この章で学ぶこと
第 4 章では 地表で起こる変化 を学びます。 地球の表面は 風化・侵食・運搬・堆積 の 4 段階をくり返し、 その結果が 地層 として残ります。 地層を読むことで 数億年の過去 を知ることができます。
- 風化・侵食・運搬・堆積 の流れを理解する
- 堆積岩 と 変成岩 の種類を知る
- 地層 の重なり方と観察法を学ぶ
- 地質年代 (古生代・中生代・新生代) を概観する
- 化石 (示準化石・示相化石) で過去を読む方法を知る
ポイント: 地層は 「地球が書いた日記」。 1 枚 1 枚の地層が 「その時期にどんな環境だったか」 を教えてくれます。 地学の醍醐味が詰まった章です。
1. 風化と侵食
風化の種類
風化 とは、 岩石が地表で こわれていく 現象。 大きく 2 種あります。
| 種類 | しくみ | 例 |
|---|
| 物理的風化 (機械的風化) | 力により岩石がこわれる | 凍結融解 (寒暖差)、 剥離 (温度変化) |
| 化学的風化 | 化学反応で岩石が変わる | 酸性雨により石灰岩が溶ける、 長石が粘土になる |
物理的風化の例
| 現象 | しくみ |
|---|
| 凍結融解 | 岩石のすき間に入った水が凍って膨張、 すき間を広げる |
| 熱膨張 | 昼は暑く膨張、 夜は冷えて縮むをくり返し、 岩石の表面がはがれる |
| 根のくさび | 木の根がすき間に入って岩石を割る |
化学的風化の例
| 現象 | しくみ |
|---|
| 長石が粘土になる | 雨水と反応して加水分解、 ゆっくり進む |
| 石灰岩が溶ける | 二酸化炭素を含む雨水と反応して炭酸塩となり溶解 → 鍾乳洞ができる |
| 酸化 | 鉄を含む岩石が酸化されて茶色になる |
侵食のしくみ
侵食 は、 風化でこわれた岩石が 水・氷・風 により削られて運ばれる過程。 侵食の主な営力:
| 営力 | はたらき | できる地形 |
|---|
| 流水 | 山を削り、 谷をつくる | V字谷、 峡谷 |
| 氷河 | 氷が動いて大地を削る | U字谷、 カール (圏谷) |
| 風 | 砂を飛ばして岩石を削る | 砂漠の風食地形 |
| 海 | 波が海岸を削る | 海食崖、 海食洞 |
2. 運搬と堆積
運搬と堆積
侵食された物質は 運搬 され、 やがて流れが弱まった場所で 堆積 します。 粒の大きさで 沈降 のしやすさが異なります。
| 粒の種類 | 直径 | 沈む場所 |
|---|
| れき | 2 mm 以上 | 上流、 川の内側 |
| 砂 | 1/16 mm 〜 2 mm | 中流、 三角州 |
| 泥 (シルト・粘土) | 1/16 mm 以下 | 下流、 海の沖、 湖底 |
堆積してできる地形
| 地形 | でき方 |
|---|
| 扇状地 | 山から平野への出口、 れきが堆積 |
| 氾濫原 | 川があふれて砂や泥が堆積 |
| 三角州 (デルタ) | 河口、 細かい泥が堆積 |
| 海岸平野 | 海が引いたあとの平野 |
| 砂州・砂嘴 | 海の沿岸の砂の堆積 |
3. 堆積岩
堆積岩の種類
堆積岩 は 堆積物が圧縮され固まった岩石。 でき方で 4 系統に分けられます。
| 系統 | でき方 | 主な例 |
|---|
| 砕屑岩 | れき・砂・泥が固まる | れき岩、 砂岩、 泥岩 |
| 火山砕屑岩 | 火山灰や軽石が固まる | 凝灰岩 |
| 生物岩 | 生物の遺骸が集まる | 石灰岩 (サンゴ・フズリナ)、 チャート (放散虫) |
| 化学岩 | 海水から化学的に沈殿 | 岩塩、 石膏 |
砕屑岩の分類 (粒の大きさで)
| 名前 | 粒の大きさ |
|---|
| れき岩 | 直径 2 mm 以上 |
| 砂岩 | 1/16 mm 〜 2 mm |
| 泥岩 | 1/16 mm 以下 (シルト・粘土) |
堆積岩の構造
堆積岩には、 堆積時の環境を知る手がかりになる構造があります。
| 構造 | わかること |
|---|
| 層理 | 1 枚 1 枚の地層の境界、 堆積が一時中断したことを示す |
| 級化層理 (段階) | 下が粒大、 上が細、 乱泥流などの結果 |
| クロスラミナ (斜交葉理) | 砂漠や河川での堆積 |
| リップルマーク (漣痕) | 浅い水中の堆積 |
4. 変成岩
変成とは
変成 とは、 岩石が 高温・高圧 にさらされて、 鉱物や構造が変化すること。 大きく 2 種あります。
| 変成の種類 | 原因 | 例 |
|---|
| 接触変成 | マグマの熱を受ける | ホルンフェルス (砂岩が高温で)、 結晶質石灰岩 (大理石) |
| 広域変成 | プレートの衝突で広範囲が高温・高圧 | 結晶片岩 (片理を持つ)、 片麻岩 (縞模様) |
主な変成岩
| 名前 | 元の岩石 | 特徴 |
|---|
| ホルンフェルス | 泥岩、 砂岩 | 緻密で硬い |
