この章で学ぶこと
第 2 章では、 球体 としての地球を立体的にとらえ、 「どこに何があるか」 「なぜそこにその地形ができるのか」 を学びます。 中学で学んだ 6 大陸 3 大洋の知識 を、 プレートテクトニクス と 大地形 / 小地形 の視点 から深めます。
- 6大陸 と 3大洋 の配置・面積・隣接関係 を言える
- プレートテクトニクス で地球表面がどう動き、 造山帯 や地震・火山 が生まれるかを説明 できる
- 大地形 (安定陸塊・古期造山帯・新期造山帯) と 小地形 (扇状地・三角州・カルスト地形等) を区別 できる
- 標準時 が国ごと・地域ごとに異なる理由を知る
- 球面上の距離・方位 の求め方 (大圏距離) を理解する
ポイント: 地形 は 「内的営力 (プレートの動き、 火山、 地震)」 と 「外的営力 (風化・侵食・運ぱん・堆積)」 のせめぎ合いでつくられます。 大地形は内的、 小地形は外的が主な原因とおさえましょう。
1. 6 大陸と 3 大洋 (再整理)
6大陸 の概要
| 大陸 | 面積 (約) | 主な特徴 |
|---|
| ユーラシア大陸 | 約 5,500 万 km² | 世界最大、 ヨーロッパ + アジア。 全人口の約 60 % がここに |
| アフリカ大陸 | 約 3,000 万 km² | 第 2 位、 赤道が中央を通る。 サハラ砂漠・ナイル川 |
| 北アメリカ大陸 | 約 2,400 万 km² | カナダ・アメリカ・メキシコ・中央アメリカ |
| 南アメリカ大陸 | 約 1,800 万 km² | アンデス山脈・アマゾン川・パタゴニア |
| 南極大陸 | 約 1,400 万 km² | 厚さ約 2 km の氷床、 定住者なし |
| オーストラリア大陸 | 約 770 万 km² | 最小の大陸、 1 国で 1 大陸 |
3大洋 の概要
| 大洋 | 面積 (約) | 隣接大陸 |
|---|
| 太平洋 | 約 1.66 億 km² | アジア・南北アメリカ・オセアニア・南極 |
| 大西洋 | 約 0.86 億 km² | 南北アメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・南極 |
| インド洋 | 約 0.73 億 km² | アフリカ・アジア・オセアニア・南極 |
3 大洋を合わせると地球表面の約 65 % を占めます。 残りの海 (北極海、 地中海、 カリブ海、 日本海など) は 付属 海 (附属海) と呼ばれます。
6 州 (文化区分) との違い
地理では大陸と別に 「6 州」 で分けることが多い: アジア・ヨーロッパ・アフリカ・北アメリカ・南アメリカ・オセアニア。 これは 歴史・文化 を加味した区分で、 「ヨーロッパとアジアはユーラシア大陸として一体 だが、 文化的には別の州」 と扱います。
大事: 6 大陸 + 6 州 + 3 大洋を白地図で識別 できるかは共通テストの基本。 自分で白地図に記入する練習 が効果的です。
2. プレートテクトニクスと造山帯
地球の表面は、 厚さ 100 km ほどの プレート (岩盤) が約 14 〜 15 枚に分かれて、 マントルの上をゆっくり (年数 cm) 動いています。 この考え方が プレートテクトニクス です。
主なプレート
| プレート | 主な範囲 |
|---|
| 太平洋プレート | 太平洋中央 〜 西部、 日本列島の東へ 沈 み込む |
| ユーラシアプレート | ヨーロッパ・アジアの大部分 |
| 北アメリカプレート | 北アメリカ + シベリア東部 + 日本北半分 |
| 南アメリカプレート | 南アメリカ + 大西洋西半 |
| アフリカプレート | アフリカ大陸 + 周辺海域 |
| インド・オーストラリアプレート | インド + オーストラリア + インド洋 |
| 南極プレート | 南極大陸 + 周辺 |
| フィリピン海プレート | 日本南西 〜 フィリピン沖 |
プレート境界 の 3 タイプ
| 境界タイプ | 動き | 例 | 起こる現象 |
|---|
