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第 6 章 で 日本 の 自然環境 を 見 ました。 第 7 章 で は 「日本 で は 何 が、 どこ で、 どの ように 作 ら れ、 世界 と どう つ な が って い る か」 を 産業 と 貿易 の 視点 で 整理 し ます。
戦後 の 日本 は 第 1 次産業中心 か ら、 第 2 次・第 3 次 へ と 産業構造 の 高度化 を 進 め、 1968 年 に は GNP 世界第 2 位 (当時) と なり ました。 21 世紀 に 入 り、 グ ロ ー バ ル 化・少子高齢化・デ ジ タ ル 化 が 重 な り、 産業 の 姿 は さら に 変化 し て い ます。
章 の 視点: 「自国中心」 で も「他国任 せ」 で も な い。 多国間 で 支 え 合 う 関係性 の な か で 日本 の 産業 を 考 え ま す。
| 区分 | 主 な 業種 | 例 |
|---|---|---|
| **[[第 1 次 産業 | だい 1 つぎ さんぎょう]]** | 農業・林業・漁業・鉱業 |
| **[[第 2 次 産業 | だい 2 つぎ さんぎょう]]** | 製造業・建設業・電気 ガス |
| **[[第 3 次 産業 | だい 3 つぎ さんぎょう]]** | 商業・運輸・金融・サ ー ビ ス・情報通信 |
経済 が 発展 す る に つ れ、 第 1 次 → 第 2 次 → 第 3 次 へ と 比重 が 移 る 傾向 (ペティ・クラーク の 法則) が 知 ら れ ます。
| 年 | 第 1 次 | 第 2 次 | 第 3 次 |
|---|---|---|---|
| 1950 年 | 約 49 % | 約 22 % | 約 30 % |
| 1980 年 | 約 11 % | 約 34 % | 約 55 % |
| 2020 年 | 約 3 % | 約 23 % | 約 73 % |
戦後 わ ず か 70 年 で 第 1 次 が 49 % → 3 % に 激減、 第 3 次 が 30 % → 73 % に 拡大 し ました。 経済大国 と 呼 ば れ た 時期 も、 ま さ に 第 2 次・第 3 次 が 急速 に 伸 び た 時期 で す。
近年 は、 第 1 次 (生産) × 第 2 次 (加工) × 第 3 次 (販売・サ ー ビ ス) を 組 み 合 わ せ る 「6 次 産業 化」 が 注目 さ れ て い ます (1 × 2 × 3 = 6)。 例 と し て、 農家 が 自家製 ジ ャ ム を 作 り 直売所 で 売 る、 漁協 が 加工場 と レ ス ト ラ ン を 運営 す る な ど が あ り ます。
意義: 第 1 次産業 の 価値 を 付加価値 と 雇用 で 上乗 せ し、 地方経済 と 後継継者不足 の 課題 を 改善 す る ね ら い が あ り ます。
日本 の 農業 は 小規模・兼業中心、 米中心 が 長 ら く の 特徴 で し た。 し か し 食生活 の 洋風化、 米消費量 の 半減 (1962 年 1 人 118 kg → 2022 年 51 kg)、 高齢化 (基幹的農業従事者平均 67.8 歳) な ど で 構造変化 が 続 い て い ます。
| 主 な 課題 | 内容 |
|---|---|
| 担い手不足 | 65 歳以上 が 約 7 割、 後継者不足 |
| 耕作放棄地増加 | 全国約 26 万 ha (東京都 の 1.2 倍) |
| 小規模経営 | 1 戸当 た り 平均約 3.1 ha (米 EU の 数十分 の 1) |
| TPP 等 で 国際競争 | 関税引 き 下 げ で 安価 な 輸入品 と 競合 |
対策 と し て、 大区画化 と 法人化、 ス マ ー ト 農業 (GPS ト ラ ク タ ー・ド ロ ー ン 防除・AI 病害診断)、 ブ ラ ン ド 化 (魚沼産 コ シ ヒ カ リ・夕張 メ ロ ン) な ど が 進 ん で い ます。
日本 は 国土 の 約 67 % が 森林 で す が、 林業就業者 は 戦後 の 約 50 万人 か ら 4 万人強 (2020 年) に 激減。 木材自給率 は 一時 18 % ま で 落 ち 込 み、 近年 は 約 41 % (2022 年) ま で 回復 し て い ます。
水産業 も 漁獲量 が ピ ー ク (1984 年約 1,282 万 t) か ら 約 3 分 の 1 (2022 年約 386 万 t) に 減少。 排他的経済水域規制、 海洋資源減少、 高齢化 が 背景 で す。 一方 で 養殖 (ブリ・ホタテ・カキ・ウ ナ ギ) や 栽培漁業 が 比重 を 増 し て い ます。
