この章で学ぶこと
ここからは、 6 章まで学んだ 「世界の諸地域」 の視点を持ちながら、 自分たちが暮らす 日本 を見つめ直していきます。
日本は、 漢字で 「日本列島」 と呼ばれる通り、 ユーラシア大陸の東端に弓のように連なる 4 つの大きな島 (北海道・本州・四国・九州) と多くの小さな島々からできています。 国土面積は約 38 万平方キロメートルで、 世界では約 60 番目ほど。 一方で、 人口は約 1 億 2,400 万人と、 世界で 11 位前後 (2020 年代半ば) に位する 人口大国 でもあります。
その日本を、 「自然環境」 と 「人口」 の 2 つの大きな軸で学ぶのがこの章の目的です。
- 日本列島が環太平洋造山帯に属し、 地震・火山が多い国であることを知る
- モンスーンと四季・梅雨・台風といった日本の気候の特徴を理解する
- 1 億 2,400 万人の人口と、 少子高齢化の進行を数値でつかむ
- 三大都市圏 (東京・大阪・名古屋) と東京一極集中のしくみを知る
- 過疎と過密が同時に起こる日本の地域課題を考える
ポイント: 日本は 「自然災害の多さ」 と 「人口のかたより」 が特徴的な国です。 この 2 つのキーワードを軸に、 9 章・10 章へとつなげていきましょう。
1. 日本の位置と領土
富士山 (山梨県・静岡県) — 標高 3776 m、 日本最高峰。 環太平洋造山帯の一部で、 火山活動でできた。 2013 年ユネスコ世界遺産。
日本は、 北緯約 20 度 〜 46 度、 東経約 122 度 〜 154 度の範囲にあり、 ユーラシア大陸の東に弓状にのびる 島国 です。 周りを太平洋・日本海・東シナ海・オホーツク海の 4 つの海に囲まれています。
国土の構成
国土は、 北海道・本州・四国・九州の 4 つの大きな島と、 沖縄を含む多数の小さな島々から構成されています。 全体の面積は約 38 万平方キロメートルで、 ドイツやマレーシアとほぼ同じぐらい。
排他的経済水域と海洋
国土面積だけを見ると中規模の国ですが、 周りを海に囲まれているため、 沿岸から 200 海里 (約 370 キロメートル) 以内の 排他的経済水域 (EEZ) を加えると、 日本の海域は国土の 12 倍近くに達し、 世界でも有数の広さとなります。 この海には漁業資源、 海底資源 (メタンハイドレート・レアメタル) が豊富に眠っているとされています。
領土をめぐる課題
日本は、 北方領土 (択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島)、 竹島、 尖閣諸島をめぐり、 周辺国との間で領土に関する課題を抱えています。 政府は一貫して 「歴史的・国際法上、 日本の固有の領土である」 との立場をとっています。
大事: 日本は 「島国」 であることで、 海を通じた貿易・交流と、 海を通じた災害 (津波など) の両方に大きく関わる国です。
2. 環太平洋造山帯と地形
日本列島は、 太平洋を取り囲むようにのびる 環太平洋造山帯 の上にあります。 この造山帯は地球のプレートがぶつかり合う場所で、 地震と火山が集中して起こる帯です。
4 つのプレート
日本列島の周辺では、 4 つのプレート (ユーラシア・北アメリカ・太平洋・フィリピン海) が出会っています。 海のプレート (太平洋・フィリピン海) が陸のプレートの下にもぐり込む場所で強い力がためられ、 地震と火山が起こります。
山地が国土の約 4 分の 3
日本の国土は、 約 4 分の 3 が山地で、 平地はわずか 4 分の 1 ほどです。 中央には 日本アルプス (飛騨・木曽・赤石の 3 山脈) が連なり、 その東と西を フォッサマグナ ( 大きな溝) が区切っています。
火山と温泉
日本には 100 以上の活火山があり、 富士山・浅間山・桜島・有珠山などが代表的です。 火山は災害をもたらす一方で、 温泉 や美しい景観、 地熱発電の資源をもたらしています。
川と平野