| 広がる境界 | プレートが 互 いに離れる | 大西洋中央海嶺、 アフリカ大地 溝帯 | 海嶺・大地 溝帯、 火山 |
| 狭まる境界 (沈み込み帯) | プレートがぶつかり一方 が沈む | 日本海溝、 アンデス山脈、 ヒマラヤ山脈 | 海溝、 大規模地震、 新期造山帯 |
| ずれる境界 | プレートが横にずれる | サンアンドレアス断層 (米カリフォルニア) | 横 れ断層地震 |
2 つの大造山帯
世界の高い山や火山帯は、 プレート境界 に沿って大きく 2 つの 造山帯 に 並 います。
- 環太平洋造山帯: 太平洋を 「火のリング」 として取り囲む。 日本列島・千島・カムチャッカ・アリューシャン・ロッキー・アンデス・ニュージーランド。 世界の火山の約 75 %、 地震の約 90 % が集中
- アルプス・ヒマラヤ造山帯: ヨーロッパアルプス 〜 イラン高原 〜 ヒマラヤ 〜 インドネシア。 ユーラシアプレートとインド・アフリカプレートの衝突
大事: 「ヒマラヤ山脈 = インド大陸がユーラシアにぶつかってできた」 「日本列島 = 太平洋・フィリピン海プレートがユーラシア・北アメリカプレートの下に沈み込んでできた」 という 「なぜ」 まで説明 できるように。
3. 大地形 (世界規模 の地形)
地形を 規模 で大きく分けると、 大地形 (大陸規模) と小地形 (河川 や海岸規模) に分けられます。 大地形は主に 造山活動の時期 で 3 つに分類します。
| 大地形区分 | 形成時期 | 特徴 | 主な例 |
|---|
| 安定陸塊 (クラトン) | 先カンブリア紀以降、 約 5 億年以上安定 | 平ら、 浸食 が進み低い | バルト楯状地、 ロシア卓状地、 北アメリカ・カナダ楯状地、 オーストラリア西部 |
| 古期造山帯 | 古生代 (約 4 〜 2.5 億年前) | 浸食 されてなだらか、 標高 1,000 〜 2,000 m。 石炭 を産出 | アパラチア山脈、 ウラル山脈、 スカンジナヴィア山脈、 中央アジアの一部 |
| 新期造山帯 | 中生代末 〜 新生代 (約 1 億年前 〜 現在) | 高くて 険 しい、 標高 4,000 m 以上多い。 地震・火山多発 | ヒマラヤ・アルプス・ロッキー・アンデス・日本列島 |
大地形と資源
大地形区分は産出 される鉱産資源 とも関連 しています。
- 安定陸塊: 古い 楯 状地に 鉄鉱石 が多い (オーストラリア・ブラジル・ロシア)
- 古期造山帯: 古生代の森林が圧縮 された 石炭 が主産 (アパラチア・ルール・ウラル)
- 新期造山帯: プレート境界沿 いに圧力 が集中する地層 で 石油 や 銅 が産出 (ペルシャ湾、 アンデス)
ポイント: 「日本 = 新期造山帯 = 高い山・火山・地震多発 = 石油は出ないけど温泉 が多い」 と関連 づけて理解 すると、 第 6 章 「日本の防災」 ともつながります。
4. 小地形 (河川・海岸・氷河がつくる地形)
小地形は主に 外的営力 (風・水・氷・波) が大地を 削 り、 運び、 積んでつくります。 高校地理では 河川地形・海岸地形・氷河地形・カルスト地形 の 4 系統を押さえます。
河川 がつくる地形
| 場所 | 地形 | 特徴 |
|---|
| 上流 (山地) | V字谷 | 急勾配 で川が下へ削る、 V 字型の深い谷 |
| 山麓 | 扇状地 | 砂礫が扇形に堆積。 中央部は水が地下に染み、 果樹園に適 |
| 中流 (平野) | 氾濫原 | 蛇行 する川沿い、 自然堤防・後背湿地 がセット |
| 河口 | 三角州 (デルタ) | 細かい砂や泥が海で堆積、 平らで肥沃、 米作りに適 |
V字谷(上流)。川が下へ激しく削る。
扇状地(山麓)。砂礫が扇形に堆積し果樹園に適す。
三角州(河口)。細かい砂泥が堆積し米作りに適す。
海岸地形
| 海岸タイプ | 特徴 | 例 |
|---|
| リアス海岸 | 沈水した河谷 が入り組む海岸 | 三陸海岸、 若狭湾、 スペイン北西部 |
| フィヨルド | 氷河が削った U 字谷が沈水した海岸 | ノルウェー、 チリ南部、 ニュージーランド南島 |
| 砂浜海岸 | 砂が堆積、 砂丘・砂州・砂嘴 | 鳥取砂丘、 天橋立 |