| 大理石 | 石灰岩 | 白くて美しい、 彫刻や建築に |
| 結晶片岩 | 多様 | 平行な面 (片理) を持つ |
| 片麻岩 | 花崗岩など | 黒と白の縞 (片麻状組織) |
5. 地層と地質構造
地層を読む 4 大法則
| 法則 | 内容 |
|---|
| 地層累重の法則 | 下の方の地層ほど古い (上下が逆転してない限り) |
| 地層同定の法則 | 同じ化石や凝灰岩層を含む地層は同じ時代 |
| 斉一説 | 過去も今と同じ物理・化学法則で現象が起きた |
| 切り合いの関係 | 切っている方が切られている方より新しい |
地層の構造
| 用語 | 意味 |
|---|
| 整合 | 連続して堆積した地層 |
| 不整合 | 間に時間の抜けがある、 上下の関係が異なる |
| 褶曲 | 地層が横からの力で曲げられた |
| 断層 | 地層がずれた |
走向と傾斜
地層の向きを表す用語:
| 用語 | 意味 |
|---|
| 走向 | 地層の水平方向 (例: N30°E = 北から東に 30°) |
| 傾斜 | 地層の傾きの角度と向き (例: 50°N = 北に 50° 傾く) |
地質調査では必ず 「走向と傾斜」 をクリノメーターで測り、 地質図に記録します。
6. 地質年代
地質年代の区分
地球 46 億年の歴史は、 化石や岩石の大きな変化で区分されています。
| 代 | 期間 | 主な出来事 |
|---|
| 先カンブリア時代 | 46 億年前〜5.4 億年前 | 地球誕生、 生命誕生、 酸素増加 |
| 古生代 | 5.4 億〜2.5 億年前 | 三葉虫、 フズリナ、 魚類、 両生類、 シダ植物 |
| 中生代 | 2.5 億〜0.66 億年前 | 恐竜、 アンモナイト、 裸子植物 |
| 新生代 | 0.66 億年前〜現在 | 哺乳類、 被子植物、 人類 |
古生代の区分 (一部)
| 紀 | 主な出来事 |
|---|
| カンブリア紀 | カンブリア爆発、 三葉虫 |
| オルドビス紀〜デボン紀 | 魚類の繁栄 |
| 石炭紀 | 巨大なシダ植物、 のちの石炭 |
| ペルム紀 (二畳紀) | フズリナが繁栄後、 大絶滅 |
中生代の区分
| 紀 | 主な出来事 |
|---|
| 三畳紀 | 恐竜出現 |
| ジュラ紀 | 恐竜全盛、 始祖鳥 |
| 白亜紀 | ティラノサウルス、 アンモナイト繁栄、 末期に大絶滅 (隕石衝突) |
新生代の区分
| 紀 | 主な出来事 |
|---|
| 古第三紀 | 哺乳類大型化 |
| 新第三紀 | 類人猿の出現 |
| 第四紀 | 氷河期、 人類の進化 |
7. 化石から過去を読む
示準化石と示相化石
| 種類 | 役割 | 条件 | 例 |
|---|
| 示準化石 | 時代を教える | 進化が速く短期間に広範囲 | 三葉虫 (古生)、 アンモナイト (中生)、 ヌンムリテス (新生) |
| 示相化石 | 環境を教える | 特定の環境にしか住まない | サンゴ (暖かい浅海)、 シジミ (汽水)、 ブナ (温帯) |
化石ができる条件
| 条件 | くわしく |
|---|
| 早く堆積される | 海底の泥に埋まるなど |
| 硬い部分がある | 殻、 骨、 葉など |
| 分解されない環境 | 酸素不足、 凍結、 琥珀など |
放射性同位体で年代を測る
放射性同位体 (例: 炭素 14、 ウラン 238) の 半減期 を使って、 岩石や化石の年代を 数値 で測れます。
| 同位体 | 半減期 | 主な用途 |
|---|
| ¹⁴C (炭素 14) | 約 5730 年 | 数万年以内の木材・骨 |
| K-Ar (カリウム-アルゴン) | 12.5 億年 | 火山岩の年代 |
| U-Pb (ウラン-鉛) | 数億〜数十億年 | 古い鉱物 |
8. ふりかえり
この章の安全配慮
- 野外地質観察は必ず ヘルメット・長そで・長ズボン で
- 崖の真下に立たない (落石の危険)、 大雨のあとは避ける
- 岩石や化石の採集は 国立公園・天然記念物エリアで禁止、 許可が必要な場所多い
- 地震のあとの斜面は土砂崩れの危険、 近づかない
- ハチやマムシなど野生動物に注意、 グループで行動
次の章: 第 5 章では 大気 の構造と運動を学びます。 対流圏・成層圏・中間圏・熱圏の 4 層と、 地球全体を動く 大気大循環、 偏西風とジェット気流がテーマです。
褶曲 — プレートの圧縮力を受けて地層が波打つように変形した構造。 山脈形成 (造山運動) の直接証拠となる。
三葉虫 の化石 — 古生代カンブリア紀 (約 5.4 億年前) に出現し、 ペルム紀末 (約 2.5 億年前) の 大量絶滅 で姿を消した海の節足動物。 進化が速く世界中に広がったため 示準化石 の代表 — 見つければ 「この地層は古生代」 と一目で分かる。