにより特定とくていの個人こじんを識別しきべつできるものを指さします。単独たんどくでは識別しきべつできなくても、他たの情報じょうほうと容易よういに照合しょうごうして個人こじんを特定とくていできるものも含ふくみます。

個人識別符号こじんしきべつふごうは、その情報じょうほう単体たんたいで特定とくていの個人こじんを識別しきべつできる符号ふごうとして法令ほうれいで定さだめられたもので、主おもに次つぎの2種類しゅるいがあります。

種類しゅるい具体ぐたい例れい
身体しんたいの特徴とくちょうをデータ化かしたもの顔かお認証にんしょうデータ、指紋しもん・掌紋しょうもん、虹彩こうさい、DNA、声紋せいもん など
公的こうてきな番号ばんごうなどマイナンバー、旅券りょけん(パスポート)番号ばんごう、運転うんてん免許めんきょ証しょう番号ばんごう、基礎きそ年金ねんきん番号ばんごう など

引ひっかけ: 「個人こじん識別しきべつ符号ふごう」に含ふくまれるのは、法令ほうれいで個別こべつに定さだめられたものです。メールアドレスや一般いっぱん的てきなIDが、それだけで直ただちに個人こじん識別しきべつ符号ふごうになるわけではない点てんに注意ちゅういしましょう。

3.3 要よう配慮はいりょ個人こじん情報じょうほうと機微きび情報じょうほう

要配慮個人情報ようはいりょこじんじょうほうとは、不当ふとうな差別さべつ・偏見へんけんその他たの不利益ふりえきが生しょうじないよう、取とり扱あつかいにとくに配慮はいりょが必要ひつような個人こじん情報じょうほうで、法律ほうりつで定さだめられています。具体ぐたい例れいは次つぎのとおりです。

  • 人種じんしゅ、信条しんじょう、社会しゃかい的てき身分みぶん
  • 病歴びょうれき、心身しんしんの機能きのうの障害しょうがい
  • 犯罪はんざいの経歴けいれき、犯罪はんざいにより害がいを被こうむった事実じじつ
  • 健康けんこう診断しんだん等とうの結果けっか、医師いし等とうによる指導しどう・診療しんりょう・調剤ちょうざいの情報じょうほう

要よう配慮はいりょ個人こじん情報じょうほうは、原則げんそくとして取得しゅとくの際さいにあらかじめ本人ほんにんの同意どういが必要ひつようであり、通常つうじょうの個人こじん情報じょうほうより厳格げんかくに扱あつかわれます。

  • 機微情報きびじょうほう(センシティブ情報じょうほう): 要よう配慮はいりょ個人こじん情報じょうほうとほぼ重かさなる、取とり扱あつかいに慎重しんちょうを要ようする情報じょうほうを指さす一般いっぱん的てきな呼よび名なです。思想しそう・宗教しゅうきょう・政治せいじ的てき見解けんかいなども含ふくめて広ひろく「センシティブな情報じょうほう」と表現ひょうげんされます。

絶対ぜったい暗記あんき: 要よう配慮はいりょ個人こじん情報じょうほう(人種じんしゅ・信条しんじょう・病歴びょうれき・犯罪はんざい歴れきなど)は、取得しゅとくに原則げんそくとして本人ほんにんの同意どういが必要ひつよう。「同意どういなしで自由じゆうに取得しゅとくできる」は誤あやまりです。

3.4 匿名とくめい加工かこう情報じょうほうとマスキング

匿名加工情報とくめいかこうじょうほうとは、特定とくていの個人こじんを識別しきべつできないように加工かこうし、かつ元もとの個人こじん情報じょうほうに復元ふくげんできないようにした情報じょうほうです。適切てきせつに加工かこうすれば、本人ほんにんの同意どういなしにデータ分析ぶんせきや第三者だいさんしゃ提供ていきょうに活用かつようできます。ビッグデータ活用かつようと個人こじん保護ほごを両立りょうりつさせるための仕組しくみです。

  • マスキングますきんぐ: 氏名しめいの一部いちぶを「◯◯」にする、番号ばんごうの一部いちぶを伏ふせるなど、識別しきべつにつながる部分ぶぶんを隠かくす処理しょり。匿名とくめい加工かこうの具体ぐたい的てき手法しゅほうの一ひとつとして使つかわれます。
  • 関連かんれんして、他たの情報じょうほうと照合しょうごうしない限かぎり特定とくていの個人こじんを識別しきべつできないよう加工かこうした仮名かな加工かこう情報じょうほうという区分くぶんもあります(匿名とくめい加工かこう情報じょうほうと違ちがい、対応たいおう表ひょうなどと照合しょうごうすれば再さい識別しきべつしうるため原則げんそくとして個人こじん情報じょうほうにあたり、内部ないぶでの分析ぶんせき利用りようが中心ちゅうしん)。