食料自給率 は 「国内 で 消費 さ れ る 食料 の う ち、 国内生産 で 賄まかな え る 割合」 で す。 2 つ の 計算方法 が あ り ます。
| 種類 | 算出方法 | 2022 年度 |
|---|---|---|
| カ ロ リ ー ベ ー ス | 1 人 1 日当 た り の 供給熱量 | 約 38 % |
| 生産額 ベ ー ス | 国内生産額 ÷ 国内消費仕向額 | 約 58 % |
ど ち ら の 指標 で も 主要先進国 で 最低水準 で す。 米 の 自給率 は 約 99 % で す が、 小麦約 16 %、 大豆約 7 %、 飼料用 ト ウ モ ロ コ シ は ほ ぼ 100 % 輸入 に 依存 し て い ます。
| 国 | カ ロ リ ー ベ ー ス 自給率 (2020 年前後) |
|---|---|
| カ ナ ダ | 約 221 % |
| オ ー ス ト ラ リ ア | 約 173 % |
| ア メ リ カ | 約 115 % |
| フ ラ ン ス | 約 117 % |
| ド イ ツ | 約 84 % |
| 日本 | 約 38 % |
| イ ギ リ ス | 約 54 % |
食料安全保障 は 「い か な る 時 で も 国民 が 必要 な 食料 を 入手 で き る 状態」 を 守 る 考 え 方 で す。 2022 年 の ウ ク ラ イ ナ 危機 で 小麦・肥料価格 が 高騰 し、 リ ス ク が 改然 と 認識 さ れ ま し た。
バーチャルウォーター (仮想水) は、 「輸入食料 を 国内 で 生産 す る と 仮定 し た 時 に 必要 な 水量」 で す。 日本 は 年間約 800 億 t (国内水利用量 の 約 1 倍) の 水 を 食料 と し て 「輸入」 し て い る 計算 と なり、 世界 の 水資源 と 強 く 結 び つ い て い ます。
| 期間 | 主 な 動 き |
|---|---|
| 1950 年代 | 朝鮮戦争特需 → 重化学工業化 |
| 1960 年代 | 高度経済成長、 太平洋ベルト 形成 |
| 1970 年代 | 2 度 の 石油危機 → 省 エ ネ・知識集約化 |
| 1980 年代 | 自動車・家電 が 世界 を 席巻 |
| 1990 年代 | 円高・空洞化、 海外生産移転 |
| 2000 年代 〜 | 中国 へ の 生産 シ フ ト、 IT・先端素材 へ |
| 2020 年代 | 半導体国内回帰 (T S M C 熊本)・E V 化 |
太平洋ベルト は 関東 か ら 北九州 ま で 太平洋・瀬戸内沿 い に 連 な る 工業集積地帯 で、 全国工業出荷額 の 約 6 割 を 占 め ます。
| 工業地帯・地域 | 中心 | 主 な 産業 |
|---|---|---|
| **[[京浜工業地帯 | けいひんこうぎょうちたい]]** | 東京・横浜・川崎 |
| **[[中京工業地帯 | ちゅうきょうこうぎょうちたい]]** | 名古屋・豊田 |
| **[[阪神工業地帯 | はんしんこうぎょうちたい]]** | 大阪・神戸 |
| **[[北九州工業地域 | きたきゅうしゅうこうぎょうちいき]]** | 北九州 |
| 瀬戸内工業地域 | 倉敷・周南 な ど | コ ン ビ ナ ー ト 中心 |
| 東海工業地域 | 静岡 (浜松・富士) | 楽器・オ ー ト バ イ・製紙 |
| タ イ プ | 立地要因 | 例 |
|---|---|---|
| 原料立地型 | 重 い 原料 の 産出地近 く | セ メ ン ト・パ ル プ |
| 市場立地型 | 大消費地近 く | ビ ー ル・印刷・出版 |
| 臨海立地型 | 港湾 か ら 原料輸入 | 製鉄・石油化学 |
| 労働力立地型 | 安価 で 豊富 な 労働力 | 繊維・縫製 |
近年 は 臨空立地 (空港近 く に IC・医薬品工場) や 知識集約立地 (大学・研究機関近 く に R & D) な ど 新 し い 類型 も 加 わ っ て い ます。
GDP の 約 7 割 を 占 め る 第 3 次産業 は、 商業・運輸・金融・情報通信・観光・教育・医療・福祉 と 幅広 く 含 み ます。 と く に 情報通信 (約 5 % → 約 10 %)・医療福祉 (約 3 % → 約 8 %) が 急成長 し て い ます。
製品 が 「生産 → 加工 → 物流 → 小売 → 消費者」 へ 流 れ る 一連 の 過程 を サプライチェーン と 呼 び ます。 グ ロ ー バ ル 化 で 工程 が 国境 を 越 え、 1 つ の 部品不足 が 世界中 の 工場 を 止 め る 「サ プ ラ イ チ ェ ー ン リ ス ク」 が 表面化 し て い ます (2020 年半導体不足 で 自動車減産 な ど)。
主 な 物流拠点:
| 種類 | 主 な 拠点 |
|---|---|