日本の川は、 短くて急なのが特徴です。 山から海までの距離が短いためで、 大雨が降ると一気に増水するリスクがあります。 平野はおもに川の河口や中下流域に形成され、 関東平野 (日本最大)、 濃尾平野、 大阪平野、 石狩平野などが主要な平野です。
ポイント: 日本は 「山が多く、 平地が少なく、 川が急で、 火山が多い」 国。 これが産業と暮らしの立地を決める大きな条件となります。
3. 気候 — モンスーンと四季
日本の気候を大きく特徴づけているのが、 季節風 ( モンスーン ) です。
モンスーンのしくみ
夏は太平洋の高気圧から、 南東の季節風が日本に吹きこみ、 太平洋側に多くの雨をもたらします。 冬はシベリアの高気圧から、 北西の季節風が吹き、 日本海をわたる間に水蒸気を含み、 山地にぶつかって 日本海側に大量の雪 を降らせます。
6 つの気候区分
日本は南北に長く、 同じ国でも気候が大きくちがいます。
| 気候区分 | 特徴 | 代表都市 |
|---|
| 北海道の気候 | 冷帯、 冬が長く寒い | 札幌・旭川 |
| 日本海側の気候 | 冬に雪が多い | 新潟・金沢 |
| 太平洋側の気候 | 夏に雨が多い、 冬は乾燥 | 東京・大阪 |
| 中央高地の気候 | 夏涼しく、 冬寒い | 松本・長野 |
| 瀬戸内の気候 | 1 年を通じて雨が少ない | 高松・岡山 |
| 南西諸島の気候 | 亜熱帯、 年中暖かい | 那覇 |
梅雨と台風
毎年 6 〜 7 月には、 北と南の気団がぶつかる境目で 梅雨前線 が発生し、 日本列島に長期間雨をもたらします。 また、 夏から秋にかけて太平洋で発達した 台風 が日本に接近・上陸し、 強風と大雨をもたらします。
大事: 日本の気候は 「モンスーン + 梅雨 + 台風」 という 3 つの季節イベントに大きく影響されています。
4. 自然災害 — 地震・津波・火山・気象災害
日本は、 自然災害の多い国です。 地震大国・火山大国・水害大国と呼ばれるほど、 さまざまな災害が繰り返されてきました。
地震と津波
地下のプレートのずれで起こるのが 地震 です。 1923 年の関東大震災、 1995 年の阪神 ・ 淡路大震災、 2011 年の 東日本大震災 など、 数多くの大地震が日本をおそってきました。 海底で地震が起こると 津波 が発生することがあり、 沿岸に大きな被害をもたらします。
火山噴火
火山噴火は、 溶岩や火山灰、 火砕流などにより、 周辺地域に大きな被害をもたらします。 2014 年の御嶽山噴火では多くの登山者が犠牲になりました。
気象災害
台風・集中豪雨による洪水・土砂崩れ、 冬の大雪、 夏の猛暑や干ばつ、 竜巻など、 日本では気象災害も多様で頻繁です。 都市では、 短時間に集中して降る ゲリラ豪雨 による浸水が増えています。
ハザードマップと防災
国や自治体は、 災害が起こる危険性や避難経路を地図にした ハザードマップ を作成し、 住民に配布しています。 学校や地域での避難訓練、 非常食の備蓄、 家具の固定など、 一人ひとりの備えも重要です。
ポイント: 日本で暮らすということは、 「いつか必ず起こる災害」 と共に生きるということでもあります。 知識と備えが、 自分と家族を守る第一歩です。
5. 人口と少子高齢化
日本の人口は、 約 1 億 2,400 万人 (2020 年代半ば) で、 世界では 11 位前後と推計されています (年により順位は変動)。 ただし、 すでに 人口が減り始めている国 であり、 これからもしばらく減少が続くと見込まれています。
人口ピラミッドの変化
人口を年齢別・男女別に並べたグラフを 人口ピラミッド と言います。 日本の人口ピラミッドは、 戦後の 「ピラミッド (富士山) 型」 から、 「つぼ型」 へと変化し、 さらに高齢層が多く、 若年層が少ない 「逆三角形に近い形」 に近づいています。
少子高齢化とは
子供が生まれる数 (出生率) が低下し、 同時に平均寿命がのびて高齢者が増える現象を 少子高齢化 と言います。 日本では 65 歳以上の人口比率が約 29 % (2020 年代半ば) に達し、 世界で最も高齢化が進んだ国の一つです。