3.5 生成せいせいAI活用かつようにおける個人こじん情報じょうほうの取とり扱あつかい

生成せいせいAIに個人こじん情報じょうほうを入力にゅうりょくする際さいは、次つぎのリスクに注意ちゅういが必要ひつようです。

  • 入力にゅうりょくデータが学習がくしゅうに使つかわれる可能かのう性せい: サービスによっては、入力にゅうりょくした内容ないようがモデルの学習がくしゅうや改善かいぜんに利用りようされることがある。個人こじん情報じょうほうや機密きみつ情報じょうほうを安易あんいに入力にゅうりょくしないのが原則げんそくです(学習がくしゅう利用りようしない設定せってい・法人ほうじん向むけプランの活用かつようも検討けんとう)。
  • 本人ほんにん同意どうい・利用りよう目的もくてきの確認かくにん: 業務ぎょうむで扱あつかう個人こじん情報じょうほうを生成せいせいAIに渡わたすことは、当初とうしょの利用りよう目的もくてきの範囲はんいを超こえる恐おそれがある。
  • 出力しゅつりょくによる漏ろうえい: 入力にゅうりょくした他者たしゃの個人こじん情報じょうほうが、別べつの利用りよう者しゃへの回答かいとうに現あらわれるリスクもゼロではない。

注意ちゅうい: 「便利べんりだから」と顧客こきゃく名簿めいぼや履歴りれき書しょなどをそのまま生成せいせいAIに貼はり付つけるのは危険きけんです。個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほう上じょうの義務ぎむや社内しゃない規程きていに反はんする可能かのう性せいがあり、入力にゅうりょく前まえにマスキングや匿名とくめい化かを行おこなう配慮はいりょが求もとめられます。

4. 制作せいさく物ぶつに関かかわる権利けんり

生成せいせいAIは文章ぶんしょう・画像がぞう・音楽おんがくなどを大量たいりょうに作つくり出だせるため、「その制作せいさく物ぶつは誰だれの権利けんりに触ふれるのか」が大おおきな論点ろんてんになります。各かく権利けんりの対象たいしょうと、AI生成せいせい物ぶつ特有とくゆうの問題もんだいを区別くべつして理解りかいしましょう。

4.1 知的ちてき財産ざいさん権けんの全体ぜんたい像ぞう

知的財産権ちてきざいさんけんは、人ひとの知的ちてきな創作そうさくや営業えいぎょう上じょうの標識ひょうしきなどを保護ほごする権利けんりの総称そうしょうです。試験しけんで問とわれる主おもな内訳うちわけは次つぎのとおりです。

権利けんり保護ほごする対象たいしょう主おもな特徴とくちょう
著作権ちょさくけん文章ぶんしょう・絵え・音楽おんがく・プログラムなどの創作そうさく的てき表現ひょうげん登録とうろく不要ふようで創作そうさくした時点じてんで自動じどう発生はっせい。原則げんそく、著作ちょさく者しゃの死後しご70年ねん保護ほご
特許権とっきょけん高度こうどな技術ぎじゅつ的てきアイデア(発明はつめい)特許庁とっきょちょうへの出願しゅつがん・登録とうろくが必要ひつよう。原則げんそく、出願しゅつがんから20年ねん
商標権しょうひょうけん商品しょうひん・サービスを区別くべつするマーク・名称めいしょう(ブランド)特許庁とっきょちょうへの登録とうろくが必要ひつよう。更新こうしんでき半永久はんえいきゅう的てきに維持いじ可能かのう
意匠権いしょうけん物品ぶっぴんなどのデザイン(形状けいじょう・模様もよう・色彩しきさい)特許庁とっきょちょうへの登録とうろくが必要ひつよう

特許とっきょ権けん・商標しょうひょう権けん・意匠いしょう権けん(と実用じつよう新案しんあん権けん)は産業さんぎょう財産ざいさん権けんとも呼よばれ、特許庁とっきょちょうへの登録とうろくが必要ひつようです。一方いっぽう、著作ちょさく権けんは登録とうろくなしで自動的じどうてきに発生はっせいする点てんが大おおきな違ちがいで、頻出ひんしゅつポイントです。