| 国際港湾 (コ ン テ ナ) | 東京・横浜・名古屋・神戸 |
| 国際 ハ ブ 空港 | 成田・関西・中部 |
| 物流 ハ ブ | 内陸拠点 (戸田・川越・つ く ば な ど) |
訪日外国人旅行者数 は 2003 年 の 約 521 万人 か ら 2019 年 ピ ー ク 約 3,188 万人、 コ ロ ナ 後 2024 年 に は 約 3,687 万人 と 過去最多 を 記録 し ました (政府観光局速報値)。 政府 は 「観光立国推進基本計画」 で 持続可能 な 観光 を 掲げ て い ます が、 オ ー バ ー ツ ー リ ズ ム (京都嵐山・富士山・倶知安等) や 多言語対応・宿泊不足 な ど 課題 も 多 い 分野 で す。
国 と 国 の 関税・サ ー ビ ス・投資等 を 自由化 す る 仕組 み に は 主 に 次 が あ り ます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| FTA (自由貿易協定) | 関税撤廃・引 き 下 げ を 中心 と し た 二国間 / 多国間協定 |
| EPA (経済連携協定) | F T A + 投資・人 の 移動・知的財産 を 含 む |
| TPP / CPTPP | 環太平洋 11 か 国 (米離脱後) の 包括的 EPA |
| RCEP | 日中韓 + ASEAN + 豪 NZ の 15 か 国 EPA (世界 GDP 約 3 割) |
| WTO (世界貿易機関) | 多国間貿易 ル ー ル を 定 め る 国際機関 |
日本 は 2024 年時点 で 21 の EPA / FTA を 発効 さ せ て お り、 貿易額 ベ ー ス で 約 8 割 を カ バ ー し て い ます。
関税 や 為替・補助金 を め ぐ り、 国同士 の 利害 が 衝突 す る 状態 を 貿易摩擦 と 呼 び ます。 1980 年代 に は 日米自動車・半導体摩擦 が 大 き な 政治課題 と な り ま し た。 近年 で は 米中 の 関税競争、 半導体輸出規制 な ど が 世界 の サ プ ラ イ チ ェ ー ン に 影響 を 与 え て い ます。
多角的視点: 自由貿易 は 消費者 に 安 い 製品・選択肢拡大 の 恩恵 が あ る 一方、 国内 の 弱 い 産業 を 直撃 し ます。 ど ち ら の 立場 か ら 評価 す る か で 見 え 方 が 大 き く 変 わ る 論点 で す。
| 現象 | 輸出 | 輸入 |
|---|---|---|
| 円高 | 不利 (海外 で 価格上昇) | 有利 (安 く 買 え る) |
| 円安 | 有利 (海外 で 価格低下)・外貨収入増 | 不利 (エ ネ ル ギ ー・食料高騰) |
2022 〜 2024 年 の 急速 な 円安 (1 ド ル = 110 円 → 160 円台) は、 訪日観光客増・大企業輸出採算改善 と、 食料 エ ネ ル ギ ー 価格上昇 と い う 「光 と 影」 を 同時 に も た ら し ました。
| 観点 | キ ー ワ ー ド |
|---|---|
| 産業構造 | 第 1 次/第 2 次/第 3 次・ペティ・クラーク の 法則・6 次産業化 |
| 第 1 次 | 食料自給率 38 %・耕作放棄地・ス マ ー ト 農業・養殖 |
| 第 2 次 | 太平洋ベルト・3 大工業地帯・工業立地 4 類型 |
| 第 3 次 | サ プ ラ イ チ ェ ー ン・観光立国・物流 ハ ブ |
| 国際関係 | FTA・EPA・TPP・RCEP・WTO・貿易摩擦・円高円安 |
🌐 中立 と 多角的視点 を 大切 に
- 特定 の 国 を 「敵」 「悪」 と 単純化 し な い。 ど の 国 に も 国民 が い て、 利益 と 立場 が あ る
- 貿易摩擦 の 報道 は 片方 の 国 の 視点 だ け を 切 り 取 り や す い。 双方 の 一次 ソ ー ス (政府発表・国連統計 な ど) も 確認 す る
- グ ロ ー バ ル 化 で 「あ な た の 1 杯 の コ ー ヒ ー」 が 遠 い 国 の 暮 ら し と 直結 し て い る こ と を 意識 す る
- SNS で 流 れ る 国際 ニ ュ ー ス は 誤情報・印象操作 も 多 い。 出典 と 日付 を 必 ず 確認 す る
- 自分 の 消費行動 (食 べ 物・服・電気) も 世界 の 産業 と つ な が る 一票。 フ ェ ア ト レ ー ド・地産地消・省 エ ネ も 国際関係 の 入口 で す
経済 と 国際関係 を 学 ぶ こ と は、 「世界 の な か で 自分 が ど う 生 き、 ど う 選 ぶ か」 を 考 え る こ と で す。 統計 と 多角的視点 を 武器 に、 単純化 を 避 け て 学 ん で い き ま し ょ う。