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高校の古文は、 現代日本語と同じ言葉を使いながら、 つづり・意味・文化が大きく違います。 この章では、 これから 古文 を読むうえで必ず必要になる 3 つの土台 を学びます。
この章で身につくこと:
ポイント:古文を読めない最大の原因は「文法を知らない」ではなく、 「読めない・意味が違うことに気づかない」です。 まずこの章でその 2 つを乗り越えましょう。
歴史的仮名遣い とは、 平安時代の発音に近いつづりを基本とした古典のかなづかいです。 現代仮名遣いとの違いは、 ルールを覚えれば機械的に変換できます。
語の 2 文字目以降にある「は・ひ・ふ・へ・ほ」は、 「わ・い・う・え・お」と読みます。
| 歴史的仮名遣い | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 思ふ | おもう | 思う |
| 川 | かわ | 川 |
| 今日 | きょう | 今日 |
| 恋 | こい | 恋 |
注意:語の 先頭のハ行はそのまま「は・ひ・ふ・へ・ほ」と読みます。 例: 「花」→「はな」(先頭なのでそのまま)。
| 歴史的仮名遣い | 読み方 |
|---|---|
| ゐ | い |
| ゑ | え |
| を | お(助詞「を」以外) |
例: 「居る」→「いる」、 「声」→「こえ」、 「男」→「おとこ」。
| 歴史的仮名遣い | 読み方 |
|---|---|
| ぢ | じ |
| づ | ず |
例: 「恥」→「はじ」、 「水」→「みず」。
「くわ」→「か」、 「ぐわ」→「が」と読みます。
例: 「火事」→「かじ」、 「元日」→「がんじつ」。
母音が連続するとき、 現代では長音(伸ばす音)として読みます。
| パターン | 読み方 | 例 |
|---|---|---|
| au | おう | 養生 → ようじょう |
| iu | ゆう | 紀伊、 優 → ゆう |
| eu | よう | 今日 → きょう(kefu → kyou) |
| ou | おう | 思ふ → おもう |
練習: 「蝶」はどう読む? 答えは「ちょう」。 「てふ」→「ちょう」(teu → tyou → chō)と長音化します。
古今異義語 は、 現代日本語にも残っているのに、 古文では 意味が大きく違う言葉です。 直訳すると誤読する典型語を覚えましょう。
| 古語 | 古文での意味 | 現代の意味 |
|---|---|---|
| あはれ | しみじみとした感動・趣がある | かわいそう |
| をかし | 趣がある・興味深い | おかしい・滑稽 |
| うつくし | かわいらしい | 美しい |
| かなし | いとしい・かわいい | 悲しい |
| ありがたし | めったにない・珍しい | 感謝する |
| やさし | 恥ずかしい・つらい | 優しい |
| はづかし | 立派だ・気おくれする | 恥ずかしい |
| いとほし | 気の毒だ・かわいそう | いとおしい |
| おとなし | 大人びている・分別がある | 静か・従順 |
| おどろく | 目を覚ます・はっと気づく | 驚く |
| ゆかし | 見たい・聞きたい・知りたい | 奥ゆかしい |
ポイント:古今異義語は 「現代語の意味で訳すと文意が通らない」のがサインです。 「あはれ」を「かわいそう」と訳して違和感があれば、 「しみじみと趣がある」を試しましょう。
古文を読むには、 当時の 時間・方角・住居・身分の常識が必要です。
旧暦(太陰太陽暦)では、 1-3 月が春、 4-6 月が夏、 7-9 月が秋、 10-12 月が冬です。 現代より 約 1 か月遅れと覚えると感覚が合います。
月の異名(春から順に): 睦月・如月・弥生(春)、 卯月・皐月・水無月(夏)、 文月・葉月・長月(秋)、 神無月・霜月・師走(冬)。
時刻は 十二支 で表します。 1 刻 = 約 2 時間。
| 時刻 | おおよその時間 |
|---|---|
| 子 の刻 | 23-1 時 |
| 丑 の刻 | 1-3 時 |
| 寅 の刻 | 3-5 時 |
| 卯 の刻 | 5-7 時(朝) |
| 午 の刻 | 11-13 時(正午) |
| 酉 の刻 | 17-19 時(夕方) |
豆知識: 「正午」 は「午の刻のちょうど真ん中」、 「午前・午後」 は「午の刻の前後」 が由来です。
平安貴族の住まいは 寝殿造 と呼ばれ、 中央の 寝殿を中心に対屋(たいのや)が東西に並びます。 部屋の仕切りは 几帳・屏風・御簾(すだれ)で、 男女が直接顔を合わせることはほとんどありません。
身分は天皇・摂政・関白・公卿・殿上人・地下(じげ)と階層的で、 これが 敬語の使い分けに直結します(第 5 章で詳説)。
平安期 に 書写 された 古今和歌集元永本 (1120 年)。 本章 で 学ぶ 歴史的仮名遣い は、 こうした 当時 の 仮名書写 で 実際 に 使われた 表記 です。
次章では、 動詞・形容詞・形容動詞の 活用を体系的に学びます。