絶対ぜったい暗記あんき: 著作ちょさく権けん=登録とうろく不要ふよう・自動じどう発生はっせい(表現ひょうげんを保護ほご)、特許とっきょ権けん=発明はつめい(技術ぎじゅつ的てきアイデア)、商標しょうひょう権けん=ブランドのマーク、意匠いしょう権けん=デザイン。「著作ちょさく権けんも登録とうろくが必要ひつよう」は誤あやまりです。

4.2 肖像しょうぞう権けんとパブリシティ権けん

  • 肖像権しょうぞうけん: 自分じぶんの顔かおや姿すがたを、無断むだんで撮影さつえい・公表こうひょう・利用りようされない権利けんり。明文めいぶんの規定きていはないものの、判例はんれいで認みとめられている人格じんかく的てきな権利けんりです。
  • パブリシティ権ぱぶりしてぃけん: 有名人ゆうめいじんなどの氏名しめい・肖像しょうぞうがもつ顧客こきゃく吸引きゅういん力りょく(経済けいざい的てき価値かち)を、本人ほんにんが独占どくせん的てきに利用りようできる権利けんり。財産ざいさん的てきな権利けんりという点てんで肖像しょうぞう権けんと区別くべつされます。

引ひっかけ: 肖像しょうぞう権けんは「人格じんかく的てき利益りえき」を守まもる権利けんり、パブリシティ権けんは「経済けいざい的てき価値かち」を守まもる権利けんり。芸能人げいのうじんの写真しゃしんを無断むだんで広告こうこくに使つかう行為こういは、主おもにパブリシティ権けんの侵害しんがいが問題もんだいになります。

4.3 不正ふせい競争きょうそう防止ぼうし法ほう(営業えいぎょう秘密ひみつ・限定げんてい提供ていきょうデータ)

不正競争防止法ふせいきょうそうぼうしほうは、事業じぎょう者しゃ間かんの公正こうせいな競争きょうそうを守まもる法律ほうりつで、他社たしゃの成果せいかへのただ乗のりや情報じょうほうの不正ふせい取得しゅとくを禁きんじます。とくに次つぎの2つの情報じょうほうを保護ほごします。

区分くぶん内容ないよう(3要件ようけん・性質せいしつ)
営業秘密えいぎょうひみつ①秘密ひみつとして管理かんりされている(秘密ひみつ管理かんり性せい)、②事業じぎょう活動かつどうに有用ゆうよう(有用ゆうよう性せい)、③公然こうぜんと知しられていない(非ひ公知こうち性せい)——この3要件ようけんを満みたす技術ぎじゅつ・営業えいぎょう情報じょうほう
限定提供データげんていていきょうでーた特定とくていの相手あいてに限かぎって提供ていきょうすることを目的もくてきに、電磁でんじ的てきに相当そうとう量りょう蓄積ちくせき・管理かんりされるデータ。ビッグデータの保護ほごを念頭ねんとうに導入どうにゅうされた区分くぶん

営業えいぎょう秘密ひみつを不正ふせいに取得しゅとく・使用しよう・開示かいじする行為こういは、不正ふせい競争きょうそう防止ぼうし法ほうにより差止さしどめや損害そんがい賠償ばいしょうの対象たいしょうになります。

4.4 名誉めいよ毀損きそん

名誉めいよ毀損きそんは、公然こうぜんと事実じじつを摘示しめして他人たにんの社会しゃかい的てき評価ひょうかを低下ていかさせる行為こういで、民事みんじ上じょうの損害そんがい賠償ばいしょう責任せきにんや刑事けいじ責任せきにん(名誉めいよ毀損きそん罪ざい)を生しょうじさせます。生成せいせいAIが事実じじつに反はんする内容ないようを出力しゅつりょくし、それを公開こうかいして他人たにんの評価ひょうかを傷きずつければ、投稿とうこう・公開こうかいした人ひとの責任せきにんが問とわれ得えます。

