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古文

古文こぶん入門にゅうもん — 歴史れきし的てき仮名遣かなづかい と 古今ここん異義いぎ語ご、 古文こぶんの世界せかい観かん

最終確認日:

はじめに

高校こうこうの古文こぶんは、 現代げんだい日本語にほんごと同おなじ言葉ことばを使つかいながら、 つづり・意味いみ・文化ぶんかが大おおきく違ちがいます。 この章しょうでは、 これから 古文こぶん を読よむうえで必かならず必要ひつようになる 3 つの土台どだい を学まなびます。

この章しょうで身みにつくこと:

  • 歴史的仮名遣いれきしてきかなづかい を現代げんだい仮名遣かなづかいに直なおして声こえに出だして読よめる
  • 古今異義語ここんいぎご(現代げんだいと意味いみが違ちがう語かたり)の代表だいひょう 20 語かたり以上いじょうを識別しきべつできる
  • 平安へいあん貴族きぞくの暦こよみ・時刻じこく・方角ほうがく・住居じゅうきょなど、 古文こぶんの世界せかい観かんの基礎きそを知しる

ポイント:古文こぶんを読よめない最大さいだいの原因げんいんは「文法ぶんぽうを知しらない」ではなく、 「読よめない・意味いみが違ちがうことに気きづかない」です。 まずこの章しょうでその 2 つを乗のり越こえましょう。

1. 歴史れきし的てき仮名遣かなづかい — 古文こぶんの読よみ方かたルール

歴史的仮名遣いれきしてきかなづかい とは、 平安へいあん時代じだいの発音はつおんに近ちかいつづりを基本きほんとした古典こてんのかなづかいです。 現代げんだい仮名遣かなづかいとの違ちがいは、 ルールを覚おぼえれば機械きかい的てきに変換へんかんできます。

ルール 1: ハ行ゆき転てん呼こ(語かたり中ちゅう・語尾ごびの「は・ひ・ふ・へ・ほ」)

語かたりの 2 文字もじ目め以降いこうにある「は・ひ・ふ・へ・ほ」は、 「わ・い・う・え・お」と読よみます。

歴史れきし的てき仮名遣かなづかい読よみ方かた意味いみ
思おもふおもう思おもう
川かはかわ川かわ
今日きょうきょう今日きょう
恋こひこい恋こい

注意ちゅうい:語の 先頭せんとうのハ行ゆきはそのまま「は・ひ・ふ・へ・ほ」と読よみます。 例れい: 「花はな」→「はな」(先頭せんとうなのでそのまま)。

ルール 2: 「ゐ・ゑ・を」の読よみ方かた

歴史れきし的てき仮名遣かなづかい読よみ方かた
ゐい
ゑえ
をお(助詞じょし「を」以外いがい)

例れい: 「居ゐる」→「いる」、 「声こゑ」→「こえ」、 「男をとこ」→「おとこ」。

ルール 3: 「ぢ・づ」の読よみ方かた

歴史れきし的てき仮名遣かなづかい読よみ方かた
ぢじ
づず

例れい: 「恥はぢ」→「はじ」、 「水みづ」→「みず」。

ルール 4: 「くわ・ぐわ」の読よみ方かた

「くわ」→「か」、 「ぐわ」→「が」と読よみます。

例れい: 「火事かじ」→「かじ」、 「元日がんじつ」→「がんじつ」。

ルール 5: 母音ぼいん連続れんぞく(au / iu / eu / ou)の長音ちょうおん化か

母音ぼいんが連続れんぞくするとき、 現代げんだいでは長音ちょうおん(伸のばす音おと)として読よみます。

パターン読よみ方かた例れい
auおう養やう生じやう → ようじょう
iuゆう優いう → ゆう
euよう今日きょう → きょう(kefu → kyou)
ouおう思おもふ → おもう

練習れんしゅう: 「蝶てふ」はどう読よむ? 答えこたえは「ちょう」。 「てふ」→「ちょう」(teu → tyou → chō)と長音ちょうおん化かします。

2. 古今ここん異義いぎ語ご — 形かたちは同おなじ、 意味いみが違ちがう言葉ことば

古今異義語ここんいぎご は、 現代げんだい日本語にほんごにも残のこっているのに、 古文こぶんでは 意味いみが大おおきく違ちがう言葉ことばです。 直訳ちょくやくすると誤読ごどくする典型てんけい語ごを覚おぼえましょう。

古語こご古文こぶんでの意味いみ現代げんだいの意味いみ
あはれあはれしみじみとした感動かんどう・趣おもむきがあるかわいそう
をかしをかし趣おもむきがある・興味深きょうみぶかいおかしい・滑稽こっけい
うつくしかわいらしい美うつくしい
かなしいとしい・かわいい悲かなしい
ありがたしめったにない・珍めずらしい感謝かんしゃする
やさし恥はずかしい・つらい優やさしい
はづかし立派りっぱだ・気きおくれする恥はずかしい
いとほし気きの毒どくだ・かわいそういとおしい
おとなし大人おとなびている・分別ふんべつがある静しずか・従順じゅうじゅん
おどろく目めを覚さます・はっと気きづく驚おどろく
ゆかし見みたい・聞ききたい・知しりたい奥おくゆかしい

ポイント:古今ここん異義いぎ語ごは 「現代げんだい語ごの意味いみで訳やくすと文意ぶんいが通とおらない」のがサインです。 「あはれ」を「かわいそう」と訳やくして違和感いわかんがあれば、 「しみじみと趣おもむきがある」を試ためしましょう。