| サンゴ礁 | 暖かい浅海でサンゴが育つ | グレートバリアリーフ、 沖縄 |
フィヨルド。氷河が削ったU字谷に海水が入りこんでできた細長い入り江(ノルウェー等)。
氷河地形
| 地形 | でき方 | 例 |
|---|
| U字谷 | 氷河が削った U 字形の谷 | ヨセミテ、 アルプス |
| モレーン | 氷河が運んで端に積んだ砂礫 | 北ヨーロッパ平原 |
| フィヨルド | 上記、 U 字谷が沈水 | |
カルスト地形
石灰岩が雨水 (弱酸性) で溶けてできる地形。 表面に ドリーネ (くぼ地)、 地下に 鍾 乳 洞。 スロヴェニアのカルスト地方が名前の由来。 日本では 山口県秋 吉台、 福岡県平尾台 が有名。
大事: 共通テストでは写真や等高線図から 「この地形は何か」 を判別する問題 が頻出。 扇状地 (等高線が扇形)・三角州 (等高線ほぼなしで河口)・リアス海岸 (海岸線がギザギザ) を視覚 で覚えましょう。
5. 標準時とタイムゾーン
国別のタイムゾーン戦略
各国の 標準時 の決め方には国の事情 が表れます。
| 国 | 標準時数 | 特徴 |
|---|
| 日本 | 1 | 国土が東西に狭い (経度差約 25 度)、 統一が自然 |
| イギリス | 1 | グリニッジ標準時 GMT |
| アメリカ本土 | 4 (東部・中部・山岳・太平洋) | + アラスカ 1 + ハワイ 1 = 計 6 |
| カナダ | 6 | 国土が東西に広い |
| ロシア | 11 | ユーラシアを横断 |
| 中国 | 1 (北京時間) | 国土が 5 タイムゾーン分広いにも関わらず統一。 西部ウイグルでは 「現地時間」 が並行 |
| オーストラリア | 3 | 西部・中部・東部 |
| インド | 1 (UTC+5:30) | 30 分単位 の例。 国土中央を基準 |
| イラン | 1 (UTC+3:30) | 30 分単位 |
| ネパール | 1 (UTC+5:45) | 15 分単位、 世界で最も 珍 しい |
サマータイム
- EU・北アメリカ・オセアニアの多くで採用
- 春 (3 月)〜 秋 (10 月末) に時計 を 1 時間進 る、 日照時間を有効利用
- 日本は 採用 せず。 過去 (戦後 GHQ 占領期) に試行したが定着せず
- EU は 2026 年廃止方向で議論中
大圏距離 と等角航路
球面上の 2 地点を結ぶ 最短距離 = 大圏距離。 メルカトル図法で直線 (= 等角航路) とは別物。 ニューヨーク 〜 東京の飛行機が 北太平洋高緯度ルート を取るのは、 これが大圏航路だから。
ポイント: 共通テストで 「東京から真北へ飛んで最初 に着く大陸はどこか」 「東京を中心とした正距方位図法でニューヨークはどの方向 か」 のような球面思考 が問われます。 メルカトル図法の感覚 と切り離して考える訓練 が必要です。
6. ふりかえりと安全配慮
学んだこと
この章の 安全配慮 — 自然災害 への備え
日本は 新期造山帯 + 環太平洋造山帯 の真上にあるため、 地震・津波・火山・台風・土砂災害 が起こりやすい国です。 「地形 を知ることは自分を守ること」 という視点 を持ちましょう。
- 自宅周辺の ハザードマップ を必ず確認 (市町村サイトで公開、 紙でも配布)。 浸水・土砂・津波・地震動・液状化の 5 種をチェック
- 避難場所 と経路 を家族で共有、 年に 1 回は実際に 歩 て確認
- 災害用伝言 ダイヤル (171) や災害用 SNS (LINE・X 等) の使い方を練習
- 非常持ち出し袋 (水・食料 3 日分・モバイルバッテリー・常備薬・現金・身分証コピー) を準備
- 古い地名 (○○ 沢、○○ 池、○○ 谷) は過去 の災害履歴 を示すことが多い。 自然災害伝承碑 と合わせて確認
- 災害時には フェイクニュース が拡散 しやすい。 出典が不明 な情報はシェアしない
次の章: 第 3 章では、 ケッペンの気候区分 を軸に世界の気候とそこに暮らす人々の衣食住、 三大宗教 と文化 の関係を学びます。 異文化理解 の出発点となる章です。