4.5 AI生成せいせい物ぶつに関かんする権利けんり

生成せいせいAIが作つくり出だしたもの(AI生成せいせい物ぶつ)をめぐっては、独特どくとくの論点ろんてんがあります。

  • AI生成せいせい物ぶつの著作ちょさく権けんの所在しょざい: 現在げんざいの日本にほんの考かんがえ方かたでは、AIが自動じどう生成せいせいしただけのものには、原則げんそくとして著作ちょさく権けんは認みとめられないとされます。著作ちょさく物ぶつとして保護ほごされるには、人間にんげんの創作そうさく的てき寄与きよ(指示しじ・選択せんたく・加筆かひつ修正しゅうせいなどの創作そうさく的てきな関与かんよ)があるかどうかが判断はんだんの分わかれ目めになります。
  • AI生成せいせい物ぶつが既存きそんの権利けんりを侵害しんがいする可能かのう性せい: 生成せいせい物ぶつが既存きそんの著作ちょさく物ぶつと類似るいじしていれば、著作ちょさく権けん侵害しんがいになり得えます。学習がくしゅうデータに他人たにんの著作ちょさく物ぶつが含ふくまれていたかどうかにかかわらず、出来上できあがった生成せいせい物ぶつが既存きそん作品さくひんに「依拠いきょし・類似るいじしている」と判断はんだんされれば問題もんだいになります。
  • AI生成せいせい物ぶつに関かんする事実じじつ確認かくにん: 生成せいせいAIはハルシネーションはるしねーしょん(もっともらしい誤あやま情報じょうほう)を出だすため、出力しゅつりょくの事実じじつ確認かくにん(ファクトチェック)は利用りよう者しゃの責任せきにんです。誤あやまった情報じょうほうをそのまま公開こうかいして他人たにんに損害そんがいを与あたえれば、利用りよう者しゃが責任せきにんを負おいます。

試験しけんでは: 「AIが作つくったものだから権利けんり関係かんけいを気きにしなくてよい」は誤あやまりです。①著作ちょさく権けんが生しょうじるかは人間にんげんの創作そうさく的てき寄与きよしだい、②既存きそん作品さくひんを侵害しんがいし得える、③事実じじつ確認かくにんは利用りよう者しゃの責任せきにん——この3点てんが繰くり返かえし問とわれます。

5. AIを取とり巻まく理念りねんと原則げんそく・ガイドライン

AIを社会しゃかいでどう扱あつかうかについて、国くには理念りねん・原則げんそく・ガイドラインを段階だんかい的てきに整備せいびしてきました。項目こうもく名めいと数かずを正確せいかくに押おさえることが得点とくてんに直結ちょっけつします。

5.1 AI社会しゃかいの基本きほん理念りねん(3つの理念りねん)

政府せいふの「人間にんげん中心ちゅうしんのAI社会しゃかい原則げんそく」は、AIを活用かつようする社会しゃかいが目指めざすべき3つの基本きほん理念りねんを掲かかげています。

理念りねん意味いみ
人間にんげんの尊厳そんげん(Dignity)AIに使つかわれるのではなく、人間にんげんの尊厳そんげんが尊重そんちょうされる社会しゃかい
多様たよう性せいと包摂ほうせつ(Diversity & Inclusion)多様たような背景はいけいをもつ人々ひとびとが、それぞれの幸福こうふくを追求ついきゅうできる社会しゃかい
持続じぞく可能かのう性せい(Sustainability)AIの活用かつようで、格差かくさを広ひろげず持続じぞく的てきに発展はってんできる社会しゃかい

絶対ぜったい暗記あんき: 3つの基本きほん理念りねん=尊厳そんげん(Dignity)・多様たよう性せいと包摂ほうせつ(Diversity & Inclusion)・持続じぞく可能かのう性せい(Sustainability)。3つで1セットとして問とわれます。

5.2 AI社会しゃかい原則げんそくと共通きょうつうの指針ししん(10項目こうもく)

AI社会原則えーあいしゃかいげんそくは、上記じょうきの理念りねんを実現じつげんするために社会しゃかいが留意りゅういすべき原則げんそくです。さらに、AIを扱あつかうすべての主体しゅたいに共通きょうつうして求もとめられる共通きょうつうの指針ししんとして、AI事業じぎょう者しゃガイドラインでは次つぎの10項目こうもくが整理せいりされています(この10項目こうもくはAI社会しゃかい原則げんそくそのものではなく、ガイドラインが実務じつむ向むけに整理せいりしたものです)。

  1. 人間にんげん中心ちゅうしん — 人間にんげんの判断はんだん・権利けんりを尊重そんちょうし、AIはそれを支援しえんする
  2. 安全あんぜん性せい — 生命せいめい・身体しんたい・財産ざいさんに危害きがいを及およぼさない
  3. 公平こうへい性せい — 不当ふとうな差別さべつやバイアスを生しょうじさせない
  4. プライバシー保護ほご — 個人こじん情報じょうほう・私生活しせいかつを守まもる
  5. セキュリティ確保かくほ — 攻撃こうげきや誤あやま作動さどうへの安全あんぜん対策たいさくを講こうじる
  6. 透明とうめい性せい — AIの判断はんだん過程かてい・利用りようについて適切てきせつな情報じょうほうを提供ていきょうする
  7. アカウンタビリティ(説明せつめい責任せきにん) — 関係かんけい者しゃに対たいし責任せきにんをもって説明せつめいする
  8. 教育きょういく・リテラシー — 利用りよう者しゃ・提供ていきょう者しゃが必要ひつような知識ちしきを身みにつける
  9. 公正こうせい競争きょうそう確保かくほ — AIをめぐる公正こうせいな競争きょうそう環境かんきょうを保たもつ
  10. イノベーション — AIの研究けんきゅう開発かいはつと社会しゃかい実装じっそうを促進そくしんする