影響
少子高齢化は、 つぎのような影響をもたらします。
- 働く世代 (15 〜 64 歳) が減り、 経済の活力が弱まるおそれ。
- 年金・医療・介護にかかる費用が増え、 国の財政を圧迫。
- 学校や地域のコミュニティの維持が難しくなる。
- 人手不足が進み、 外国人労働者の受け入れが拡大。
対応
国と自治体は、 子育て支援、 保育所の整備、 働き方改革、 高齢者の健康寿命をのばす取り組み、 外国人材の受け入れなど、 さまざまな政策で対応を進めています。
大事: 「人口が減る」 ことは単なる数字の変化ではありません。 学校・病院・お店・電車 ・ 街の賑わい — 暮らしのあらゆる場面に影響する大きなテーマです。
6. 三大都市圏と東京一極集中
日本の人口と経済の約半分が、 三大都市圏 に集中しています。
三大都市圏の構成
| 都市圏 | 中心都市 | 含まれるおもな県 | 人口 (おおよそ) |
|---|
| 東京大都市圏 | 東京 | 東京・神奈川・埼玉・千葉 | 約 3,700 万人 |
| 大阪大都市圏 | 大阪 | 大阪・京都・兵庫・奈良 | 約 1,800 万人 |
| 名古屋大都市圏 | 名古屋 | 愛知・岐阜・三重 | 約 1,100 万人 |
3 つの都市圏で日本の全人口の約半分、 経済の過半数が集中しています。
東京一極集中
中でも、 東京大都市圏 への集中が著しく、 国会・中央省庁・大企業の本社・大学・テレビ局・出版社などが集中しています。 この状態を 東京一極集中 と言います。 利点 (情報・人材の集積) もある一方で、 災害リスク・地価の高さ・通勤の混雑・地方の衰退という課題を生んでいます。
過疎と過密
| 言葉 | 意味 | おもな場所 |
|---|
| 過疎 | 人口が減りすぎて、 地域の維持が難しい状態 | 山間部・離島 |
| 過密 | 人口が集中しすぎて、 住宅・交通などに問題が出る状態 | 三大都市圏 |
過疎地域では、 学校の統廃合、 商店の閉店、 公共交通の廃止などが進み、 高齢者が暮らし続けることが難しくなる課題があります。 過密地域では、 通勤ラッシュ、 高い家賃、 空気や水の環境悪化、 大規模災害リスクなどの課題があります。
地方創生
国は、 地方への企業・大学の移転や、 リモートワークによる地方移住、 ふるさと納税などを通じて、 地域の人口と経済を守る 「地方創生」 政策を進めています。
ポイント: 「東京だけが元気な国」 ではなく、 全国の地域がそれぞれの強みで生きられる国をどう作るか — これが日本の大きなテーマです。
まとめ — 日本の自然と人口を 3 行で
- 日本は環太平洋造山帯にあり、 モンスーンと 4 季を持ち、 地震・火山・水害と共に暮らす国。
- 人口約 1 億 2,400 万人。 少子高齢化が急速に進み、 すでに人口減少期に入っている。
- 三大都市圏に人口と経済が集中、 同時に地方の過疎が進む — 東京一極集中が大きな課題。
安全と学び方の心がけ — 自然災害への備え
日本は 「災害大国」 であると同時に、 「防災先進国」 でもあります。 地震・津波・火山・台風といった災害と共に生きるために、 一人ひとりが知識と備えを身につけることが大切です。
- 自分が住む地域の ハザードマップ を見る — 浸水・土砂災害・津波の危険区域を確認する。
- 家族で 避難経路と集合場所 を決めておく。 緊急時に連絡が取れるよう、 災害用伝言ダイヤルの使い方を知る。
- 非常用持ち出し品 (水・食料・懐中電灯・医薬品など) を用意し、 定期的に中身を入れ替える。
- 家具を壁に固定し、 ガラス飛散防止フィルムを貼る。 寝る場所の上に重いものを置かない。
- 緊急地震速報 が鳴ったら、 まず身を守る行動 (シェイクアウト: 低く・頭を守り・動かない)。
- 海や川の近くで強い揺れを感じたら、 警報を待たず即高台へ避難する。
- 学校や地域の避難訓練に参加し、 体で動き方を覚える。
「もし起こったらどうするか」 を普段から想像しておくことが、 命を守る一番大きな力になります。