3. 古文こぶんの世界せかい観かん — 平安へいあん貴族きぞくの暮くらし

古文こぶんを読よむには、 当時とうじの 時間じかん・方角ほうがく・住居じゅうきょ・身分みぶんの常識じょうしきが必要ひつようです。

暦こよみと季節きせつ

旧暦きゅうれき(太陰太陽暦たいいんたいようれき)では、 1-3 月つきが春はる、 4-6 月つきが夏なつ、 7-9 月つきが秋あき、 10-12 月つきが冬ふゆです。 現代げんだいより 約 1 か月遅つきおくれと覚おぼえると感覚かんかくが合あいます。

月つきの異名いみょう(春はるから順じゅんに): 睦月むつき・如月きさらぎ・弥生やよい(春はる)、 卯月うづき・皐月さつき・水無月みなづき(夏なつ)、 文月ふみづき・葉月はづき・長月ながつき(秋あき)、 神無月かんなづき・霜月しもつき・師走しはす(冬ふゆ)。

時刻じこくと方角ほうがく

時刻じこくは 十二支じゅうにし で表あらわします。 1 刻こく = 約やく 2 時間じかん。

時刻じこくおおよその時間じかん
子ね の刻こく23-1 時とき
丑うし の刻こく1-3 時とき
寅とら の刻こく3-5 時とき
卯う の刻こく5-7 時とき(朝あさ)
午うま の刻こく11-13 時とき(正午しょうご)
酉とり の刻こく17-19 時とき(夕方ゆうがた)

豆まめ知識ちしき: 「正午しょうご」 は「午うまの刻こくのちょうど真まん中なか」、 「午前ごぜん・午後ごご」 は「午うまの刻こくの前後ぜんご」 が由来ゆらいです。

住居じゅうきょと身分みぶん

平安へいあん貴族きぞくの住すまいは 寝殿造しんでんづくり と呼よばれ、 中央ちゅうおうの 寝殿しんでんを中心ちゅうしんに対屋たいのや(たいのや)が東西とうざいに並ならびます。 部屋へやの仕切しきりは 几帳きちょう・屏風びょうぶ・御簾みす(すだれ)で、 男女だんじょが直接ちょくせつ顔がおを合あわせることはほとんどありません。

身分みぶんは天皇てんのう・摂政せっしょう・関白かんぱく・公卿くぎょう・殿上人てんじょうびと・地下ちか(じげ)と階層かいそう的てきで、 これが 敬語けいごの使つかい分わけに直結ちょっけつします(第だい 5 章しょうで詳説しょうせつ)。

1120 年 に 書写 された 古今和歌集 元永本 の 仮名 書写 ページ

平安へいあん期き に 書写しょしゃ された 古今和歌集こきんわかしゅう元永もとなが本ほん (1120 年ねん)。 本章ほんしょう で 学まなぶ 歴史れきし的てき仮名遣かなづかい は、 こうした 当時とうじ の 仮名かな書写しょしゃ で 実際じっさい に 使つかわれた 表記ひょうき です。

まとめ

  • 歴史れきし的てき仮名遣かなづかいは 5 つのルールを覚おぼえれば機械きかい的てきに現代げんだい仮名遣かなづかいに直なおせる
  • 古今ここん異義いぎ語ごは「現代げんだい語ご訳やくで文意ぶんいが通とおらない」が識別しきべつサイン
  • 暦こよみ・時刻じこく・方角ほうがく・住居じゅうきょ・身分みぶんなど、 当時とうじの常識じょうしきが読解どっかいの前提ぜんていになる

次じ章しょうでは、 動詞どうし・形容詞けいようし・形容動詞けいようどうしの 活用かつようを体系たいけい的てきに学まなびます。

この教材きょうざいは役やくに立たちましたか?
学がく習しゅうロードマップ(10件けん)
  1. 1古文こぶん入門にゅうもん — 歴史れきし的てき仮名遣かなづかい と 古今ここん異義いぎ語ご、 古文こぶんの世界せかい観かん
  2. 2用言ようげんの活用かつよう — 動詞どうし・形容詞けいようし・形容動詞けいようどうし の 9 種類しゅるい
  3. 3助動詞じょどうし総そうまとめ — 時制じせい・推量すいりょう・受身うけみ・尊敬そんけい など 18 種類しゅるい
  4. 4助詞じょし — 係かかり助詞じょし・接続せつぞく助詞じょし・副ふく助詞じょし と 係り結びかかりむすび
  5. 5敬語けいご — 尊敬そんけい・謙譲けんじょう・丁寧ていねい と 二に方向ほうこう敬語けいご・最高さいこう敬語けいご
  6. 6説話せつわ・物語ものがたり — 竹取物語たけとりものがたり と 伊勢物語いせものがたり
  7. 7随筆ずいひつ — 枕草子まくらのそうし・徒然草つれづれぐさ・方丈ほうじょう記き三さん大だい随筆ずいひつ
  8. 8日記にっき文学ぶんがく — 土佐とさ日記にっき と 更級さらしな日記にっき
  9. 9和歌わか — 万葉まんよう・古今ここん・新しん古今ここん・百人一首ひゃくにんいっしゅ の 流ながれと修辞しゅうじ
  10. 10入試にゅうし古文こぶんへの橋渡はしわたし — 読解どっかい戦略せんりゃくと頻出ひんしゅつパターン