引ひっかけ: 「透明とうめい性せい」と「アカウンタビリティ(説明せつめい責任せきにん)」は別べつ項目こうもくです。透明とうめい性せい=情報じょうほうを開示かいじすること、アカウンタビリティ=結果けっかに責任せきにんをもって説明せつめいすること、と区別くべつしましょう。

5.3 高度こうどなAIシステムに関係かんけいする事業じぎょう者しゃに共通きょうつうの指針ししん

生成せいせいAIのような高度こうどなAIシステムを扱あつかう事業じぎょう者しゃには、上記じょうきに加くわえてより踏ふみ込こんだ配慮はいりょが求もとめられます(国際こくさい的てきな議論ぎろん=広島ひろしまAIプロセス等とうを踏ふまえたもの)。開発かいはつ・提供ていきょうの全ぜん段階だんかいでのリスク特定とくていと低減ていげん、悪用あくようへの対策たいさく、透明とうめい性せいを高たかめるための情報じょうほう公表こうひょう(技術ぎじゅつ文書ぶんしょの整備せいびなど)といった取とり組くみが挙あげられます。

5.4 AIガバナンスの構築こうちく

AIガバナンスえーあいがばなんすとは、AIのリスクを管理かんりしつつ便益べんえきを最大さいだい化かするための、組織そしき的てきな管理かんり体制たいせいです。固定こてい的てきなルールを一度いちど作つくって終おわりにするのではなく、状況じょうきょうに応おうじて見直みなおす(アジャイル・ガバナンス)考かんがえ方かたが基本きほんです。主おもな流ながれは次つぎのとおりです。

  • 環境かんきょう・リスク分析ぶんせき: 自じ組織そしきのAI利用りよう状況じょうきょうと、起おこり得えるリスクを把握はあくする
  • AIガバナンス・ゴールえーあいがばなんすごーるの設定せってい: 何なにをどこまで守まもるか、目標もくひょうを定さだめる
  • AIマネジメントシステムえーあいまねじめんとしすてむの構築こうちく・運用うんよう: 目標もくひょうを実現じつげんする体制たいせい・ルールを整ととのえ、運用うんようしながら継続けいぞく的てきに改善かいぜんする

5.5 AIの事業じぎょう活動かつどうを担になう3つの主体しゅたい

AI事業者ガイドラインえーあいじぎょうしゃがいどらいんでは、AIの事業じぎょう活動かつどうに関かかわる主体しゅたいを3つに分わけて、それぞれの役割やくわりと責任せきにんを示しめしています。

主体しゅたい英語えいご役割やくわり
AI開発者えーあいかいはつしゃAI DeveloperAIモデル・システムを開発かいはつする者もの
AI提供者えーあいていきょうしゃAI Provider開発かいはつされたAIを組くみ込こみ、サービスとして提供ていきょうする者もの
AI利用者えーあいりようしゃAI Business User提供ていきょうされたAIを事業じぎょうのなかで利用りようする者もの

試験しけんでは: 3主体しゅたい(開発かいはつ者しゃ・提供ていきょう者しゃ・利用りよう者しゃ)の区別くべつと、それぞれに責任せきにんがある点てんが問とわれます。「利用りよう者しゃには何なにの責任せきにんもない」は誤あやまりで、利用りよう者しゃにも適切てきせつな利用りようの責任せきにんがあります。

6. AI新法しんぽう

6.1 AI新法しんぽうの必要ひつよう性せい

AIの急速きゅうそくな普及ふきゅうにともない、日本にほんでもAIに関かんする基本きほん的てきな考かんがえ方かたを国くにとして示しめす必要ひつようが高たかまりました。そこで成立せいりつしたのが、通称つうしょうAI新法えーあいしんぽうです。

正式せいしき名称めいしょうは「人工じんこう知能ちのう関連かんれん技術ぎじゅつの研究けんきゅう開発かいはつ及および活用かつようの推進すいしんに関かんする法律ほうりつ」で、2025年ねん6月つき4日にちに公布こうふされました。日本にほんで初はじめてAIを冠かんした基本きほん的てきな法律ほうりつという点てんで重要じゅうようです。

