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古文の文法の中心は 用言(動詞・形容詞・形容動詞)の 活用です。 用言が分かれば、 後ろに付く助動詞・助詞も自動的に分かるようになります。
この章で身につくこと:
現代語は「未然・連用・終止・連体・仮定・命令」の 6 種類ですが、 古文では「仮定形」の代わりに 「已然形」を使います。 已然 = 「すでにそうである」の意味で、 確定条件「〜ので」を表します。
| 活用形 | 主な接続先 |
|---|---|
| 未然形 | 「ず」「む」「ば」(仮定) |
| 連用形 | 「て」「けり」「たり」 |
| 終止形 | 言い切り・「べし」「らむ」 |
| 連体形 | 体言・「こと」「とき」 |
| 已然形 | 「ば」(確定)・「ども」・「こそ」結び |
| 命令形 | 言い切り(命令) |
| 種類 | 例 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 四段 | 書く | か | き | く | く | け | け |
| 上二段 | 起く | き | き | く | くる | くれ | きよ |
| 下二段 | 受く | け | け | く | くる | くれ | けよ |
| 上一段 | 見る | み | み | みる | みる | みれ | みよ |
識別法:動詞の下に「ず」 を付けて、 直前の母音で判別します。
- 「a 段 + ず」 → 四段(例: 書かず)
- 「i 段 + ず」 → 上二段または上一段(例: 起きず / 見ず)
- 「e 段 + ず」 → 下二段または下一段(例: 受けず)
| 種類 | 該当語 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| カ変 | 来 | こ | き | く | くる | くれ | こ/こよ |
| サ変 | 為・おはす | せ | し | す | する | すれ | せよ |
| ナ変 | 死ぬ・往ぬ | な | に | ぬ | ぬる | ぬれ | ね |
| ラ変 | 有り・居り・侍り・[いまそかり] | ら | り | り | る | れ | れ |
| 下一段 | 蹴る(1 語のみ) | け | け | ける | ける | けれ | けよ |
暗記のコツ:
- ナ変は 2 語(死ぬ・往ぬ)だけ
- ラ変は 4 語(あり・をり・はべり・いまそかり)だけ
- 下一段は「蹴る」1 語のみ
- カ変は「来」、 サ変は「す」と「おはす」と複合語
ラ変動詞の 終止形は「い段(り)」です。 他の動詞は終止形が「う段」 で終わるのに、 ラ変だけ例外。 これが識別のカギです。
例: 「有り」 終止形 = 「あり」(×ある/×あう)。 「ある」 は連体形。
形容詞は本活用(基本)と カリ活用(補助)の 2 系統を持ちます。 カリ活用は助動詞を続けるための形です。
| 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 本活用 | (く) | く | し | き | けれ | — |
| カリ活用 | から | かり | — | かる | — | かれ |
| 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 本活用 | (しく) | しく | し | しき | しけれ | — |
| カリ活用 | しから | しかり | — | しかる | — | しかれ |
識別法:形容詞の下に「なる」を付けて確認します。 「悲しくなる」 → 「悲し」 は「悲しく」と 「しく」で続くのでシク活用、 「赤くなる」 → 「赤し」 は「赤く」と 「く」で続くのでク活用。
| 種類 | 例 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ナリ活用 | 静かなり | なら | なり/に | なり | なる | なれ | なれ |
| タリ活用 | 堂々たり | たら | たり/と | たり | たる | たれ | たれ |
使い分け:
- ナリ活用は和語・漢語に広く付く(静かなり、 あはれなり、 哀れなり)
- タリ活用は漢語の二字熟語に付く(堂々たり、 悠々たり)。 現代の「堂々たる」「悠々たる」 はその名残
原文: 「今は昔、竹とりの翁といふ者ありけり。」(竹取物語)
現代語訳: 「今となっては昔のことだが、 竹取の翁という者がいた。」
平安期 の 堤中納言集写本 (11 世紀)。 こうした 古典作品 に は、 本章 で 整理 した 9 種類 の 動詞活用 や 形容詞・形容動詞 の 活用形 が 至る ところ に 現れます。
次章では、 用言に接続する 助動詞を体系的に整理します。