6.2 基本きほん構造こうぞうと内容ないよう

AI新法しんぽうの最大さいだいの特徴とくちょうは、罰則ばっそくで規制きせいすることを主眼しゅがんとした法律ほうりつではなく、研究けんきゅう開発かいはつと活用かつようの「推進すいしん」を主眼しゅがんとした理念りねん法的ほうてきな性格せいかくをもつ点てんです。厳きびしい禁止きんし・罰則ばっそくを並ならべるのではなく、国くにの基本きほん方針ほうしんや関係かんけい者しゃの役割やくわりを定さだめる枠組わくぐみが中心ちゅうしんになっています。主おもな内容ないようは次つぎのように整理せいりできます。

  • 基本きほん理念りねん・目的もくてき: AIの研究けんきゅう開発かいはつと適正てきせいな活用かつようを推進すいしんし、国民こくみん生活せいかつの向上こうじょうと経済けいざい社会しゃかいの発展はってんに寄与きよする
  • 国こく・自治体じちたい・研究けんきゅう機関きかん・事業じぎょう者しゃ・国民こくみんの役割やくわり: それぞれが果はたすべき役割やくわり・協力きょうりょくを定さだめる
  • 司令塔しれいとう機能きのうの整備せいび: 政府せいふ内ないにAI政策せいさくを統括とうかつする体制たいせい(AI戦略せんりゃく本部ほんぶなど)を置おき、基本きほん計画けいかくを策定さくていする
  • 推進すいしんのための施策しさく: 研究けんきゅう開発かいはつの支援しえん、人材じんざい育成いくせい、国際こくさい協力きょうりょくなどを進すすめる

絶対ぜったい暗記あんき: AI新法しんぽう=正式せいしき名称めいしょう「人工じんこう知能ちのう関連かんれん技術ぎじゅつの研究けんきゅう開発かいはつ及および活用かつようの推進すいしんに関かんする法律ほうりつ」、2025年ねん6月つき4日にち公布こうふ。罰則ばっそく中心ちゅうしんではなく、推進すいしんを主眼しゅがんとした理念りねん法的ほうてきな性格せいかく。「違反いはん者しゃを厳きびしく罰ばっする規制きせい法ほう」と決きめつける選択肢せんたくしは誤あやまりです。

6.3 注意ちゅういすべき具体ぐたい的てきなリスクとガイドラインとの関連かんれん

AI新法しんぽうが推進すいしんを主眼しゅがんとするとはいえ、AIには偽にせ情報じょうほうの拡散かくさん、権利けんり侵害しんがい、差別さべつ的てきな出力しゅつりょく、個人こじん情報じょうほうや機密きみつの漏ろうえいといった具体ぐたい的てきなリスクが存在そんざいします。これらへの対応たいおうは、法律ほうりつだけでなくガイドラインが実務じつむの指針ししんとして重要じゅうような役割やくわりを果はたします。

  • AI事業者ガイドラインえーあいじぎょうしゃがいどらいん(第だい1.1版はん): 総務そうむ省しょう・経済けいざい産業さんぎょう省しょうが中心ちゅうしんにまとめた、AIの開発かいはつ者しゃ・提供ていきょう者しゃ・利用りよう者しゃ向むけの実務じつむ指針ししん。本章ほんしょうで見みた「共通きょうつうの指針ししん」や「3つの主体しゅたい」の考かんがえ方かたは、このガイドラインに基もとづいています。
  • AI新法しんぽう(理念りねん・推進すいしんの枠組わくぐみ)とAI事業じぎょう者しゃガイドライン(実務じつむ上じょうの具体ぐたい的てきな指針ししん)は、互たがいを補おぎない合あう関係かんけいにあります。法律ほうりつで大おおきな方向ほうこう性せいを示しめし、ガイドラインで具体ぐたい的てきな取とり組くみを示しめす、という役割やくわり分担ぶんたんです。

注意ちゅうい: 「AI新法しんぽうができたから、あとはガイドラインは不要ふよう」ではありません。法律ほうりつが理念りねん・枠組わくぐみを、ガイドラインが具体ぐたい的てきな実務じつむ指針ししんを担になう、という補完ほかん関係かんけいを押おさえましょう。

7. 生成せいせいAI利用りようの可否かひケース集しゅう

この章しょうで学まなんだ法務ほうむ・倫理りんり・セキュリティを、実際じっさいの業務ぎょうむ場面ばめんで「適切てきせつ(OK)/条件じょうけんしだいで注意ちゅうい/不適切ふてきせつ(NG)」に当あてはめて確認かくにんします。判定はんていの分わかれ目めは、個人こじん情報じょうほう・機密きみつ情報じょうほうを入いれていないか/出力しゅつりょくを人間にんげんが確認かくにんしたか/既存きそんの権利けんりを侵おかしていないかです。

場面ばめん判定はんてい理由りゆう
機密きみつ・個人こじん情報じょうほうを入いれず、企画きかくの壁かべ打うちに使つかうOK一般いっぱん的てきな相談そうだんは得意とくい分野ぶんや。最終さいしゅう判断はんだんは人間にんげんが行おこなう
お礼れいメールの下書したがきを作つくらせ、送信そうしん前まえに全文ぜんぶんを確認かくにんして送おくるOK生成せいせい物ぶつの責任せきにんは利用りよう者しゃ。人間にんげんの確認かくにん工程こうていがあれば適切てきせつ
公開こうかい論文ろんぶんを自分じぶんの学習がくしゅう用ように要約ようやくする(公開こうかい・配布はいふしない)OK私的してき利用りようの範囲はんい。公開こうかい時じは出典しゅってん明示めいじと正確せいかく性せい確認かくにんが別途べっと必要ひつよう
学習がくしゅう利用りようオフの有料ゆうりょうプランで自社じしゃの非公開ひこうかいデータを分析ぶんせき(規程きてい・規約きやくは未み確認かくにん)注意ちゅうい設定せっていだけでOKにはならない。社内しゃない規程きてい・利用りよう規約きやく・NDAの確認かくにんが必要ひつよう
生成せいせいAIで作つくった画像がぞうを、類似るいじチェックせず商用しょうようグッズにする注意ちゅうい既存きそん作品さくひんに酷似こくじだと著作権ちょさくけん侵害しんがいの恐おそれ。類似るいじ・商用しょうよう条件じょうけんの確認かくにんが前提ぜんてい
AI翻訳ほんやくを社外しゃがい文書ぶんしょに使つかう(用語ようご・数値すうちは自分じぶんで確認かくにん予定よてい)注意ちゅうい誤訳ごやくの恐おそれ。専門せんもん用語ようご・固有名詞こゆうめいし・数値すうちを人間にんげんが検証けんしょうすれば実務じつむ利用りよう可か
顧客こきゃく名簿めいぼをそのまま無料むりょうの生成せいせいAIに貼はり付つけて整理せいりさせるNG本人ほんにん同意どういなき個人こじん情報じょうほうの外部がいぶ提供ていきょう。個人情報保護法こじんじょうほうほごほう抵触ていしょく・漏ろうえいリスク
生成せいせいAIの回答かいとうをファクトチェックせず社外しゃがい資料しりょうに転記てんきNGハルシネーションはるしねーしょんによる誤あやま情報じょうほう発信はっしん・信用しんよう失墜しっつい。検証けんしょう責任せきにんは人間にんげん
有名ゆうめいキャラそっくりの画像がぞうを商用しょうようロゴに使つかうNG著作権ちょさくけん・商標しょうひょう権けん侵害しんがいの可能かのう性せいが高たかい
実在じつざい人物じんぶつの偽にせの演説えんぜつ動画どうがを無断むだんでSNS公開こうかいNGディープフェイクでぃーぷふぇいくの悪用あくよう。名誉めいよ毀損きそん・肖像権しょうぞうけん侵害しんがい・偽にせ情報じょうほう拡散かくさん
特定とくていの属性ぞくせいを貶おとしめる画像がぞうを生成せいせいし社内しゃない資料しりょうに使つかうNG差別さべつ助長じょちょう。多おおくの利用りよう規約きやく違反いはん。社内しゃない利用りようでも許容きょようされない

絶対ぜったい暗記あんき: 「学習がくしゅうに使つかわない設定せっていだから安全あんぜん」「社内しゃない利用りようだからOK」と設定せっていや範囲はんいだけで判断はんだんしないこと。個人こじん情報じょうほう・機密きみつ・既存きそんの権利けんり・出力しゅつりょくの正確せいかく性せいの4点てんを必かならず確認かくにんします。

まとめ

  • 情報じょうほうリテラシーは情報じょうほうの真偽しんぎを見みきわめ適切てきせつに活用かつようする力ちから。デジタル市民しみん権けんは責任せきにんある一員いちいんとしての倫理りんりまで含ふくむ
  • フィッシングは手段しゅだんで分類ぶんるい——スミッシング=SMS、ヴィッシング=音声おんせい、スピアフィッシング=標的ひょうてき型がた。ソーシャルエンジニアリングは人ひとの心理しんりを突つく手口てぐち(ベイト・ブラックメール・プレテキスト)
  • マルウェアの一種いっしゅランサムウェアは身代金みのしろきん要求ようきゅう型がた。対策たいさくは更新こうしん・不用意ふよういに開ひらかない・バックアップ・セキュリティソフト
  • 個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほうの要点ようてん——個人こじん識別しきべつ符号ふごう(顔がお・指紋しもん・マイナンバー等とう)、要よう配慮はいりょ個人こじん情報じょうほう(人種じんしゅ・信条しんじょう・病歴びょうれき・犯罪はんざい歴れき/取得しゅとくに原則げんそく同意どうい)、匿名とくめい加工かこう情報じょうほう(復元ふくげん不可ふかに加工かこうし同意どういなしで活用かつよう可か)
  • 知的ちてき財産ざいさん権けん——著作ちょさく権けん(登録とうろく不要ふよう・自動じどう発生はっせい)、特許とっきょ権けん(発明はつめい)、商標しょうひょう権けん(ブランド)、意匠いしょう権けん(デザイン)。肖像しょうぞう権けん=人格じんかく的てき利益りえき、パブリシティ権けん=経済けいざい的てき価値かち
  • 不正ふせい競争きょうそう防止ぼうし法ほうは営業えいぎょう秘密ひみつ(秘密ひみつ管理かんり性せい・有用ゆうよう性せい・非ひ公知こうち性せいの3要件ようけん)と限定げんてい提供ていきょうデータを保護ほご
  • AI生成せいせい物ぶつ——著作ちょさく権けんは人間にんげんの創作そうさく的てき寄与きよしだい、既存きそん作品さくひんを侵害しんがいし得える、事実じじつ確認かくにんは利用りよう者しゃの責任せきにん
  • AI社会しゃかいの3理念りねん=尊厳そんげん・多様たよう性せいと包摂ほうせつ・持続じぞく可能かのう性せい。共通きょうつうの指針ししんは10項目こうもく。AI事業じぎょうの3主体しゅたい=開発かいはつ者しゃ・提供ていきょう者しゃ・利用りよう者しゃ
  • AI新法しんぽう=「人工じんこう知能ちのう関連かんれん技術ぎじゅつの研究けんきゅう開発かいはつ及および活用かつようの推進すいしんに関かんする法律ほうりつ」(2025年ねん6月つき4日にち公布こうふ)。罰則ばっそく中心ちゅうしんではなく推進すいしんを主眼しゅがんとした理念りねん法ほう。AI事業じぎょう者しゃガイドライン(第だい1.1版はん) が実務じつむ指針ししんを補完ほかん
この教材きょうざいは役やくに立たちましたか?

この章しょうの練れん習しゅう

ほかの分ぶん野やの練れん習しゅうもチェック

一いち問もん一いっ答とう

AI(人工じんこう知能ちのう)の基礎きそ一いち問もん一いち答とう

AIの定義ていぎ・機械きかい学習がくしゅう・ディープラーニング・AIの歴史れきしを確認かくにんする一いち問もん一いち答とうです。

一いち問もん一いっ答とう

生成せいせいAIのしくみ 一いち問もん一いち答とう

生成せいせいモデル・Transformer・GPT・主要しゅよう生成せいせいAIのしくみを確認かくにんする一いち問もん一いち答とうです。

一いち問もん一いっ答とう

生成せいせいAIの最新さいしん動向どうこう一いち問もん一いち答とう

各種かくしゅ生成せいせいAI・ディープフェイク・RAG・AIエージェントの動向どうこうを確認かくにんする一いち問もん一いち答とうです。

一いち問もん一いっ答とう

プロンプトの作つくり方かたと実践じっせん一いち問もん一いち答とう

LLM・プロンプトの要素ようそ・Few-Shot・実践じっせんテクニック・不得意ふとくい分野ぶんやを確認かくにんする一いち問もん一いち答とうです。

問もん題だい集しゅう

生成せいせいAIパスポート 総合そうごう問題もんだい集しゅう

生成せいせいAIパスポート試験しけんの全ぜん範囲はんいを本ほん試験しけん形式けいしき(60問もん・60分ふん)でまとめて力ちからだめしできる総合そうごう問題もんだい集しゅうです。AI基礎きそ・生成せいせいAIのしくみ・最新さいしん動向どうこう(ディープフェイク/RAG/AIエージェント/MCP)・情報じょうほうリテラシーと法律ほうりつ(個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほう/著作ちょさく権けん/AI新法しんぽう/AI社会しゃかい原則げんそく)・プロンプトの実践じっせんまでを1セットで確認かくにんできます。